2014年5月31日土曜日

首相は集団的自衛権の最大限行使を目指している

 28日(衆院予算委員会)、29日(参院外交防衛委員会)の国会集中審議で、甲高い声で感情的な発言が多い首相の口から、集団的自衛権の行使に歯止めなどは全くないことが明らかになりました。
 首相は党内の反対派を集団的自衛権は限定的行使するということで納得させたと言われていますが、その「限定的行使」などはもはや机上の空論にすぎません。
 
 先には米艦に乗っっている乳児を抱く母子が描かれたイラストを掲げ、国民に対しては「限定的容認」をにじませましたが、国会では一転して、「日本人が乗っていない船を護衛できないということはあり得ない」「米国の船以外は駄目だと一言もいっていない」と、邦人が乗っていない艦でも、また米艦以外の国艦でも護衛対象に含む考えを新たに示しました。
 
 日本人を守るのは個別的自衛権の範囲で十分対応できるとの見方が専門家の間でも根強いなか、強引に集団的自衛権の際限なき行使に踏み切ろうとしている首相の答弁を聞くと、集団的自衛権の行使容認の目的が、国民の命を守ることより米軍との軍事行動の一体化にあるのであって、一体行動を行う際にできるだけ制約を受けないようにと意図しているものとしか思えません。
 
 東京新聞は、2日間の国会論戦を終え、「外務・防衛の担当閣僚と比べると首相には踏み込んだ内容や感情的な発言が目立ち、閣内でも解釈改憲に突出して熱心な姿勢が鮮明になった」と報じています。
 
 元外交官の孫崎享氏も言うように、集団的自衛権の行使を容認すればたちまち自衛隊は米軍の(無償の)傭兵となって、世界中の戦争に付き合わされることになります。
 米国の政権首脳部やジャパンハンドラーズ(対日工作者)の間でも安倍氏の評価は低いといわれているのに、なぜそんな風に国を売ることに熱心なのでしょうか。
 
 琉球新報と南日本新聞が、集団的自衛権の行使について、首相の説明では歯止めがないとする社説を掲げました。
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(社説)「自衛権」首相説明 歯止め利かない危うさ
琉球新報 2014年5月30日
 集団的自衛権の行使に歯止めなど利かないことが鮮明になってきた。安倍晋三首相が繰り返す限定的な行使」は、もはや机上の空論ではないか。集団的自衛権の行使容認を目指す安倍首相の姿勢をただす本格的な国会論戦が衆参両院で始まった。
 政府が示した行使容認に向けた15事例を超えた新たな事例が早くも増殖し、拡大解釈の懸念が強まっている。国民を守る方法がなぜ集団的自衛権でなければならないのか、首相の説明は説得力が乏しい
 安倍首相は15日の会見で、乳児を抱く母子が描かれたイラストを掲げ、紛争地から退避する日本人が乗る米艦を自衛隊が守る必要性を強調した。最大の同盟国である米艦だけを挙げ、「限定的容認」をにじませる演出を施した。
 
 だが、首相は28日の国会で、「日本人が乗っていない船を護衛できないということはあり得ない」と述べ、邦人が乗らない米艦も護衛対象との考えを示した
 さらに、首相は「一言も米国の船以外は駄目だと言っていない」と述べ、米国以外の船でも護衛対象に含む考えを新たに示した。
 朝令暮改ではないか。論拠に乏しく、強引さが目立つ首相の答弁によって、米艦防護の事例は大幅に範囲が広がり、「限定的容認」の縛りが事実上、骨抜きになった。
 
 首相の答弁を聞くと、集団的自衛権の行使容認の目的は、国民の命を守ることより、米軍との軍事行動の一体化にあるのではないかという疑念が先に立つ。政府内で立憲主義に基づく制約が利かないまま、独走する首相の一存で集団的自衛権の行使事例が際限なく拡大しかねない。極めて危険な政治状況だ。
 
