2015年12月31日木曜日

31- 安倍政権「安保法制」デタラメ・詭弁ランキング

 LITERAが年末特別企画として先の「安倍首相今年のトンデモ発言ランキング」に続いて、第二弾:「安倍政権「安保法制」デタラメ・詭弁ランキング」を発表しました。
 
 今度は「安倍政権」による「『安保法制』デタラメ・詭弁」なので、さまざまなメンバーが登場しますが、安倍氏自身もやはり2回ほど登場します。
 いずれもインターネットなどで取り上げられましたので、記憶に新しい言葉ばかりです。
 
 この記事も長いので前編(10位~6位)と後編(5位~1位)に分けられていますが、ここでは一緒にして紹介します。
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憲法破壊の犯罪者たちを忘れるな! 
安倍政権「安保法制」デタラメ・詭弁ランキング(前編)10位〜6位
LITERA 2015年12月29日  
 今年2015年の日本は、安保法制の成立によって歴史的な転換期を迎えた。しかしそれはアメリカ主導の安全保障を法案化し、戦争に巻きこまれるのが決定しただけではない。だれがどう見ても憲法に反していることが明白な法案を民主的な手続きも踏まずに数の論理で押し通すという、戦後最大の汚点ともいえる愚行中の愚行を政権が犯した点もけっして忘れてはいけない。
 
 しかも、安保法制をめぐる国会審議中には、安倍政権の面々からは連日のようにとんでもない言葉が次々と飛び出した。憲法をないがしろにするわ、平気な顔をしてウソをつくわ、悪びれるようすもなくデマは流すわ……と、この国の政治レベルを疑わざるを得ない恐怖の事態が白日のもとに晒された。それはまさに「安倍“恐怖”劇場」と呼ぶにふさわしいものだった。
 
 ふつうなら、毎日、ワイドショーやニュース番組を賑わせたであろう安倍政権による失言・暴言・珍言の数々。しかしご存じの通り、官邸がマスメディアへ睨みを利かせまくった結果、そうした発言は闇に葬られようとしている。ならば、本サイトが残そうではないか。
 民主主義を殺した安保法制暴言ランキング、まずは10位から6位までを見ていこう。
 
 10位
 安倍晋三・総理大臣
 「実際、(自衛隊員の)リスクは下がっていくと思います」(7月8日、ニコニコ生放送『安倍さんがわかりやすくお答えします!平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ?』で)
 
 まずは政権の親玉・安倍首相の「絶対に笑ってはいけない」レベルのこの発言から取り上げよう。なぜ「リスクは下がる」のか。その説明はこうだ。
「今度、わたしたちがつくる法律は恒久法ですから、あらかじめ各国とも連携した情報収集や教育訓練が可能となり、いろんな事態に対応できる訓練が可能になりますから、実際、リスクは下がっていくと思います」 
 安保法制の「後方支援」とは、地球上のあらゆる戦闘場所に出かけて行って、もっとも狙われやすい “兵站”を担当する、という危険なもの。それを安倍首相は「訓練さえすれば大丈夫!」と言い張っているのだ。どんなお花畑思考かよ、という話である。
 
 しかし、どうして安倍首相はこんな楽観的なのか。それは彼の“本音”に理由が隠されている。たとえば5月14日の記者会見で、安倍首相は「自衛隊発足以来、今までにも1800名の方々が、様々な任務等で殉職をされております」「自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルとして、誇りをもって仕事にあたっています」と言っている。
 
 1800名の殉職者というのは災害救助や訓練中に亡くなった人びとの数で、戦闘で亡くなった人はひとりもいない。こうしたごまかし、議論のスリカエの詐術も醜いが、この「自衛隊員だったら死ぬのは覚悟の上」と言わんばかりの主張こそが安倍首相の本音だ。現に、すでに自衛隊は隊員全員に“戦死”を前提とした「秘密のカード」を配布して記入を命令したり(過去記事)、棺桶や遺体処理班の準備さえはじめている(過去記事)。安保法制によって戦死者が出たとき、安倍首相はきっとこう言うだろう。「国を守るために犠牲となった尊い命を無駄にはしていけない。もっと武力を強化させましょう」と。
 そういう意味では「リスクは下がる」発言は悪質極まりないが、あまりにバカバカしすぎてさすがにだれも信じてはいないと思うので10位という結果となった。まさか「リスクは下がるに決まってるだろ!」なんて本気で信じている人……いませんよね?
 
 9位
 佐藤正久(ヒゲの隊長)・自民党参院議員
 「テレビ朝日は徴兵制に前向きなのか?」(7月17日、テレビ朝日『モーニングバード』出演後にTwitterで)
 
 元陸上自衛官で2004年のイラク派遣では第一次復興業務支援隊長を務めた経験を持つ“ヒゲの隊長”こと佐藤正久参院議員。イラク派兵を知る自衛官OBという経歴を見込んで自民党は安保法制のPRアニメ動画『教えて!ヒゲの隊長』の主人公(?)にも抜擢したが、結果はパロディ版の『ヒゲの隊長に教えてあげてみた』によってコテンパンに説明のウソを暴かれ、挙げ句、再生回数も抜かれるという目も当てられない事態に。しかも当の本人は〈佐藤も思わず吹いた〉〈なかなかよく出来ている〉などとつぶやく始末で、「この人、大丈夫なんだろうか……」と心配になってしまう相当な天然っぷりを見せつけた。
 
