2016年3月8日火曜日

安倍首相の子育て支援政策はインチキ

 安倍首相は次々に聞こえのいいことをスローガンにしますが、本当に実行する気などはありません。
 先日も「同一労働 同一賃金を実現する」と口にしましたが、それが一体どれほど困難で抵抗があることなのかについての認識はあるのでしょうか。
 現に政府の足許の諸官庁でも膨大な非正規労働者を使っています(職員との賃金格差は3倍くらい・・)。本当にやる気があるというのであれば、まずそこで「同一労働 同一賃金」を実現させるべきです。それが達成出来たならば、彼は後世に長く名を残す政治家になれるに違いありません。
 しかし彼にそんなことが出来る筈はありません。それは「実現するための具体的な方法論を持っていないし、抵抗を排除して断行する気概もない」、何よりもどういう困難を伴った課題であるのかが全く分かっていないからです。
 
 彼が口にするスローガンの全てがそうなのではないでしょうか。恰好いいことを次々と口にし、そのまま時間だけが経過し、やがて古いスローガンは殆ど手も付けられずに放置されたまま、新しいスローガンを並べ立てる・・ずっとその繰り返しです。
 
 4日と5日に、「保育園落ちたの私だ」と書かれたプラカードを掲げた子ども連れの母親らが国会前に集まりました。
 これは1月29日に、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログ投稿が国会で取り上げられた際に、安倍首相が「匿名である以上、実際のことは本当かどうかも含めて確かめようがない」と答えたことへの抗議行動でした。
 
 LITERAが「安倍首相の子育て支援政策はインチキだらけ」とする記事を載せました。
 そこでは29日に山尾志桜里議員と安倍首相の間で展開された質疑応答を軸にして、いま若い母親たちの子育てが如何に困難になってきているのか、そしてそれに対して安倍首相が如何に口先だけの人間であって、彼女らを支援しようという気持ちなどは微塵も持っていないのかがあぶり出されています。
 
 LITERAと東京新聞の記事を紹介します。
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「保育園落ちた日本死ね」の声も無視…安倍首相の子育て支援政策はインチキだらけだった! 逆に待機児童増加、保育料値上がり
LITERA 2016年3月7日
「保育園落ちたの私だ」  。一昨日、国会前でこんなプラカードを掲げた人たちが集って、安倍首相に抗議した。
 ご存じの通り、先月29日の衆院予算委員会で民主党の山尾志桜里議員は「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログの内容を紹介、待機児童問題の深刻さを訴えたが、安倍首相は「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」と軽くいなし、自民党議員からは「誰が書いたんだよ」「ちゃんと本人を出せ」とヤジが飛び終了。真剣に取り合おうとしない安倍首相および国会質疑に対し、Twitter上では「#保育園落ちたの私だ」という怒りのハッシュタグが登場。今回の抗議運動に発展したのだ。
 それにしても安倍首相は「確認しようがない」とよく言ったものだ。事実、待機児童の数は昨年、5年ぶりに増加。2万3167人も入所できない事態となっている。しかも、こうして怒りの声が広がったのは、安倍首相がまたしても開き直り、トンデモ答弁で自己正当化したからだ。
 
 同日の国会では同じく山尾議員が、安倍首相が昨年、待機児童の増加を「女性の就業者が増えたから無理もない。うれしい悲鳴だ」などと発言したことを取り上げ撤回を要求したが、安倍首相は「待機児童が増えてうれしいと言うわけがない」と開き直り、撤回を拒否したのだ。
 
 では、実際の発言を正確に見てみよう。安倍首相の問題発言は昨年11月6日に開かれた読売国際経済懇話会講演会でのスピーチで飛び出したが、以下、首相官邸HPに掲載されているそのときの発言を掲載したい。
 
〈安倍政権になって、「待機児童ゼロ」という目標を掲げ、保育所の整備スピードは、これまでの2倍に加速しています。しかし、今年、待機児童は、前年より増えてしまった。安倍政権発足以来、女性の就業者が90万人以上増えたから、無理もないことであります。その意味で、うれしい悲鳴ではあるのですが、「待機児童ゼロ」は必ず成し遂げなければなりません〉
 安倍首相は国会で、「待機児童が増えたことを『うれしい悲鳴』と言ったことはない。『その意味』とは、就業者が増えたというところに置いている。普通の読解力があればわかる」と話したが、女性就業者の増加を指しているのであれば、「悲鳴」という表現はおかしい。「普通の読解力」でもって考えれば待機児童の増加を「うれしい悲鳴」と表現したとしか解釈できない。「普通の読解力」がないのは安倍首相のほうではないか。
 
 しかも、今年1月に国会で山尾議員が追及したように、この「女性就業者90万人増」というデータと待機児童問題は関係がない。実際は、25〜44歳という女性にとって子育て期にあたる働く女性の数の推移は「この6年間ほぼ横ばい」であり、2014年から15年にいたっては減ってさえいる。どういうことかというと、女性就労者94万人増加の要因は65歳以上(54万人増)なのだ。つまり、安倍首相の「働くママが増えたから待機児童も増えちゃった〜」と言う“うれしい悲鳴”はまったくの嘘で、実態の数字は65歳を超えても働かざるを得ない高齢者の貧困化、待機児童問題の放置、さらに働き盛りの世代が就業することの厳しさを物語っているだけなのだ。
 