 さらに、首相は年内を目指している防衛協力指針(ガイドライン)の改定前までに行使容認を閣議決定したいとの意向を示した。
 米政府は、ガイドラインに集団的自衛権行使に関する内容を盛り込むには、その前段で、憲法解釈変更の閣議決定が必要と日本側に伝達している。首相が示した日程は米国の意向と重なり、ここにも米国追従の影がくっきりと浮かんでくる。
 
 首相の見解は馬脚を現したと言うしかない。国民の命を守るには、個別的自衛権の範囲で十分対応できるとの見方が専門家の間でも根強い。根本的な議論に立ち返り、徹底的な国会審議を尽くすべきだ。
 
 
(社説)[首相の国会答弁] 歯止めがないも同然だ
南日本新聞 2014年5月30日
 集団的自衛権をめぐる衆参両院の集中審議で、安倍晋三首相は日米同盟を維持していくために必要だとして、行使容認に向けた憲法解釈変更に強い意欲を示した。
 
 憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」の制限緩和を検討していくことも表明。一体化を避けるために設けている「非戦闘地域」の概念見直しに言及し、戦闘地域での自衛隊による支援活動を明確には否定しなかった。
 戦闘地域での活動に実際に乗り出せば、安全保障政策の大転換となる。外国の戦争に加担せず、海外で武力行使をしないという憲法の理念にも反する。
 
 なぜいま集団的自衛権の行使が必要なのか。日本の在り方を根本から変える重要な問題を、憲法解釈変更という手段で進めていいのか。わずか2日間の審議で国民の理解を得るのは難しいだろう。
 国会は、残り1カ月を切った会期にこだわらず、国民に見える形で議論を尽くす必要がある。
 
 首相は15日の記者会見で近隣有事の際に日本人を輸送する米艦防護を例に「この事態でも日本人を守れない。それでいいのか」と集団的自衛権行使の必要性を訴えた。
 ところが、28日の衆院審議では「日本人が乗っていないから駄目だということはあり得ない」と述べ、日本人が乗っていなくても防護対象になると軌道修正した。日本人を輸送する米国以外の船の防護にも積極的な姿勢を示した。
 また、海上交通路に機雷が敷設された場合、除去するために集団的自衛権を行使する必要があるとの認識も示した。輸入原油の多くが通過する中東ホルムズ海峡を念頭に「わが国の船舶が危険に遭う可能性が高い中、機雷掃海できなくていいのか」との論理だ。「憲法解釈の変更が必要と判断されれば閣議決定する」とも述べた。
 ひとたび行使を認めれば、集団的自衛権の範囲が政権の都合で際限なく拡大しそうで心配だ。
 それなのに、首相は「実際に武力行使を行うか否かは高度な政治的判断だ。時の内閣が総合的に判断して、慎重に決断することになる」と述べた。これでは、明確な歯止めはないも同然だ。
 
 首相は、集団的自衛権の行使は「国民の命と暮らしを守るために必要だ」と言う。だが、日本が戦争に加わり、自衛隊員が殺したり殺されたりする可能性があるという本質には触れようとしない。
 国論を二分する大事な問題だからこそ、時間をかけて国民的議論を重ねることが重要だ。
 

2014年5月30日金曜日

上脇博之弁護士:「新憲法制定、憲法改正、解釈改憲」の紹介

 弁護士の上脇博之氏が5月29日付ブログ「ある憲法研究者の情報発信の場」に、「新憲法制定、憲法改正、解釈改憲」を発表しました。
 
 はじめに安倍政権の憲法の解釈改憲をめぐる一連の動きを挙げて、それを批判したご自身の記事を紹介しています(各タイトルをクリックすれば原記事にジャンプ)。
 
 そしてまずは安倍首相が目指す「解釈改憲」は憲法上許されないと一蹴しました。
 
 つぎに、既存の憲法を前提としている以上、憲法改正には理論的な限界があり、日本国憲法の基本原理国民主権主義、非軍事平和主義、基本的人権尊重主義 を変更することは許されていないのでの限界を超える憲法改正案の原案を国会に提出することや、国会がそのような憲法改正案を国民に発議することも憲法上許されないとしています。
 
