2016年6月30日木曜日

2016年前半で 「安倍政権による損失」は37兆円

 経済学者の植草一秀氏が、この半年間で安倍政権は国民の公的年金資金(積立金)を合計16兆円も失わせたことを明らかにしました。
 これまでは公的年金資金は安全運用を旨として、その運用・投資先は国内債券を主(60%)として国内株式は12%、外国証券は23%にしてきましたが、安倍政権はアベノミクスのために株の買い支えがし易いように、国内株式を25%に増やし、外国証券も40%に増やしました。その結果がこの惨状となりました。
 加えて外貨保有高1兆693億ドルは、この半年間の円高=ドル安の結果、円換算で21兆円の価値下落となりました。年金資金の損失と合わせると実に37兆円の損失になります。
 
 参院選に当たって安倍首相は盛んに疑問だらけの数字を吹聴しています。
 会計年度でいえばまだ4半期が過ぎるところとはいえ、最高責任者である以上こうした数字は頭に入れて置くべきなのですが、果たしてどうなのでしょうか。来年の7月、「政策の失敗で皆さんの年金資金を毀損してしまいました」で済まされるような問題ではありません。
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2016年前半安倍政権損失が37兆円に達する疑い
植草一秀の「知られざる真実」 2016年6月29日
安倍政権は老後の生活を支える国民の財産である公的年金資金=GPIFの資金運用配分比率を変更する運用方針を2014年10月31日に大きく変更した。年金資産の資金運用の資産別配分比率を大幅に変更したのである。
 
従来の資金配分比率である
国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12% 
国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25 の新しい資金配分比率に変更した。
国内株式の運用比率が12%から25%へと2倍強に引き上げられた。外国証券の運用比率も23%から40%へと大幅に引き上げられた。
 
2015年12月末のGPIF運用資産残高は139兆8249億円、この時点での日本配分比率2335%を基準にすると、日本株式残高は2015年12月末で32兆6491億円だった。
民進党の玉木雄一郎議員が仮定計算しているように、
昨年12月末の株価水準はTOPIXで15473。
6月27日のTOPIXは122576で、日本株式が208%下落した。
この下落率を当てはめると、日本株式残高は25兆8664億円に減少していることになり、日本株式だけで、年初来、6兆7847億円の損失が生じたことになる。
 
日経平均株価は2012年11月14日に8664円の水準だった。
2014年10月31日の終値は16413円だった。
つまり、安倍政権は政権発足直前の水準から2年で、株価が約2倍の水準に暴騰した局面で、日本株式での運用比率を2倍に引き上げたのである。
8664円の水準だった2012年11月に日本株式の運用比率を2倍に引き上げて、株価が2倍になった2014年10月末に元の比率に戻したと言うなら適正だが、その逆をやった。
 
ところが、株価は2015年6月をピークに下落トレンドに転換した。円安・株高の流れが円高・株安の流れに転じたのだ。その結果、年金資産の損失が急拡大している。
 
また、外国証券の比率が40%に引き上げられているから、円安の局面では利益が生まれるが、円高の局面では損失が拡大する。
円高・株安のトレンドが生じるなかで、日本株式、外国証券偏重の資産配分は、国民に甚大な損害を与えており、その責任が問われるのは当然のことだ。
 
安倍政権は年金資金運用で巨大な損失を発生させているから、そのデータを参院選前に公表することを避けて、参院選後に公表期日を先送りした。目的のためにはいかなる卑劣な手段でも用いるという、おぞましい姿だ。
野党関係者の発言については、マスメディアを総動員して総攻撃するくせに、自分の不正については一切の報道、論評を許さない。文字通り、日本は暗黒国家への道を転げ落ちている。
 
しかし、政府が隠している巨大損失は年金資産の日本株投資での損失だけでない。
140兆円の資産残高のうち、外国証券での運用比率が40%だとすると、その残高は56兆円である。
年初の1ドル=120円が1ドル=100円になれば、為替変動で17%の損失が生じる。仮にこの変動率で計算すれば、ドル安で95兆円の損失が生まれたことになる。
株式と合わせれば、何と16兆円の損失になる。
 
そして、さらに驚くべきことがある。日本政府は日銀から借金をして1兆2540億ドルの外貨資産等を保有している。外貨準備というものだ。
このうち、1兆693億ドルが外貨証券である。圧倒的に多いのが米国国債だ。
これを1ドル=120円から1ドル=100円へのレート変化で換算すると、円評価額は128兆円から107兆円への減少していることになる。
半年足らずで、21兆円もの損失が生まれていることになる。
 
この損失は、すべて、日本の国民が負担することになる。年金の損失と合わせると、なんと半年で37兆円もの巨大損失が生まれていることになる。
私は、昨年4月21日付のブログ記事 「安倍政権は政府保有米国債売却を決断せよ」
で、政府保有の米国国債売却を強く提唱した。
早晩、為替レート変動が円高に回帰する可能性が高く、為替損失を全額回収できるチャンスを放棄するべきでないことを強く訴えた。
 
しかし、安倍政権は無為無策で、いまの円高で20兆円を超える損失を計上している。
半年で37兆円もの巨額損失を生み出していると見られる安倍政権には、直ちに退場してもらわないと、国民の老後の生活は破綻し、若い人に明るい未来は絶対に来ない。
(以下は有料ブログのため非公開)

