2016年4月1日金曜日

TPPを批准させない3.30国会行動に 66団体と野党議員ら700人 

 政府は、全体で6000ページとも8000ページともいわれるTPP協定書について1000ページに満たない抄訳しか作成していないにもかかわらず、4月5日にもTPP協定の批准案と関連法案の審議入りしようとしています。
 30日、「大企業の利益より"いのち"を! TPPを批准させない3.30国会行動」が行われ、700人が参加して、国会前での座り込み、議員要請、決起集会、国会請願キャンドルデモをくり広げました。
 この催しはTPPの危険を訴える第一線にたつ28氏が呼びかけて、66団体が賛同しています。
 国会行動には、民進党、日本共産党、社民党、生活の党、無所属の議員が多数かけつけました。
 
 呼びかけ人の一人である植草一秀氏の30日付の記事と、高野孟氏の「呪われたTPPの審議は難航必至」と題した記事も併せて紹介します。
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批准強行狙う安倍政権止めよう “TPPノー”国会包む
66団体と野党 座り込み・決起集会
しんぶん赤旗 2016年3月31日
 いのちより大企業の利益を優先する環太平洋連携協定(TPP)にノーの声をつきつけようと、30日、「TPPを批准させない国会行動」が行われました。TPP協定の批准案と関連法案が4月5日にも審議入りし、安倍晋三内閣は今国会で批准を強行しようとしています。これを阻止しようと、700人が参加。国会前での座り込み、議員要請、決起集会、国会請願キャンドルデモをくり広げました。
 
 主催は、TPPの危険を訴える第一線にたつ28氏が呼びかけ、66団体が賛同した「TPP批准阻止アクション実行委員会」です。
 憲政記念館ホールでの決起集会では、「TPPを許さない、脱退するため最後の最後まで力を合わせよう」の発言に「ようし」との声と大きな拍手が起きました。
 日本共産党、民進党、社民党、生活の党、無所属の議員が多数かけつけました。日本共産党の畠山和也衆院議員が「党派、立場の違いを超えてTPPを批准させない共同を」とあいさつしました。
 前日本医師会会長でTPP阻止国民会議の原中勝征代表世話人が開会あいさつ。TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会の醍醐聡氏ら呼びかけ人は、一部企業・投資家の利益のため、日本農業・農山村を崩壊させ、食の安全、医療、経済主権をも侵すTPP協定の危険な内容を告発。批准阻止へたたかう決意を表明しました。
 
 各分野・地域から10人が発言。岩手県県民会議役員で岩手県農協中央会の畠山房郎常務や農民連の白石淳一会長が、国会決議と公約を違反して農業つぶしを強行する安倍内閣を批判しました。
 TPPに反対するアメリカ、ニュージーランドの活動家からも連帯メッセージがよせられました。
 
 これに先立つ、議員会館前での座り込み行動には、北海道や九州など全国各地から参加。TPPに反対する「ママデモ」の声に合わせて、「国民無視した批准はやめろ」などと力強くコールしました。
 
 
主権者が行動しなければ悪政暴政はなくならない
植草一秀の「知られざる真実」 2016年3月30日
本日、3月30日、「TPPを批准させない3.30国会行動」 国民の同意なきTPP協定 止めるなら今しかない! http://nothankstpp.jimdo.com/  が実行される。一人でも多くの主権者が参加して行動することが現実を変える原動力になる。
原発、憲法、TPP、基地、格差 の5つの重要課題のなかで、最も根源的で、最も重大な影響力を発揮するのがTPPである。
米国=強欲グローバル巨大資本による日本収奪の最終兵器である。強欲巨大資本は日本の政治屋に指令して、強欲巨大資本の利益を極大化させるために、これを日本で強行しようとしている。そのために、
1.内容を国民に知らせない
2.影響の出る当事者に手切れ金をつかませる
3.皆が真実に気づく前に押し通してしまう
との作戦で、日本突破を図ろうとしている。
日本の主権者はTPPの正体を正しく認識して、これをせん滅しなければならない。
たとえ、安倍政権が強行批准しても、それで終わりではない。必ず、TPPをせん滅するところまで闘い抜かねばならない。
(中 略)
主権者は私たち国民である。
国民を不幸にし、国民の権利を侵害し、国家の主権を奪うTPPを容認することは断じてできない。
想いを共有する主権者が集結し、連帯して行動することが、事態を打開する第一歩になる。
もちろん、TPPせん滅という目的を実現する道のりは長く険しい。しかし、第一歩を踏み出さなければ、目的地に到達することはない。はるか遠くに見える山でも、一歩一歩進むことで頂上にたどり着く。
根気よく力を注ぐことが必要である。
 