 また集団的自衛権(他衛権)の行使は、一切の戦争を放棄した日本国憲法の平和主義とは正反対のもので許されないとし、そもそもアメリカは、自国の戦争に日本を軍事的に協力させるために、日本に集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にするよう要求してきたのであり、仮に合憲となれば、アメリカの要請を断って日本が集団的自衛権(他衛権)の行使をしないことは、現実には皆無に近くなると述べています。
 
 以下に紹介します。
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  (「解釈改憲」は憲法制定に相当するから許されるわけがない
上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場 2014年5月29日
 
はじめに
(1)集団的自衛権行使や多国籍軍参加により日本(の自衛隊)がそれらの戦争に参戦することについて、安倍晋三首相は、従来違憲であると解釈していた政府解釈を「合憲」に変更しようと目論んでいます。
このように憲法改正手続きさえ経ずに改憲の目的を達成しようという「解釈改憲」が、憲法上許されないことは、自民党が「新憲法草案」(2005年)や「日本国憲法改正草案」(2012年)を作成したことで証明されている、と指摘しました。

   安倍「解釈改憲」が憲法上許されないのは自民党「日本国憲法改正草案」が証明している!

(2)また、その「解釈改憲」は明文改憲が実現できないから強行しようとするものであり、卑怯であることも、指摘しました。

   安倍「解釈改憲」の卑怯さ(”右翼の軍国主義者”のクーデターの企て)

(3)さらに、安倍「解釈改憲」は、アメリカの要求に応えたものであり、それゆえアメリカの戦争に日本が集団的自衛権を行使して参戦することが条約に基づいて義務づけられ、自衛隊員が死傷する可能性が高くなるわけですが、アメリカから少し「独立・自立」して日本が近隣諸国との間で戦争を引き起こせば、自衛隊員だけではなく日本本土の国民も死傷する可能性が高くなることを指摘しました。

    安倍「解釈改憲」は自衛隊員とその家族だけが恐れているわけではない!

(4)今月(2014年5月)15日、安倍首相の私的諮問機関である、憲法の素人集団の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(「安保法制懇」)が報告書を提出し、安倍首相は記者会見しましたので、それらと、自衛隊員や元日本軍兵士の反応報道を紹介しました。

(5)その翌16日、憲法改悪阻止各界連絡会議(憲法会議)が声明「安保法制懇『報告書』をテコに『戦争する国』めざす安倍首相の暴走を糾弾する」を発表したので、それを紹介しまました。

(6)安倍内閣が長年の慣行を破って内閣法制局長官に素人の小松氏を抜擢したので、小松氏が退任しても、「駆けつけ警護」問題や集団的自衛権行使問題で与党が「合憲」としても体を張って違憲解釈を主張するまでは内閣法制局への不信感は払拭されないと指摘しました。


(7)安倍首相は大臣ですから「憲法改正」や「解釈改憲」を主張できないのにそれを公言し憲法尊重擁護義務違反を犯し、日米安保条約などによる集団的自衛権行使義務の遵守を目指していることを指摘して批判しました。

(8)安倍首相が、外国の戦争に参戦することになる集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」と「解釈」する「解釈改憲」を目論んでいることについて、マスメディアの世論調査では、国民の2,3割程度しか支持していないことを確認しました。

   集団的自衛権(他衛権)行使についての安倍「解釈改憲」の支持者は世論調査で2、3割程度

(9)自民党「日本国憲法改正草案」によると、自衛戦争であれ、集団的自衛権行使による参戦であれ、戦争をしていても、自民党政権は「戦争はしていません」と強弁することになることを指摘しました。

(10)ところで、憲法9条がある以上、他国を守るための集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にする憲法「解釈」が理論的に許されないことは、すでに述べてきましたが、”憲法改正の限界”論との関係でも、そのことは強調されるべきなので、以下、述べておきます。