30- 沖縄のアメリカ軍基地は「日本全体の39%」と在日米軍が偽る

 在日米軍が日本の軍事基地に関して日本における全ての米軍施設の75%が沖縄に集中しているというのは誤解で、実際には米国の専用施設の39%、全ての人員の49%が沖縄に存在していて、米国管理施設の大部分は沖縄以外の場所に位置していると、24日、公式Facebookページに掲示しました。
 しかしこれはためにする「にせ情報」であって、米軍基地の国土占有率を論じる場合は当然「占有面積」がベースとなります。実際これまでも防衛大臣、外相、首相が集まり、専用面積でパーセンテージを測ることで行っており、それが「75%」でした
 この段階で突然米軍がそんなことを言い出すのは、新設しようとしている辺野古基地を意識したとしか考えられません。

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沖縄のアメリカ軍基地「日本全体の39%」
投稿に翁長知事「開いた口がふさがらない」
The Huffington Post  2016年6月29日
「沖縄には、在日アメリカ軍基地の74%が集中している」
この定説を、在日アメリカ軍司令部が「事実ではない」と述べ、物議を醸している。
 
6月24日の公式Facebookページで「実際には、米国の専用施設の39%、全ての地位協定メンバーの49%が沖縄に存在しています」と説明した。75%(または74%)は面積ベースで計算した数字だが、施設数で計算したとしている。
 
『USFJ FACT OF THE WEEK ~ 在日米軍 今週の事実』
(日本文は参考訳、正文は英文です)
 
在日米軍基地に関してよくある誤解があります。それは、日本における全ての米軍施設の75%かそれ以上が沖縄に集中していると言われていることです。これは事実ではありません。
 
実際には、米国の専用施設の39%、全ての地位協定メンバーの49%が沖縄に存在しています。米国管理施設の大部分は沖縄以外の場所に位置しています。さらに、米軍はその施設が、基地の81%における自衛隊との共同使用の提供を含め、同盟の最大限の利益のために活用されるよう努めています。
 
本州には52の米軍施設があります。これらの施設の中で、横田基地、キャンプ座間、横須賀基地、佐世保基地は国連軍補給基地として指定されています。日本政府と国連との地位協定のもと、これらの基地を経由して国連軍を韓国へ移送することが可能となっています。
 
沖縄には33の米軍施設があります。これらの施設の中で、嘉手納基地、普天間基地、そしてホワイトビーチ海軍施設もまた国連軍補給基地として指定されています。 52の本州と33の沖縄の米軍施設には、空軍基地のような大きなものからレーダー基地や宿泊施設のようなとても小さな施設まで様々な規模があります。
 
(在日米軍司令部Facebookページより 2016/06/24 10:49)
 
これに対し、琉球新報によると沖縄県の翁長雄志知事は6月28日、県庁で記者会見し、以下のように批判した。
 
「あ然とする。開いた口がふさらがらない。『良き隣人』として日米安保を支えるという米軍がねじ曲げて話すのは大変残念」
翁長知事は「今までも防衛大臣、外相、首相が集まり、専用面積でパーセンテージを測ることを認める形でやってきた」と、日本政府が認めた数字だと強調した。
 
一方で中谷元・防衛相は28日の閣議後会見で「防衛省は面積の割合が74%だと公表しているが、データの見方、とらえ方は様々。コメントは控える」と、具体的な論評を避けた。

2016年6月29日水曜日

LITERAが稲田自民政調会長の改憲に関する大嘘を批判 

 LITERAが、26日放送のNHK『日曜討論』で自民の稲田政調会長、参院選で改憲を争点にしないことについて「決して逃げているわけではない」と言い訳しながら、「野党3分の2阻止と言うが、主権国家として必要があれば憲法改正する、憲法改正自体がいけないというのは、日本が主権国家をやめること(要旨)」だと意味不明の発言をしたことを取り上げました。
 そして稲田氏の自民党の改憲草案の説明は大嘘であるとし、何に国民主権、基本的人権、平和主義を無効化する内容になっているかを分かりやすく解説しています。
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稲田朋美が改憲で「自民党は国民主権、平和主義、人権尊重は変えない」
と大嘘!  自民党改憲案とお前の過去の発言を読み直せ
LITERA 2016.06.27.
 先週、連続的に行われた党首討論では、安倍首相による総裁選の“憲法改正”争点隠しの言い訳が醜いことになっていたが、今度は安倍首相の“腹心”である稲田朋美政調会長がテレビで大ウソをついた。
 それはNHK『日曜討論』(6月26日放送)でのこと。まず稲田政調会長は、参院選で改憲を争点にしないことについて「決して逃げているわけではありません」と言い訳すると、つづけてこう述べた。
「(野党は)3分の2阻止とおっしゃるんですけど、日本は主権国家なんですね。主権国家として必要があれば憲法改正する、その3分の2ですよね。それを阻止する、憲法改正自体がいけないというのは、日本が主権国家をやめる(ということ)」
 
