2015年1月16日金曜日

弱肉強食の2015年度予算 (植草一秀氏)

 2015年度の政府予算案が閣議決定されました。
 大企業に優しく庶民に厳しいこの予算案に対して、植草一秀氏が怒りのブログを発しています
 植草氏はこのところ主権者政党の確立を主張しています。
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「弱肉強食、この道しかない」2015年度予算
植草一秀の「知られざる真実」2015年1月15日
2015年度の政府予算案(一般会計予算案)が閣議決定された。
消費税再増税は先送りされたが、全体としては緊縮予算である。
特徴として言えることは、大企業に優しく、庶民に厳しいということだ。
 
2015年度の税収見積もりは54.5兆円である。
国税収入の三大税目は所得税、法人税、消費税であるが、2015年度は
所得税 16.4兆円
法人税 11.0兆円
消費税 17.1兆円   が見積もられている。
遂に、消費税が主要税目中の最大税目になる。
史上最高益を更新する企業に負担を求める法人税は11.0兆円。1989年度のピーク19.0兆円の半分強の水準である。
大資本優しく、一般庶民に冷酷であるのが安倍政権。
 
これは、歳入面だけの話ではない。
歳出面では軍事費が史上最大の5.0兆円に拡張される。
一方で、社会保障支出は手当たり次第に切り込まれる。
介護報酬が切り下げられ、生活保護が圧縮される。
年金支給額の増加は物価上昇にはるかに及ばず、実質的に切り下げられる。
8月以降は、介護保険の利用料率が2倍に引き上げられることになる。
 
まさに、「弱肉強食、この道しかない」という予算編成になっている。「弱肉強食」は地獄絵図である。
自然界の弱肉強食は神の摂理の下に調和が保たれているが、人間界の弱肉強食に調和はない。際限のない強欲の追求。際限のない残酷の拡大が広がる。
 
安倍政権は地方創生を謳うが、人々の暮らしの底辺を引き上げることなくして、地方の再生はあり得ない。
少子化、高齢化が深刻な状況を示しているが、少子化、高齢化の最大の原因は、「弱肉強食推進」の経済政策にある。
経済力のある者が負担して、社会のすべての人の生活の安定化を図らなければ、社会全体に活力は生まれてこない。
安心して結婚し、出産できる環境が整わずに、少子化の問題が改善されるはずがないのだ。
 
私たちには選択肢がある。
米国流の弱肉強食社会を目指すのか。それとも、北欧流の福祉社会を目指すのか。
選択肢はひとつに限られていないのだ。
2001年に発足した小泉純一郎政権以降、米国流の弱肉強食社会を目指す政治運営が急激に強まった。
2008年末の年越し派遣村の現実が、人々を覚醒させるかに見えた。
一時は、鳩山政権が誕生して、時計の振り子が大きく回帰するかに思われた。
 
ところが、それも束の間、一転して、大反動が始まっているのである。
選挙で、4分の1の民意が国会議席の7割を占める状況が生じていることが災いしている。
そして、安倍政権は、虐げられる民を分断して統治する手法を用いている。
生活保護などを攻撃する層は、決して富裕層ではないのである。
虐げられている下流層が、生活保護層を攻撃するように仕向け、弱肉強食社会への流れが是認されるように誘導しているのだ。
 
事態を是正するには、主権者が覚醒する必要がある。
日本は米国流の弱肉強食社会ではなく、北欧流の福祉社会を目指すべきだ。
ハゲタカ、ハイエナ、シロアリ利権を排除すれば、日本でも福祉社会を実現することが可能になる。
この未来像を前面に掲げる主権者政党の確立が求められる。
(以下は有料ブログのため非公表)