 なかでも脱力させられたのが、この一言。『モーニングバード』(テレビ朝日)に生出演し、PR動画よろしく安保法制について安倍政権の言い分を垂れ流したのだが、コメンテーターの玉川徹と長嶋一茂から詰問を受ける結果に。ヒゲの隊長は「日本国民は憲法で守られているので徴兵されることは全体にありえない」と断言したが、逆に一茂から“国民は集団的自衛権と憲法が相反すると思っているのでは?”“女性たちがこの法案を心配しているのは、徴兵制の可能性を否定できないからでは?”などとメッタ斬りにされてしまったのだ。そして番組が終わると、「テレ朝は徴兵制に前向きなのか?」と負け犬の遠吠えのようにツイート。……いやいや、単純に国民の不安をぶつけただけなんですけど。っていうか、これぞ安倍首相の決め台詞「レッテル貼り」なのでは?
 
 ヒゲはその後も安保法制の強行採決時、意気軒昂にパンチを繰り出し、ついにはこの瞬間の写真が米・CNNの報道写真展で2015年を代表する1枚のひとつに選ばれてしまった。国辱ってこういうことだと思いますけど、この人、わかっていないんだろうなあ……。
 
 8位
 菅義偉・官房長官
 「私は全共闘世代だが当時はこんなもんじゃなかった」(7月16日、官房長官記者会見で)
 
 記者会見で「国会周辺では若い人たちが反対の声をあげているが」と訊かれて、菅官房長官の返事がコレ。どう考えても菅サンが国会前でスクラム組んでたとは到底思えないんですけど、実際に現場に行って見たこと、ほんとうにあるのだろうか。というより、今年の国会前のデモだってちゃんとその目で見た上で言っているのだろうか。
 
 しかし、反対派デモを矮小化しようとしたのは、菅官房長官だけではない。たとえば「法的安定性は関係ない」発言で一躍有名になった礒崎陽輔首相補佐官(当時)も、7月15日の大規模デモを「5千人未満ということだそうです。道路にあふれない限り、そんなに多くの人がいる場はありません」とツイート。実際は道路に人があふれ返り、警察の厳重な「道路にあふれさせない」警備によって押し合いへし合いの危険な状況だったのだが……。
 
 そもそもなぜ大規模なデモが起こったかといえば、自分たちが憲法をないがしろにしたり、一向に満足な説明もしなかったからなのだが、菅官房長官をはじめ安倍政権の面々はそのことを無視しつづけた。しかも、世論調査などで無視しきれないまでに反対の声が高まると、菅官房長官は「(反対派は)一部野党やマスコミから洗脳されている」とまで言い出した(8月22日に開かれた弘前市での講演での発言)。
 支持が得られないと「洗脳されている」と決め付ける、この鉄面皮ぶり。今年は映画監督である想田和弘氏が、botと化した菅官房長官の常套句を使えばネトウヨさえ戦闘意欲を欠かせてしまうというユニークな実験も話題を集めたが(過去記事)、まさに菅官房長官は政権を支える“安倍ロボット”なのだろう。
 
 7位
菅義偉・官房長官
「まったく違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいらっしゃいますから」(6月4日、官房長官記者会見で)
 
 そんな“安倍ロボット”が放った言葉のなかで、botで対応できず、絞り出された苦肉の一言がこの発言だ。自民党が国会に招致した長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授のみならず、呼ばれた3人の憲法学者全員が「安保法案は違憲」と述べたことで窮地に立たされた菅官房長官の口からついて出たのが、この壮大なウソだった。
 
「たくさんいらっしゃる」と言ってみたはいいものの、「じゃあ誰がいるの?」とツッコまれ、菅官房長官がひり出したのは「たとえば、百地(章・日本大学教授)先生、長尾(一紘・中央大学名誉教授)先生、西(修・駒沢大学名誉教授)先生がいます」(6月10日)という答え。たったの3人しか出てこなかったのだ(しかも全員が揃いも揃って安倍首相応援団メンバーのオール身内というオチ付きで)。
 さらに見苦しかったのは、そのあと。「全然たくさんじゃないじゃん!」と反撃を喰らうと、平然と「私は数じゃないと思いますよ」。人数の話を持ち出したのは自分なのに、人数は問題じゃないと言い出す……。ロボットでなければできそうもない芸当である。
 
 だが、話はこれで終わらない。追い詰められまくった菅官房長官、最後は「合憲か違憲かは最高裁が決める」と、壮大に議論を放り投げたのだ。だ・か・ら、この話の言い出しっぺ、あなたなんですけどお忘れになって?
 
 6位
 高村正彦・自民党副総裁
 「憲法学者の言う通りにしていたら日本の平和と安全が保たれたか」(6月9日、自民党役員連絡会で)
 
「たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある」(6月11日、朝日新聞の取材に)
 菅官房長官が安倍政権のロボットなら、この人は政権イチの図太い鋼鉄男と呼ぶべきか。それほどに高村発言からは不遜という言葉がピッタリの思い上がり臭がプンプンと漂っていた。「憲法学者より考えてきた」って、一介の弁護士上がりの政治家なだけなのに、そこまで胸を張れる自信の根拠がさっぱりわからない。“オレ様こそ法律家の頂点、オレ様こそ正解”ってか?
 