 いやはや、何を言っているのだか。この人、ほんとうに弁護士なのだろうか。憲法改正を阻止し、現行憲法を守ろうとするだけで「主権国家をやめる」ことになるなら、国民投票において、日本より厳しい「二重の過半数」を改憲の要件とし、これまで発議の9割近くが否決されているオーストラリアも主権国家でないというのか。
 稲田は「対案がない」などというが、立憲主義を踏みにじり、安保法制を強行に可決させてしまった政権に対して、「憲法改正はさせない」と訴えるのは立派な“対案”だ。というか、そもそも、なぜ憲法を改正するか否かで、対案が必要になるのか
 
 ようするに、稲田政調会長こそ はなから“改憲ありき”で、改憲したくないと思う国民のことを、国民でさえない“反日勢力”と決めてかかっているのだ。
 しかも、民進党の山尾志桜里政調会長が「いまの憲法を悪い憲法だと思っている自民党」と話すと、稲田政調会長はすかさず「思っていません(笑)」「レッテル貼って批判するのは止めたほうがいいですよ」と、安倍首相が乗り移ったかのようにおなじみのフレーズで割って入った。そして、こう言い切ったのだ。
「自民党の出している憲法草案も、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、これまったく変えません」
 
 よくテレビの生放送で断言したものだ、と感心すらしてしまいそうになる。それは、自民党の憲法改正草案とは、ずばり「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」の3つをことごとく否定する中身だからだ。
 先日発売された自民党改憲草案の批判本『あたらしい憲法草案のはなし』(太郎次郎社エディタス)は、〈 憲法草案、すなわちあたらしい憲法の三原則 〉について、その本質をこう指摘している。
  一、国民主権の縮小
   一、戦争放棄の放棄
   一、基本的人権の制限  
 
 そもそも改憲草案は、現行憲法の前文の主語が「日本国民」であるところが、「日本国」にすり替わっている。これは〈国民を必要以上につけあがらせてはけない〉という考え方からきており、〈国の中心が「国民」ではなく、「国」そのもの〉に変更されている証拠にほかならない。ようするに、国民主権という思想が根本から覆されているのだ。
 
 さらに、平和主義の根幹を成していた憲法9条からは「戦争放棄」の題が消え、「安全保障」という名の〈軍事力を自由に行使する(使う)ことのできる国〉になることを明記している。そして、集団的自衛権の制約もなくなり、国防軍が組織される。もちろん、この改憲草案では、国民にも戦争協力を求めている。
 基本的人権も同様だ。現行憲法13条では《すべての国民は、個人として尊重される》とあるが、自民党の改憲草案では〈全ての国民は、人として尊重される〉という大雑把な扱いになっている。人は生まれながらにして人権をもっているという考え方を否定し、個人の権利よりも国を優先させているのである。
 そのような憲法改正草案を掲げておいて、選挙を目の前に控えて「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、これまったく変えません」などとNHKのテレビ番組でうそぶくことは、はっきり言って国民への背信行為だ。
 
 実際、稲田政調会長の本音はもっと過激なものだ。稲田氏は過去に書籍のなかで、「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」が謳われた現在の憲法をこのように指弾している。
 どこの世界に自国を自分で守らないと宣言する国があるでしょうか 〉(渡部昇一監修『中国が攻めてくる!日本は憲法で滅ぶ』総和社、2011年)
 〈 前文だけ読んでも、まじめに勉強すれば、反日的になるような自虐的な内容です 〉(『私は日本を守りたい』PHP研究所、2010年)
 その上で、稲田氏は前文をこのように変えるべきだ、と主張している。
 本来前文には憲法ひいては国としての理念が語られなければならないはずです。前文で書かれるべきは、日本という国が神話の時代から連綿と連なる歴史を保持し、四海に囲まれた自然豊かな風土を持つ日本が、どのような国を目指すべきなのかという理想が語られるべきです 〉(前掲『中国が攻めてくる!日本は憲法で滅ぶ』)
 思考が完全に戦前……。それを裏付けるように、ある講演会の壇上で稲田氏は「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違っていると思います」とまで断言している。
 
 国民の生活など政治は守る必要はない──この考えは、しかし稲田氏だけのものではない。安倍首相が会長を、稲田氏が事務局長代理を務める創生「日本」の研修会では、第一次安倍内閣で法務大臣を務めた長勢甚遠氏が改憲草案を「不満」だと言い、こう述べている。
「いちばん最初に国民主権、基本的人権、平和主義、これは堅持すると言っているんですよ。この3つをなくさなければですね、ほんとうの自主憲法にならないんですよ」
 自民党の改憲草案は十分に国民主権、基本的人権、平和主義を無効化する恐ろしい内容だが、それでもまだ足りないとさえ考えているのである。
 
 安倍政権が憲法改正に動き出せば、この国は確実にこれまでとはまったく違う国へと変貌する。だからこそ、それを阻止するために野党は共闘という手段に打って出ているのだ。言わば、この国はそれほどまでに、安倍首相によってギリギリのところまで追い詰められている。改憲の先兵たる稲田政調会長は、これからも耳当たりのいい話ばかり吐きつづけるだろうが、そんな見え透いたウソにはどうか騙されないでほしい。 (水井多賀子)