1.”憲法制定”とは異なる”憲法改正”・・・”憲法改正”には限界がある!
(1)日本国憲法は、憲法改正を許容しています(第96条)が、憲法改正の手続きに基づきさえすれば、如何なる内容にも日本国憲法を変更できるのでしょうか?
憲法学では、このようなことが従来検討されてきました。
(2)そもそも”憲法改正”とは、成文憲法の内容について自ら定める手続きに従って意識的に変更を加えることです。
これは、既存の憲法を前提としている点で「新しい憲法の制定」とは異なります。
また、合法的な憲法の変更である点で暴力革命やクーデターによる「非合法な憲法の変革」とも異なります。
(3)憲法改正が、既存の憲法を前提としている以上、憲法改正には理論的な限界があるのです。
既存の憲法と全く異質の内容のものができてしまえば、それは「新憲法の制定」であって、「改正」とは言えないからです。
つまり、憲法改正の手続きに基づきさえすれば如何なる内容にも憲法を改正できるのかと言えば、そうではないのです。
日本国憲法の改正手続においては、最終的に国民投票で過半数の賛成がなければ憲法改正が成立しないので、「主権者国民が判断するのだから限界はない」等として、憲法改正には限界がないという立場もありますが、「憲法制定」ではなく「憲法改正」であるのですから限界があるとする立場が、通説であり、妥当です。
(4)では、憲法改正手続きを経ても許されない”憲法改正の限界”の中身とは何でしょうか?
まず、実体的限界としては、”日本国憲法の基本原理”があげられます。
基本原理としては、国民主権主義、非軍事平和主義、基本的人権尊重主義の3つがあることには、異論はありません。
そのほかに議会制民主主義と地方自治をあげることもできます。
ですから、
国民主権を君主主権に戻すことは許されません。
また、「戦争」だけではなく「武力の行使」や「武力による威嚇」までも「永久」に「放棄」している以上、再軍備し戦争できる国家に戻ることも許されません。
さらに、基本的人権尊重主義とは言えないくらい、基本的人権の保障を後退させることも許されません。
国会を「国権の最高機関」としている議会制民主主義を否定したり、交代させることも許されません。
言い換えれば、日本国憲法のアイデンティティーを変更することは許されないのです。
次に、憲法改正手続そのものについても、硬性憲法を軟性憲法にすることも許されません。
硬性憲法とは、法律の制定・改廃の手続きよりも厳しい要件を課してしている憲法であり、法律の制定・改廃の手続きとほとんど同じ要件で憲法位改正できる憲法を軟性憲法といいます。
硬性憲法そのものが日本国憲法のアイデンティティーですし、憲法改正手続の要件が緩和されれば日本国憲法の基本原理の「改正」も容易になってしまうからです。
ですから、国民投票なしに国会だけで憲法改正が成立するよう憲法改正手続きを「改正」することは許されません
(5)以上のように、そもそも憲法改正は「全く新しい憲法の制定」とは異なり、既存の憲法の同一性(アイデンティティー)を維持していなければ、憲法改正とはいえません。
アイデンティティーが変わってしまえば、全く別の憲法、「新憲法の制定」になってしまうからです。
したがって、憲法改正には限界があり、その限界を超えたものは憲法違反であり無効なのです
日本国憲法も、前文で「人類普遍の原理」に「反する一切の憲法…を排除する」と定めていますから、日本国憲法の基本原理等を変更する憲法改正は改正の限界を超えており、理論的には無効になります。
(6)国会議員らは憲法尊重擁護義務が課されていますから、憲法改正の限界を超える憲法改正案の原案を国会に提出することや、国会がそのような憲法改正案を国民に発議することも憲法上許されません
万が一そのような憲法改正案が国民投票で承認されたとしても裁判所はそれを無効と判断できますし、無効判断する憲法上の義務があります。

