2016年9月27日火曜日

「1月解散」の可能性大 首相は「明治維新150周年」主宰に意欲

 安倍首相この夏 地元・山口での講演で、「私は山口出身の8人目の首相。何とか頑張って平成30年(2018年)までいけば、(明治維新150周年も)山口県出身の安倍晋三が首相ということになる」、と語りました。
 安倍氏に東京五輪を首相として迎えたいという思いがあることは多くの人が指摘しているところです。
 また9月20日に開かれた政治制度改革実行本部の初会合で、高村正彦本部長は、安倍首相から任命されるに当たり「総裁任期の延長を検討してほしい」と要請されたことを明らかにしました
 自民党は、例年1月の通常国会召集前に開催する党大会を来年は3月に延期することを検討しています。それは1月に総選挙が行えるようにという発想からです。
 
 首相と官邸は、この12月、プーチン大統領を迎えての日ロ首脳会談で何らかの成果が得られれば、それを錦の御旗にして選挙に打って出ようとしています。そうすれば国政選挙5連勝達成の勢いを借りて総裁任期を3年間延期できるという算段です。逆にそのタイミングを逸すると、あとは時間の経過とともに政策の綻びが明らかになって勢いは衰える一方となるからです。
 安倍首相が本気で1月解散を考えているとする二つの記事を紹介します。 
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安倍首相「1月解散」は意外と本気 維新150周年に意欲
NEWSポストセブン  2016年9月26日 
週刊ポスト2016年10月7日号
 相次ぐ台風で日本各地に大きな被害が出る中、臨時国会が始まったばかりの永田町では突風のような「解散風」が吹き始めた。きっかけは日経新聞の〈来年1月解散説 永田町に浮上〉(9月17日付朝刊)記事だった。
 
 麻生太郎・副総理が派内に「理論上は1月解散はありうる。しっかり準備しておけ」と指示を出しており、安倍首相は12月の日ロ首脳会談で〈北方領土問題を前進させる政治決断を下し、その信を国民に問う  との観測だ〉という内容だ。
 とはいえ、首相は7月の衆参ダブル選挙を断念したばかりだ。自民党内では「高齢で強面、決して世論受けがいいとは思えない二階俊博氏が幹事長に起用されたことで総選挙は遠のいた」との見方が強まっていただけに、解散説は寝耳に水。
 
 選対のベテラン幹部は「複数の新聞記者から1月解散の問い合わせがあったが、ありえないと答えた。官邸から選挙準備の指示は何も出ていない。新聞社がネタがないときによくやる観測記事の類だろう」と一笑に付している。
 しかし、火のないところに煙は立たない。官邸筋は「解散はある」とこういう。
「官邸の有力なスタッフが総理に1月解散を進言し、総理も本気で解散を視野に入れている。総選挙に勝って国政選挙5連勝となれば、自民党総裁任期を延長して安倍総理が東京五輪を迎えることに党内の誰も文句を言えなくなる
 
 実際、自民党の総裁直属機関、政治制度改革実行本部では党内の反対を押しつぶすような強引なやり方で任期延長の党則改正手続きが進んでいる
 本部長の高村正彦・副総裁は同本部の初会合(9月20日)でいきなり現在2期6年の総裁任期を「3期9年」に延長する私案を提出し、安倍首相から直接、「総裁任期の延長を検討してほしい」と本部長就任を要請された内幕を明らかにした。
 いくら安倍首相が「任期延長は全く考えていない」と否定しても、首相の特命なのはバレバレなのだ。
 
 首相自身、この夏、地元・山口での講演で任期延長への意欲をにじませた。明治維新から50年後に山口県出身の寺内正毅、100年後に大叔父の佐藤栄作が首相を務めていたことに触れ、こう語った。
「私は山口出身の8人目の首相。何とか頑張って平成30年(2018年)までいけば、(明治維新150周年も)山口県出身の安倍晋三が首相ということになる
 明治維新150周年は2018年10月だが、安倍首相の総裁任期はその前の同年9月に切れる。首相として山口で予定されている「明治維新150周年事業」のイベントに出席し、故郷に錦を飾るには任期延長が不可欠なのだ。
 