 だいたい、高村副総裁も安倍首相と同様に砂川判決を合憲の根拠にしてきたが、それ自体が過去の自分の発言と論理矛盾を起こしていた。なにせこの人、1999年の国会答弁では「集団的自衛権の行使は我が国の憲法上、許されない」と断言していたのだから。
 
 高村副総裁自らが明言しているように、現在の安倍政権は「プチ独裁」状態だ(過去記事)。少数派閥から“安倍独裁体制”に丸乗りして生き残ってきた高村氏にとっては、プチ独裁のなかではそうやって過去の発言もなかったことにしなくてはならないのだろうが、「日本の平和と安全」のためには憲法はないがしろにしてもいい、なんてことがまかり通るなど絶対に許されない。なのに、この法治国家の意味さえ知らない人物が法律家を名乗ってデカい顔をする政権って……。「世も末」とはこのことである。
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 駆け足で10〜6位までお届けしたが、もうすでにどっとお疲れの読者も多いことだろう。しかし、5〜1位はこの比ではない暴言が次々にランクインしている。どうか後編も、心してお付き合いいただきたい。 (編集部)
 
 
こいつらが民主主義を殺した! 
安倍政権「安保法制」デタラメ・詭弁ランキング(編)5位〜1位
LITERA 2015年12月29日
 安保法制の成立にいたるまで安倍政権の面々から飛び出した暴言・失言・珍言の数々を振り返る、この企画。前編につづいて後編をお届けしよう。
 日本中を驚かせたあの発言、思わず唖然とさせられたあの発言も、ついに登場。今年2015年の日本の危機的状況を表す迷発言を、ぜひ脳裏に焼き付けてほしい。
 
 5位
 武藤貴也・自民党衆院議員(当時)
 「彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく」(7月30日、Twitterで)
 
 ノーマークだった安倍チルドレンがぶっ放したこのツイートは、瞬く間に問題化。それもそうだろう。なにせこれ、「戦争に行くことこそ国民の義務」「お国のために命もかけられないのか」と主張しているようなものなのだから。このツイートで武藤議員は、〈利己的個人主義がここまで蔓延したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ〉と、安倍首相の「日教組!」の罵声が脳内にこだまするような意見も一緒に述べていたが、たしかに戦後教育は問題があったのだろう。だって、憲法で戦力の不保持が明記されていると知らないらしい人間が議員をやっているなんて、何の冗談かって話である。
 
「戦前か!」というツッコミもむなしくなる破壊力の武藤発言だが、しかしこれこそがまさしく安倍エッセンスを濃色させた、安倍政権の本音だ。彼は以前から〈戦争したくないなら国会周辺ではなく領海侵犯を繰り返す中国大使館前やミサイル実験を繰り返す北朝鮮朝鮮総連前で反戦の訴えをすべきだ〉と脅威を煽った挙げ句に話をすり替えるなど、安倍首相がほんとうは言いたくても言えない主張ばかりを開陳。雑誌のインタビューでは〈日本は自力で国を守れるように自主核武装を急ぐべきなのです〉とさえ言い切っている。
 
 だが、愕然とさせられるのは発言だけではない。この大きく問題になった「利己的」発言を自民党は不問に付し、結果的に武藤議員が自民党を追われたのは、発言後に「週刊文春」(文藝春秋)がスッパ抜いた「新規公開株を国会議員枠で買える」などと持ちかけていたという金銭トラブルが理由だからだ。ふつうなら、こんな戦前回帰の危険な発言が飛び出せば、マスコミも食いついて猛バッシングを繰り広げただろうが、もうこの国ではそんな光景さえ見られない。安倍首相や武藤議員が目指す戦前体制は、もうすでにつくられはじめているのである。
 
 4位
 礒崎陽輔・内閣総理大臣補佐官(当時) 
 「法的安定性は関係ない」(7月26日、大分市での国政報告会で)
 
 武藤議員の発言も相当に物騒だが、それを上回るインパクトだったのが、この「法的安定性は関係ない」発言だ。この言葉が飛び出した講演会では「我が国を守るために必要なことを憲法がダメだということはあり得ない」とも言い切っていたのだから、開いた口が塞がらない。なにせ礒崎氏は安倍首相の右腕と呼ばれていた人物。そんな重要ポストの人間が平然と公の場で法治国家を否定するとは……。
 
 だが、やはりこれも安倍首相の本音なのだろう。現に、安保法制推進論者の意見は「必要だからやらなければならない」という理屈に貫かれていた。安倍首相は一応、集団的自衛権行使を容認しても法的安定性は保たれると強弁してきたが、本音の部分では、法的安定性より必要性が優先されると思っている。だからこそ、側近中の側近だった礒崎氏の口からこんな言葉が出てしまったのだろう。
 