2.平和主義を変質させる「憲法改正」は無効!
(1)日本国憲法の平和主義は、過去の侵略戦争が「政府の行為」によって強行されたことを反省して、政府から戦争する手段(陸海空軍の戦力)を奪い、それによって、戦争だけではなく「武力による威嚇」さえもできないようにし、いわゆる平和的生存権を国民らに保障しています。
これに対し、自民党の「日本国憲法改正草案」は、表向き侵略戦争を肯定していないものの、「国防軍」を装備し、集団的自衛権の行使も「合憲」にし、したがって、実質的には日本国憲法の平和主義とは正反対のものにしようとしています。
(2)国連憲章は、集団的自衛権について、個別的自衛権と同様に国連が「必要な措置をとるまでの間」例外的に認めています(第51条)が、
これは、制定当時、軍事同盟を結成することを目論んでいた大国アメリカが主張し、大国ソ連も賛成して盛り込まれたもので、そもそも「自衛権」の枠を超えるものです。
だから、”他衛権”と表現されているのです。
集団的自衛権(他衛権)は、他国への軍事干渉や侵略戦争に悪用されてきました。
これが歴史的事実です。
集団的自衛権(他衛権)行使を憲法上認めることは、戦争の抑止になるという主張がありますが、これは、机上の空論であることは、歴史が証明しています。
(3)アメリカは、自国の戦争に日本を軍事的に協力させるために、日本に集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にするよう要求してきたのです。
日本が集団的自衛権(他衛権)行使を「合憲」にすれば、条約に基づく以上、アメリカが日本に要請すれば、日本は集団的自衛権(他衛権)の行使が法的に義務づけられてしまうし、日本はアメリカに従属しているので、実際に日本はアメリカの戦争に参戦することになるのは必至です。
現に、これまでもアメリカの言いなりになって、アメリカの戦争で後方支援してきました。
アメリカの要請を断って日本が集団的自衛権(他衛権)の行使をしないことは、現実には皆無に近いでしょう。
(4)日本が集団的自衛権(他衛権)行使して、アメリカなどの戦争に参戦すれば、自衛隊は組織的に直接殺戮を行い、それを繰り返し、多大な死傷者も出すことでしょう。
平和的生存権が保障されなくなるのは、あまりにも明白です(今でも侵害されているのですが)。
(5)ですから、集団的自衛権(他衛権)の行使は、一切の戦争を放棄した日本国憲法の平和主義とは正反対のものです。
自民党「日本国憲法改正草案」は、「専守防衛」のための再軍備さえ憲法改正の限界を超える立場からすれば、憲法改正の限界を超えることになることは明らかですし、また、たとえ「専守防衛」のための再軍備の範囲内なら憲法改正の限界内であるとの立場になったとしても、集団的自衛権(他衛権)の行使を許容する点で憲法改正の限界を超えることになります。
平和憲法の破壊です。
したがって、憲法改正手続きを経たとしても、このような「改正」は決して許さるものではありません。
違憲であり、無効になります。
(6)憲法改正手続きを経たとしても集団的自衛権(他衛権)の行使を「合憲」にすることが許されないのですから、憲法改正手続きさえ経ることなしに日本国憲法が集団的自衛権(他衛権)の行使を「合憲」にする「解釈」が許されないことは、あまりにも明らかです。
これは、そもそも、憲法解釈ではありません。
「解釈」の名を借りたクーデターです!
(7)なお、自民党の「日本国憲法改正草案」に対する私見、および”憲法改正の限界”論は以下を参照してください。
 

世界的大国の座につくロシア-Paul Craig Roberts

 2月のウクライナの政変は、選挙で選ばれた正当な政府が一部の暴力分子によって転覆させられたクーデターでしたが、アメリカをはじめEUそして日本のマスメディアは、そうした観点からの報道は一切しません。
 それどころか、新たに成立した政権を正当なものと看做す一方で、要請を受けてクリミアの警備に当たっているロシアを犯罪国家だと大合唱しています。
 
 インターネットの記事は、2月の政変が、アメリカが10年来投じ続けてきた50億ドルの資金で組織してきた勢力によって引き起こされたものであることを明らかにしています。またマスメディアは真相を隠しているものの、政権側についている「ネオナチ(新ナチズム者)」による蛮行の詳細を、インターネットの記事が明らかにしています。
 
 ブログ「マスコミに載らない海外記事」は、この間も そうしたことがらを繰り返し報じてきました(同ブログ右欄の「最近の記事」などのバックナンバーをご覧下さい)
 