 官邸は解散・総選挙をにらんだ政治日程を組んでいる。例年1月の通常国会召集前に開催する自民党大会を来年は3月に延期することを検討していることだ。
「総裁任期を延長する党則改正は党大会の承認が必要だが、年末にかけて臨時国会、予算編成と日程が立て込んでいる。党大会を1月に開くと意見集約が間に合わない恐れがある」
 自民党幹部はそう解説するが、理由はそれだけではない。
 安倍首相が「消費税増税見送り」を掲げて解散した前回総選挙(2014年12月)の後も、翌年1月の党大会を3月に延期した。今回、執行部が強引に突破すれば1月党大会での党則改正は十分可能なはずだが、あえて党大会日程の延期を検討しているのは、あらかじめ選挙日程を空けておくためとみれば合点がいく。
 
 
安倍首相、来年1月解散も…東京五輪で現職の夢実現へ
スポーツ報知  2016年9月26日 
 臨時国会が26日に召集される永田町で、安倍晋三首相(62)が来年1月の通常国会冒頭で衆院を解散するとの観測が広がっている。「1月20日解散、2月19日投票」などの日程案まで浮上。12月の日ロ首脳会談で北方領土交渉に進展があれば、それを追い風に衆院選に持ち込めるとの声が与党内にあるためだ。ようやく確保した衆参両院の「改憲勢力」3分の2以上の議席を割り込むリスクはあるが、総選挙で勝利すれば、総裁任期延長と2020年東京五輪を現職として迎える、首相の悲願達成が見えてくる。
 
 安倍首相が「アベノミクス加速国会」と位置付ける臨時国会が召集される。26日に首相が行う所信表明演説に対し、27日から3日間にわたって衆参両院の代表質問が行われる。蓮舫新代表体制となって初の国会論戦に臨む民進党の動向など注目点もある中で、永田町最大の関心事となっているのが「衆院1月解散説」だ。
 7月の参院選で衆参の改憲勢力で3分の2以上の議席を確保。それでも、早期解散説が浮上する背景には、2020年東京五輪を現職として迎えるという、安倍首相の悲願がある。現状の党則では、自民党総裁の任期は1期3年で連続2期まで。18年9月までしか首相の座にとどまることができない。しかし、来年3月5日の自民党大会で任期に関する党則改正が実現されれば、首相として五輪を迎えることが可能になる。
 
 ただ、党内では党則改正に対し異論も根強い。反対の声を封じ込めるには、総選挙での勝利が最大のお墨付きになる。そのためには、来年1月解散がベストのタイミングとなる。
 〈日ロ首脳会談〉
 安倍首相は12月15日、地元・山口にロシアのプーチン大統領を招いて日ロ首脳会談に臨む。長年の懸案である北方領土交渉を進展させれば、解散総選挙への大きな追い風になる。
 〈区割り前〉
 「1票の格差」是正のための衆院小選挙区定数6減などを反映させた新たな区割り案が来年5月に勧告される。1月解散なら、公明党が重視する来年夏の東京都議選と日程が離れ、候補者調整が必要な新制度の導入前でも十分対応できる。
 〈与野党の状況〉
 連立与党を組む公明党も年明け解散に抵抗感はない。井上義久幹事長は今月の党大会で「現行の区割りで衆院選が行われる可能性も十分ある」と言及。一方、野党第1党の民進党は蓮舫代表を選出し新体制を発足させたが支持率は上がっていない。1月解散なら準備不足を突く利点もある。もともと自民党大会は1月。次回も来年1月を予定していたが、急きょ3月に延期され、早期解散説に拍車がかかっている。
 
 政治評論家・浅川博忠氏「1月解散の可能性は十分にある。当然、総選挙を行えば議席を減らす可能性があるが、安倍首相はリスクよりも野党、特に民進党の脆(もろ)さを見ている。臨時国会の論戦で蓮舫新代表がどこまでやれるかは注目だ。さらに、キーマンは早期解散に否定的な二階俊博幹事長とみる。首相でも幹事長の意見を聞かずに解散には踏み切れない。いかに納得させられるかが重要になってくる」
 
 ジャーナリスト・田原総一朗氏「安倍首相が1月解散に踏み切れるかどうかは、12月の日ロ首脳会談で北方領土問題について、どの程度の成果を上げられるかどうか、という一点に尽きる。プーチン大統領から、2島返還以上、といった答えを引き出せれば、大きな展開を生む。そうでもなければ、衆参の改憲勢力で3分の2を保持している現状で、解散に打って出ることなどできないはずだ」