 しかも礒崎氏は“大人げない”という点でも安倍首相と共通する。たとえば、礒崎氏は6月にツイッターで安保法制について、〈「うちにはまだ延焼していないので、後ろから応援します。」と言って消火活動に加わらないで、我が家を本当に守れるのかという課題なのです〉と、安倍首相と同じく火事にたとえるという無茶苦茶な話を展開。しかし、そのアホ理論を10代の女性があっさり論破してしまった。そのとき礒崎氏は〈中身の理由を言わないで結論だけ「バカ」というのは「××」ですよ〉〈あなたこそ、一から勉強し直してください〉などとムキになって反論。ネット上では「大人げない」「情けなすぎる」と総ツッコミを受けたのだ。キレるとすぐにヤジを飛ばしてしまう親方様にそっくりである。
 この側近にして、あの首相、とも言えなくないが、それにしたって議員のレベル、低すぎやしないだろうか……(嘆息)。
 
 3位
中谷元・防衛相
「現在の憲法をいかにこの(安保)法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」(6月5日、衆院特別委員会で)
 
 前述の「法的安定性は関係ない」もたまげたが、もっと度肝を抜かれたのは、この言葉。中谷防衛相が何を言っているかというと、憲法を踏まえて法律があるのではなく、法律が先にあって憲法は帳尻合わせすればいい、と語っているのだ。
 
 そもそも日本国憲法第98条には、法律は憲法に反してはならない、とある。だが、中谷防衛相は「憲法は骨抜きにしてしまえ」と言っている。つまり立憲主義を見事に大否定してみせたわけだ。しかも、ツイッターや講演会でうっかり言ってしまったのではない、国会の場で堂々と防衛大臣が述べたのだ。
 解釈改憲による安保法制は立憲主義の否定だ、と多くの人が警鐘を鳴らし、反対の根拠にしてきたが、この中谷発言はその問題認識の正しさを逆に証明したかたちとなった。それくらい法治国家としてあり得ない発言だが、恐ろしいのはこの答弁は野党から非難されたくらいで、たいして大きな問題になっていない、という事実だろう。
 そして、中谷防衛相はさらに“安保法制のありえなさ”を答弁で証明している。それが次の発言だ。
 
 2位
 中谷元・防衛相 
 「核兵器は核弾頭を持っており、分類は弾薬にあたる」(8月5日、参院特別委員会で)
 
 驚きのあまり言葉を失うとはこのことだ。安保法制では自衛隊による「弾薬」の輸送が可能になるが、しかし一体、何が「弾薬」にあたるのか安倍政権はきっちり説明をしてこなかった。その点を野党からツッコまれ、中谷防衛相が詰め寄られた結果、ボロボロと出てきたのがこの発言。中谷防衛相いわく「手りゅう弾は弾薬」、そして「核兵器も分類は弾薬」だと言うのだ。
 
 いちいち語るまでもないが、手りゅう弾には殺傷能力がある。核兵器にいたっては安倍首相もイラク戦争の話のなかで「大量破壊兵器」と呼んでいた。いや、どこからどう見ても、手りゅう弾も核兵器も「武器」だろう。ちなみに安倍政権は国会答弁で、クラスター爆弾や劣化ウラン弾、ミサイルも「弾薬」認定し、自衛隊による提供・輸送が可能だと述べている。
 だいたい安倍首相は、何かあるとすぐに北朝鮮の弾頭ミサイルや中国の核兵器の話を持ち出して危機を煽るが、じゃああれを「ミサイルじゃなくて弾薬」「核兵器ではなくて弾薬」とでも言うのか。んなわけあるまい。
 
 憲法上ありえないだけではなく、中身自体も支離滅裂だった安保法制。第1位に輝く暴言は、このような安保法制の無茶ぶりが表れた、あの象徴的な言葉だ。
 
 1位
 安倍晋三・総理大臣 
 「(ホルムズ海峡での機雷掃海は)現実の問題として発生することを具体的に想定していない」(9月14日、参院特別委員会で)
 
 ズコー、である。ご存じの通り、安倍首相は何度も何度もホルムズ海峡における機雷掃海を集団的自衛権行使による海外派兵の代表例にしてきた。にもかかわらず、参院特別委での法案採決を直前に控えた9月14日、突然、手のひらを返すように「ホルムズ海峡の機雷掃海は関係ない」と言い出したのだ。
 え? じゃあ集団的自衛権を行使しなきゃいけない理由って何なわけ?と問いつめたくなるが、じつは安倍首相、もうひとつウソをついていた。それはホルムズ海峡の機雷掃海と同じく繰り返し語っていた「邦人輸送中の米輸送艦の防護」、あの赤ちゃんを抱いたお母さんのイラストのアレである。
 
 安倍首相は昨年、集団的自衛権行使容認の閣議決定後の会見からずっと「日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにする」と語ってきた。ところが中谷防衛相が「存立危機事態の認定に当たって日本人の乗船は不可欠ではない」と言ってしまったものだから、安倍首相にも追及の声が拡大。その結果、「日本人が乗っていない船も守る」と開き直ったのだ。
 
 ハナから存立危機事態は「一概に申し上げることはできない」で逃げっぱなしで、数少ない具体例だったホルムズ海峡の機雷掃海も関係ない、日本人の船を守るのが目的と言わんばかりだったのにそれもウソ。となれば、安保法制に立法事実などなくなってしまう。そんな重要な話を開き直ってしまうということは、安倍首相には「国民にていねいに説明する」気がなかっただけでなく、「ほんとうのことは言えない」と国民を欺いたのだ。
 
