2015年9月10日木曜日

ベアテさんが主人公の「真珠の首飾り」(舞台劇)を再上演 

 GHQ民政局のメンバーで、日本国憲法の原案を作るに当り女性の人権拡張に尽力したベアテ・シロタ・ゴードンさん主役とする演劇「真珠の首飾り」が、11日から10年ぶりに上演されるということです。
 
 少女時代を日本で過ごしたベアテさんは日本女性の人権が極めて抑圧されていたことを知っていたので、男女同権を憲法の条文に盛り込むために奮闘しました。
 また日本語が堪能であったので、憲法の日本案とGHQ案との最終すり合わせの徹夜の会合のときの通訳も務めました。
 
 以前の「真珠の首飾り」は1998年初演され、2005年までの間に全国109箇所で公演されました。
 当時講演等でしばしば来日していたベアテさんも実際に鑑賞して、出来栄えに満足していたことが知られています。
 
(関係記事)
2012年7月16日 【憲法制定のころ4】 ベアテ・シロタ・ゴードン 
       2012年7月20日 【憲法制定のころ5】 憲法調査会における  
ベアテ参考人の陳述 
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憲法誕生の思い 今こそ問い直す 舞台「真珠の首飾り」上演
 東京新聞 2015年9月9日
 日本国憲法の草案を極秘につくった連合国軍総司令部(GHQ)民政局の一週間余りを描いた戯曲「真珠の首飾り」を、十一日から劇団「青年劇場」(東京都新宿区)が上演する。二〇〇五年以来、十年ぶりの再演。安全保障関連法案を政府が押し通そうとする今、団員たちは「平和憲法が生まれた当時の議論や思いを見つめ直し、考える材料にしてほしい」と話す。 (柏崎智子)
 
 一九四六年二月、GHQが接収した皇居前の第一生命ビルの会議室。新憲法草案づくりの特命を受けた軍関係者や学者らは、限られた時間で各国の憲法をかき集め、議論する。戦争放棄と自衛権は両立するか。国民主権は日本で理解されるか。天皇の地位と権限は。女性の権利はどこまで盛り込めるか-。
 舞台では、第二次大戦の悲劇の教訓から世界の模範となる憲法をつくろうという高い理想の一方、米国の押し付けと受け取られるのではという葛藤も語られる。白熱するやりとりは今に通じる内容だ。
 初演は九八年。戦後五十年を過ぎて米国が戦争に関わる文書を次々公開し始めた時期に、作家のジェームス三木さんが書き下ろした。当時、憲法九条を中心に改憲の是非の議論が盛り上がる中、舞台は注目され、二〇〇五年まで、全国各地での公演は百九回に及んだ
 
 起草メンバーの一人で劇中の主人公、故ベアテ・シロタ・ゴードンさんは〇〇年に、参院憲法調査会に参考人として招かれた。米国人だが少女時代を戦前の日本で過ごし、庶民の苦労を知っていたベアテさんは「この憲法は、国民の抑え付けられていた意思を表し、国民に喜ばれた」と振り返った。
 生前は度々来日して憲法の平和主義や女性の権利について講演。「真珠の首飾り」も観劇し、「どんどん上演されたらいい」と喜んだという。
 
 再演は昨年前半、戦後七十年にふさわしい作品として決まったが、直後から憲法を取り巻く状況が大きく動き始めた。同年七月に集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、今年七月には、自衛隊の海外派遣を容易にする安保法案が衆院を通過した。平和主義が崩れる危機感から、政治に無関心といわれた若者を含む多くの国民がデモに参加し、反対を訴える。
 ベアテさん役の昆野美和子さん(63)は「台本を読み直し、あらためて感動した。セリフは一つも直していないが、十年前より今の方が真に迫る。お客さんも同じ思いを抱くのでは」。
 演出の板倉哲さん(57)は「憲法が日本人だけのものではなく、平和や人権を守りたいと世界中の人々が求めた流れの中にあることを伝えたい」と話す。
 
 公演は十一~十三、十五~二十日に紀伊国屋ホール(新宿区)、二十四日に大田区民プラザ(大田区)、二十五日にかめありリリオホール(葛飾区)で。前売り一般五千百五十円、三十歳以下三千百円、高校生以下二千円。問い合わせは、青年劇場チケットサービス=電03(3352)7200=へ。