2015年6月9日火曜日

安倍政権は戦争法案を撤回するしかない

 安倍政権のような『戦争がしたい内閣』は史上初めてです。
 過去における日清戦争、日露戦争、太平洋戦争でも、ABCD包囲陣などそれなりに追い詰められた事情や軍部の暴走などが背景になっていて、政府がひたすら戦争を指向したというものではありませんでした。
 
 しかしいま安倍内閣が目指しているものは、史上空前の戦争国家であるアメリカが行う戦争にいつも参加・追随していたいというもので、そこには何の合理性も必然性もありません。
 いま提起されている戦争立法で参戦の条件に3つの聞きなれない「事態」を挙げているのも、そうすればアメリカが行う全ての戦争にいつでも参加できるからです。
 そういう発想で作られた戦争法案が、憲法違反は愚か、昨年の閣議決定をも大きく逸脱したものになっているのは当然のことです。
 
 そんな戦争法案を「合憲」と認める人が、日本の憲法学者の中に僅か3人しかいないのも当たり前のことです。
 
 憲法の制約を無視して戦争立法を行う政権は立憲主義から最も遠い政権です。
 原則を逸脱して戦争をするための法律をつくる作業が、如何に破廉恥なものであるかを示すブログには事欠きませんが、ここでは比較的短いものを3つ紹介します。
 
 一つは天木直人氏のブログで、ジェラルド・カーチス コロンビア大学教授が、安倍首相は米国では、米国を守ります、と言っておきながら、日本国内では、危険なことはしませんなどと全く正反対のことを言っている」、と批判したことを取り上げています。
 いうまでもなく安倍首相の真意は米議会での発言にあるのですが、肝心の国内向けには全くそれと180度反することを平然と口にして憚りません。
 それがサイコパスに由来するものでないのであれば、安倍氏は古参のジャパンハンドラーに一体どう言い訳するのでしょうか。
 
 二つ目は「そりゃおかしいぜ第3章」氏のもので、憲法の下に法律が作られその法律の周辺条約を取り決め、その下にガイドライン(指針)があるのが法治国家なのに、安倍政権が行っているのはそれと真逆のことであると述べています。
 そしてその鉄則は中学程度の常識に過ぎないとしています。
 
 もう一つは植草一秀氏の「安倍政権は窮地に追い込まれている」とするブログです。彼は昨年7月の閣議決定は憲法違反の疑いが濃厚であると説き起こして、憲法を改正してから集団的自衛権を行使するのが筋であるのに、憲法改定が困難であると分かると今度は憲法の内容を改定してしまう暴挙に走ったと指摘し、それが憲法学の権威たちによって憲法違反とされた以上、法案は撤回するしかないとしています。
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安倍首相の答弁は米国で言った事と正反対だと批判したカーチス
天木直人 2015年6月7日
 6月7日の早朝6時から放映されたTBSの時事放談で、御用学者のジェラルド・カーチス コロンビア大学教授が、図らずも、これ以上ない安倍首相批判を口走った。
 すなわち、安倍首相は米国では、米国を守ります、と言っておきながら、日本国内では、危険なことはしませんなどと全く正反対のことを言っている。こんなバカなことはない、と。
 これこそが、安倍首相の最大の矛盾であり、命取りになるダブルスタンダードなのだ。
 なぜ使い分けるのか。
 それは私が繰り返しているように、安倍首相には覚悟がないからだ。
 国の安全保障政策という最も重要な政策課題で、確固としたみずからの信念がないのだ。
 国民の反発をおそれ、支持率低下を恐れる。彼にあるのは名誉欲と保身だけだ。
 オバマ政権はもとより、米国の関係者は呆れ果てているに違いない。
 そんな首相でも、米国の言いなりになるから米国にお目こぼしされ、いいように米国に利用されている。
 これまでの日本の首相のなかでも、もっとも情けない、最低の首相だ。
 その安倍首相が、1強多弱の政治状況の中で、長期政権となると当然視されている。
 日本国民にとってこれ以上の不幸はない(了)
 
 
安倍内閣の面々、やることなすこと逆ばかり
そりゃおかしいぜ 第3章 2015年6月8日 
サミットに行っても、中国の海洋進出を意識して「法の支配による秩序」を繰り返すが、国内で安倍政権がやってることは全く逆である。
 
 日米ガイドラインであるが、勝手にアメリカに行って日米の軍事協力を決めてきてしまった。詳らかにみると、日米安保条約を逸脱している。その前に憲法にすら抵触する日米安保条約でないかと思われる。憲法の下に法律が作られその法律の周辺条約がなされ、その下にガイドライン(指針)があるのが、法治国家である。
 即ち、憲法があっての立法(法律)であり、法律があっての条約であり、それにしたがって協約が存在する。中学程度の知識である。ところが、安倍政権は勝手に日米ガイドラインを決めてから、国会に法案を提出するのである。真逆である
 