  ……こうして10〜1位まで振り返れば、おのずと安保法制がいかにデタラメなものか、おわかりいただけただろう。詭弁に次ぐ詭弁を弄し、暴言が噴出してもメディアを黙らせ、数の論理で可決へと押し切った。それが安保法制だったのだ。
 
 何度も繰り返すが、このような憲法や民主的手続きを一切無視して通された法律を受忍することはできない。どうかこの憲法と国民を愚弄した発言の数々を、来年の参院選まで忘れないでいただきたいと思う。来年こそ、こいつらをのさばらせてはいけない。(編集部)

2015年12月30日水曜日

慰安婦問題 日韓合意 首相の豹変と韓国政府の懸念

 28日の慰安婦問題に関する日韓外相会談での合意で、日本政府が「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」、「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」としたのは、多くの人々を驚愕させました。
 
 何しろ安倍首相は、20年前の若手自民党議員の勉強会で、韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけで・・・かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかと・・・と述べ、2006年第一次安倍政権が発足すると、早速「狭義の強制性はなかった」「強制性を証明する証言や裏付けるものはなかった」などと主張して河野談話の見直しを宣言しました
 そして12年9月に党総裁選への出馬を表明した際にも、「新たな談話を出す必要がある。子や孫の代に不名誉を背負わせるわけにはいかない」と宣言し第二次安倍政権になってからも、安倍自身はアメリカなどの圧力によって最終的には河野談話を引き継ぐとしたものの、実際には慰安婦の存在そのものを否定するような動きを放置してきました。いわばそういう彼が、という驚愕です。
 
 ブログ〝日本はアブナイ!”は、「これまで日本の政府や軍は、慰安婦の強制連行に関与したことはないと断固として否定し、河野談話を批判し撤回や見直しを要求すると共に、国として謝罪は不要政府として金銭を出すのはダメ」とさんざんアチコチで主張しまくっていたため、日韓の協議がなかなかスムーズに進められなかったのに、いったいどのラ下げて軍の関与を認めた上で、反省や謝罪を口に10億円もの大金を国が出したりするというのか。あまりの節操のなさに開いたクチがふさがらない(要旨)」、と述べています。
 また慰安婦問題に関する日韓外相会談を様々に批判している元外交官の天木直人氏も、ブログで、安倍首相が「日本政府は責任を痛感し日本国の首相として改めて・・・心からおわびと反省の気持ちを表明する」としたのは、首相とその子分たちが繰り返してきた従来の主張の全面的撤回であり豹変だ。これまでの方針の全面否定であり、完全な転換である。・・・ 私の最大の関心事は、慰安婦強制などなかったと強弁して来た安倍支持者の右翼たちがどう反応するかだ。・・・ それほど大きな意味を持つ、安倍首相の方針転換の衝撃である」、と述べています。
 
 ところでこの日韓外相会談の合意事項の文書化は、韓国側の意向で行われなかったということです。
 共同記者会見もお互いがその立場を述べあうという形で終わり、質問は一切受けつけられませんでした。(米国を交えた内容確認の文書の作成を日本側は提案したようですが、米国が難色を示し歓迎声明を出すということに落ち着きました)
 韓国はまず日韓合意の内容を国内に流して世論の動向を見てから進めるという意向のようです。
 きっと韓国政府としてはこの合意内容で事態を収めたいものの、国民がそれで納得するという自信がないのでしょう。問題は何が韓国政府の最大の懸念事項なのかということですが、やはり合意事項の中に日本の「法的責任」が欠落していることではないかと思われます。
 
 外相会談に先立つ27日に、「日本軍慰安婦研究会設立準備会」が「日本軍『慰安婦』問題、早まった『談合』を警戒する」という声明を出しました。
 そのなかで「慰安婦問題で重要なのは、『事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰』であり、それが四半世紀をかけて確立された『法的常識』である。それを実行することではじめて日本の『法的責任』が終わることになるのであり、韓国政府の公式な立場も『日本政府に法的責任が残っている』というものである」と述べています
 そして、韓国政府は2005年8月26日「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」の決定を通じて、「日本軍慰安婦問題など、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によって解決されたものと考えることはできず、日本政府の法的責任が残っている」という立場をはっきりと表明したと述べています
 
 今回の外相会談では韓国側からそこまでの表明はなかったようですが、成り行きによってはその問題と向き合わされる可能性は残っていると言えます。もともと加虐という犯罪行為がその場しのぎの言い回しで無かったことにされると考えること自体が被害者への冒涜です。
 
 「アジア女性資料センター」HPに掲示された同声明を紹介します。
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日本軍「慰安婦」問題、早まった「談合」を警戒する
日韓国交正常化50周年である2015年の暮れに、日本軍「慰安婦」問題をめぐる日韓両国政府の慌ただしい動きがメディアの報道を埋め尽くしています。
 
