2015年10月2日金曜日

TPPに参加すべきではない

 朝日新聞が29日付で、「TPP交渉 意思と知恵が問われる」とする社説を掲げました。
 
 当然、日本政府が「意思と知恵」を動員してTPP交渉から離脱することを勧めるものと思ったのですが、社説(の要旨)は以下のようなものでした。
 
『 近くTPP閣僚会合が開かれるが、今回も合意できないと交渉が漂流する恐れが高まるので予断を許さない。各国が対立するテーマは、新薬の特許保護期間、国有企業の扱い、乳製品などの市場開放問題などに絞られてきている。広く消費者の利益を意識しないと交渉は前に進まない。交渉参加国の中で突出した経済規模を誇る米国と日本の責任は大きいので今回の会合で大筋合意にこぎ着けてほしい。 』
 
 ひたすら「交渉の妥結に努力せよ」というもので、そこには関税障壁は愚か非関税障壁も取り除いて、アメリカ資本の思うがままに他国を収奪出来るようにするというアメリカの「狙い」の指摘もなければ、悪名高いISD条項への警戒心も見られません。
 交渉中は勿論、交渉妥結後も4年間はその内容を当該の国民にも明らかにしてはいけないという秘密条項、アメリカの弁護士3人が株主からの訴訟を一審制で裁いて他国の政府をいやおうなく従わせ、TPP協定に反する法律は全て改定させるなどの、恐るべき性格に満ちた協定であることに全く触れていません。
 
 TPP協定が明朗なものであるならば、何故交渉を秘密裏に行っているのでしょうか。TPP協定の本質が相手国の国民に知られてはならないからこそそうしているのです。
 朝日新聞の社説は、あたかも「TPPの本質には決して触れてはならない」とどこかから厳命されているかのように、TPPの本質に関するところがすっぽりと抜け落ちた文章になっています。国益を100%度外視した米国迎合の文章です。
 
 言うまでもないことですがTPP協定には参加すべきではありません。
 1日付のブログ「日々雑感」に登場した「TPPに参加すべきではない」という記事を紹介します
 
 なお当ブログではTPPに関してはこの2年半でざっと60回以上も取り上げてきました。
 詳細は「湯沢平和の輪」の題字の左上にある検索欄で検索してみてください。下記はそのなかの1編です。
   (関係記事)   2013年11月11日  TPPは壊国の協定 
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TPPに参加すべきではない
日々雑感 2015年10月1日 
 自由貿易といえども節度ある国家間の取引が前提だ。それぞれの国にはそれぞれの地理的制約や歴史的制約があり、それぞれの国の国内的な事情がある。それらをすべて無視して世界的に同列に並べて競争させるのはフェアーとはいえない。何らかのハンディを設定するのは当然のことではないだろうか。
 安倍氏は国連総会などで「60年ぶりの農協改革を果たした」と胸を張ったが、全農を解体することがすなわち単協を強めることになるのだろうか。全農が単協に過大な負担金を課していたのなら、それを正す程度で良かったのではないだろうか。農協が全国組織を持つことが誰にとって不都合だというのだろうか。
 
 米国にも全農とは異なるが全国の穀物生産農家を支配する穀物メジャーは存在している。精肉生産農家を束ねる全国組織もある。そうした政府に対する圧力団体が存在してTPP交渉を裏から操っているのは周知の事実だ。全農が全国単協の立場に立ってTPP参加に反対したとして、何が不都合だというのだろうか。
 しかし安倍氏はTPP参加に対する抵抗勢力とみなして全農を潰してしまった。それが自由経済を標榜する日本政府のやることだろうか。確かに単協もかつての戸別農家組織力を持っていない。農協離れは進んでいる。だがそのことと全農解体とは別の問題ではないだろうか。
 
 医療保険も米国保険会社の餌食になるのではないかと危惧する。既に混合医療容認により「皆保険制度」の一角が崩れている。なぜ混合医療よりも迅速な医薬品認可を厚労省に厳命しなかったのだろうか。それを国内医薬品業界への配慮ととられても仕方ないだろう。しかしそのことにより日本の医薬品業界はかえって黒船が国内に直接乗り込む道を開いたことを認識べきだ。
 次に標的とされる業界は建設業界ではないだろうか。公共事業の民間事業単価よりも遙かに高額な、甘い蜜のような業界を米国の建設業界が指を咥えて眺めているとは決して思えない。新国立で明らかになったように、あの程度の競技場建設で2500億円もふんだくれるとは驚きで、米国の建設業界は目を剥いているのではないだろうか。しかも日本国内に受注できる能力のある企業が五社しかないという実態もバレてしまった。
 
 甘利氏は今回の各国協議を最終会議にして妥結したいと意気込んでいるが、いつの間に農産品関係は妥結に到ったのだろうか。その交渉結果を我々は知らされていない。いやそもそもTPPはすべての協議が妥結するまで、途中経過は発表しないとされている。そうした国際的な協議が許されるのだろうか。
 そうした話し合いは大国有利な協議が展開されるのは火を見るよりも明らかで、隷米国家・日本は米国の言いなりになるのは誰の目にもはっきりとしている。そこまでして、日本は米国の下僕に成り下がらなければならないのだろうか。軍事力だけでなく、食糧品や医療や保健までもすべて米国に支配され、搾り取られるTPPに参加するのに血眼になっている安倍自公政権とは一体どこの国の政府なのだろうか。TPP参加は米国の格差社社会、弱肉強食社会の日本への輸入に他ならない。断じて参加すべきではない。