立憲主義「知らない」90%、9条改正反対60% 埼玉県民アンケート

 埼玉新聞社26に駅頭などで行ったアンケートで、「立憲主義」を「知らない」「よく分からない」が90「憲法は国民が守るルール」と答えた人が半数以上という衝撃の結果が得られました
 なお、戦争放棄をうたった9条の改正には「反対」が60で、「賛成」は14でした
 9条の改憲に「反対」理由は、「戦争をしないと宣言し守ってきた歴史が壊される」、「戦争に巻き込まれる恐れがある」との懸念目立ったということです
 「正当防衛も認められないのは困る」という意見もありました
 
 立憲主義に関する回答は非常に衝撃的ですが、アンケートの対象者数が50人と少数だったため、どの程度全体を代表しているのかという問題があります。
 いずれにしても立憲主義については「知る人ぞ知る」というか、これまで「国民は承知している」という前提で進められてきたのは問題であったようです。
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立憲主義「知らない」90%、9条改正反対60% 県民アンケート
埼玉新聞 2016年6月27日
 埼玉新聞社は26日、日本国憲法に関する県民アンケートをまとめた。「立憲主義」を知っているか聞いたところ「知らない」「よく分からない」が90%を占め、「知っている」の10%を大きく上回った。施行から69年が経過した現行憲法だが、立憲主義やその内容が、市民に十分に行き渡っていない現状を示した格好だ。戦争放棄をうたった9条の改正には、60%が「反対」と答え、「賛成」は14%にとどまった。
 
 アンケートは、埼玉県さいたま市内の駅頭などで50人を対象に実施。立憲主義を知っているか▽憲法は誰が守るルールだと考えているか▽憲法9条の改正に賛成か反対か▽「平和」とは何か―などを聞いた。
 
 「憲法は誰が守るルールか」の回答には、同市浦和区の無職男性(65)らが「権力者、政府に対する縛り」と回答する一方、「国民」との認識を示した回答が半数余りに上った。
 
 憲法改正に「反対」とした理由について、同市浦和区の女性会社員(34)は「核の被害を受けたのは日本だけ。戦争を繰り返したくないのは日本国民の全員が思っている」。同市桜区の大学生の女性(18)は「戦争をしないと宣言し守ってきた歴史が壊されるのは嫌だ」と回答するなど、「戦争に巻き込まれる恐れがある」との懸念を強調する声が目立った。
 
 9条改正に「賛成」の理由として、川越市の女性会社員(57)は「実情に合わせる必要がある」。さいたま市浦和区の主婦(68)は「日本だけでは危機に対応できない」とした。同市南区の無職女性(75)からは「日本は外国から弱いと思われている」との回答があった。
 9条改正の是非をめぐり「どちらとも言えない」にも22%が回答を寄せた。同市南区の女性会社員(39)は「正当防衛も認められないのは困る」。同市浦和区の男性会社員(37)は「改正すれば、それなりのメリットがあるのかもしれない。ただ、安全な今の社会にゆがみが生じては困る」とした。

29- 英EU離脱ショック 株暴落でGPIF「年金30兆円損失」の恐怖

日刊ゲンダイ 2016年6月28日
 英国の「EU離脱」が世界の株式市場を“直撃”している。先週末の日経平均の終値が1万4952円で前日比1286円の大幅安となったのに続き、24日のNYダウ株は610ドルも下落。注目された27日の東京市場は反発したが、一体どこまで影響が広がるのか不安が募るばかり。とりわけ、国民にとって最も深刻なのが、年金資金を株式市場に投じている「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の運用損だ。
 
■株価“瞬間下落幅”は「リーマン」以上
 安倍政権は2014年10月、GPIFの国内外株の運用比率を50%に倍増させた。それを受け、民進党の長妻昭衆院議員は同年12月、年金積立金の想定損失額について、政府に質問主意書を提出。政府は「リーマン・ショック級」の株価下落があった場合、年金積立金の損失額は「26・2兆円」に上るとの試算を公表した。
 今回のEU離脱に対し、市場関係から「リーマン・ショック級のリスクを招く恐れがある」との指摘が出ているほか、安倍首相も5月の「伊勢志摩サミット」で、世界経済の状況を「リーマン・ショック前の状況に似ている」と言っていた。つまり、長妻氏が引き出した政府答弁書「26・2兆円」の損失が現実味を帯びてきたということだ。
 
 恐ろしいのは、EU離脱が「リーマン・ショック級」を超える経済危機を招く可能性があることだ。08年のリーマン・ショック時、日経平均の1日の最大下げ幅は1089円だったが、今回の下げ幅はそれより200円もマイナス。単純計算で年金積立金の損失も「26・2兆円」の2割増しとすれば、「30兆円」に及ぶ損失が出る可能性は否定できない。
 
  金融評論家の近藤駿介氏(アナザーステージCEO)はこう言う。
 「15年度の運用実績は約5兆円マイナスとの試算もあり、今年度に入ってからもマーケットは振るわなかった。EU離脱前の状況からかんがみて、引き続き株価が低迷すれば、今年度は26・2兆円以上の運用損を出す可能性はあります。株価の下落幅が瞬間的にリーマン・ショックを上回ったのは、それだけ投資家が危機感を覚えている証左です。やはり、国内外の株式の運用比率を倍増させたことが、大きく響いていると思います」
 米投資家のジョージ・ソロス氏は国民投票前、「英国が離脱したらEUの崩壊はほぼ避けられない」と発言していた。この先、極右政党・国民戦線が台頭するフランスのほか、EU懐疑派の「五つ星運動」に属するラッジ氏がローマ市長に当選したイタリアでも、「離脱」の動きが活発化するとみられている。ソロス氏の予言通り「EU崩壊」なら、リーマン・ショックどころの騒ぎじゃない。株価急落の連鎖が世界各地に広がり、当然、日本株も大暴落だ。安倍首相は「安倍政権の3年間で、GPIFの運用益は38兆円」なんて威張っていたが、そのほとんどが吹っ飛ぶのだ。
 
