2016年3月24日木曜日

24- 本当は消費税減税こそが必要なのに・・・と夕刊フジ

 夕刊フジは、日刊ゲンダイとは違って徹底して安倍政権擁護の論調に統一されています。その夕刊フジが22日の紙面で珍しく「消費税 減税・5%に戻せ」と、安倍政権を煽るタイトルを付けました。
 
 読んでみると、政府の「国際金融経済分析会合」でジョセフ・スティグリッツコロンビア大教授に続いて登場すポール・クルーグマンプリンストン大名誉教授が、多分そう進言するだろうという予測記事でした。議論はもはや増税するかどうかではなく、もしも恒久的な税率引き下げが実現できれば、安倍首相は歴史に名を残すことになるだろう」と、安倍氏をセイを掛けるという、やはり応援ムードの記事でした。
 実際にはクルーグマン氏は22日の会議で減税には言及しませんでした。
 
 口にしなかったのには政権への配慮があったのだと思いますが、もはや「増税するかどうか」などではないというのは夕刊フジがいう通りです。
 そんなにまでして、まずは財務省を抑え込んで増税を止めるとともに、衆参同時選挙になだれ込みないというのは、安倍氏にはそうすれば両方勝てるという見込みがあるからなのでしょう。自民党が常用している世論調査機関から、そういう情勢であるという情報を得ているに違いありません。
 
 それに比べると民主党の野党共闘に対する傲慢で独善的な態度は一体何なのでしょうか。何も知らないでそんな態度を貫けるという不明さには呆れます。
 
 そのことは兎も角として・・・・夕刊フジの記事を紹介します。 
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米ノーベル賞経済学者が消費“減税”を進言
 「5%に戻せ」専門家も後押し 
夕刊フジ 2016年3月22日  
 政府の「国際金融経済分析会合」で、世界的経済学者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授が消費税率10%への引き上げ見送りを安倍晋三首相に進言し、増税延期は確定的になってきた。さらに「税率5%への減税を」と踏み込むのが22日の同会合に出席するポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授だ。財務省の激しい抵抗も予想されるが、消費減税は実現するのか。
 
 スティグリッツ氏と同様にノーベル経済学賞受賞者であるクルーグマン氏は日本経済にも詳しく、デフレ脱却のために大胆な金融政策や財政政策の実行を訴えてきた。2014年11月には首相官邸を訪ね、増税延期を進言した。
 
 内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授との共著『2020年世界経済の勝者と敗者』(講談社)でも「増税以降、日本経済は勢いを失い始めた」としたうえで、効果的な政策は「増税した消費税を一時的に減税することです。安倍首相が増税したことは気の迷いだったと一笑に付せばよい。そうして、元の税率に戻すのです」と述べた。14年4月に8%に引き上げた税率を5%に戻せという主張だ。
 
 クルーグマン氏の消費減税案について「経済の常識と日本の現実のデータをみても適切な処方箋だ」と語るのは、上武大教授の田中秀臣氏。
 「日本経済の抱える問題は消費の低迷にあり、その原因は消費増税だ。財務省は消費増税で将来不安が消え、景気が上向くと主張してきたが、実態は逆で、消費者は財布のひもを引き締め、社会保障や年金も不安定化している。最も確実な対策は消費税率を5%に戻すことだ」と訴える。
  
 議論はもはや増税するかどうかではなく、新たな段階に入っているという田中氏。「増税凍結はして当たり前で、焦点は減税するかどうかだ。財務省は強く抵抗するだろうが、恒久的な引き下げが実現できれば、安倍首相は国民を味方にできるし、歴史に名を残すことになるだろう
 
 元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、「消費増税の悪影響があったので、理論的に消費減税するのが筋ではある。一方で、減税の代わりに財政支出で同じ効果を出すやり方もある」と解説する。「消費税は社会保障にひも付けられていて、減税するのが難しく作ってあり、政治的なエネルギーをどこまで割くのかが問題になってくる」というのだ。
 
 それでは、どのように消費税法を改正すればよいのか。前回10%への増税を延期した際には、「17年4月からの実施」を法律に明記したが、「本来税法は毎年検討するもので、実施時期を法律に書くのは普通ではない。法改正では『17年4月』という期日の部分を撤廃するだけでよい」と高橋氏。これで事実上税率が凍結されるという。
 舞台は整いつつある。後は首相の決断を待つばかりだ。
 
 
ノーベル経済学者がそろって“増税反対”
 クルーグマン氏「今やるべきではない」
夕刊フジ 2016年3月23日
 政府が22日開いた国際金融経済分析会合の第3回会合で、ポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授は、2017年4月に予定する消費税増税に反対した。初回会合のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授に続き、共にノーベル経済学賞を受賞した米経済学界の重鎮2氏が足並みをそろえた形だ。
 
 クルーグマン氏は、今回の会合では、消費税率を5%に減税するという持論については言及しなかったというが、会合後には記者団に「まだ日本はデフレから脱却するロケットのスピードがない。消費税率のアップは今やるべきではない」と明言した。
 
 さらに、金融政策だけでなく、積極的な財政出動が必要だと提言。財政悪化への懸念に対しては「(今後)2~3年は財政収支を気にしないでいい」との見方を示した。
 
 安倍晋三首相が今後打ち出すとみられる経済対策に影響を与えそうだ。