 著名な米国の評論家であるPaul Craig Robertsが、ウクライナ情勢を総括した記事を公表していますので、久しぶりに紹介します。
 
註. タイトルは「世界的大国の座につくロシア」となっていますが、その意味が 記事を読んでもいまひとつピンときません。Paulはロシアのプーチン氏をオバマ氏よりも数等優る外交センスの持ち主だと評価しているので、いまは目立たないようにしているものの、いずれはウクライナ問題をロシア流に解決して、世界的大国の座につくだろうという意味なのかも知れません。
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世界的大国の座につくロシア
 マスコミに載らない海外記事 2014年5月29日
Paul Craig Roberts 2014年5月24日
本記事は、最初、Strategic Culture Foundationに掲載された 
 
ウクライナにおける出来事に関する欧米のプロパガンダには、二つの目的がある。一つは、民主的に選ばれたウクライナ政権を打倒する上での、アメリカ政府の役割を隠蔽するか、あるいは目をそらせることだ。もう一つは、ロシアを悪魔化して描くことだ。
 
真実は分かっているのだが、欧米のTVや印刷メディアは真実と無縁だ。アメリカ国務次官補ビクトリア・ヌーランドと、駐ウクライナ・アメリカ大使ジェフリー・パイアットとの傍受された電話会話で、二人のクーデター計画者達が、アメリカ政府傀儡の誰を、アメリカ政府の手の者として、新傀儡政権中に据えるか議論している。エストニア外務大臣ウルマス・パエトと、欧州連合外務・安全保障政策上級代表キャサリン・アシュトンとの間の傍受された電話会話は疑惑が暴露され、後に、第三者による記事で、キエフ抗議行動で双方の人々を射殺した狙撃兵は、衝突時に、アメリカ政府が支援していた側からやって来ていたことが確認された。
 
要約すれば、アメリカ政府が2004年の“オレンジ革命”を画策し、革命で、ウクライナが欧米の手中に落ち損ねた際、アメリカ政府は、ビクトリア・ヌーランドによれば、50億ドルを、以後十年間、ウクライナに注ぎ込んだのだ。この金は、アメリカ政府が仕込んだ政治家達や、教育や民主主義や人権擁護推進活動団体として活動する非政府組織(NGO)を装っているが、実態はアメリカ政府の第五列米側スパイに渡ったのだ。
 
ヤヌコビッチ大統領が、費用と便益を勘案して、欧州連合へのウクライナ加盟招請を拒否すると、アメリカ政府は、たっぷり資金を提供してきたNGOを始動させた。ヤヌコビッチに、決断を変えて、EUに参加しろと要求する抗議行動がキエフで勃発した。
 
こうした抗議行動は平和的だったが、間もなく超国家主義者やネオナチが登場し、抗議行動に暴力行為を持ち込んだ。抗議行動の要求は“EU加盟”から“ヤヌコビッチと彼の政権の打倒”へと変わった。
 
政治的混乱が起きた。アメリカ政府は傀儡政権を据えつけ、アメリカ政府は、この政権を腐敗に対抗する民主的勢力として描き出している。ところが、右派セクターなどの超国家主義者やネオナチ連中は、アメリカ政府の傀儡政権メンバーを脅迫し始めた。おそらく、それに応えて、アメリカ政府の傀儡連中が、ウクライナのロシア語話者住民に対する脅迫を始めた。
 
南部と東部ウクライナの地域は、ソ連指導部がウクライナに与えた旧ロシア領土だ。レーニンは、ソ連時代初期に、ロシアの地域を、ウクライナに与え、1954年に、フルシチョフが、クリミアをウクライナに与えた。こうしたロシア地域の住民は、ヒトラーからの赤軍によるウクライナ解放を記念するソ連の戦没者記念碑破壊に動揺し、公式言語としてのロシア語の禁止に動揺し、抗議行動の中で、勃発したウクライナのロシア語話者に対する暴行に動揺した。クリミアは住民投票を行い、ロシアとの再統合を選んだし、ドネツクやルハンスク地域も同じだ。
 
