2016年2月2日火曜日

小林節氏らが野党共闘必勝法を語る

 安倍首相がついに改憲を口にしました。夏の参院選に向かって野党が選挙協力とすることが喫緊の課題になったわけですが、肝心の野党第一党である民主党がネックになっていて一向に進みません。本当に困ったことです。
 ブログ「dot.」が「週刊朝日2月5日号)」のインタビュー記事:「野党共闘必勝法指南 政治学者・中野晃一 × 憲法学者・小林節」を抜粋掲載しました。
 お二方の話は野党共闘の必要性を強調するものでまことに尤もなのですが、果たして頑なな民主党を動かすことにつながるのかはやはり不明です。
 
 小林節氏が立憲政治を確立することを目標にした政治組織を作って、各党に呼びかければまとまるのではではないかという意見もありますが・・・
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野党共闘必勝法指南 政治学者・中野晃一 × 憲法学者・小林節
 2016年2月1日
 
憲法学者 小林節 こばやし・せつ/1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。同大学法学部教授を経て現在は同大学名誉教授。法学博士。専門は憲法学。昨年、衆議院憲法審査会に参考人として出席した際に安保法制は違憲と表明。1月には「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」を立ち上げた
 
 安倍政権がついに改憲に向け口火を切った。7月の参院選で改憲を公約に掲げ、国会発議が可能になる3分の2の議席数獲得を目指す。対する野党は「打倒安倍政権」を掲げて統一候補擁立に動くが難航している。憲法学者の小林節氏、政治学者の中野晃一氏が野党共闘法を指南した。
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 ―― 危うい自公政権を倒すために、野党が共闘を始めようとしています。
 
中野晃一(以下、中野):国会前の抗議と選挙は直結しています。戦争法案が通ってしまったら泣き寝入りして終わりではなく、次につなげる。そのためには選挙で自公政権に勝てる態勢を作ることが必要で、野党が共闘し受け皿を作ることが最低条件となります。
小林節(以下、小林):自民と公明が一体化している以上、1人区では野党がバラバラでは絶対に勝てない。だから野党が一つになる。野党側に組織票のある共産党が入れば、同じく組織力を持つ与党の公明党の力が相殺されますあとは候補者のタマと風で自民党候補と十分に戦える。それぞれ人間的な好き嫌いや共産党アレルギーはあれど、自公政権が続けばますます日本は悪くなる。選挙が近づけば野党はまとまらざるを得ないでしょう。
中野:心配なのは野党がまとまるまでの時間が経ちすぎることで、地方レベルでの確執や相互不信が長期化していくこと。一方、早くまとまれば選挙までに世論を喚起していくこともできます。例えば「暴走する国家権力対個人の尊厳」というような対立構図を作り、有権者にとって意味があり、なおかつおもしろいものにしていく。そうすれば低迷している投票率も上げられます。
小林:ところが地方選挙でも野党共闘はうまく進んでいない。民主党からは共産党と付き合うことで保守寄りの支持者が逃げていくという声も聞きます。でも、実はとっくに逃げている。それなら共産党と共闘すれば組織票が取れるのです。
 
 ―― 野党統一候補は政党色のない人になりますか。
 
中野:無所属に限らなくても構いません。地方の実情に合わせて民主党の候補者を立てることもあるだろうし、他の党の場合もあり得る。とにかく、このままいけば野党が自公に勝てるわけがない。だからまずは説得力のある形で1人区の野党候補者を一本化して勝負をする。そのために民主党と共産党を含めた野党がトップレベルで合意を作る必要があるのです。
小林:1人区で民主党のまっとうな候補者がいたらそこに収斂されていかざるを得ないし、そうでない選挙区なら話し合いでまとまっていくでしょう。理想としては共産党に元気を出してほしい。高知や長野のように共産党の得票率が高い場所では、他党は候補者を譲ることも必要。参議院の32の1人区で野党が勝てば、ねじれ国会ができる。そうすれば3分の2以上の議席で憲法改正の発議をしようと目論む安倍首相の野望もくじかれます。
中野:与野党で一対一の対決構図を作ることも必要です。例えば山口や群馬などの保守王国に立派な野党統一候補を立て、小林先生や市民連合からも応援に行く。それで話題作りができれば投票率が伸びて野党側にも風が吹くでしょう。そうでもしないと、野党が分断してしまっているいまの選挙では何回やっても自公が勝ってしまう。
小林:衆参同日選挙の話が自民党から出ていますが、あれは野党を脅すつもりなのでしょう。ダブルをやるということで野党側が冷静さを失い、めちゃくちゃになることを狙っている。でも大変なのはお互いさま。野党は一気に政権交代につなげるのは難しいのだから、まず参院選の32の1人区に集中して勝つことです。
中野:ダブル選挙になっても、対立構図を明確に作ることで投票率は上がります。自公は改憲や立憲主義を壊すような考えを前面に出してくるでしょうから、野党としてはこんな政権に改憲をさせていいのかと訴えやすくなりますよ。(聞き手・桐島 瞬)
※週刊朝日  2016年2月5日号より抜粋
  
5野党幹部、非公式会談へ 参院選候補一本化を協議
東京新聞 2016年2月1日 
 民主、共産、維新など野党5党の幹事長・書記局長が4日、非公式会談を開くことが分かった。関係者が1日明らかにした。病気療養から復帰した社民党の又市征治幹事長の快気祝いを名目に、難航する野党共闘について協議する。参院選をにらみ野党候補一本化を進める狙いもありそうだ。生活の党も参加する。
 
 会談は民主党の枝野幸男幹事長が呼び掛けた。改選1人区での候補一本化をめぐり、党内には共産党との連携に根強い反発があることから、同党に対し政党間協議を通じてではなく、自発的に擁立した候補を下ろしてほしいとの思惑がある。 (共同)