アメリカの議会に集団的自衛権行使容認が秋にはできるように約束してきたが、安倍晋三日本の法律や国民の上にアメリカ議会を置いている。考え方としても、手続きとしても問題がある。本来のあるべき形の逆である。
 
 沖縄では住民がこぞって、辺野古の新基地建設反対である。名護市長も市議会議員も、沖縄知事選挙も衆議院選挙も名は市長選挙も、辺野古の基地建設反対である。先日行われた沖縄住民アンケートでも、85%が反対であった。国が決めたことを、問答無用と押し付けるのは、国民が主役であるはずの、民主主義の根幹をゆるがすものである。逆である。
 
 中谷元防衛大臣が安全保障法制(戦争法)の説明で、本音を吐露した。「憲法をいかに法案に適合させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定した」と述べたのである。行使容認の結論がさきにあって、解釈変更を進めたと」発言したのである。
 憲法に従って法案を作成したのではなく、法案の趣旨に合致するように従って憲法を解釈を変えたのであると、正直に吐露したのである。
 不用意というより、中学生程度の法律の知識もないのである。よくもぬけぬけと、海外まで出かけて『法律による支配』を強調できるものである。
 
 
実は窮地に追い込まれている安倍政権
植草一秀の「知られざる真実」 2015年6月 8日
安倍政権の進退窮まる事態が生じている。
問題は立憲主義という、日本の国家のあり方の根幹に関わる事項であり、マグニチュードが極めて大きい。
安倍晋三氏はこれまで二度、年金問題でつまづいてきた。
 
年金未納問題が広がった2004年。
小泉純一郎首相は、「人生いろいろ。会社もいろいろ。社員もいろいろ」と、主権者を愚弄する発言を示したが、直後の参院選で大敗北した。幹事長職にあった安倍晋三氏は辞職を迫られた。
 
「消えた年金」問題が広がった2007年。
安倍政権は参院選で大敗し、安倍首相は首相の職を放り出した。
 
そして、今国会では公的年金の個人データが大量に外部流出したことが明らかにされた。国会で政府の責任が厳しく追及されることは必定である。
このことだけでも政権に激震が走っているのだが、それよりもはるかに深刻な事態がいま生まれている。それが憲法問題である。
安倍政権は昨年7月1日に、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。今国会にはそれを法律案にして提出した。しかし、この行為には重大な問題が内在している。それは、こうした閣議決定および立法行為が、憲法違反である疑いが濃厚であることだ。
日本国憲法第99条に次の定めが置かれている。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
国務大臣、国会議員に憲法尊重擁護義務が課せられている。
この条文こそ、「立憲主義」を具現化したものである。
 
国政を行う権限、すなわち行政権は内閣に属する。しかし、内閣にフリーハンドが与えられているわけではない。国務大臣は憲法尊重、擁護義務を負うのである。
つまり、国政の基本には憲法が置かれるのであり、内閣といえども、憲法の前には従順でなければならないのだ。これは、政治権力の暴走を防ぐための手立てである。
 
そして、憲法に対しても防御壁が設けられている。
憲法改定のハードルが高く設定されているのである。憲法は国の基本であるから、この基本を大切に取扱い、政治権力が暴走して憲法を勝手に改変しないように、備えているのである。
安倍首相は当初、憲法を改定して集団的自衛権行使を容認する考えを示していた。
集団的自衛権行使容認に反対する主権者は多いが、この道筋を辿って憲法を改定し、集団的自衛権行使を容認するなら、それは許容される政治行動である。
ところが、憲法改定のハードルは高い。そう簡単に憲法改定は実現しない。憲法が安易に改定されないように、高いハードルが設定されたのだから、あたり前のことだ。
この意味で、憲法を守る仕組みは有効に機能していると言える。話はここで止まるのが順当である。
 
安倍首相は憲法改定に向けて、必死にもがく。しかし、主権者の賛同は、そう簡単には得られない。これが順当な姿なのである。
この事態に、安倍晋三氏は驚くべき行動を示した。
憲法を改定せずに、憲法の内容を改定してしまう暴挙を思いつき、その方向に大暴走を始めたのである。欲しいものが手に入らずに、道路の真ん中に大の字になって泣き叫ぶ精神的未熟児の姿を彷彿させるものである。
 
集団的自衛権行使について、歴代政権は憲法解釈を明確に定めてきた。誤解の余地はない。自国が攻撃されたときに自衛権を発動することは、最小限度認められるが、他国が攻撃されたときに自衛権を発動することは、憲法の規定により許されない、というのが唯一の憲法解釈である。
自民党が推薦して国会で意見を陳述した憲法学者も、安倍政権の立法行為を違憲であると断じた
 
安倍政権は法案を撤回する以外に道はない。
撤回しない場合には、日本の主権者は、安倍首相を退陣に追い込む必要がある。
以下は有料ブログのため非公開