アメリカ政府、EU傀儡諸国、そして欧米マスコミは、クリミア、ドネツクと、ルハンスクでの投票が、真摯で自発的なものであることを否定した。ところが投票をもたらした抗議行動と、投票そのものが、賄賂、威嚇や強制を用いて、ロシア政府が画策したものだと、アメリカ政府は主張している。クリミアはロシアによる侵略併合の一例だと言うのだ。
 
これは真っ赤なうそであり、外国の選挙監視団もそれを知っているが、実質的にアメリカ政府のプロパガンダ省である欧米マスコミでは全く報道されないのだ。かつては誇り高かったBBCさえもが、アメリカ政府の為にウソをつく。
 
アメリカ政府は、“ウクライナ危機”の状況説明を支配するのに成功している。クリミア、ドネツクとルハンスクの団結した人々には、“テロリスト”というレッテルが貼られている。対照的に、ウクライナ・ネオナチは、“民主同盟”の一員に格上げされ、更に驚くべきことに、ネオナチは、欧米マスコミによって、抗議行動が起きている地域における“テロリスト”からの“解放者”として描かれている。余りに多くのウクライナ軍部隊が、平和的な抗議行動参加者に向けて発砲するのを嫌がっているので、ロシア嫌いのネオナチ民兵は、アメリカ政府傀儡政権の軍となる可能性が極めて高い。
 
我々の前にある問題は、ロシア指導者プーチン大統領が、このゲームでどう出るかということだ。ドネツクとルハンスクを、またもやロシアの一部として受け入れることに対する彼の躊躇・ためらいは、欧米マスコミによって、彼が弱く、おじけづいたように見せるのに利用される。ロシア国内で、これは、アメリカ政府が資金提供しているNGOや、ロシアの民族主義者によって、プーチン攻撃に利用されるだろう。
 
プーチンはこれを理解しているが、プーチンは、アメリカ政府が、彼等が悪魔化して描き出した彼の姿はその通りだと、本人に証明させたがっていることを重々承知だ。もしプーチン ドネツクとルハンスクのロシア復帰要求を受け入れれば、アメリカ政府は、ロシアが侵略して、併合したという根拠のない主張を繰り返すだろ。最もありそうなのは、プーチンは弱虫でも、おじけづいてもおらず、様々な理由から、プーチンは、アメリカ政府に、ヨーロッパで推進するプロパガンダの口実を与えたがっていないということだろう。
 
アメリカ政府が対ロシア経済制裁を要求する圧力に対しては、ドイツ国内に障害がある。ドイツ首相メルケルはアメリカ政府の家臣だが、ドイツ外務大臣フランク=ヴァルター・シュタインマイヤーと、ドイツ産業は、経済制裁を快く思ってはいない。ドイツがロシアの天然ガスに依存していることに加えて、何千ものドイツ企業が、ロシア国内で事業を行っており、数十万のドイツ人雇用もロシアとの経済関係に依存している。前ドイツ首相のヘルムート・シュミットと、ゲルハルト・シュレーダーは、メルケルのアメリカ政府追随を非難した。彼女は愚かにも、ドイツの権益を、アメリカ政府の権益の為に犠牲にする立場に、自らをおいてしまったので、メルケルの立場は弱い。
 
典型的な無能な欧米政治家とは違うことを実証しているプーチンは、アメリカ政府のドイツに対する圧力と、本当のドイツ権益間の軋轢に、NATOとEUを崩壊させる好機を見ている。ヤヌコビッチがしたように、もしもドイツが、ドイツ権益は、アメリカ政府の傀儡であり続けることではなく、ロシアと経済関係にあると結論したら、アメリカ政府はドイツ政権を転覆して、より信頼できる傀儡を据えることが出来るだろうか?
 
