2016年3月12日土曜日

何をすべきかが分からない政権 天下り先は焼け太り 公的年金を抑制へ

 エコノミスト高橋乗宣・明海大教授が、米国の経済情報サイト・ブルームバーグが実施したエコノミスト調査で、3年間にわたるアベノミクスの効果総合評価は10点満点6点落第点であることを紹介し、日本経済のエンジンは止まったままで、今こそ国の統治の在り方に大ナタを振るう必要があるのに、アイデア皆無の安倍政権と取り巻きの官僚たちで、日本経済は四方八方手詰まりであると酷評しました。
 
 そして同氏は、本来なら肥え太る官僚組織にメスを入れ思い切ったリストラ断行することが必要だとしていますが、日刊ゲンダイは、その一例として原発事故後に設立された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に見られる驚くべき高給与ぶりを報じました。官僚にとってこれ以上はない美味しい天下り先という訳です。
 
 その一方で、11日に国民の年金を更に抑える閣議決定がなされました。
 三つの記事を紹介します。
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何を改革すべきか分からない現政権の困った姿
高橋乗宣 日刊ゲンダイ 2016年3月11日
 安倍首相が国会審議で、アベノミクスの成果をやたらと強調しているが、「一進一退を続ける日本経済の再生にアベノミクスはあまり大きな成果をあげていない」と酷評したのは、米国の経済情報サイト・ブルームバーグ(8日付)だ。
 この評価はブルームバーグが実施したエコノミスト調査に基づくもの。23人のエコノミストに、3年間にわたるアベノミクスの効果を聞くと、総合評価は10点満点で46点。落第点をつけられてしまった。
 
 ブルームバーグの指摘通り、この3年の日本の景気はまさに「一進一退」だ。消費増税後の14年4~6月期と7~9月期は2四半期連続のマイナス成長を記録。昨年も4~6月期と10~12月期はマイナスで、GDPは浮き沈みを繰り返す。
 詰まるところ、この3年のGDPをならせば、上げ幅ゼロで成長なし。アベノミクスの「3本の矢」も「新3本の矢」も、日本経済を元気にしたと言える状況ではない。
 
 今週発表の15年10~12月期の2次速報も1次速報から上方修正とはいえ、上げ幅はたった01ポイント。わずかながらの上振れ要因は、民間在庫の寄与度が01%減からゼロ、設備投資も14%増から15%増と小幅に増えた程度で、逆に個人消費は08%減から09%減に下方修正された。
 安倍政権が財界トップに設備投資を迫っても、低年金受給者に1人3万円をバラまこうとも、日本経済のエンジンは止まったまま。米国と中国の経済にかげりがみえる中、輸出もますます悪化していくに違いない。世界経済がグジャグジャの状況下で、日本経済だけがイキイキと輝くのは難しい。安倍首相がいくら矢を放とうが、どだいムリな話である。
 
 前出のブルームバーグのエコノミストたちは「持続的成長のためには構造改革が必要」と指摘するが、どこを改革すべきか分からないのが現政権の困った姿だ。文化庁の京都移転や消費者庁の徳島移転が、はたして構造改革と言えるのか。恐らく地方創生にも結びつかない。
 本来なら、国民生活が細る一方で、肥え太る官僚組織にはメスを入れ、思い切ったリストラの断行が必要な時期だ。待機児童増加も大変な問題になっている。育児政策の大きな遅れを解消し、少子高齢化に歯止めをかける視点も重要だ。マイナス金利の導入で住宅ローン金利が減少しても、マイホームを欲しがる若い買い手がいなければ無意味だ。地方は空き家が増えている惨状だから、なおさらである。
 
 今こそ国の統治の在り方に大ナタを振るう必要があるのに、アイデア皆無の安倍政権と取り巻きの官僚たちに改革を期待するのはムダだ。かくして日本経済は四方八方、手詰まり感を強めていくことになる。
 
   高橋乗宣エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。 
 
 
平均給与は約1000万円 天下り“損賠機構”5年間の焼け太り
日刊ゲンダイ 2016年3月11日
 未曽有の事故から丸5年。原子力ムラの住人たちは、まんまと焼け太りだ。福島原発事故後に賠償支援のタテマエで新たに創設された“天下り組織”の非常識な金銭感覚は目に余る。
 問題の天下り組織とは、11年9月に設立された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」だ。経営危機に陥った東電に代わって賠償資金を調達し、必要に応じて東電に注入する目的でつくられた。賠償金の原資は国の借金や電力各社の電気料金などで、本をただせば国民のカネで賄っている。
 すでに損賠機構は累計5兆8204億円もの巨額資金を東電に注入。ゾンビ企業をぐずぐずと生き永らえさせてきた。
 
 理事5人のうち2人は設立以来、財務官僚と経産官僚の「役員出向」と称する天下りの指定席。公表資料によると、うち1人の14年度の年間報酬は約1755万円と高額で、研究機関出身の理事長の報酬(約1664万円)を上回っているから、ムチャクチャだ。
 恵まれているのは天下り役人だけじゃない。14年度の常勤職員の年間給与は平均約979万円(平均年齢43.8歳)で、メガバンクの平均給与を上回る。執行役員(平均年齢48.6歳)になると、一気に平均約1300万円まで跳ね上がる
 驚くのは福利厚生費で、14年度は約1億2825万円を計上、このご時世に前年度から71・8%も増えていた。損賠機構は「14年度の途中で組織改編により、廃炉等業務が追加され、当該業務に関わる職員が45人増加したため」(総務グループ)と説明するが、給与支給額の伸び率(49・8%)より増えているのは、不自然だ。
 組織改編前の13年度も福利厚生費は総額7463万8000円。当時の総職員数は51人で、1人当たり年間146万円強に上る。これらの資金も国の借金や電気料金で賄っており、国民のカネが福利の充実に消えた構図だ。
 
 原発事故で今も10万人近くが避難生活を送っているのに、損賠機構の職員は国民のカネでぬくぬくライフなんて、許してはいけない。 
 
 
年金支給額さらに抑制 関連法案が閣議決定 高齢者反発も
東京新聞 2016年3月11日 
 政府は十一日午前の閣議で、二〇一八年度から公的年金の額の伸びを今より抑えることなどを柱とする年金制度改革関連法案を決定した。高齢者からの反発が予想され、夏の参院選を控えた与党内には今国会で成立させることに慎重論もある。 (我那覇圭)
 
 年金の額は物価・賃金の動きに合わせて毎年度改定される。伸びを抑える仕組みは「マクロ経済スライド」と呼ばれ、年金額は物価・賃金の伸びより1%程度低く抑えている。デフレ下では適用しないルールで、法案では適用見送り分を翌年度以降に繰り越し、景気が上向いた時にその年度に抑制する分と合わせて実施する。給付の抑制強化により、現行より年金額の目減りが早く進む。低く抑えた分は、将来世代の年金財源に回す。
 
 ほかに、パート従業員らの厚生年金加入の拡大を促す。従業員五百人以下の企業を対象に、労使が合意すれば今年十月から短時間で働く人も加入できる。対象は約五十万人。五百人超の企業は既に十月からの適用が決まっている。
 
 自営業など国民年金に入る女性に対し、産前・産後の四カ月間の保険料を免除する支援策も行う。年金は保険料を払った場合と同額を受け取れる。財源は加入者全員に保険料を月百円程度を追加負担してもらう。対象は約二十万人。実施は一九年四月。
 
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織改革も一七年十月に行い、理事長に権限や責任が集中している現行体制を改め、「経営委員会」を新設する。合議制にして、運用する資産の構成割合などの重要事項を決めるようにする。