2016年8月17日水曜日

公明党北側副代表が緊急事態条項が最優先と

 公明党の山口代表は終戦記念日都内で街頭演説し、2015年に安全保障関連法を成立したことで憲法9条の範囲内で安全保障の環境の変化に対応できる基盤を整えたため9条改正必要はなく、「自らを否定するような議論はするつもりはありません」と述べました(NHK)。
 それ自体は結構なことですが、その一方で公明党の北側一雄憲法調査会長(副代表)は813日までに共同通信のインタビューに応じ、大規模災害が国政選挙と重なった場合などに国会議員の任期延長を認める規定の新設が優先課題になるとの考えを明らかにしました。しかし2院制を取っている日本で、そんなことが喫緊の最重要の課題であるとはとても思われません。
 
 植草一秀氏は、それは口実であって真意は緊急事態条項の加憲賛成する」との意向を示したということに他ならないという見方をしています。
 政府に独裁の権限を与える「悪魔条項」を公明党は本当に容認するのでしょうか。
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公明・山口代表 9条改正必要ないとの認識示す
NHK NEWS WEB 2016年8月15日
公明党の山口代表は、東京都内で街頭演説し、安全保障関連法を成立させたことで、憲法9条の範囲内で、安全保障の環境の変化に対応する基盤を整えたとして、9条を改正する必要はないという認識を重ねて示しました。
 
この中で、公明党の山口代表は「近年の日本を取り巻く安全保障の環境は、確実に厳しさを増しており、こうした状況に憲法9条の範囲で対応するために、平和安全法制を作って、切れ目のない体制を作る基盤を整えた」と述べました。
そのうえで、山口氏は「平和安全法制を整備する議論の中で、憲法9条に対する考え方を再確認したので、それをみずから否定する議論をするつもりはない。こうした考え方で、今後も日本の安全と国際社会の平和への貢献をなし得る努力を進めていかなければならない」と述べ、憲法9条を改正する必要はないという認識を重ねて示しました。
 
 
TPPと緊急事態条項成立ならこの国は終わる
植草一秀の「知られざる真実」 2016年8月16日
前 略
前置きが長くなった。仮に解散が来年末までないとすると、これからの1年間のメインテーマは何になるのかという問題だ。想定されるメインテーマが三つある。
第一は、自民党総裁任期延長の規約改定。
第二は、TPP批准。
第三は、憲法改定推進だ。
安倍氏は2020年の東京五輪の際に首相でいることを最優先課題に位置付けていると思われる。「政治私物化」の象徴ともいえることがらだが、十分にあり得る想定だ。
安倍政権を支配しているのはハゲタカ資本であると見られるが、このハゲタカ資本が安倍首相に命令している最優先課題がTPP批准であると見られる。TPPは日本の国民の利益にはまったくならないが、ハゲタカ資本にとっては垂涎の的だ。米国でのTPP批准の雲行きが怪しくなっているため、事態を打開するために日本の批准を先行させる。
これがハゲタカ資本の判断で、ハゲタカ資本は安倍首相にTPP批准を必ず実行しろと命令していると判断される。
 
そして、安倍首相自身が狙っている最重要事項が憲法改定だ。そして、その標的は「緊急事態条項」の加憲である。
5月13日付のメルマガ記事に記述したが、これまで憲法改定に慎重姿勢を示してきた公明党がついに本性を表わしたと見える。次の事実が伝えられている。
公明党の北側一雄憲法調査会長(副代表)は(8月)13日までに共同通信のインタビューに応じ、憲法改正を巡り、大規模災害が国政選挙と重なった場合などに国会議員の任期延長を認める規定の新設が優先課題になるとの考えを明らかにした。」
何を意味しているのかと言うと、公明党が、憲法改定について、「緊急事態条項の加憲が最優先であり、これに賛成する」との意向を示したということだ。極めて重大な情報である。
 
7月10日の参院選結果で、改憲勢力が衆参両院で3分の2以上の議席を占有した。憲法改正発議が可能な状況が生まれた。しかし、公明党がイエスと言わなければ憲法改定は実現しない。この公明党が「緊急事態条項の加憲」で憲法改定にゴーサインを出したのだ。
安倍首相の狙いは9条改定ではなく、緊急事態条項加憲である。極端な言い方をすれば、安倍氏は「緊急事態条項加憲」が実現すれば、それで「満貫」だと判断していると私は判断する。
 
「緊急事態条項」は「悪魔条項」と言ってよい。この「悪魔条項」が加憲される危険が急激に高まっている。
 (後 略