読売新聞 2016年01月11日
核実験に抗議する市民による長崎市・平和公園での座り込みが10日、400回の節目を迎えた。「核兵器のない世界をつくりたい」と、約40年にわたって続く地道な活動に、近年は若い世代も加わっており、参加者は「諦めずに続けていこう」と改めて誓い合った。
市民団体「核実験に抗議する長崎市民の会」の座り込みは、冷戦下の1974年、相次ぐ核実験に危機感を覚えた当時の小学校教諭で被爆者の今田斐男さんの呼びかけに同僚らが応じて始まった。今田さん1人だけや、テントを張って約300人を超える人が交代で徹夜しての活動もあったが、核実験があった後の座り込みは一度も欠かしていないという。
活動の中心にいた今田さんは昨年11月、86歳で亡くなった。元同僚で被爆者の山川剛さん(79)(長崎市)は「マイクを握り、切々と核実験の愚かさを訴えていた姿は忘れられない」と振り返る。
今田さんの他界後、初の座り込みとなった10日は約40人が参加。被爆者の高齢化もあり、参加数は伸び悩んでいるが、近年、平和活動に取り組む30歳代や高校生の姿もあった。
山川さんは「400回目を迎えたことは残念だが、今田さんの遺志は、若い世代にもしっかり根付いている。これからも、核実験がなくなるまで闘い続ける」と話した。