 女性の活躍などと威勢のいいことだけを喧伝しながら、問題点を突きつけられると「確認しようがない」と目をそむけ、「読解力ないの?」と論点をすり替える。国会という場において、国民の声を無視しつづける安倍首相の態度にはほとほと嫌気がさすが、安倍政権が振りかざす「子育て支援」がハリボテであることは、ほかの事例でも明らかになっている。
 それは、昨年4月からスタートした新「子ども・子育て支援法」によって、子どもの数が3人以上の家庭で保育料の負担が増すケースが続出している問題だ。
 これは、2010年に子ども手当の導入で年少扶養控除を廃止した際、保育料が上がらないようにと国は自治体に対して年少扶養控除があった場合の税額再計算を求めていたのだが、安倍政権が「再計算をしない」と決定したために発生している問題。これにより、市町村によって違いがあるものの、多いところでは保育料が4.6倍もの増額となっており、子どもの数が多いほど暮らしが苦しくなるという“子育て支援”とは言えない事態に陥っているのだ。
 
 この問題を追及した『テレメンタリー ママの悲鳴〜少子化対策“逆行”制度』(HTB北海道テレビ制作)では、札幌市のケースとして、子ども6人を抱える母親が月額3万円も保育料が上がり貧窮している実態を紹介。新制度導入にあたって行われた有識者会議「子ども・子育て会議」で会長を務めた無藤隆・白梅学園大学教授も、「第3子の保育料がかなり上がるのは想定していなかったと思う」と答え、議論不足の見切り発車であったことを認めている。
「これはおかしい!」と全国で声があがった結果、昨年末に政府は第3子以降の保育料を無料とする方針を発表したが、しかしこれも年収360万円以下という条件つきであるため、支援から漏れる家庭は多いのが現状だ。
 
 だいたい、子どもの数が多いために保育料が月額3万円も増加するという問題が起こったにもかかわらず、政府の対応はまるで他人事。HTB記者にこの問題について問われた少子化対策の担当大臣である加藤勝信・1億総活躍担当相は、「すべての市町村で起こっているわけではない」と投げやりに答弁し、さらに、当初はHTBの取材に応じるとしていた内閣府はそれを反故。「撮影しない」という条件のもと、内閣府の担当者は、「自治体が考えることで制度に問題はない。少子化対策に逆行もしていない」と、安倍首相さながらに開き直りの回答をしている。
 
 こうした待機児童や保育料の問題から見えてくるのは、安倍政権がいかに口先だけかということだ。「子育て支援に積極的」というイメージづくりだけ躍起になり、その中身は置き去りのまま。だから安倍首相は、「実際起こっているか確認しようがない」などと言えてしまうのだろう。
 国民を聞き心地の良い謳い文句でかどわかし、一方で発生している問題をことごとく無視する。もう、こんな総理に騙されてはいけない。 (水井多賀子)
 
 
「保育園落ちたの私だ」ブログ投稿発端、国会前で抗議
東京新聞 2016年3月7日
 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題し、子どもの保育園の入園審査に落ちた憤りをインターネットに投稿したブロガーへの共感が広がっている。東京・永田町の国会前では四、五の両日、子育て中の親らが繰り出し、政府への抗議を示した。
 「保育園落ちたの私だ」。四日午後六時半、こう書かれたプラカードを掲げて集まったのは、子ども連れの母親ら約二十人。今春、子どもの保育園入園ができなかった母親が、国会前に集まることをネットで呼び掛けた。
 先月末、投稿が国会で取り上げられた際、安倍晋三首相が「匿名である以上、実際のことは本当かどうかも含めて確かめようがない」と答えたことなどへの抗議が込められている。
 宮本徹衆院議員(44)=共産=は、長女(7つ)の同級生の母親のツイッターを見て、抗議活動に参加。「政府は保育園数を増やしてはいるが、賃金も下がり、共働き世帯が増えている実態に追いついていない」と指摘した。
 ネット署名サイト「チェンジ・オルグ」では、保育制度の充実を訴える署名を四日に始め、二万人を超える賛同者が集まった。
 
 きっかけとなるネット投稿をしたブロガーの女性は取材に「正直びっくりしています。もともとあの文章は感情のまま独り言のような感じで書いた文章だったので」と明かす。「多かれ少なかれ同じ環境で困っている人がたくさんいるということなんだなと思いました」と感じた。
 待機児童問題については「国が一億総活躍社会ということを言うのであれば、実際の現場もそうなるようにしていってほしい。聞こえがいい言葉だけを言うのではなく、制度などを変えていってほしい」。
 二〇一三年に東京都杉並区で大量の待機児童が出た際、働く母親の代表として区に対応を迫った東京都子育て支援員曽山恵理子さん(39)は「専業主婦が育児をするモデルは時代遅れだと、国会議員らが気づくきっかけになればいい。母親だけでなく、父親も地域も含めてみんなで考えないといけない問題だ」と話した。 (福田真悟、松村裕子)