2015年4月5日日曜日

自民の改憲の進め方に党内から異論 野党は自民ペースを警戒

  昨年12月の衆院選後、初の衆院憲法審査会が2日午前開かれました。この日は幹事の選任など事務的な手続きのみで、実質的な審議には入らず散会しました。
 
 保岡興治会長は、「政権や政策を巡る対立から距離を置き、大局的な見地で議論していくべきだ各会派、各議員の発言の機会を平等にすることを原則とし、公正・公平な運営を行う」とあいさつしました。
 
 自民党憲法改正推進本部は2月、環境権 ・財政規律 ・緊急事態の3点を憲法改正の先行項目とする案を提示しましたが、環境権の新設には当初は乗り気だった公明党が海外の事例から慎重姿勢に変わり、国家緊急権も国民の私権を制限する条項であるため勿論簡単には行きません。党内では推進本部の構想に反して、「9条改正から堂々と議論すべきだ」とする声も出始めているということです
 
 維新の党を除く野党側は自民党ペースで改憲論議が進むことを警戒し、憲法審査会の運営をめぐっても与野党間の調整は難航しています
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衆院憲法審査会:自民党内でも改正にカンカンガクガク
毎日新聞 2015年04月02日
 昨年12月の衆院選後初の衆院憲法審査会(保岡興治会長)が2日開かれた。自民党はこれに合わせ、議論の進め方を協議する幹事懇談会の開催を呼びかけたが、野党の協力が得られず見送られた。安倍晋三首相は憲法改正に前向きだが、各党が歩み寄る機運は乏しく、議論に入るメドは立っていない。【高本耕太、佐藤慶】
 
 「政権や政策を巡る対立から距離を置き、大局的な見地で議論していくべきだ」。保岡氏は憲法審でこうあいさつし、幅広い合意形成を目指す考えを強調した。自民党内では昨年の衆院選の余勢を駆って、憲法改正の項目選定を急ぐ動きがあり、これを戒める狙いとみられる。
 党憲法改正推進本部は2月、環境権などの新しい人権▽財政規律▽緊急事態の取り決め−−の3点を憲法改正の先行項目とする案を提示した。環境権の新設には公明党が理解を示しており、与党間の足並みをそろえる狙いがあった。
 ただ、環境権をめぐっては憲法13条(幸福追求権)に基づき、基本理念を定めた環境基本法がすでにある。当初は前向きだった公明党も、経済活動の障害になりかねないと慎重姿勢に転じた。
 緊急事態条項も国民の私権を制限する議論で、慎重な検討が避けられない。議論をどう進めるかの合意作りが遅れる中、党内からは「9条改正から堂々と議論すべきだ」など、自民党の思惑に沿った改正を主張する声が出始めている。
 審査会幹事も務める船田元・党憲法改正推進本部長は2日、記者団にどの項目から進めるかを問われ「全ては今後の話し合いだ」と述べるにとどめた。
 
 自民党の9条改正論は、民主党の警戒感を刺激している。自民党が掲げた環境権など3項目にも「改憲への違和感を取り除いて9条改正と考えている節もある」(岡田克也代表)と懐疑的だ。党内に改憲派と護憲派が混在し、「具体論に入れば意見集約は簡単ではない」(党関係者)との党内事情も、自民党主導の改正論議に乗りにくい一因だ。
 
 一方、憲法改正に前向きな維新の党の井上英孝氏は記者団に「統治機構改革も含め、積極的に議論したい」と発言。共産党の赤嶺政賢氏は「国民から憲法を変えろという声が上がっていない中、審査会は開くべきではない」と批判した。
 
◇憲法改正をめぐる国会の動き
1997年 5月 超党派の「憲法調査委員会設置推進議連」が発足
2000年 1月 衆参両院に憲法を調査・論議する憲法調査会が発足
2005年 4月 衆参の憲法調査会が最終報告書を公表
      10月 自民党が結党50年を前に「新憲法草案」を決定
           民主党が基本的見解をまとめた「憲法提言」を決定
2007年 5月 改憲手続きを定めた国民投票法が成立
       8月 衆参両院に改憲原案の審査・提出を行う憲法審査会が発足
2011年11月 4年超の休眠状態を経て、衆参憲法審査会が始動
2012年 4月 自民党が「憲法改正草案」を発表
2016年 秋  参院選後に改憲論議が本格化?