2016年9月2日金曜日

02- 配偶者控除廃止 は1兆円の大増税

 以前に消費税10%へのアップが延期になったときに、与党の議員の一部から、そうなると社会保障費の財源が足りなくなるから反対だという意見が出されました。つまり逆進性の高い消費税で大衆から収奪した税金が社会保障費の財源になっているわけです。
 金持ちからの税金を社会保障費に回すことで「所得の再分配」が行われる(=収入格差が多少なりとも改善される)わけですが、日本だけは所得が再分配されたのちも収入格差は全く改善されません。
 例えば日本の相対的貧困率は16%ですが、それは所得を再分配した後も全く同じです。つまり所得の再分配の機能が果たされていないということです。そんな国は日本だけで、EUなど先進国では当然みな改善されています。 
 
 自民党の調会が専業主婦世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の廃止を決めました。
 控除がなくなれば税額はその分上がりますが、その総額は1兆円以上になるということです。しかも所得に無関係に一律38万円の控除を廃止するので、増税の割合は低所得者ほど高くなります。
 こうした冷たい施策が平然と繰り返されるのは、政府にも与党にもそもそも「所得の再分配」という考え方がないからでしょう。これでは日本の経済格差はいつまでたっても改善されません。
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配偶者控除廃止 「1兆円大増税」年収別シミュレーション
日刊ゲンダイ 2016年9月1日
 30日、自民党の宮沢洋一税調会長が専業主婦世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」の廃止を表明した。「働き方改革」の一環で、女性の労働意欲を税制で後押しするため、などとしているが、しらじらしい言い訳だ。内実はサラリーマン大増税である。
 
■専業主夫世帯は地獄
 配偶者控除は配偶者がいる世帯の課税所得を減らし、所得税や住民税の負担を軽くする仕組み。妻の年収が103万円以下であれば、その世帯が払う所得税額を決める夫の所得から38万円を差し引くことができる。配偶者控除をなくし、いわゆる「103万円の壁」を取り払うことで、女性の働き手を増やす狙いがあるという。が、これは増税のための口実だ。
 
 元静岡大教授で税理士の湖東京至氏が言う。
 「配偶者控除の廃止は、財務省の新たな財源探しから出てきたシロモノです。自民党税調は、専業主婦世帯でも共働き世帯でも一定の控除が受けられる『夫婦控除』の創設を想定しているそうですが期待すると痛い目に遭うと思います。新しい控除がどうなるのか、まだ具体的に示されていない。世帯全体の控除を下げ、結果的に増税に持っていくのは目に見えています」
 配偶者控除がなくなると一体、どれくらいの増税になるのか。配偶者控除額は所得税38万円、住民税33万円。これらの控除額に5~45%の所得税率をかけたものが増税額となる。夫の年収が500万円の専業主婦世帯は、約7万円の負担増だ。現在、配偶者控除の適用を受けている納税者は約1500万人。廃止により、全体で1兆円以上の増税になる計算だ。年収別シミュレーションは表を参照。
 
 「配偶者控除を利用する納税者の約9割はサラリーマン。ですから、税金を取りやすいサラリーマンを狙い撃ちにした増税ということになります。しかも、配偶者控除は出産や育児をきっかけに妻が仕事を辞め、子育てに専念するために利用するケースがほとんど。それを廃止するのは、安倍政権が掲げる子育て支援策とも大きく矛盾します」(湖東京至氏)
 
 配偶者控除は、早ければ2018年1月にも廃止される見通し。サラリーマンをなめている安倍自民党の横暴に歯止めをかけるためには、まずは今年10月の衆院補欠選挙で、ノーを突き付けなければならない。