 賃金は増えず、増税で生活は苦しくなるばかり。さらに、老後資産の蓄えまで吹き飛んだら、庶民生活は成り立たない。年金資金をバクチに投じた安倍政権の責任は重い。 

2016年6月28日火曜日

安倍政権への危機感を謳う女性誌 安保法反対の関西22大学の学生が集会

 今度の参院選は、昨年制定された安保関連法案の是非や安倍政権の改憲志向に対する国民の賛否を示す何よりの機会です。
 安倍首相は昨年9月に強行採決した際に、「参院選の頃には国民は忘れているだろう」とうそぶいたと言われますが、参院選が近づくと改憲には一触れなくなり、ひたすらアベノミクスの「虚偽の成果」を吹聴するようになりました。見事な争点隠しです。
 勿論そんな風にして選挙に勝てば「国民の支持が得られた」として、改憲に奔ることは目に見えています。それも「緊急事態条項」の盛込みを目指すのではないかと言われています。恐ろしいことです。
 
 これまでも度々憲法や政治関連の特集を組んで評判になったファッション誌「LEE」は、参院選に向けた7月最新号で「『憲法』『育児・待機児童』問題 もしあなたが投票に行かなかったら……再び」という、大型の特集を組み話題になっているということです。
 安倍首相の目論見とは裏腹に、女性たちの安倍政権への懸念は決して退化などしていなかった訳です。
 
 また戦争法に反対する関西圏22大学の「有志の会」は、26日、関西学院大学「この国に未来を築こう」と題し共同集会を開きました。
 集会では京都精華大学専任講師の白井聡さんが基調講演し「今回の参院選の焦点は憲法改正で、緊急事態条項から憲法改正に着手しようとしている述べました。
 学生たちもあの時の怒りを決して忘れていないということです。
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参院選を前に女性たちが安倍政権に危機感
ファッション誌「LEE」も「自民党に改憲を許す」危険性を警告
LITERA 2016年6月27日
 福島原発事故や安保法制議論をきっかけに、女性週刊誌や女性ファッション誌で頻繁に社会派記事が掲載されるようになったが、その流れは今でも健在なようだ。
 
 30代ママ層を主なターゲットにしたファッション誌「LEE」(集英社)の7月最新号では、「『憲法』『育児・待機児童』問題 もしあなたが投票に行かなかったら……再び」という、参院選を見据えて11ページもの大ボリュームで政治特集を組んでいる。
「LEE」といえば、これまでも度々、憲法や政治関連の特集を組んでおり、今年2月号でも「もし、あなたが投票に行かなかったら……」という選挙関連特集を掲載し大きな話題となった。今回はその第二弾というわけだが、第一弾同様、その内容は安保法制、憲法改正、そして待機児童問題など政治に関する様々な問題に切り込んだものだ。
 
「気軽に政治にかかわってほしい。そうした声をしっかり届ければ、社会を変えるパワーに必ずなります」
 冒頭、「LEE」読者に選挙について“講義”するのは政治学者の岡田憲治氏だ。岡田氏はママ世代の政治や選挙について分かりやすく解説していく。例えば「自分が1票を投じただけでは何も変わらない、意味がない」と思っている読者の疑問に、こう答えている。
「現在の小選挙区制度は、一票の価値ってとても大きいんです。
 例えば09年の衆院選。その前の選挙で圧倒的人気を誇った小泉内閣が獲得した多数の議席を民主党が奪い、政権交代が実現した。これって実は、いつも自民党に投票していた人のわずか10%前後の人が民主党に入れたから、政権がひっくり返ったと言われているんです。『最近の自民党は感心しないから、お灸を据えよう』と思ったのか、それくらいの人の支持が変わっただけです」
 
 その上で、投票にいかないことがどんな意味をもつかについても、丁寧に解説していく。
「投票しないということは『現状に不満はない』という『黙認』を意味します。仮に現在の与党に対して不満があったとしましょう。もし投票しなかったら、今の制度では『現状のままでよい』と見なされます。(略)不満を持っている党や依頼な候補者を応援することになっちゃうわけです」
 「無投票は『ただ投票しなかった』だけでなく、まして『抗議』の効果なんてなく、『投票に行った人への賛成』を意味する。この点は知っておいてほしいです。前回の衆院選で与党第一党に投票した人は、比例で全有権者の17%、小選挙区で約25%です。もし今の政治に不満があるならば、投票に行かないことは、この人たちに、いろんなことを丸投げするということなんです」
 
 また、一人では無力感があるという質問に対して、PTAやサッカーチームでもいい、意見をもち寄って調整し、仲間をつくり、増やすことが「政治」であり、またSNSを活用して政治の情報収集することも可能だと“身近な政治”を提案している。
 
