2016年5月4日水曜日

東京の「5・3憲法集会」には5万人 全国各地で護憲の集会 

 3日の憲法記念日には、東京・有明の「5・3憲法集会」に5万人が集まったほか、全国各地で護憲の集会が開かれました。その一方で、改憲派の集会も精力的に開かれたようです。
 各地で行われた護憲の集会について、その一部を紹介します。
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憲法集会 護憲派、安保法廃止1200万筆
毎日新聞2016年5月3日
 東京・有明の公園では護憲を訴える団体による「5・3憲法集会」が開かれ、約5万人(主催者発表)が参加した。民進、共産、社民、生活の野党4党トップも出席。市民らは「戦争法廃止」「9条壊すな」と書かれたプラカードを掲げ「憲法を守れ」と訴えた。 
 
 新聞記者として太平洋戦争の取材経験を持つ101歳のジャーナリスト、むのたけじさんは車椅子で登壇し、「戦争は始めたら止めようがない。会場は若者のエネルギーがみなぎっている。とことん頑張りぬこう」とアピールした。 
 学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基さん(23)は「憲法の主権者は私たち自身。70年の不断の努力が支えてきた。憲法に書かれている言葉は大昔の人の言葉ではなく、私たちの言葉だ」と主張。浅倉むつ子早大教授は「現政権はルール無視を繰り返し、堕落している」と安倍晋三政権を批判した。 
 
 集会では、安保法制に反対する「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」が1200万筆に達したことも発表された。 
 集会に訪れた東京都台東区の僧侶、小林要子さん(37)は「政権が右傾化し、このままでは戦争をしてしまう危機感がある。憲法を守りたいという思いを強くした」と話した。妻、長女と一緒に参加した横浜市の看護師の男性(33)は「憲法9条は日本にしかない。子供の未来のためにも憲法は変えたくない」と言葉に力を込めた。【山崎征克】 
 
 
「アベ政治許さない」国会前でも、全国でも
しんぶん赤旗 2016年5月4日
 「アベ政治を許さない」ポスターが憲法記念日の3日、全国各地で一斉に掲げられました。作家の澤地久枝さんが毎月3日午後1時に取り組もうと呼びかけた行動。東京都千代田区の国会正門前に、澤地さん、作家の渡辺一枝さんが駆けつけました。
 戦争法成立後、最初の憲法記念日に意思を示したかったという、さいたま市南区の男性(44)は、短文投稿サイト・ツイッターで行動を知り参加。「(戦争法で)憲法が形骸化するのではないかと危機感を覚えます。安倍首相は、立憲主義を無視しているのが許せない」
 八王子市の女性(78)は、「政治があまりにひどいので、久しぶりに憲法を読み直しました。憲法は権力を縛るためにあると、改めて学ばせてもらいました。反面教師の安倍首相に感謝しています」と皮肉を込めました。
 
 
護憲派と改憲派双方が集会 静岡県内、憲法記念日合わせ
静岡新聞 2016年5月4日
 憲法記念日の3日、静岡県内各地で護憲派、改憲派がそれぞれ講演会などのイベントを開いた。憲法改正が争点に浮上している参院選が夏に迫る中、国の最高法規に関する主張に集まった県民らは熱心に耳を傾けた。
 
 「しずおか憲法9条を擁護し実現する会」は憲法フォーラムを静岡市葵区で開いた。東京造形大の前田朗教授は講演で「『9条を守る』という言葉が単に『書き換えさせない』という意味だけで使われてはならない」と述べ、9条の中身の実現を求める必要性を説いた。来場者からは「市民レベルの国際交流を一層進めることで戦争や軍事力に頼らない外交を進めるべき」との意見が出た。
 三島市では「Happy Birthdayケンポー! LOVE&PEACEフェス‼」と題した護憲派のイベントが初開催された。平和をテーマにした米国の詩人の講演などがあった。
 一方、富士市では改憲派による憲法講演会が開かれた。評論家の江崎道朗氏が、米国は太平洋戦争の開戦直後に現行憲法の土台となる議論を始めていたと指摘。その上で「憲法9条は日本を属国化したいとの当時の米国の思惑があった」と述べた。
 三島市の編集ライター沈久美さんらも加わった討論で沈さんは「現行憲法は日本の伝統的価値観を否定し、家族のあり方にも影響を与えている」と語った。
 
 
「改憲反対」3000人訴え 京都で市民ら集会
京都新聞 2016年5月日5月3
 憲法記念日の3日、立憲主義や憲法9条の大切さを考える「5・3憲法集会」が京都市東山区の円山公園音楽堂で開かれた。市民ら約3千人(主催者発表)が訪れ、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法の廃止や、憲法9条などの改憲反対を訴えた。
 市民団体「憲法9条京都の会」と「京都96条の会」が主催した。京都大人文科学研究所の山室信一教授が講演し、京都のジャーナリストや大学院生らが憲法への思いをスピーチした。
 山室教授は、集団的自衛権の行使を認めた安倍政権の閣議決定を振り返り、「そもそも憲法の下に法律がある。その法律よりも、閣議決定は拘束力がない。下克上が起きている」と指摘。安全保障関連法の成立後も「国民に丁寧に説明すると言いながら、全くしていない。誰のための立法なのか」と批判した。
 登壇した同志社大の大学院生は「平和や平等、人権を守るためには、さまざまな意見を聞くことが大切」と主張した。参加者はその後、「戦争法は憲法違反」などと声を上げながら、京都市役所までパレードした。
 
 
<憲法記念日>宝田明さん、戦争体験を語る
毎日新聞 2016年5月3日
 憲法記念日の3日、福岡市中央区で「憲法記念日のつどい」(九条の会福岡県連絡会主催)が開かれ、俳優の宝田明さん(82)が約800人を前に自らの戦争体験を語った。宝田さんは「信念として、今行動しなければいけない責任と義務がある」と述べ、憲法の大切さを訴えた。
 父親が国策会社の南満州鉄道(満鉄)の社員だったという宝田さんは、旧満州(現中国東北部)で終戦を迎え、翌年の1946年に博多港に引き揚げた。
 終戦後、シベリアに送られる関東軍の中に兄を捜しに行き、ソ連兵に撃たれて大けがをした経験なども明かした宝田さん。「(ソ連という)国全体を否定してしまい、今も認めることができない。日本も中国で多くの無辜(むこ)の民を手にかけた。戦争は、憎悪しか生まないものだ」と述べた。
 憲法に対する安倍政権の姿勢についても言及し、「分厚い木のたるで原酒を漬けるように熟成させてきた憲法を、国民の信を問わずにタガを外してしまった」と強く批判した。【林由紀子】