2016年4月27日水曜日

南相馬市は憲法小冊子を全戸配布/安保法違憲集団訴訟東京地裁へ/毒ガス・化学・生物兵器も持てると政府

 福島県南相馬市は5月1日に、避難住民を含む全世帯約25000世帯に憲法の小冊子を配布します。原発事故で今も約1万人が市外に避難しているなかで憲法が保障する国民の権利を見つめ直してもらうのが狙いで、昨年2月、旧原町市が1971年に全戸配布した小冊子の復刻を南相馬市議会に陳情し全会一致で趣旨採択されていたものです。
 
 それとは別に、安全保障関連法は憲法違反だとして、市民500人余りが26日、安保法に基づく自衛隊の出動差し止めと、1人当たり10万円の損害賠償を国に求める二つの訴えを東京地裁に起こしました。全国各地で起こす安全保障関連法違憲の集団訴訟の第1陣です
 
 安倍内閣は26白真勲参院議員(民進党)の質問主意書に対して、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を閣議決定しました。日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調しました
 政府は4月1日には、9条が一切の核兵器保有と使用を禁じるものではないとしたうえで、「非核三原則により、政策上の方針として一切の核兵器を保有しないという原則を堅持している」との見解も併せて示しました。
 留まるところを知らない政府の好戦性・軍事志向です。
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南相馬市 全戸に憲法冊子 原発事故で軽視された人権守る
毎日新聞2016年4月26日
 福島第1原発事故の被害を受けた福島県南相馬市は、県内外の避難住民を含む全世帯約2万5000世帯に、憲法の小冊子を配布することを決めた。原発事故で今も約1万人が市外に避難しており、憲法が保障する国民の権利を見つめ直してもらう狙い。5月1日発行の市広報紙とともに全戸配布する。憲法は5月3日、施行から69年を迎える。 
 
 南相馬市では、旧原町市が憲法公布25年を記念し、1971年に小冊子を全戸配布したのに続く試み。市内に四つある市民団体「九条の会」が昨年2月、原発事故で軽んじられた基本的人権や生存権を取り戻そうと、南相馬市議会に復刻を陳情した。同6月には、自民党に近い保守系会派の市議を含む全会一致で、陳情を趣旨採択していた。 
 
 小冊子はA6判で約60ページ。前文と全103条が記され、「震災と原発事故で憲法が保障する健康で文化的な生活がかなえられない市民がいる。憲法とは何かを考えていただきたい」という桜井勝延市長のあいさつが入る。約70万円かけて3万部を作成し、残部が出た場合も来年以降の成人式で配り、市外の避難者には郵送する。 
 南相馬市は福島第1原発の北に位置し、東日本大震災の発生当初は半径20キロ圏内が原則的に立ち入り禁止となった。市南部の小高区は現在も夜間に入ることができず、陳情した「はらまち九条の会」の山崎健一事務局長は「原発に踏みにじられたこの南相馬から、憲法を生活に生かす取り組みを進めたい」と話している。【平川哲也】 
 
 
安保法違憲、市民500人が提訴 東京地裁に第1陣
東京新聞 2016年4月26日
 安全保障関連法は憲法違反だとして、市民500人余りが26日、安保法に基づく自衛隊の出動差し止めと、1人当たり10万円の損害賠償を国に求める二つの訴えを東京地裁に起こした。弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」が呼び掛け、全国各地で起こす集団訴訟の第1陣
 
 訴状では、集団的自衛権の行使は憲法9条に違反し、取り返しのつかない損害が生じる恐れがあると指摘し、自衛隊の出動差し止めを請求。自衛隊の出動が現実化すると戦争やテロに巻き込まれる恐怖を日常的に感じるとして、平和に生きる権利を侵害されたことへの賠償を求める。(共同)
 
 
政府、化学や生物兵器否定せず 憲法9条で答弁書決定
東京新聞 2016年4月26日
 政府は26日の閣議で、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を決定した。日本は生物兵器禁止条約や化学兵器禁止条約を締結しているとして「それらを使用することはあり得ない」とも強調した。
 
 これまでに政府は9条が一切の核兵器保有と使用を禁じるものではないとの内容を決定。その論理を引用する形で「先の答弁書で答えたところと同様だ」とした。白真勲参院議員(民進党)の質問主意書に答えた。(共同)