 さらに、投票のために “知っておくべきこと” として「改憲」の問題が取り上げられているが、ここでは安保法制、集団的自衛権の憲法解釈などについて、憲法学者の木村草太氏による具体的な危険性が提示される。
 例えば、昨年成立した安保法制で何が変わるかとの質問に、木村氏はこう答えている。
「安保法制というより “自衛隊海外活動拡大法” と呼ぶべきでしょう。(略)自衛隊がこれまで以上に危険な状況に陥り、戦闘で死者が出る可能性が高くなるということです。この法律が通ってしまった背景には、日本人が外国の紛争解決に“貢献”しない点に対する後ろめたい気持ちがあると思います。その後ろめたさが安保法制について真正面から考えさせないでいる。それは自衛隊の活動を拡大した政府にとっては“都合のいい無関心”になります」
 
 また、緊急事態条項についてもこう説明する。
「戦争や災害時に緊急事態を宣言して政府が一時“独裁”するとの条項です。(略)自民党草案の緊急事態条項は、三権分立や基本的人権を停止する効果まで定められています。とても危険な内容で、とうてい許容することはできません
 
 他にも、少子化はそこに予算をかけない政府の政策ミスであり、自然発生ではなく人為的なもので、子育て世代は声を上げるべきだといった内容や、自民党・木村弥生議員と民主党の山尾志桜里議員のインタビューを並列して掲載するなど、力の入った特集となっている。
 
「LEE」は2014年12月号でも「母親たちの初めての憲法特集」という企画を組んでいるが、実際にこうした硬派な記事は読者にも好評を得ているという。それは翻れば、現在の政治状況に多くの女性が危機感をもっていることの証明なのだろう。
 舛添要一都知事問題などのセコい話だけでなく、こうして幅広く政治的関心をもち、同時に権力に対する危機意識をもつ。それが政治に関わる第一歩だ。 (伊勢崎馨)
 
 
“参院選 焦点は憲法” 兵庫 関西22大学有志の会集い
しんぶん赤旗 2016年6月27日
 戦争法(安保関連法)に反対する、関西圏を中心にした22の大学の「有志の会」が26日、兵庫県西宮市の関西学院大学に一堂に集い、「この国に未来を築こう」と題して共同集会を開きました。同実行委員会が主催。
 
 京都精華大学専任講師の白井聡さんが基調講演しました。白井氏は冒頭に「今回の参院選の焦点は憲法改正だ」と発言。安倍政権は憲法改正を参院選の公約に盛り込みながら争点を隠し、3分の2の獲得を目指していると指摘。国家緊急事態条項から憲法改正に着手しようとしていると批判し、「この危機的な状況を市民社会に広く伝える必要がある」と話しました。
 
 リレートークでは、安保法制に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会の佐野潤一郎さんなど各大学有志の会が発言。シールズ関西、安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫、甲東平和を考える会も登壇しました。
 「戦争しない国」のための京都橘大学有志の会の神谷栄司さんは「与党が3分の2をうかがうと報道されているが、市民と野党が攻めている。まだ2週間ある。選挙はやってみなければわからない」と発言。違憲安全保障関連法に反対する大阪市立大学有志の会の新ケ江章友さんは「学者それぞれの専門性を生かし、学者の会として結集してたたかわなければならない」と話しました。

28- JA系10府県が自民候補を推薦せず

 福島県以外の東北5県をはじめ、全国10府県でJAグループの農政連が、TPPを進めた安倍政権に対する不満から自民党候補への推薦を見送ったということです。福島県農政連は、原発事故からの復興のため政権与党とのつながりを考慮し自民党候補を推薦しました。
 また10府県のうちの8府県は、これまでは自民党候補を推薦していました。
 
 農業票は当落を大きく左右するだけに、安倍首相東北を重点的に遊説するなど農業票の引き留めに躍起だということですが、TPPの破壊力は莫大なので、とても口先だけで支持を引き留められるとは思えません。いわば当然の報いと言うべきです。
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「TPP推進」にJA系反発 10府県、自民推薦せず
東京新聞 2016年6月27日
 東北地方を中心に、全国十府県でJAグループの政治運動組織「農業者農政運動組織連盟」(農政連)が、七月の参院選で自民党候補への推薦を見送ったことが本紙の取材で分かった。JAグループは自民党の有力な支持層とされてきたが、環太平洋連携協定(TPP)などを進めた安倍政権への不満が背景にある。安倍晋三首相(自民党総裁)は東北を重点的に遊説するなど、農業票の引き留めに躍起だ。 (山口哲人)
 
 十府県は青森、岩手、宮城、秋田、山形、石川、三重、京都、高知、佐賀。これらの農政連は野党側にも推薦を出さず、自主投票とした。改選二の京都以外は、参院選の勝敗を分ける一人区。
 三重、石川のように、以前から原則として推薦を出していない農政連もあるが、秋田や高知、佐賀の農政連は、二〇一三年の前回参院選では自民候補を推薦していた。
 
 特に東北六県で、自民党候補を推薦したのは「原発事故からの復興のため、政権与党とのつながりを考慮した」という福島県農政連だけ。安倍政権がTPP交渉を妥結(今年二月に協定文に署名)させたことや、全国農業協同組合中央会(JA全中)の一般社団法人化など農協改革への反発がある。東北は農業を主要産業とする地域の中でも、特にコメの比重が大きい。
 秋田県農政連の担当者は「自民への反発というより、TPP推進の安倍政権に対する反発」と説明。別の県の農政連担当者は「安全保障関連法の進め方もいかがなものか」と話す。
 
