2015年2月22日日曜日

朝日新聞がようやく安倍首相を批判

 22日の朝日新聞が安倍首相を批判する社説を掲げました。
 内容は首相の国会でのヤジに限った「限定版」なのですが、それでも極めて珍しいことなのでその内容を紹介します。
 
 大新聞が安倍首相は批判しないのは、やはりトップが首相との会食にいそいそと馳せ参じている関係でしょう。トップスは報道の自由度ランキングが世界で61位ということに愧じる思いはないのでしょうか。
 
 それにしてもこれから戦争国家に向けて日本を大きく曲げようとしている安倍首相を、日本のマスメディアが一切批判しないというのは奇異なことです。 
 
 連日色々な人の言説を紹介している「晴耕雨読」というブログがありますが、そこに並んでいるタイトルは例えば次のようなものです(22日付)。
 
国の指導者が、現実を直視しない、という危険な領域に入っている。:山崎 雅弘氏
 
やっぱりね「安倍晋三的」なるものを放置することのツケは大きいと思うな。:ネコには都合が多い氏
 
聞いてるかシンゾー  オバマ氏は同日の演説で「過去の過ちを繰り返さないよう、:小田嶋隆氏
 
自民党の皆さん、怖くはないんだろうか?:松井計氏
 
新聞、テレビ、ラジオ、ここで問題視しなければジャーナリズムが死んだといってもいいと思う:大島堅一氏
 
バカが議論すると、議論すること自体がバカバカしくみえるから、抜群の破壊力なんだよな:kazukazu88氏
 
この国は運転手が一番怖い:金子勝氏
 
 収録された大半が安倍晋三氏を批判するものになっています。保身を離れた本音の言説の実態はこのようなものではないでしょうか。
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(社説) 首相のヤジ―敵意むき出し華もなし
朝日新聞 2015年2月22日
 先日の衆院予算委員会で、耳を疑う場面があった。
 民主党の玉木雄一郎氏が、砂糖業界団体の関連企業から西川農水相への寄付について、「脱法献金だと言わざるを得ない」と追及していた時のことだ。
 首相が自席からこんなヤジを飛ばした。
 「日教組!」「日教組どうするの、日教組!」
 玉木氏は「総理、ヤジを飛ばさないで」と繰り返し、見かねた大島理森予算委員長が「総理、総理も、ちょっと静かに」とたしなめた。
 NHKやネットで生中継されていた中でのこと。首相がどうしてこんなヤジを飛ばすのか、多くの人が首をひねったに違いない。
 首相の念頭には自民党が野党時代に国会で取り上げた民主党議員と日教組との関係があったようだ。翌日には民主党からの抗議に「今後、静かな討論を心がけたい」と語った。
 ヤジは「議会の華」という。ただし、これは言論を生業とする政治家ならではの絶妙な「突っ込み」をたたえる言葉だ。
 首相はよく、答弁中のヤジに「私が答えているんですから」と顔をしかめる。それなのに閣僚の疑惑を突かれたからといって敵意むき出しで言い返すのでは、行政府の長としての矜恃(きょうじ)や品位を自らおとしめることにしかならない。
 
 最近の首相発言でもうひとつ気になったのは、中東の過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件にからむ答弁だ。
 周辺国への2億ドル支援を表明した首相スピーチによって、人質に危険が及ぶかもしれないとの認識はあったのか。参院予算委での共産党の小池晃氏の問いに、首相はこう答えた。
 「小池さんの質問はまるで、ISIL(「イスラム国」)に対しては批判をしてはならないような印象を我々は受ける。それはまさに、テロリストに屈することになると思う」
 そうだろうか。むしろ逆に「首相の答弁はまるで、『イスラム国』と闘う首相に対しては批判をしてはならないような印象を我々は受ける」と返したくなってしまう。
 後日の衆院本会議で自民党議員が、共産党の志位委員長の質問中に「さすがテロ政党」とヤジを飛ばした。首相の意を忖度(そんたく)したのかどうかは知らないが、悪質なレッテル貼りとしかいいようがない。謝罪に追い込まれたのは当然だ。
 国権の最高機関の中での話である。あきれるしかない発言はお断りしたい。