日本の安倍晋三総理が岸田文雄外相に訪韓を指示し、日韓両国は12月28日に外相会談を開催し協議することにしたと伝えられています。また、この背後には李丙琪青瓦台秘書室長と谷内正太郎国家安全保障局長による水面下の交渉があったといいます。
すでに高齢である被害者たちが存命中に問題を解決することが最善であるという点については異議を差し挟む余地はありません。しかし時間を理由として早まった「談合」をするのならば、それは「最悪」になるでしょう。
 
1990年代初めに日本軍「慰安婦」問題が本格的に提起されてからすでに四半世紀が過ぎました。この長い月日に渡って、被害者たちと、彼女たちの切なる訴えに共感する全世界の市民たちが問題解決のための方法を共に悩み、それによって明確な方向が定まってきました。「事実の認定、謝罪、賠償、真相究明、歴史教育、追慕事業、責任者処罰」がそれです。このことこそが、これまで四半世紀をかけて国際社会が議論を重ねてきた末に確立された「法的常識」です。
日本軍「慰安婦」問題の「正義の解決」のために、日本政府は「日本の犯罪」であったという事実を認めなければなりません。この犯罪に対し国家的次元で謝罪し賠償しなければなりません。関連資料を余すところなく公開し、現在と未来の世代に歴史の教育をし、被害者たちのための追慕事業をしなければなりません。そして責任者を探し出し処罰しなければなりません。そうすることではじめて、日本の「法的責任」が終わることになるのです。
 
私たちは日本軍「慰安婦」問題に対する韓国政府の公式的な立場が「日本政府に法的責任が残っている」というものであることを再び確認します。韓国政府は2005年8月26日「韓日会談文書公開後続対策関連民官共同委員会」の決定を通じ「日本軍慰安婦問題など、日本政府・軍等の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によって解決されたものと考えることはできず、日本政府の法的責任が残っている」という立場をはっきりと表明しました。また、これは2011年8月30日の憲法裁判所の決定と、2012年5月24日の大法院判決でも韓国政府の公式的な立場として重ねて確認されました。
 
私たちは1995年に始まった日本の「女性のためのアジア平和国民基金」が失敗したことは「日本の責任」を曖昧な形でごまかそうとしたためであることをもう一度確認します。国民基金は日本国民から集めた募金で「償い金」を支給し、日本政府の資金で医療・福祉支援を行い、内閣総理大臣名義の「お詫びの手紙」を渡す事業でした。しかし日本政府が「道義的責任は負うが、法的責任は決して負えない」と何度も強調し、まさにその曖昧さのせいで多くの被害者たちから拒否されたのです。
 
今、日韓両国政府がどのような議論をしているのかは明らかではありませんが、メディアによって報道されている内容は上述のような国際社会の法的常識と日本軍「慰安婦」問題の歴史はもちろん、韓国政府の公式的な立場とも明らかに相容れないものです。1995年の国民基金の水準さえも2015年の解決策とはなりえません。それ以下であるのならば、さらに言うまでもありません。何よりもそれはこれまでの四半世紀の間、「正義の解決」を訴えてきた被害者たち
の願いをないがしろにするものです。
 
今から50年前、日韓両国政府は「経済」と「安保」という現実の論理を打ち立て、過去清算問題に蓋をすることを「談合」しました。まさにそのために今も被害者たちは冷たい街頭で「正義の解決」を訴えざるをえなくなりました。50年前と同じ「談合」をまたしても繰り返すのであれば、これは日韓関係の歴史に大きな誤りをまたひとつ追加する不幸な事態になってしまうでしょう。
2015.12.27.
日本軍「慰安婦」研究会設立準備会

30- 政府のTPP効果試算は偽り

 日本を標的にしたといわれるTPP交渉において、何一つ国益を守るための主張をしなかった日本政府が、TPP協定の発効によって国益が増す、あるいは国益に適うというような試算を捏造するのは笑止です。
 このことについては27日にも共産党の小池政策委員長の指摘を取り上げましたが、29日の南日本新聞が「TPPの影響ー甘い試算は不信を買う」とする社説を掲げました。
 
 同紙も、「政府は交渉参加前の2013年3月、GDP押し上げ効果を3兆2000億円、農業減少額を3兆円程度とはじいたのに、今回の試算ではGDPが4倍超へ膨れ上がり、逆に農業へのダメージは10分の1以下に激減している。驚くばかりだ」と、小池氏と同じような指摘をしています。
 国民の懸念にまともにこたえないで欺瞞の試算を公表するなどは「恥の上塗り」というべきです。
 
 薬価基準制度が壊されて、薬価が暴騰することから招来される国民皆保険制度の崩壊、保険診療制度の崩壊からも明瞭なように、TPPの害悪は計り知れません。たとえ協定が調印されたとしても批准することは絶対に避ける必要があります。
 ※  12月27日 TPPの経済効果 政府試算は全く信用できない
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社説: [TPPの影響] 甘い試算は不信を買う
南日本新聞 2015年12月29日 
 甘い試算では不安の解消どころか、不信を買うだけではないか。野党は年明けの国会で試算の根拠を厳しくただしてもらいたい。
 
 政府は環太平洋連携協定(TPP)の影響を試算し、先週の経済財政諮問会議で示した。
 実質国内総生産(GDP)は3%近く増え、金額換算で13兆6000億円ほど押し上げられる。一方、懸念される農林水産物の生産減少額は最大でも2100億円にとどまる。
 率直に言って、甘すぎるのではないか。
 