 農業票は当落を大きく左右するだけに、首相も重視。二十四、二十五両日は二巡目となる東北遊説に入った。宮城県多賀城市での二十五日の街頭演説では「宮城の『ひとめぼれ』(ブランド米)や牛タンを輸出するため、国が前面に立って支援する」とTPPという言葉は使わず、輸出で農家の所得を増やすと訴えた。
 安倍政権は昨年十一月、TPPへの不安を拭い去るため、農林漁業の強化策を柱とした「TPP政策大綱」を策定。さらに、自民党も参院選公約とは別に、初めて東北に特化した地方版公約をつくり「農業重視」をアピールする。それでも「農家は納得していない」(青森県農政連の担当者)と厳しい声が上がっている。

2016年6月27日月曜日

破綻しているアベノミクスを加速するとは!?

 参院選で「改憲」を打ち出せない安倍政権は、経済面の成果を強調するとばかりに、臆面もなく「アベノミクスは道半ばだ」とあたかも何か成功しつつあるかのように「アベノミクスのエンジンを吹かす」と吹聴しています。
 そしてこともあろうに「給与が3年連続で2%水準の賃上げを実現した」、「企業の収益が過去最高」、「税収も増加」とかを、アベノミクスの実績として強調しています。
 
 しかし国民の実質賃金が2013年3月から2016年3月にかけて3・9%も落ちているということは厚労省の「労働基本調査」が明らかにしていることです。
 また確かにアベノミクスで実現した円安=株高で、昨年度は大企業は大儲け(例えばトヨタは1円円安になる毎に400億円の増益になる)をしましたが、いずれ必要になる日銀買取分=360兆円の国債の始末や株の買い支えに投入されたまま消失した分(5兆円+α)は、すべて国民の肩に掛かって来るものです。
 それなのにそんなものを成果と吹聴するとは、まさに「息をするようにウソを吐く」と言われる所以です。
 
 安倍政権が虚妄のアベノミクスの成果を強調する以上、その実態のバクロも続ける必要があります。
 経済学者の植草一秀氏による アベノミクスの実態についての酷評を紹介します。
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円高・株安・景気悪 もたらすアベノミクスを加速?
植草一秀の「知られざる真実」 2016年6月25日
英国の主権者が決定したEU離脱は、反グローバリズム潮流の端緒になる。この視点が決定的に重要である。
「反グローバリズム起点になる英国民EU離脱決定」
 
英国のEU離脱決定で為替・株式市場に大きな変動が生じているが、株式市場で最大の影響を受けているのは日本市場である。
6月24日の株価下落率は以下のとおり
日経平均株価      -792%
NYダウ          -339%
FTSE100.    -315%
DAX30   .    -682%
Hang Sen        -292%
Strait Times       -209%
株価下落が大幅になったのは日本とドイツである。
 
安倍首相は伊勢志摩サミットで「リーマンショック時に似ている」と発言して主要国首脳に否定されたようだが、実は、日本の状況だけは「リーマンショック時に似ている」のだ。
リーマンショックの前後、日本では、円高=株安が急激に進行した。いまの日本が極めて似た状況にある。
 
つまり、世界経済はリーマンショック時とまったく似ていないが、日本経済が置かれた状況だけは、リーマンショック時に似ているのである。
詳しくは、『金利・為替・株価特報』 http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html 6月27日号 『英国EU離脱決定で安倍政権経済環境急変』に記述したので、関心がある方にはご高覧賜りたいが、安倍政権下で日本経済は悪化の一途を辿っている。
 
アベノミクスはすでに破綻し、安倍政権は窮地に陥っている。公約で断言した消費税再増税など、とても実施できる状況にはない。増税を延期せねばならず、サミット参加国に積極策を取ってもらわなければ、日本経済の崩落を止められない。そこで、サミットで主要国に懇願したが受け入れられなかった。これが実情である。
 
実際、アベノミクス下の日本経済のパフォーマンスは最悪である。
この現実がありながら、「アベノミクスを加速させる」と言うのは正気の沙汰でない。
ガダルカナル島の戦いを分水嶺に連戦連敗の推移をたどるなかで進軍ラッパを吹き鳴らした旧日本軍の姿勢と完全に重なる。壊れたアベノミクスを加速すれば、爆発・炎上するのが関の山である。
 
経済のパフォーマンスを測る総合尺度は経済成長率だ。この経済成長率がアベノミクスの失敗を明白に物語る。
2012年10-12月期から2016年1-3月期までの実質GDP成長率の平均値は+07%。
2009年10-12月期から2012年7-9月期までの実質GDP成長率の平均値は+20%。
あの民主党政権時の日本経済は決して好調でなかった。いまひとつパッとしなかった、あの時期の成長率と比較して、その3分の1の成長率に留まっているのが安倍政権下の日本経済である。壊れたアベノミクスを自慢するのは喜劇でしかない。
 
