2015年9月12日土曜日

鳥取大・東京藝大・沖縄国際大有志が安保法案反対の声明

 鳥取大有志は8月29日に、東京藝大有志の会は9日に、沖縄国際大の教員有志は10日に、安全保障関連法案に反対する声明を出しました。
 
 鳥取大有志と東京藝大有志の声明文を紹介します。
 沖縄国際大については有志の記者会見の様子を紹介します。
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(鳥取大学有志の会)
  明 
 
私たち鳥取大学有志は、安倍政権が今国会に提出し審議されている安全保障関連法案に強く反対し廃案を求めます。この法案が憲法違反であることはほとんどの憲法学者が認めるところであり、これまでの審議を通しても国民に対し十分な説明が行われたとは言えません。本年7月16日、安倍政権は十分な審議を尽くさないまま衆議院で強行採決を行いましたが、このまま、国民の理解・納得を得ないまま法案が成立することは日本国憲法の国民主権の原則に反します。
 
また、この法案は、歴代内閣が認めてこなかった集団的自衛権の行使を、解釈変更によって行使可能としようとするものであり、戦後の日本で積み重ねられてきた憲法9条をめぐる議論を軽視しています。安倍政権は、政府だけでも「存立危機事態」を判断することができるようにし、自衛隊の任務と活動範囲をこれまでとは比較にならないほど拡大しようとしていますが、アメリカ軍の「後方支援」をすることが戦争参加でないという政府の説明には説得力がありません。この安保関連法案が成立し施行されれば、日本国民の安全を保障するどころか、かえって自衛隊員や国民の危険を増大させるのではないかという不安を払拭することはできません。安倍政権には、アメリカ政府との約束を重視するあまり、日本の法体系における「法的安定性」や立憲主義を軽視する姿勢さえみられます。
 
今、日本各地では、さまざまな人びとから、安保関連法案に反対する声が湧き上がっており、私たち鳥取大学有志も、そうした人びとと手をつなぎ、連帯し、この法案を廃案にすることを求めます。
2015年8月29日
安全保障関連法案に反対する鳥取大学有志
 
東京藝術大学有志
  
 
私たちは東京藝術大学で学び、教育・研究に携わり、表現する者として、また一人の国民として、いまこの国で進行している深刻な出来事を、しっかりと見据え、学び、思考することをやめず、行動していくことをここに宣言し、声をあげます。
 
2015年 7月 16日、多くの憲法学者や、歴代の内閣法制局長官たちが憲法違反の疑いを指摘する中で、集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化するための安全保障関連法案が、国民に納得される十分な説明と審議も尽くされないまま、衆院本会議で与党により強行採決され、続く参院の審議でも、国民の懸念にはおよそまったく耳を傾けない姿勢で、強行採決が図られようと緊迫した情勢が続いています。
 
この法案により、自衛隊が地理的制約なく世界中どこにでも米軍と行動をともに出来ること、自衛隊は日本を攻撃する意志を表明していない第三国に対しても先制攻撃を加える可能性が排除されないこと、米軍に対する兵站活動で自衛隊が輸送する弾薬のなかには、化学兵器、クラスター爆弾、さらには核ミサイルまで、法文上は排除されておらず、時の政権の判断次第で、いかようにも拡大解釈が可能となっていることなどが、国会審議のなかで明らかにされました。
 
教育基本法改定、特定秘密保護法制定、武器輸出の解禁、集団的自衛権行使容認の閣議決定、侵略の歴史に目を閉ざした首相の戦後70年談話、そして今回の安保法制など、安倍政権がひとつひとつ進めてきてきたそのそれぞれが、どれ一つをとっても戦後政治の一大転換となる施策の全体を見れば、私たちはそこに戦争の可能性を感じずにはいられません。
 
戦争は無数の人の命を無残に奪う、最大の人権侵害であるとともに、私たちの表現の自由、言論と思想の自由を奪います。
歴史的に見ても、国が戦争を始めるときは、国民のあらゆる生活が戦争一色に塗り込められ、言論・表現の自由は極度に制限されました。芸術は国民を戦争に駆り立てるプロパガンダの道具として利用され、戦争の推進役を積極的に果たす芸術家たちも少なくなかった反面、それに異を唱えようとする芸術家は非国民として徹底的に弾圧され、意に染まらない作品を作ることを強いられたり、創作を禁じられたり、獄中で拷問を受け殺されたりしたのです。
 
東京藝術大学の前身、東京美術学校や東京音楽学校の学生たちも、戦争のため卒業を早めて勉学や創作の機会を奪われ、大ぜいの若者が戦場で無念の死をとげました。
戦後、これらの深い反省の上に立って作られた日本国憲法は、その第九条に「戦争放棄」を定めて政府の行為をしばり、自由と人権の下支えとして、私たちの芸術と学問の自由、国民ひとりひとりが人間らしく生きる権利を支えています。もう戦争を許す社会にだけは、どんなことがあっても二度としてはならないという、戦火を生き延びた人々の強い思いが、この日本国憲法に反映されているのです。
 
安全保障関連法案は、そうした憲法の平和主義と、世界の民主主義諸国が歴史的に共有してきた立憲主義の理念に立つ、この国のありかたを根本から転換し、法秩序さえ無視して、戦争と独裁への道を開くものです。
私たちはこの法案の即時廃案を求めます。
2015年 9月9日 
自由と平和のための東京藝術大学有志の会
 
「戦争への動きに反対」 安保法案、沖国大教員有志が声明
琉球新報 2015年9月11日  
 沖縄国際大学の教員有志61人(10日現在)が10日、安保法案の廃案を求める声明を出した。声明は「先の戦争で『軍隊は住民を守らない』ことを知り、戦争につながるいかなる動きにも反対しなければならない」とし、11年前の同大への米軍ヘリ墜落で「軍隊の本質を厳然と見せつけられた」と沖縄の現実を踏まえて、法案の廃案を強く求めた。呼び掛けた法学部の稲福日出夫教授らが10日、同大で発表した。
  声明は、沖縄の森の上を米海兵隊MV22オスプレイが飛ぶ写真を配し、語り掛けるような文体で300字ほどにまとめた。
  国会審議も大詰めを迎える中での発表について照屋寛之教授(法学部)は「思いはあっても呼び掛けの声を出すのが難しかった。遅くはなったが研究者の責務、良心として黙認できない」と話した。