 政府は交渉参加前の2013年3月、GDP押し上げ効果を3兆2000億円、農業減少額を3兆円程度とはじいた
 今回の試算ではGDPが4倍超へ膨れ上がり、逆に農業へのダメージは10分の1以下に激減する。あまりの差に驚くばかりだ。
 
 政府は2年前の試算は、すべての物品関税が発効後すぐに撤廃される前提だったとする。
 しかし、前提条件の違いだけで説明がつくとは思えない。農家から「うのみにできない」と、不信の声が上がったのは当然だ。
 象徴的な品目がコメである。米国産などの輸入枠が新たに設けられても、輸入増に相当する国産米を政府が備蓄用として買い増すので、生産減少額を「0円」と見積もった
 関税が大幅に削減される牛・豚肉などの影響は大きいとしたが、国内対策や差別化などで、おおむね当面輸入の急増は見込みがたいとする。
 影響はないとした食料自給率にしろ、TPP発効後しばらくはそうかもしれない。だが、安価な農産物が海外から入ってくるのに、中長期の影響もないとするのは不自然だ。
 農水分野の試算対象は関税率10%以上、国内生産10億円以上の品目に限っている。これも丁寧さに欠ける
 10月の大筋合意後、政府は詳しい中身を明らかにしないまま、翌月には対策大綱を取りまとめた。利点のみ強調した今回の試算も同じ流れにあるのだろう。
 
 共同通信社の先月の全国首長アンケートによると、TPP反対が賛成を大きく上回った。特に深刻な影響を受ける九州や北海道、東北での反発が目立つ。
 来年の国会審議や夏の参院選をにらんで、お手盛りの試算で反発をかわそうとの思惑であるなら、その場しのぎも度が過ぎよう。
 政府は重要5項目を関税撤廃の例外と位置付け、交渉に臨んだ。「聖域」は守られたのか。まずはその検証からである。

2015年12月29日火曜日

29- 日韓外相会談 慰安婦問題で事実上の決着! 慰安婦基金の拡大などで

 28日、日韓の外相会談がソウルで行われ、慰安婦問題について、日本政府は責任を痛感し、安倍総理大臣が、心からおわびと反省の気持ちを表明するとしたうえで、韓国政府が設置する財団に日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うことで合意しこの問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを相互に確認しました。
 
 慰安婦問題の責任については、岸田外務大臣は、「当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べ「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。
 
 この合意について韓国政府の関係者は、「日本政府は責任を痛感している」という表現について「かつての『佐々江案』は道義的責任を前提としたものだが、今回は政府の責任と念を押した。これまで日本がこうした表現を使ったことはない」「今回は謝罪と反省の主体を内閣総理大臣と明記し、外務大臣の口を通してこれを伝えた。安倍首相が政権を取って以来、こうした発言をしたことはない」、と評価しました。
 
 韓国の与党は歓迎の意を示しましたが、最大野党「共に民主党」の代表は、「非常に不十分だ慰安婦問題解決の核心は日本政府の法的責任の認定、また法的責任に基づいた公式謝罪と賠償だが、今回の合意はこの三つが回避された」と批判しました。
 
 慰安婦被害者を支援する市民団体韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は「被害者と国民の望みを裏切った外交的談合慰安婦犯罪が日本政府と軍によって組織的に行われた犯罪であることを今回の合意では見つけがたい」と非難し、慰安婦を象徴する少女像の移転については、「歴史の象徴であり、公共の財産」であるとして、移転を認めないとしました
 
 村山富市元首相は大分市で記者会見し、日韓合意について「良かった。日本政府が公式に責任を認めたことは評価できる。一歩も二歩も前進した」と歓迎しました。
 
 今回の日韓合意に向けてはアメリカから強い圧力があったと言われますが、安倍政権のこれまでの態度に比べれば大幅に前進しました。
 日本会議などの極右の側のメンバーは何も聞いていないと驚いているということです。
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日韓外相会談 慰安婦問題で最終的解決を確認
 NHK NEWS WEB 2015年12月28日
日本と韓国の外相会談がソウルで行われ、慰安婦問題を巡って、日本政府は責任を痛感し、安倍総理大臣が、心からおわびと反省の気持ちを表明するとしたうえで、日韓両政府は韓国政府が設置する財団に日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うことで合意しました。また、両政府は、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認しました。
 
日本と韓国両政府は、両国の関係改善の大きな障害となってきた慰安婦問題の最終的な妥結を目指し、28日、韓国のソウルで、岸田外務大臣とユン・ビョンセ(尹炳世)外相による日韓外相会談を行いました。
 
会談のあと、両外相はそろって記者発表を行い、合意事項について発表しました。この中で、岸田外務大臣は「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べました。そのうえで、岸田大臣は「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。
さらに、岸田大臣は「日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷をいやす措置を講じる」としたうえで、韓国政府が設置する財団に日本政府の予算でおよそ10億円の資金を一括して拠出し、「日韓両政府が協力し、元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う」ことで合意したことを明らかにしました。
そして、岸田大臣は、両政府間でこうした事業を着実に実施するという前提で、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと確認したことを明らかにしました。また、日本政府として、韓国政府とともに、国連など国際社会で慰安婦問題を巡って互いに非難・批判することを控える考えを示し、今回の合意について、「日韓首脳の指示に基づいて行った協議の結果であり、これをもって、日韓関係が新時代に入ることを確信している」と述べました。
 
