2015年7月29日水曜日

礒崎発言は「言語道断」 更迭要求が相次ぐ

 礒崎陽輔首相補佐官が地元大分市での講演で、26日、安全保障関連法案に関して「法的安定性は関係ない」と述べたことが大問題になっています。
    .「法的安定性」は、法やその解釈がみだりに変わらないこと、そして、それに
       よって、国民の生活や社会秩序が安定するという考え方
 自民党は礒崎氏がその後党に対して発言を陳謝したことを明らかにしましたが、野党からは28日、「言語道断の発言だ」として礒崎氏の更迭要求が相次ぎました
 
 安倍首相はそれに対して発言は「憲法との関係とともに、わが国を取り巻く安保環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した」ものとして、更迭要求に応じませんでした(28日参院特別委)。
 もともと礒崎氏の「法的安定性は関係ない。わが国を守るために集団的自衛権行使が必要かどうかが基準だ」という発言は、安倍首相の主張をなぞったものなので首相としてはそうするしかなかったのでしょう。また新たな火種を抱えたことになります。
 
 28日、憲法学者のグループが会見を開き、「安全保障関連法案を速やかに廃案にするよう求める」とする研究者200人余りの声明を発表しました
 その際にも、礒崎発言は憲法の力を弱めるだけでなく、法に基づいた国の統治を軽く見ており、法律への無理解を象徴している」「立憲主義を理解しないままがむしゃらに法案成立を図っているもので、彼は責任ある職に就いている資格がない」などの批判が相次ぎました。
 
 礒崎氏は自民党の憲法改正草案を執筆しましたが、そこでは条文の各所で国民に義務を課したほか、最後の102条で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と謳いました。
 それで草案が発表された直後から「起草者は“立憲主義”を理解していなかったのではないかという指摘が出されましたが、それに対して何んと「立憲主義は大学で習わなかった」と反論?しました
 勿論そういう問題ではなくて、今日「立憲主義」は殆どの中学校教科書に盛り込まれています。
※ 2012年5月31日 自民党の憲法改正草案は非常に反動的 
 
 安倍政権の立憲主義に対する認識不足は今後も大いに追及されるべきです。
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礒崎氏発言:「言語道断」野党の更迭要求相次ぐ
毎日新聞 2015年07月28日   
 礒崎陽輔首相補佐官の安全保障関連法案に関する「法的安定性は関係ない」との発言に対し、野党はさらに反発を強めている。政府・自民党は礒崎氏が陳謝したことを明らかにして沈静化を急いでいるが、野党からは28日、「言語道断の発言だ」として礒崎氏の更迭要求が相次いだ。
    
 同日の特別委の理事会で、自民理事は礒崎氏が同党の聴取に対して陳謝したことを報告。これに対し、民主理事は「反省が不十分だ」と批判し、鴻池祥肇委員長(自民)は改めて礒崎氏に注意するよう自民に求めた。特別委では福山哲郎氏(民主)が礒崎氏の参考人招致を要求した。
 
 菅義偉官房長官は28日の記者会見で、礒崎氏に「誤解を与える発言は慎むべきだ」と注意し、「申し訳なかった」との回答があったことを明らかにした。それでも野党の反発は強まる一方だ。
 
 民主の榛葉賀津也参院国対委員長は記者会見で「その時々で中身や解釈が変わる恣意(しい)的な法律があっていいわけがない。更迭した方がいい」と批判。維新の党の柿沢未途幹事長も「首相がオウンゴールを繰り返す応援団と心中するならそれでいいが、そうでないなら任命権者として考えた方がいい」と語った。 【佐藤慶、小田中大】
 
 
首相、礒崎補佐官更迭応じず 法的安定性で応酬、参院安保委
東京新聞 2015年7月28日
 安倍晋三首相は28日の参院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案をめぐり法的安定性を軽視したとも受け取れる発言をした礒崎陽輔首相補佐官について、民主党からの更迭要求に応じなかった。礒崎氏発言について「憲法との関係とともに、わが国を取り巻く安保環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した発言だ」と説明した。民主党は集団的自衛権の行使容認が「法的安定性を損なう」と批判を強め、首相らと応酬を繰り広げた。
 
 礒崎氏が法的安定性に言及したことを受け、歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を容認した憲法解釈変更の正当性が、あらためて焦点となった。(共同)
 
 
憲法学者グループが礒崎氏の発言を批判
NHK NEWS WEB 2015年7月28日
安全保障関連法案の廃案を求める憲法学者のグループが会見を開き、礒崎総理大臣補佐官が法案を巡り「法的安定性は関係ない」などと発言したことについて、「立憲主義を理解しておらず、責任ある職に就く資格がない」と批判しました。
 
28日は参議院での審議が始まったことを受けて、憲法学者のグループが東京都内で会見を開き、「安全保障関連法案を速やかに廃案にするよう求める」とする研究者200人余りの声明を発表しました。
また、会見では、礒崎総理大臣補佐官が、26日の講演で、安全保障関連法案について、「法的安定性は関係ない」などと発言したことに対し、憲法学者から批判が相次ぎました。
東海大学法科大学院の永山茂樹教授は、「発言は憲法の力を弱めるだけでなく、法に基づいた国の統治を軽く見ており、法律への無理解を象徴している」と指摘しました。
また、日本体育大学の清水雅彦教授も「立憲主義を理解しないままがむしゃらに法案成立を図っているもので、責任ある職に就いている資格がない」と批判しました。
 
法的安定性とは
「法的安定性」は、法やその解釈がみだりに変わらないこと、そして、それによって、国民の生活や社会秩序が安定するという考え方です。
この考え方が重視されるのは、法やその解釈が不規則に変化すれば、私たちの生活にさまざまな不都合が生じかねないからです。