2016年5月28日土曜日

破綻したアベノミクスを正当と強弁する安倍首相の反知性主義

  安倍首相はG7サミットの場で、断然 世界はリーマンショック危機的状況にある訴えましたが、各首脳は「危機とまでは言えない」と婉曲にそれを否定しました。それは日本だけは「危機的状況にある」ものの、各国はそうではないということの反映でもありました。
 実際、いつかは「異次元の金融緩和」を止めなくてはならない日本には、その後の一大悲劇が待っています
※ 5月25日 破綻必至…黒田日銀“異次元緩和”で4500億円の税収がゼロに
 
 しかし安倍首相は、アベノミクスの失敗はおくびにも出しません。逆に「アベノミクスで日本経済が改善した」と語り、サミットでも、「三本の矢を総動員してアベノミクスで世界経済を再浮上させると大見得を切りましたそれでは「リーマンショック前夜」というあの発言は何だったのでしょうか。
 安倍氏の言うことは、いつものことですがまったく話が見えません。
 
 そのことを植草一秀氏の27日付ブログ「破綻アベノミクス強弁する安倍首相の反知性主義」が明快に指摘し、3つの矛盾」として解明しています。
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破綻アベノミクス強弁する安倍首相の反知性主義
植草一秀の「知られざる真実」 2016年5月27日
2008年の洞爺湖サミット以来の日本開催サミットとなった伊勢志摩サミットが閉幕した。
通常国会は6月1日に会期末を迎える。
7月10日には参議院通常選挙が実施される見通しである。
安倍首相はアベノミクスの失敗を、サミットを利用してごまかそうとしたと見られるが、薄っぺらな偽装ではすぐに魂胆を見破られてしまう。
その場その場で無責任な発言を繰り返し、つじつまが合わなくなると、前後の見境なく新たな虚構を積み上げてゆく。
メディアが大政翼賛報道を展開するから、多くの市民がペテンにかけられてしまうが、事実を忠実に追跡すれば矛盾は誰の目にも明らかになる。
 
三つのどうにもならない矛盾がある。
第一の矛盾
2014年12月総選挙の直前にあたる同年11月18日、安倍首相は消費税再増税の18カ月延期を表明した。
その際に、「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。」
「平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。」と述べた。
(動画の7分48秒以降の部分)
 
重要なことは、「景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」と述べていることだ。
「景気判断条項」を付けないということは、経済状況とは無関係に消費税再増税を実施するということだ。
この宣言とリーマンショック云々という話は矛盾している。
経済がどのような状況であろうと、消費税再増税の再延期はしないと断言したのである。
この「断言」自体が間違っているが、こう断言して、景気状況とは関わりなく消費税再増税に踏み切ることを確約した言葉の責任が存在する。
 
第二の矛盾。
今回のサミットで安倍首相は「リーマンショック時と似た状況」であると述べ、「世界経済の危機」と述べた。
他方、日本の国会では、「アベノミクスで日本経済が改善した」「日本経済は緩やかな回復を続けている」「もはやデフレではないと言える状況になった」などの言葉を繰り返している。
国内の国会では「景気は良い」と自画自賛して、サミットでは「世界経済の危機」「リーマンショック時と似た状況」と述べるのでは、ほとんど錯乱状態としか言いようがない。
要するに、「消費税再増税の再延期はないと断言した」消せない事実に直面して、一転して「世界経済危機説」を言い始めただけのことなのだ。
このいい加減さを日本の主権者は見過ごすべきでない。
 
第三の矛盾は、
財政・金融・構造政策の三本の矢を総動員してアベノミクスで世界経済を再浮上させると大見得を切ったことだ。
馬鹿も休み休みにした方がよい。財政・金融・構造政策の総動員と言いながら、財政政策を超緊縮に転換して、日本経済を奈落の底に転落させたのは、一体誰なのか。
その不必要な緊縮財政で経済の長期停滞を招き、再延期はないと断言した消費税再増税の再延期に追い込まれているのはいったいどこのどいつなのか。
アベノミクスで掲げた政策を自分自身で破壊しておいて、よくもまあ、平然とアベノミクスの三本の矢を総動員して世界経済を浮上させるなどと臆面もなく宣言できるものだ。
その厚顔無恥ぶりは賞賛に値するものかも知れないが、あまりの支離滅裂さに、まともな思考回路を有する者は、激しい頭痛に見舞われる状況だ。
野党は不信任決議案を提出し、安倍政権は衆院解散で民意を問うべきだろう。
そして、日本の主権者は、この機会に安倍政権と永遠に決別するべきだと思う。
(後 略)