2015年5月22日金曜日

答弁になっていない安倍首相の党首討論

 21日の地方紙の社説は、前日行われた党首討論で安倍首相がまともに答えようとせずに、逃げの姿勢に徹していたことを批判しています。
 
 曰く、かみ合わぬ論戦だった南日本)、これでは論議深まらない西日本)、安保法制のリスクも語れ高知)(新潟日報)、首相は疑問点に答えよ中国)(信濃毎日)(岩手日報)、抽象論では理解進まぬ山陽)、首相答弁は丁寧さを欠く神戸)、安保法制に疑問深まる京都)、安保法制の説明足りぬ北海道) 
という具合です。
 
 南日本新聞は、かみ合わなかったのは安倍首相が正面から議論を受けて立つ姿勢に乏しかったからであるとし、国民の多くは安保法制に反対しているのにこれでは理解が進まないと述べました。
 西日本新聞も、安倍首相が正面から議論に応じなかったと指摘し、後方支援自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが高まるのではないかと首相にただしたのに対して、安倍首相「現場の指揮官の判断で退避できる」からリスクとは関わりがないというのは、アフガニスタンで後方支援の部隊からは多くの死者が出ているので説得力がないとしましたまた歴史認識に関する共産党の志位和夫委員長の質問にも、まともに答えるのを避けイエスかノーかと問われてもはぐらかしたとしました。
 高知新聞も、後方支援の自衛隊は危険が迫れば作業を中止し退避するのでリスクとは関わりがないというのはおかしいとし、「自衛隊が外国の領土、領空、領海で武力行使することはない」というのであれば、「日本周辺」や「極東」を自衛隊の活動範囲としてきた、従来の安保法制を変える必要はない筈だとしました。
 山陽新聞は、維新の党松野頼久代表が安保法制の成立を今夏までと区切るのでなく「国会をまたぐ覚悟で慎重審議を促したのに対し、首相は「決めるべきは決める姿勢が大切だ」と述べたことを取り上げました。まことに何の説得力もない回答です。
 神戸新聞は、納得がいかないのは安倍首相の姿勢であるとして、「何回も何回も説明してきたことだが」と何度も前置きしつつ、法案の条文をなぞるだけの型にはまった答弁に終始したと指摘しました
 
 お粗末極まる安倍首相の答弁です。
 
 以下に21日付社説のタイトルの一例を示します。
党首討論  かみ合わぬ論戦だった       南日本新聞
党首討論 これでは論議深まらない      西日本新聞
党首討論 首相は疑問点に答えよ    .   中国新聞
党首討論 抽象論では理解進まぬ    .   山陽新聞
党首討論 疑問に答えぬ不誠実さ  .     信濃毎日新聞
党首討論 「なぜ」に応えていない       岩手日報
党首討論 安保法制の説明足りぬ       北海道新聞
 
 植草一秀氏の21日付ブログ「真摯さ皆無 驕れる安倍首相の緩み切った党首討論」を紹介します。
 ブログ「まるこ姫の独り言」が21日付で首相を酷評しているので併せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
真摯さ皆無 驕れる安倍首相の緩み切った党首討論
植草一秀の「知られざる真実」 2015年5月21日
国会で党首討論が行われた。
安倍首相は集団的自衛権行使の容認について一般論を述べることに終始して、詳細を明言することを避けた。つまり「ごまかし」である。
たとえば、安倍氏はこう言う。
一般に海外派兵は許されていない。武力の行使、戦闘行為を目的として海外の領土、領海に入ることは許されない」
「海外派兵は許されない」 「海外の領土、領海で武力行使はしない」とは述べない。
「言葉の詐術」なのだ。
 
TPPのことを思い出していただきたい。
2012年12月の総選挙で、安倍自民党はどんなポスターを貼り巡らせたのか。
「ウソつかない! TPP断固反対! ブレない! 日本を耕す!!自民党」
これが安倍自民党の選挙ポスターだ。
選挙から3ヵ月後、安倍晋三氏はTPP交渉に参加する記者会見を行った。
そういう人物なのである。
「詐術」 「トリック」 「トラップ」 「ペテン」なのだ。
 
集団的自衛権行使の三要件とは、
1.わが国の存立が脅かされ、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が根底から覆される明白な危険があるとき、
2.他に方法がない場合、
3、必要最小限度の武力行使等が認められる。
こんな規定はあってないようなものだ。具体的規定ではなく、抽象的な規定であるから、運用によって内容をいかようにも変えられるのだ。
 
だが、根本の問題は、これが日本国憲法に明らかに反していることだ。
日本国憲法は、「国際紛争を解決する手段として」 「国権の発動たる戦争、武力の行使、および武力による威嚇」を「永久に放棄する」ことを定めている。
 
「集団的自衛権の行使」とは、まさに、「国際紛争を解決する手段として」 「国権の発動たる戦争、武力の行使、および武力による威嚇」を実行することであるから、いかなる要件を設定したところで、憲法に反することは明らかであり、ごまかすことは許されないのだ。
 
憲法を踏みにじる政治、立憲政治を破壊する政治がまかり通っている。党首討論をやっても、野党側から、安倍政治の暴挙を叩きのめすという、意志も熱意もまったく伝わってこない。国会審議は審議をしたという「アリバイ」作りの場にしかされていない。
ごく短時間の審議をしたことにして、最後は多数決=数の論理で押し通す。
その姿勢が鮮明である。
 
