2015年10月4日日曜日

奥田愛基さんと家族に対する脅迫と暴力は絶対に許されない

 安全保障関連法に反対す「シールズ」の中心メンバーの奥田愛基さんやその家族の殺害を予告する脅迫文が送られたことを受け、「安全保障関連法に反対する学者の会」が2日、「脅迫と暴力は断じて許されない」とする抗議声明を発表しました。
 声明には9月28日の時点で1万4000人余の学者らが賛意を表明しています。
 
 またそれとは別に、昨年、週刊文春など一部のメディアから不当にバッシングされた上、本人と家族へ殺害予告の文書が転職予定先の大学に送られたために転職先を失ってしまった元朝日新聞記者植村 隆氏から、「殺害予告は絶対に許せない」とするメッセージが寄せられました。
 
 二つの文書を紹介します。
 
追記
 植村記者と、同記者バッシングの急先鋒だった産経新聞の阿比留瑠比記者とが“インタビュー対決”した結果、非は植村記者にはなくて産経新聞の側にこそあったと確認されていたことが、最近LITERAで明らかにされました。
 そのLITERA記事は下記です。
     産経新聞「従軍慰安婦報道」のみっともない真実(1)
     産経新聞「従軍慰安婦報道」のみっともない真実(2)
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安全保障関連法に反対する学者の会声明)
SEALDsの奥田愛基さんと家族に対する殺害予告に関する抗議声明
 
 安全保障関連法案に反対してきたSEALDsの奥田愛基さんに対し、本人と家族の殺害を予告する脅迫状が送付される事件が発生したと報じられている。
 言論・表現の自由を脅迫と暴力で封じ込めようとすることは、民主主義社会に対する重大な挑戦であり、断じて許されない。加えて、本人とは別個の人格である家族に対して加えられるいかなる迫害も、個人の尊厳に対する威嚇であり犯罪行為である。さらに大学に脅迫状が送られたことは、大学の自治、学問の自由、言論の自由に対する攻撃として看過することはできない。
 法案への反対運動は、平和と民主主義に希望を託そうとする主権者の政治的見解の発露である。にもかかわらず、これを圧殺しようとする言動が繰り返されてきた。こうした言動が犯罪行為に該当する場合、警察には、放置せず適切かつ迅速に対処することを要請する。
 私たちは、学者、大学人、教育者として、この犯罪行為に強く抗議するとともに、市民社会に対し、このような脅迫に委縮することなく、闊達な議論によって私たちの民主主義を守り育むことを呼びかけるものである。
 2015102
 安全保障関連法に反対する学者の会・呼びかけ人有志
 (呼びかけ人の名簿は省略します
 
(植村 隆さんからのメッセージ)
奥田愛基さんと家族への「殺害予告」は絶対に許せない
 
 シールズの奥田愛基さんと家族への殺害予告は犯罪だ。
 同じような被害を受け続けている私は、この卑劣な犯罪行為を見過ごすことはできない。 
 奥田さんは、シールズの中心メンバーとして安保関連法案に反対し続けてきた。
 この国には、自分たちにとって不都合なことを言う人を力づくで黙らせようとする勢力が存在する。 
 私は1991年、韓国で元日本軍慰安婦が被害証言を始めたという記事を書いたことで、一部メディアやネットでバッシングされてきた。
 私が神戸の大学に転職が決まったことが「週刊文春」で昨年1月末に報じられたことをきっかけに、一気にエスカレートした。
 私を慰安婦問題の捏造記者だとする 「週刊文春」の記事はネットで拡散し、大学側に抗議電話やメールなどが相次いだことで、私は転職先を失った。
 非常勤講師を務める北星学園大学にまで脅迫状がきた。
 私だけでなく、高校生の娘は名指しで殺害予告を受けた。
 たとえ、自分と異なる意見の持ち主だとしても、それを脅迫という暴力で封じ込めようとする行為はあってはならない。
 安倍首相には、「日本は民主主義の国だ。奥田さんへの脅迫は私が許さない」と言ってほしい。
 意見が違っても、奥田さんの言論の自由を守る姿勢を示してほしい。
 毅然とした政権の姿勢が、卑劣な行為の抑止になる。
 奥田さん、ひるまず、ますますがんばってほしい。
 私も負けない、ひるまない。
                 2015年10月1日 
植村 隆(元朝日新聞記者・北星学園大学非常勤講師)