TPPとは 「とんでもないペテンのプロジェクト」 の略称である。
とりわけ、安倍政権下のTPP強硬は 「ウソとペテンと欺瞞と背徳の総合商社」 である。
TPP批准阻止国会アクションに多くの主権者が参集することはとても意義がある。
しかし、これらの行動は手段であって目的ではない。
目標は日本のTPP参加を消滅させること。たとえ批准されようとも、必ずそれを覆して消滅させること。
そのためには、政治のプロセスが絶対に必要である。
TPP消滅を主張する国会議員で国会の過半数を占有させることが必要不可欠なのだ。
 
したがって、TPP阻止は市民運動であるが、同時に政治運動であることを見落としてはならない。
主権者と党派を超えた政治家が連帯し、大同団結して政治を変える。政策を基軸に、党派を超えて、主権者が主導して、政治状況を変えるのだ。
(以下は有料ブログのため非公開)
 
 
呪われたTPPの審議は難航必至 (永田町の裏を読む)  
高野孟 日刊ゲンダイ 2016年3月31日
 来年度予算案が成立して、国会の焦点はTPP協定案の承認と、その関連法案の審議に移る。が、この協定案にはすでにいくつもの呪いがつきまとっていて、審議は難航必至である。
 
  第1に、日本側でこの交渉を一手に引き受けてきた甘利明前TPP担当相は「口利き」疑惑で失脚して不在で、全体交渉だけでなく日米2国間交渉を通じて日本側が繰り出した数々の密約の全貌について直接知る者は誰もいない。「何も知らず、おまけに不用意な失言がお得意の石原伸晃では立ち往生するのが目に見えている」と、自民党農林議員は不安を語る。
 
  第2に、審議に臨む野党側の理論武装は、一般に考えられているよりも、はるかに進んでいる。協定案は英文で7000ページ以上に上り、日本政府が1月に公表した暫定和訳はそのうち944ページ分に過ぎない。石原大臣はもとより安倍晋三首相や農林議員の誰も、その和訳分さえ熟読することなく国会論戦に挑むのだろう。ところが、山田正彦元農相(TPP違憲訴訟の会幹事長)を中心とする十数人の専門家チームは、昨年11月から英文原文を読み込んで、細部に隠された欺瞞や密約を一つ一つ掘り出す作業に取り組んできた。すでに第1次報告書をまとめ、その内容を野党議員に徹底的にレクチャーしている。恐らく農水官僚でも答えられない質問が飛び出してくるだろう。
 
 第3に、官邸は電光石火の“甘利隠し”で傷口をふさいだつもりでいたが、3月16日に弁護士らが甘利とその秘書を「あっせん利得処罰法違反」で告発し、東京地検が動きださざるを得なくなっていて、この捜査の行方が審議にも間接的に影響する。あっせん利得処罰法の「権限に基づく影響力を行使して」という条文については、従来は担当大臣であるといった直接の権限がある場合に限られるという解釈がなされていて、そのためこの法はこれまで一度も適用されたことがなく、ザル法といわれてきたが、この告発では「国会議員としての権限に基づく影響力を行使した」と、「国会議員であること自体がすでに権限である」という解釈を打ちだしていて、これが認められれば、口利き議員は片っ端から逮捕されることになる。
 
  第4に、米国の大統領選挙では民主・共和両党とも残された候補全員が「TPP反対」で、米議会がこれを批准する可能性はゼロに近づいている。TPPは呪われているのである。