2015年6月15日月曜日

安保法制推進高村氏の致命的国会答弁が発覚 (植草氏)

 自民党の高村氏は14日のNHK「日曜討論」に出演し、司会者の島田敏男氏のサポートを受けながら、集団的自衛権行使を容認する安保法制について、次のように鉄面皮な説明を繰り返したということです。
 
 砂川判決に示されるように、日本は自衛のための措置を行う権利を有している
 1972年政府見解は、自衛のための措置をとることができる要件を定めているが、その要件を満たすケースが時代環境の変化によって変化したので、自衛権を行使できるための要件を一部変更した。
 新たに認められる行為は、国際法上、集団的自衛権の行使になるが、1972年見解を踏襲したものである。
 
 それに対して植草一秀氏は14日付の彼のブログで、「高村氏が主張するような判断が生まれる余地はない」と批判するとともに、1999年2月9日の衆議院安全保障委員会において、当時外務大臣であった高村氏が集団的自衛権の行使に関して、
 「日本国国民自身がみずからの憲法をつくって、集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけですから、当然日本国政府はそれに縛られる(要旨)」
と、政府判断を明確に述べたことを紹介しました。
 
 同じ人間が、いまはそれと真反対のことを堂々と広言して憚らないわけですが、それでは国民の誰もが納得しません。
 
 植草一秀氏は、高村元外相の発言を紹介した後。
 「誤解が生じる余地はゼロ
 「完全にアウト!」、
 「安倍政権は安保関連法案を撤回する以外に道はない
と述べています。
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安保法制推進高村正彦元外相致命的国会答弁発覚
植草一秀の「知られざる真実」 2015年6月14日
6月14日のNHK「日曜討論」に自民党副総裁の高村正彦氏が出演した。
NHKの番組運営は相変わらずの偏向さを丸出しのものである。
NHKの偏向を代表する司会者の一人である島田敏男氏は高村氏だけに多大の発言時間を提供する。
私はこの番組に多数回出演しているが、番組運営にはルールがある。
一人の発言時間は1分以内とされている。
テーブル中央にランプが用意され、1分を経過するとランプが点灯し、時間オーバーが表示される。
公正な討論が行われるように、発言回数は均等になるように配慮されるべきとされるが、島田敏男氏は高村氏に多大の発言時間を提供し、時間オーバーの発言にもほとんど注意を喚起しない。
安倍政権がNHK経営委員会人事を恣意的に行ない、NHK会長人事を歪め、NHKの人事全体が政治支配の影響を強く受けるようになっている。
このため、NHKの放送全体が偏向一色に染め抜かれる事態が生じている。
 
この問題は脇に置くこととして、主題の集団的自衛権行使容認の安保法制について記述する。
 
高村氏は集団的自衛権行使を容認する安保法制について、次のような説明を示した。
砂川判決に示されるように、日本は自衛のための措置を行う権利を有している。
1972年政府見解は、自衛のための措置をとることができる要件を定めているが、その要件を満たすケースが時代環境の変化によって変化したので、自衛権を行使できるための要件を一部変更した。
新たに認められる行為は、国際法上、集団的自衛権の行使になるが、1972年見解を踏襲したものである。
このような趣旨の説明をしている。
 
1972年政府見解は次の内容を示している。
1.日本は主権国家として自衛権を有している。
2.この自衛権のなかには個別的自衛権だけでなく集団的自衛権が含まれる。
3.しかし、自衛権の行使については、憲法の制約がある。
「平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」
4.憲法解釈上、許される自衛権行使は、次のものである。
「あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」
つまり、
(1)外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態(に限って)
(2)国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認される
(3)その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきもの
としている。これが自衛権を行使できるための「三要件」である。
5.他方、集団的自衛権については次のように記述した。
「わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」
 
1972年は個別的自衛権の行使ができる3要件を示し、集団的自衛権については、日本国憲法の制約により、その行使が許されないとしている。
 
したがって、国際法上、集団的自衛権の行使と見なされる自衛のための措置は許されないとするのが1972年政府見解を踏襲する判断であり、高村氏の主張は論理的な説得力を持たない。
高村氏は、1972年政府見解が定めて3要件が指し示す内容が、時代環境の変化が変化したので、自衛のための措置をとることができる範囲が変わったと主張する。
そして、新たに認められる自衛のための措置の一部が、国際法上の集団的自衛権の行使と言わざるを得ないと述べた。
しかし、1972年政府見解は、この点について明確に、「いわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」と表現しているから、高村氏が主張するような判断が生まれる余地はない
 
この高村氏にとって致命的な事実が存在することが判明した。
メルマガ読者が情報を提供下さった。
情報を基に調べてくると、次の事実が判明した。
1999年2月9日の衆議院安全保障委員会において、当時外務大臣であった高村正彦氏がこの点に関する政府判断を明確に述べていたのである。
高村正彦外務大臣の答弁は次の通り。
「国際法上、国家は個別的自衛権に加えて集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされています。我が国が国際法上このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であり、日米安保条約前文も、日米両国がこのような集団的自衛の固有の権利を有していることを確認しているところであります。
しかしながら、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない、こう考えております。」
「主権国家でありますから、国際法上主権国家に当然認められている自衛権、これは個別的自衛権だけじゃなくて集団的自衛権も有しますが、日本国国民自身がみずからの憲法をつくって、それは行使しないと、その集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけでありますから、当然日本国政府はそれに縛られる、こういうことだと思います。」
 
誤解が生じる余地はゼロである。
完全にアウト!
安倍政権は安保関連法案を撤回する以外に道はない
 
(以下は有料ブログのため非公開)