そして、労働者の実質賃金指数は、安倍政権下で3年連続低下し続けている。
安倍首相が自画自賛する失業率の低下、有効求人倍率の上昇は、悪い話ではないが、経済の超低迷下で、減少した労働者の取り分を分け合う人数が増えたことを意味するもので、大多数の労働者が下流に押し流されたことを裏付けるデータでしかない。
円安を止めようとして悪戦苦闘した日銀だが、6月16日には遂にさじを投げた。白旗を揚げた
安倍首相はせめてタオルを投げ入れる行動を取るべきだろう。
 
かくして、日本では円高=株安が持続する可能性が高まっている。
円高・株安・景気悪 の三拍子こそ、アベノミクスを象徴する現象である。このアベノミクスを掲げて選挙に臨めば、安倍政権が敗北しないわけがない
マスメディアの情報誘導に乗ってはならぬ。
「安倍政治を許さない!」主権者がひとつにまとまれば、必ずこの選挙に勝つことができる。
私たちの敵は、ウソを垂れ流すマスメディアであることを忘れてはならない。
 
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インフレ誘導失敗したから実質賃金プラス転換
植草一秀の「知られざる真実」 2016年6月26日
経済全体のパフォーマンスを示す経済指標をただひとつ挙げるとすれば 実質GDP成長率 ということになる。このGDP成長率において、安倍政権の実績は悲惨なものである。
2012年10-12月期から2016年1-3月期までの実質GDP成長率の平均値は
+0・7%。
2009年10-12月期から2012年7-9月期までの実質GDP成長率の平均値は
+2・0%。
民主党政権時の日本経済は決して好調でなかった。東日本大震災もこの時期に発生している。
この好調でない日本経済と比較して、安倍政権下の経済成長率はその3分の1に留まっている。
いくら安倍首相が口角泡を飛ばして「アベノミクスで日本経済は良くなった」と言い張っても、実績を示すデータがアベノミクスの失敗を明確に物語っている。
 
労働者の実質賃金も3年連続で減少し続けている。このことに関連して安倍首相がおかしな主張をしている。テレビなどでも懸命に主張していることだが、間違いだから周りにいる者が注意してやめさせるべきだ。
それは、労働者一人当たりの実質賃金が消費税増税の影響を超えてプラスになったという点である。
NHKは日曜討論で、偏向した統計数値を用いる。
日本の労働者の一人当たり実質賃金が、2016年になって、ようやくプラスに浮上したことを示すグラフである。
たしかに、実質賃金指数が2016年に入ってからプラス数値を示している。
実質賃金指数の前年比伸び率は
2013年度   -1・3% 
2014年度   -3・0%
2015年度   -0・1%
であり、本年1月以降は
2016年1月    0・0%
2016年2月  +0・3%
2016年3月  +1・6%
2016年4月  +0・4%
である。
 
今年に入って、数値がプラス基調に転じている。しかし、この変化をもたらしているのは、インフレからデフレへの転換である。
 「もはやデフレではない」ではない。インフレ率がマイナスに転じて、実質賃金の伸び率がプラスに回帰し始めているのだ。
 
安倍政権は「アベノミクス」の主要目標にインフレ誘導を掲げた。日銀幹部を総入れ替えして、2年間でインフレ率を2%まで引き上げることを公約に掲げた。
日銀の岩田規久男副総裁は、2年後にインフレ率2%の公約を実現できない場合には、職を辞して責任を明らかにすることを国会答弁で明言した。しかし、インフレ誘導は失敗した。
日銀は常軌を逸する金融緩和を実施しているが、インフレ誘導は失敗し、円高推移も止められないでいる。
 
アベノミクスの主要目標であったインフレ誘導は完全に失敗に終わっている。
このインフレ誘導失敗によって、実質賃金伸び率がプラスに転じているのである。
インフレ誘導を主張し、これに失敗した安倍政権が、インフレ誘導失敗の結果として生じている実質賃金のプラス転換を自画自賛するのはおかしいだろう。
 
「インフレ誘導」は「百害あって一利なし」の政策だと、私は一貫して主張してきた。
「インフレ誘導」を喜ぶのは、実質賃金を切り下げることができる企業の側で、労働者にとっては「百害あって一利なし」だと主張してきた。
「インフレ誘導」に失敗し、日本経済が元の「デフレ」に回帰したから実質賃金がプラス転換しているだけなのだ。安倍政権が実質賃金のプラス転換を自画自賛するのは完全な筋違いだ。その前に、「インフレ誘導」というアベノミクス政策が誤りだったことを認めるべきである。
 
NHK日曜討論で自民党の稲田朋美政調会長は、民主党時代の実質経済成長率が高かったのはインフレ率がマイナスだったからだと主張して、民主党時代の経済パフォーマンスを批判したが、その稲田氏が、インフレ率がマイナスに転じたことで実質賃金伸び率がプラスに転じた現状を自画自賛するのは、完全な論理矛盾である。
 
さらに安倍首相は、消費税率を3%引き上げたあとで、実質賃金伸び率がプラスになったことについて、
「消費税増税後に実質賃金がプラスになるのは大変なこと」だと自画自賛しているが、これは、初歩の算数における致命的な誤りに基づく発言であるので、これも周囲の者がやめさせるべきものだ。
安倍首相は一次方程式も解けないと揶揄されているが、簡単な算数もできないと疑われている。初歩の算数を学び直した方がいい。
(以下は有料ブログのため非公開)