2015年4月16日木曜日

米国に相手にされていない首相はピエロだ (天木直人氏)

 安倍首相はアメリカ一辺倒の外交姿勢といえますが、肝心のアメリカの識者たちは「安倍外交」をどう見ているのかについて、天木氏がブログに書いています。
 米国は安倍首相を相手にしていないというものです。
 
 いま首相は訪米に向けての準備に余念がないことでしょうが、単に媚びへつらっていればそれで良いということではないという、あまりにも当然なことを分かっているのでしょうか。
 何よりも当のアメリカからそう見られているとは皮肉なものです。
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天木直人 2015 年 4 月 15 日
 ここまで米国に相手にされていない安倍首相はピエロだ
 安倍首相の訪米が近づく中で、奇しくも二つの雑誌が、米国は安倍首相を相手にしていない、という衝撃的な記事を掲載した。
 
 ひとつはリベラルタイム5月号に掲載されている日高義樹の「ブッシュ陣営が懸念する『安倍外交』」という記事だ。
 その中で日高氏は、次期大統領選挙の有力候補者であるジェフ・ブッシュ陣営の大物政治家が安倍首相を自分の前で次のように批判したのを聞いてびっくりしたと暴露している。
 「安倍首相は、アベノミクスなどで経済的には評価されているが、外交戦略を持っているようには見えない。アジアをどうしたらよいのか、中国、韓国、ロシア、北朝鮮と言っ国々の指導者たちとどう渡り合うか、わかっていないようです。」
 
 そして日高氏は、この政治家だけではなく、米国で新政権をつくろうとしている共和党ブッシュ派の政治家や評論家たちは、みな安倍首相の戦略のなさを嘆いているとして、その記事を次のように日高氏は結んでいる。
 「このところの安倍首相の人気は、『日本が世界で一番素晴らしい』という日本のマスコミの自己陶酔がつくりだした、日本国内だけのもののようだ」と。
 
 もっと驚いたのは、選択4月号の巻頭の掲載されているダグラス・パール・カーネギー国際平和財団副所長の「日米同盟『形骸化』は止まらない」という記事だ。
 パール氏は、米国務省、CIA、を経てレーガン大統領特別補佐官、国家安全保障会議アジア部長を歴任した人物だ。
 
 その彼のインタビュー記事の冒頭は、次のような言葉で始まっている。
 「今回の安倍晋三首相の訪米について米国では誰も関心を払っていないし、興味もない。私自身は、安倍首相が米議会で演説することについて戸惑っている。戦後70年間の平和の歩みについて語り、日米同盟の果たした役割を強調するというが、そんなことに一体どんな価値があるのか。少なくとも米国のメディアはなんらニュース価値を見いだせないだろう・・・」
 
 パール氏はさらに続ける。
 「現状、日米のトップの関係は完全に行き詰っている。互いの信頼関係が醸成されていないので、このまま改善することはないだろう・・・オバマと安倍がいくら口先だけで日米安保の重要性を説いても意味はない。そうした意味で日米同盟はどんどん形骸化している」
 
 そのピエロを支持する5割ほどの日本国民は、何と形容すればいいのか(了)