2015年11月10日火曜日

10- 武器の購入価格は米の言い値 年額6000億円に急上昇

 米政府からの武器調達は有償軍事援助(FMSと呼ぶのだそうですが、事実は米の言い値で買わされる「売りつけ」とでも呼ぶべきものです。実際に戦闘機をはじめとして、日本の購入価格は米国内や諸外国での価格よりも「遥かに」高額なものです。
 
 今年月、政府はオスプレイ17機と関連装備を合計30億ドル(約3600億円)で買いましたが、それは1機当り200億円以上という信じられないような値段でした。しかももともとオスプレイは敵地深くに超低空飛行で侵入するためのもので、国土防衛上は不必要な飛行機です。
 米が同機の開発に掛かった莫大な費用を日本から回収しようとしているからだといわれています。
 
 しかも安倍内閣になってからは、そのFMSの年額は急上昇していて、15年度は5920億円と民主党内閣時代の10倍にも跳ね上がったいます。
 
 東京新聞の記事を紹介します。
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武器価格 米の言い値 不公平調達 前年度の3倍
東京新聞 2015年11月7日
 自衛隊の武器を米政府から調達する「有償軍事援助(FMS)」での購入総額が、本年度は5916億円に上り、過去最高となることが分かった。垂直離着陸輸送機「オスプレイ」などが含まれる。FMSは米側が価格や納期を有利に変更でき、日本の安全保障政策は武器取引を通じて米政府の影響を大きく受けかねないことになる。 (編集委員・半田滋)
 
 この制度は一九五四年の日米相互防衛援助協定の締結から始まった。
 本紙は防衛省に対し、過去十年間のFMS調達の年度別額を集計して公表するよう求めた。二〇〇六年度から五年間は減少したが、一一年度以降は増加傾向で、本年度は前年度の三倍となっている。
 
 本年度は調達する早期警戒機、滞空型無人機など高額の武器類がいずれもFMSだったことや、まとめ買いしたことで、購入総額が膨らんだ。以前なら日本企業のライセンス生産が認められたような武器も米国の外貨獲得のためFMS扱いとなったことも一因だ。
 
 FMSは米政府の安全保障政策の一環で、購入国は米政府が決めた調達条件を受け入れる義務がある。条件は(1)価格や納入期限は見積もりにすぎず、米政府はこれに拘束されない(2)代金は前払い(3)米政府は契約を解除できる-という米政府に有利な一方的な内容となっている。
 
 FMSで購入するオスプレイは、すでに価格高騰が指摘されている。日本の「中期防衛力整備計画」(一四~一八年度)に基づき、米政府は今年五月、十七機と関連装備を合計三十億ドル(約三千六百億円)で日本に売却することを決めた。
 
 このうち、本年度は五機で、機体は一機約八十億円に収まったものの、米側の言い値で決まる技術支援などのオプションが加わり総額が膨らんだとみられる。
 
 防衛省によると、これまで発注した装備品の一部は米政府に代金を支払ったのに武器が届いていない「未納入」や、書類上の手続きが完了していない状態で、それらを合計した額は一三年度現在、五百三十二億円という。FMSによる武器調達が増えるほどこの額が増える可能性があるだけでなく、自衛隊にとって必要な武器が必要な時に手元にない事態も考えられる。
 
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