安倍首相は「新三要件」を読み上げるだけだが、新三要件など何の歯止めにもならない。
抽象的な言葉の羅列であるから、解釈の余地は無限大なのだ。
「水のたまっている場所」と規定しても、それが「小さな水たまり」なのか「太平洋のような大海」であるのかはっきりしない。具体的に明言しないのは、曖昧さを意図的に残すためである。
「一般的に」の言葉は、「一般的ではないケース」の存在を念頭に置く言い回しだ。
「~を目的として派兵しない」は、「別の事情での派兵はあり得る」ことを示唆するのだ。
「ペテン政治」に対応するには、細かな部分の厳密性、明示が必要不可欠なのだ。
いまのまま進めば、安倍政権の「やりたい放題」は加速する一方である。
(以下は有料ブログのため非公開)
 
 
党首討論、答弁にならない安倍首相の姑息、支離滅裂
まるこ姫の独り言 2015年5月21日
昨日の党首討論、安倍首相の無知や不勉強、頭の悪さばかり が際立った。
そもそも、この党首討論、なぜ時間を切るのだろう。しかも短時間。どうせやるなら最低でも一人1時間程度与えたらどうか。
もっとも、こんな短時間でも野党の突っ込みに堪えられない安倍首相の答弁の支離滅裂、偏向ぶりが露呈している現状では到底無理で、この短時間が精いっぱいと言う事かも知れない。それにしても、これが一国の首相の答弁かと思うと情けなくなる
 
>党首討論 安倍首相「海外派兵や領土・領海に入ることは許されない」 安保法制めぐり論戦 
                産経新聞 5月20日(水)22時6分配信 
>安倍晋三首相は20日、今国会初の党首討論に臨み、政府が国会提出した安全保障関連法案などをめぐり民主党の岡田 克也代表ら野党3党首と論戦を繰り広げた。首相は新たな安 保法制に関し「一般に海外派兵は許されていない。武力の行 使、戦闘行為を目的として海外の領土、領海に入ることは許されない」と述べ、自衛隊の海外活動の拡大に理解を求めた。
 >「戦闘に巻き込まれることがないような地域をしっかり選ぶ のは当然だ」と語った。
 >「日本の意思に反して戦闘行動に巻き込まれることがないのは当たり前のことだ。あり得ない」
 
どれだけこの集団的自衛権行使を、安易に考えているのか。
集団的自衛権とは、おおざっぱにいえば”アメリカに追随して他国の戦争に参加する”ことが目的なのに、安倍首相は”武力の行使、戦闘行為を目的として海外の領土、領海に入ることは許されない”と言う。
自衛隊は海外の領土・領海・領空に入らないと言うが、だったらどこに行くのか。
アメリカに追随して行くと言う事は、敵方からすれば、安倍首相がどんなに詭弁を使おうと、もうすでに武力行使、戦闘行為とみなされる訳で、あまりに考えが偏向すぎる。
少なくとも、安倍政権・自民党以外の党は、この安倍首相の無知で頭の悪さには辟易していると感じる。
なぜ一般人でも理解できる事が、安倍首相に理解できないのか不思議で仕方がない。
 
”戦闘に巻き込まれることがないような地域をしっかり選ぶのは当然だ”とか、”日本の意思に反して戦闘行動に巻き込まれることがないのは当たり前のことだ。あり得ない”とか、そんな安易な考えを敵方が理解してくれるのだろうか。
そして戦争に参戦しているのに、巻き込まれる事のない地域はどこにあるのか。
 
私も戦争を体験した訳ではないが、当たり前が当り前ではなくなるのが戦争だと思うが。。。
 理性も感情も無く、相手を徹底的に殺戮する、それこそ、殺すか殺されるかの極限状態だと思うし、一国の首相ならそこまで想定して考えるべきだと思うが、安倍首相だけは相当にのんきな発想だ。
 
憲法を捻じ曲げてまでも、今まで行ってこなかった集団的自衛権を行使するなら、最低でも自衛隊員の安全・命のリスクを徹底的に論じる事が、首相に課せられた使命のはずだが、この首相、国会での答弁のように、相手の質問には答えない
話がかみ合わないのはいつもの事だ。
やっぱり、読解力、理解力が欠如しているのかもしれない。
 
安倍首相は、自衛隊員の命をどうとらえているのだろう。
こんないい加減な人間の自己満足のために、、海外派兵を押し付けられる自衛隊員、その家族の心境はいかばかりか。。。
 
ポツダム宣言のくだりは、安倍首相は、”私はまだその部分をつまびらかに読んでいないので論評を差し控えたい”と逃げたが、志位委員長はその部分を読み上げた上で、間違った戦争であると言う認識があるのかないのか、問うている。
その読み上げた文章を理解さえ出来れば、その場で答えられた筈だが例のごとくはぐらかしている。
 結局、安倍首相はポツダム宣言を今になっても受け入れたくなかったと言う事だ。
間違った戦争であったとは認めたくないのだろう。どこまでも姑息な人間だ。そういうところだけは知恵が回る。
 
それにしてもこの歴史的文書を読んでいないと言うのは、嘘にしても本当にしても、一般人ならともかく、一国の首相の発言としてはお粗末すぎる。
言っていて恥ずかしいと思わないのだろうか。
 
ポツダム宣言には、国民を騙して戦争に突き進んで行った日本軍の非道な行為が徹底的に糾弾されている。
ポツダム宣言を真摯に捉えていれば、平和憲法の下では集団的自衛権行使や、憲法改正への発想にはならないと思うが。。
 
安倍首相がまた同じ過ちを犯そうとしているのが良く分かる。