2015年8月22日土曜日

首相事務所が「週刊文春」の「吐血報道を訴える」と抗議文書

 「週刊文春」8月27日号「安倍首相の『吐血』証言の衝撃」と題された記事が載りました
 それによると安倍首相6月30日、東京ステーションホテルの客室で稲田政調会長、JR東日本の富田哲郎社長、大塚陸毅相談役と会食をしたときに、突然気分が悪くなりトイレに駆け込み吐血したため、慌てて慶応大学病院の医師を呼び診察を受けたということです。
 
 ところが週刊文春」発売日の翌20日、安倍首相の事務所が文藝春秋社の編集長と社長に対して、「全く事実無根の内容が含まれており、個人を中傷し、読者に著しい誤解を与える、悪質極まりないもの」なので記事の撤回と訂正を求めるとする抗議文書を送ったということです
 文書には法的措置を検討することも書かれていました
 
 この問題を取り上げたLITERAは、
欧米諸国では常に、最高権力者の健康状態について憶測も含めたさまざまな報道がとびかっているが、その行為は報道の自由として尊重されている」、
総理大臣が一メディアを相手取って訴訟を起こす行為は言論弾圧につながるとして、歴代の多くの総理は批判報道にも法的手段で対抗することを戒めてきた」、
そもそも国家の最高権力者である大統領や首相の健康状態というのは、国民が知る権利を行使すべきもっとも重要な対象である
と述べています
 
 これは例えば脳に病気を持つ人や精神を患っている人、あるいは不治の病で正常な精神状態でない人に、国の舵取りを任せることはできないので極めて当然のことです。
 
 仮にメディアへの権力による干渉という面に限定して考えてみてもこの抗議文書は問題です。
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安倍首相が文春の「吐血」報道に「訴える」とヒステリー抗議! 
この男に総理大臣という自覚はあるのか?
LITERA 2015年8月21日
 最近になって複数のマスコミが安倍首相の健康不安を報じているが、なかでも驚きをもって受け止められたのが「週刊文春」(文藝春秋)8月27日号の報じた「安倍首相の『吐血』証言の衝撃」と題された記事だ。
 
 記事によると、安倍首相は6月30日、東京ステーションホテルの客室で会食をしていたが、突然気分が悪くなり、トイレに駆け込み、吐血。控えていた今井尚哉秘書官が慌てて慶応大学病院の医師を呼び、診察を受けたのだという。
 安倍首相といえば、潰瘍性大腸炎という持病をもっていることが知られているが、この病気で一般的に起きるのは吐血でなく下血だ。そのため、「文春」は別の内蔵疾患と、潰瘍性大腸炎が悪化して薬を強くしたための副作用という可能性を指摘していた。
 
 しかし、この報道では、安倍首相の体調以上に驚いたことがある。それは、「文春」発売日の翌20日、安倍首相の事務所が、文藝春秋に記事の撤回と訂正を求める抗議文書を送ったことだ。
 この文書は、編集責任者の新谷学編集長だけでなく松井清人社長にも宛てられ、「全く事実無根の内容が含まれており、個人を中傷し、読者に著しい誤解を与える、悪質極まりないものだ」としたうえで、法的措置を検討するとまで書かれていたという。
 
「個人を中傷」とは、いったいこの男は、自分がどういう立場にあるのかわかっているのだろうか。
 そもそも国家の最高権力者である大統領や首相の健康状態というのは、国民が「知る権利」を行使すべきもっとも重要な対象である。
 なぜなら、最高権力者が深刻な病気にかかっていれば、正常な判断能力を失っている可能性も十分考えられ、一国の命運が左右されかねないからだ。もっといえば、不治の病にかかって、国民を道連れに破滅的な政策を強行しようとする権力者もありえなくはない
 安倍首相にも当然、その危険性はあるだろう。とくに日本の国のあり方を根本から変える安保法制を強行しようとしている裏で、安倍首相がなんらかの深刻な病気を抱えていたとしたら、その情報は絶対に明らかにし、政策との関連性を分析しなければならない。
 
 安倍首相は吐血を「事実無根」などといっているが、権力者の健康報道については事実認定の必要はない。健康不安が明らかになれば、為政者は政治的影響力を失うことにつながりかねないため、必ず箝口令をしいて、その事実を徹底的に隠蔽する。だからこそ、メディアは事実として認定されていない段階でも、積極的に報道すべきなのだ。
  実際、欧米諸国では常に、最高権力者の健康状態について憶測も含めたさまざまな報道がとびかっているが、その行為は報道の自由として尊重されている。
 
 ところが、我が国の総理大臣は自分の病状を「個人を中傷」などといって、メディアに対して法的手段に訴えるなどと脅しているのだ。現役の総理大臣がメディアを名誉毀損で訴えたのは、「噂の真相」に買春検挙歴を報道された森喜朗元首相が辞任必至の窮地に陥って訴えたくらいで、ほとんど前例がない総理大臣が一メディアを相手取って訴訟を起こす行為は言論弾圧につながるとして、歴代の多くの総理は批判報道にも法的手段で対抗することを戒めてきた。
 これだけをとっても、いかに安倍晋三という政治家が、「言論の自由」「民主主義」を理解していないかがよくわかるだろう。
 
 しかも、「文春」の記事はけっして、「事実無根」などではない。6月20日にそれを疑わせるような事態が起きたのは明らかな事実だ。
「吐血があったとされる東京ステーションホテルの会食は、稲田朋美政調会長、JR東日本の富田哲郎社長、大塚陸毅相談役といっしょだったんですが、情報は同席者から漏れており、新聞記者もみんなその情報は知ってましたよ。一部の社は今井秘書官にあてたらしいですが、吐血は否定したものの、トイレにこもったことは否定しなかったようです」  (全国紙政治部記者)
 
 また、「文春」の記事は中傷どころか、明らかに安倍サイドに配慮していた。記事を読むと、「一連の取材を通して浮かび上がってきたのは、満身創痍となりながら、安保法案の成立、そして9月の総裁選にむけて、一人で苦闘を続ける安倍首相の姿だ」とまるでエールを送っているような記述も目立っており、永田町では一時、官邸と文春が国民の同情を引くために仕掛けたヤラセ記事じゃないか、という噂までとびかっていたほどだ。
「文春の新谷編集長は安倍首相の『美しい国へ』の担当編集者で、官邸リーク記事をしょっちゅうやってますからね。ただ、今回は記者がとってきた情報で、逆に新谷編集長ら編集幹部が安倍首相に配慮してかなりソフトにしたというのが真相らしいです」 (週刊誌関係者)
 
 いずれにしても、こんな程度の記事に抗議したということは、むしろそれだけ体調不良が深刻な状態で、絶対に知られたくなかったからではないか、とも言われている。
 実際、体調不良は他のメディアでも報道されており、「週刊ポスト」(小学館)8月21・28合併号は「週刊文春」で「吐血」したとされる6月30日の1カ月後の7月30日に、昼食を摂るのを拒むほど身体の不調を訴え嘔吐し医師の応急処置を受けたと報道。「週刊現代」(講談社)8月29日号もまた安倍首相がトイレに駆け込む回数が増え、自宅に帰ると「起きていられない状態」などと健康不安を指摘している。
 これが事実だとしたら、安保法制は健康不安を抱える安倍首相が自分の名前を歴史に残すという個人的野望のためだけに強行しようとしている可能性も出てくる。メディアはこんな脅しに屈することなく、全力で安倍首相の病状を追及するべきだ。 (田部祥太)