2015年9月8日火曜日

国との辺野古協議決裂+

 名護市辺野古の新基地建設をめぐる沖縄県と政府による集中協議の第5回会合が7日夕、首相官邸で開かれましたが、翁長雄志知事と推進姿勢の政府との溝は埋まらず協議は決裂しました。
 政府は協議期間終了後の10日以降に辺野古での作業を再開させる方針を伝えました。会合には、安倍晋三首相が初出席しました。
 
 約1ヶ月の回り道でしたが、翁長雄志知事としては全ての手立てを尽くすという考えだったのでしょう。 
 この結果は予想されていたことなので、今後知事は埋め立て承認の取り消しで対抗することになります。
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国との辺野古協議決裂
 知事「あらゆる手段で工事阻止」と承認取り消し示唆
琉球新報2015年9月7日
 【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる県と国の集中協議の最終会合が7日午後4時30分、首相官邸で行われ、翁長雄志知事は安倍晋三首相らに対し「(辺野古の埋め立て工事を)あらゆる手段を使って阻止する」と述べ、埋め立て承認の取り消しを示唆した。一方、菅義偉官房長官は県が行っているキャンプ・シュワブ沖の潜水調査が終了後、工事を再開することを表明した。
 政府は辺野古のボーリング調査を1カ月停止して県と計5回、会合を行ったが、方向性が一致することはなく、集中協議は決裂した。
 翁長知事は「協議は決裂したと認識している」述べ、菅官房長官も「普天間の危険除去と閉鎖の必要性は一致したが、方法論の大きな隔たりは埋まらなかった」と述べたが、今後も協議を続ける意向を示した。
 会合には政府から安倍首相、菅官房長官、岸田文雄外相、中谷元・防衛相、山口俊一沖縄担当相、杉田和博官房副長官の5人、県からは翁長知事、安慶田光男副知事が出席した。
 
 
10日以降に辺野古作業を再開 菅氏「元に戻る」
琉球新報 2015年9月7日
 【東京】菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐる県との集中協議期間が9日に終了することについて問われ「(作業停止は)1カ月間の約束でスタートした。1カ月間が終われば元に戻ると思っている」と述べ、期間の終了後は速やかに海上作業を再開する考えを示した。
 菅氏は普天間問題について、戦後強制的に土地が収用されたことが出発点だと翁長雄志知事が指摘していることに触れ「普天間飛行場の危険除去を(返還が合意された1996年)当時の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使が合意したことが出発点だ。この辺がなかなか距離感がある」と述べた。
 7日夕に開かれる翁長知事との第5回協議について「辺野古移設に関する政府の考え方、沖縄の負担軽減を目に見える形でするという取り組みを直接述べることになる」と述べた。

何のための辺野古集中協議だったのか
天木直人 2015年9月8日
 一か月の間に五度にもわたって国民の目の前で行われた菅官房長官と翁長沖縄県知事による辺野古問題に関する集中協議がきのう9月7日の会合で事実上終わった。
 最終会合には安倍首相、岸田外相まで出席したらしい。
 文字通り日本政府を相手にした翁長知事だった。
 その集中協議を、われわれ国民はどう評価すればいいのか。
 報じられるところによれば最終会合もまた完全な対立で終わったという。
 
 それはそうだろう。
 辺野古移設が唯一の解決策であるといい続ける安倍政権と、辺野古移設は絶対受け入れられないと繰り返す翁長知事の間では、協議は平行線で終わるしかない。
 もし辺野古移設を取り下げたら、その時点で安倍政権は米国の信頼を失う。
 その一方で辺野古移設を受け入れたなら、その時点で翁長知事は終わる。
 だからこの話し合いは最初から決裂することはわかっていたようなものだった。
 しかし、結論がわかっているような協議を、一度ならいざしらず、なぜ一か月もかけて5回も行ったのか。
 そのような協議に応じたこと自体が問題ではなかったのか。
 
 もし、国民の見えないところで報道されない密約をするための集中協議であったとしたら、もっと問題だ。
 どっちに転んでもこの集中協議は最初から問題であったのではないか。
 そういう思いを国民が持ち始めてもおかしくない。
 あれほど面会を拒んできた安倍政権が一転して協議に応じたのはなぜか。
 しかも辺野古工事を中断し、五回にわたって一か月もかけて集中協議し、最後は安倍首相や関係閣僚が総出で協議に参加した。
 そこまで礼を尽くして協議して、それでも何の進展も見られなかった。
 
 翁長知事の沖縄も、拒否ばかりするのではなく、日本の安全保障のために、少しは建設的な対応を見せたらどうか。何でもかんでも日米政府に反対する事が保守を自認する翁長知事のすることか。
 必ずそういう批判が翁長知事に向けられてくる。
 いや、現にそういう声はもう出始めている。
 これこそが安倍政権の深謀遠慮だったのではないのか。
 それに対して、果たして翁長知事に迎え撃つ戦略はあるのか。
 翁長知事に正い参謀役はいるのだろうか。それは誰なのか(了)