2015年12月23日水曜日

「拉致被害者は安倍氏に利用された」 蓮池透氏が特派員協会で

 『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』22日の記事で紹介)を出版した蓮池透氏は21日日本外国特派員協会で会見を開ました
 
 そこでは勿論安倍氏の拉致問題にかかわる手柄話を否定しましたが、田中龍作ジャーナルによると、艱難辛苦の挙句にようやく帰国した拉致被害者たちに、国は月額13万円というとても暮らしていけない支援金しか払わずに、当時国民から寄せられた1億円を超えるカンパ、拉致被害者の手に渡っていないということです。それでは国民の善意は一体何に使われたのでしょうか。
 そして拉致被害者たちの味方を自称して再登場した筈の安倍首相は、拉致問題を一歩も進展させずまた帰国者たちの生活の保障もせずに、一体何をしようとしているのでしょうか。
 
 「拉致被害者支援法」は、2002年11月に安倍氏らが中心になって成立させましたが、そのとき草案に被害者にひとり当たり月額13万円を支給(収入が発生した場合は減額)すると書かれていたので、これはあまりに低すぎないかという指摘がありました。
 自民党はそれに対して「野党が吊り上げるからこの程度にしておく」と説明しましたが。実際には委員会審議で金額が高すぎると反発されて、その額で成立しました。
 そこで蓮池「国の不作為を問い国家賠償請求訴訟を起こしますよ」と安倍氏に迫ったところ、安倍氏は薄ら笑いを浮かべながら「蓮池さん、国の不作為を立証するのは大変だよ」言い放ったということですそれこそは、少しでも拉致被害者および家族へ深く思いを寄せていたのなら、出てくるはずない言葉でした・・・・
 
 拉致問題に進展がないのは、それを記事にするのは安倍政権を批判することになるので、メディアが沈黙しているためです。
 蓮池氏は会見の最後に、「外国メディアの皆さん、どうか安倍首相と拉致の事を書いて下さい」 と英語で語りかけたということです。日本のメディアはどう思ったのでしょうか
 
 日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
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「拉致被害者はアベ晋三に利用された」 実兄が明るみに
田中龍作ジャーナル 2015年12月22日
 拉致問題を最も巧みに政治利用し総理にまで上り詰めた男 ― アベ晋三の実態が明るみに出た。
 拉致被害者・蓮池薫さんの兄、蓮池透さん(元拉致被害者家族会事務局長・現在は退会)が近著『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社刊)を引っさげて21日、日本外国特派員協会で会見を開いた。
 
 透さんは まず 、「安倍さんは拉致問題においては日本では第一人者。政治利用して拉致問題を踏み台にして総理にまでなった。それほど重要なら、しっかり対応しろ」と訴えた。
 拉致問題に進展がないと批判することは、これを最重要課題と位置づけてきた安倍政権を批判することを意味する。マスコミが「拉致問題に進展がない」と書けない理由だ。
 帰国した拉致被害者5人が02年に日本の土を踏んだ時、アベ氏は「北に帰るな」と言ったとされるが、透さんはアベ氏の手柄話を否定した。
 「弟を止めたのは私です」、透さんはきっぱりとした口調で言った。
 拉致問題を政治的に利用した人たちは大勢いた。中山恭子元内閣参与(現参議院議員)をはじめ、ブルーリボンを胸につけた国会議員たち、右翼や活動家らは拉致問題に存在理由を見つけ出したのだ。アジアで常に加害者だった日本は、拉致問題では被害者でいられるからだ。
 
 人生の膨大な時間を奪われてやっと帰国したのに、拉致被害者達の生活はまったく楽にならなかった。生活にはお金がいるが、カンパも国家予算も十分あるのに、お金は本人達に渡らない
  「帰国後に国民から寄せられた1億円を超えるカンパは、拉致被害者の手に渡っていない。子供達が帰国した際に数十万のお見舞い金が出ただけ」。
 「政府の支援金は月額13万円で、収入があれば減額される。これでは絶対暮らしていけない」。ハングルの翻訳家として活動を始めた薫さんだったが、印税が入ると支給が途絶えたりしたため、とうとう一切の支援金を返上したという。
 「まとめて日本で面倒みますと言うのでなければ(年配の拉致被害者は)帰ってこない。国の支援金13万円というのは知られていない。日本のマスコミには周知の事実であるのにも かかわらず、活字にしてこなかった」と、透さんは吐きすてた。
 そして、こう付け加えた。「国民は手厚い待遇でのうのうと暮らしているんだろうな、と思っている」。
 拉致被害者奪還を叫ぶ右寄りの政治家が被害者の事を何も考えていないのは明らかだった。マスコミも活動家も同罪だ。
 
 「外国メディアの皆さん、どうかアベ首相と拉致の事を書いて下さい  会見の主は最後に英語で語りかけた。日本のマスコミは眼中になかった。
 「弟が北朝鮮から帰国して13年経ったのに、兄にとって拉致問題は終わっていないのか?」 筆者は直接問うた。
 「拉致問題はまだ全然終わっていない。弟が精神的に囚われている。解放したい」。
 透さんは言葉を噛みしめるように語った。   (文・竹内栄子)
 
 
「戦略見えない」 安倍政権の拉致交渉に蓮池透氏怒り爆発
日刊ゲンダイ 2015年12月22日
 安倍政権よ、やっているフリはやめよ――。拉致被害者家族連絡会元副代表の蓮池透氏が21日、外国特派員協会で会見。北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さんの兄は、一向に進展しない政府の拉致交渉に怒りを爆発させた。
拉致問題を踏み台にして総理になったのだからしっかり対応すべきだ」と透氏は安倍にそう注文をつけると、返す刀で「『あらゆる手段を尽くす』と言っていますが、具体的な戦略はまったく見えてこない」とぶった切った。
 日本政府が認定する12人の拉致被害者に関する再調査の最新動向は、21日付の朝日新聞が報じたばかり。11月中旬から今月中旬にかけて、日朝の政府関係者が中国で計3回の非公式協議を行ったが、北朝鮮側の「8人死亡、4人は入国していない」という従来の主張は覆らず。事態の進展はなかったという。
 北朝鮮が再調査の特別調査委を設置したのは昨年7月。報告期限は「1年程度」だったが、先送りに先送りを重ね、すでに1年半が経過しようとしている。日本がなめられているのは明らかだ。蓮池透氏は会見でこうも言った。
安倍政権がやっていることは13年前と同じで、なんの進歩もない。安倍さんは『任期中に(拉致問題を)解決する』と言うなら、画期的な方法を取ってほしい。『(拉致被害者)1人に10億円出せ』という日本の政治家もいる。そういう“禁じ手”を考えてもいいと思う
 
■信頼できるのは小泉元首相と田中均氏の2人のみ
 透氏の怒りはホンモノだ。今月18日には「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」を出版。拉致問題で安倍自身がよく語っている“武勇伝エピソード”がウソだらけだったことを暴露している。
「透氏は小泉純一郎元首相、田中均元外務審議官の2人以外、信頼できる政府関係者は皆無だったと言っています。安倍首相とは無役の時代から知り合いで、可もなく不可もない関係だった。しかし、首相になってからは口だけで何もしない安倍さんに対し、次第に怒りを募らせていったようです」(出版関係者)
 横田めぐみさんの父・滋氏も今月、「(交渉の)やり方を変えるべきだ」と訴えている。無策な安倍外交をいつまでも続けるわけにいかない。