一方、ユン外相は、元慰安婦への支援事業が着実に実施されることを前提に、日本政府とともに、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べたうえで、日本政府の実施する措置に協力する考えを示しました。
また、ユン外相は、ソウルの日本大使館の前に設置された、慰安婦を象徴する少女像に関して、「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と述べました。そして、ユン外相も、岸田外務大臣と同様に、韓国政府として日本政府とともに、今後、国連など国際社会において、この問題について互いに非難・批判することを控える考えを示しました。 (後 略)
 
 
安倍首相の謝罪など慰安婦問題交渉が妥結
朝鮮日報 2015年12月28日
 韓日両国は28日、従軍慰安婦問題をめぐる交渉のため外相会談を開き「慰安婦問題について日本政府が責任を痛感」「安倍晋三首相によるおわび・反省の表明」「日本政府が予算10億を拠出」の3点で合意に達した。
 韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官と日本の岸田文雄外相は、28日午後2時からソウルの外交部庁舎で外相会談を行った後、共同記者会見を開き、このような内容を発表した。
 
 日本政府は28日、岸田外相を通して「慰安婦問題は当時、軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳に深い傷を負わせた問題であって、こうした観点から日本政府は責任を痛感している」「安倍晋三首相は、日本国内閣総理大臣としてあらためて、慰安婦として多くの苦痛を味わい、心身に癒し難い傷を負った多くの方々に対し、心からおわびと反省の意を表明する」と発表した。
 一方、韓国政府は28日、尹炳世長官を通して「韓国政府は、元慰安婦の方々への支援を目的とする財団を設立し、ここに日本政府の予算で資金を一括拠出し、韓日両国政府が協力して全ての元慰安婦の名誉と尊厳の回復および心の傷を癒すための事業を行うこととした」と表明した。
 
 韓国政府の関係者は、合意事項のうち「日本政府は責任を痛感している」という表現について「かつての『佐々江案』は道義的責任を前提としたものだが、今回は政府の責任と念を押した。日本がこうした表現を使ったことはない」「今回は謝罪と反省の主体を内閣総理大臣と明記し、外務大臣の口を通してこれを伝えた。安倍首相が政権を取って以来、こうした発言をしたことはない」と語った。
 さらにこの関係者は「軍の関与の下で」という表現について「当然、日本軍を想定したもの」と語った。
 続けてこの関係者は、慰安婦支援のための財団設立について「日本政府が10億円出すことを目標にしている」「韓国政府が資金を出す計画はない。行政的支援はあり得る」と語った。韓国政府が財団を作る理由について、この関係者は「日本政府が予算を出すというのが重要な要素であって、この予算で事業を進めようとする場合、韓国に設立された財団がやる方が効率的という判断」と語った。 
  琴元燮(クム・ウォンソプ)記者 
 
 
慰安婦問題妥結に与党歓迎 野党は批判=韓国
朝鮮日報 2015年12月28日
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題をめぐる交渉が28日に妥結したことについて、韓国の与党は歓迎の意を示したが、野党は法的な責任を認めなかったなどとして批判した。
 与党セヌリ党の李荘雨(イ・ジャンウ)報道官は記者会見を開き、「日本政府の責任を明示した点で相当進展した合意案と判断される」として、「こじれた韓日関係をわずかながら和らげたことを幸いに思う」と評価した。
 一方、最大野党の「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)代表は記者団に対し、「非常に不十分だ」として、「慰安婦問題解決の核心は日本政府の法的責任の認定、また法的責任に基づいた公式謝罪と賠償だが、今回の合意はこの三つが回避された」と指摘した。その上で、「最終的かつ不可逆的に解決された」という発表に同意しにくい。また、(慰安婦被害者を象徴する日本大使館前の)少女像撤去の余地を残したのは非常に残念」と述べた。
 

韓日首脳が電話会談 慰安婦問題の妥結受け 
 聯合ニュース 2015年12月28日
【ソウル】旧日本軍の慰安婦問題が妥結したことを受け、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は28日、安倍晋三首相との電話会談で、「今回の合意を基に信頼を築いていき、新しい関係を開いていけるよう、緊密に協議していくことを願う」と述べた。
 安倍首相はこれに対し、「日本国内閣総理大臣として、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と応えた。

慰安婦合意を評価  「安倍氏はよく決断」 村山元首相
時事通信2015年12月28日
 村山富市元首相は28日、大分市で記者会見し、従軍慰安婦問題に関する日韓合意について、「良かった。(日本)政府が公式に責任を認めたことは評価できる。一歩も二歩も前進した」と歓迎した。
 また、「安倍晋三首相はよく決断したと思う」とも語った。
 村山氏は、政権担当時に設立した「アジア女性基金」について、「中途半端に終わり、解散せざるを得なかったのは残念に思う」と指摘。その上で「その経過があって今の状況がある。一つの役割を果たした」との認識を示した。