おそらくドイツはアメリカ政府には、うんざりしているだろう。第二次世界大戦終結から69年たっても、依然アメリカ軍に占領されたままで、ドイツは、教育制度、歴史、外交政策、EUとユーロ体制のメンバー資格を、アメリカ政府に支配されている。もしドイツに多少の国家威信があれば、ごく最近再統一した国民として、彼等には依然、多少は国に対する強い誇りがあり、アメリカ政府によるこうした重荷は到底受け入れ難いだろう。
 
ドイツが一番嫌がっているのは、経済的なり、軍事的なりでの、ロシアとの対立だ。ドイツ副首相ジクマル・ガヤリエルは、“ウクライナで、ロシアとEUどちらにつくか決めねばならないという印象を与えるのは、確かに賢明なことではない”と述べた。
 
もしロシア政府が、アメリカ政府のウクライナ支配、あるいは、分離後に残された部分が、ロシアにとっては受け入れられない戦略的脅威だと判断すれば、ロシア軍は歴史的にロシアの一部だったウクライナを占拠するだろう。もしロシアがウクライナを占領すれば、アメリカ政府が出来ることといえば、核戦争に訴えること以外にない。NATO諸国は、自らの存在が危機に瀕するので、このオプションには同意するまい。
 
プーチンは、いつでも好きな時に、ウクライナを取り戻し、不況と資本家階級による略奪にはまりこんだ衰退しつつある腐敗した実体である西欧に、背を向けることができる。21世紀は東、中国とインドのものだ。ロシアの広大な領土は、あらゆる国々の中でも最も人口の多いこの両国の真上に位置している。
 
ロシアは、東と共に権力の座に就くことが可能だ。ロシアが西欧に受け入れてくれと懇願する理由は皆無だ。アメリカ外交政策の基盤は、ブレジンスキーとウォルフォウィッツ・ドクトリンで、アメリカ政府は、ロシアの勃興を防止しなければならないというものだ。アメリカ政府は、ロシアに対する善意は皆無で、あらゆる機会にロシアの邪魔をするだろう。アメリカ政府がヨーロッパを支配している限り、ロシアがドイツ、イギリスやフランスの様なアメリカ政府の傀儡国家にならない限り、ロシアが西欧の一部として受け入れられる可能性は皆無だ。
 

2014年5月29日木曜日

参院憲法審査会で96条先行改正の是非を議論

 28日の参議院憲法審査会国民投票法の改正案を巡る質疑が行われ、憲法改正発議要件を定めた憲法96条の先行改正について、賛成、反対の意見出されました。
 
 この中で、自民党の船田氏は「96条を先行して改正することは国民の理解を得られない。ほかの条文の改正とセットにして問うことを考えたい」と述べました。
 民主党の枝野は「憲法の何をどう変えるかという本質的な議論を飛ばして96条を先行改正するのは反対だ」と述べました。
 日本維新の会の馬場は「96条の先行改正を進めたい」と述べました。
 公明党の北側は「まずは、憲法の内容をどう変えるかという議論を踏むほうが国民に分かりやすい」と述べました。
 みんなの党の三谷は「96条の先行改正を考えるのは重要だ」と述べました。
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96条先行改正の是非を議論
NHK NEWS WEB 2014年5月28日
参議院憲法審査会は国民投票法の改正案を巡る質疑が行われ、国会が憲法改正を発議する要件などを定めた憲法96条について、改正案を提出した政党から、ほかの条文に先行して改正することに積極的な意見が出る一方で、反対や慎重な意見も出されました。
 
28日の参議院憲法審査会では、国会が憲法改正を発議するためには、衆参両院それぞれで、すべての議員の「3分の2以上の賛成」が必要だなどと定めている憲法96条を巡って意見が交わされました。
この中で、改正案を提出した政党のうち、自民党の船田・憲法改正推進本部長は「憲法の何を改正するかを示さずに、96条を先行して改正することは国民の理解を得られない。ほかの条文の改正とセットにして最初の国民投票で問うか、2回目以降で問うことを考えたい」と述べました。
民主党の枝野・憲法総合調査会長は「憲法の何をどう変えるかという本質的な議論を飛ばして96条を改正するやり方は、こそくと言われてもしかたがない。将来にわたって改正しないとは言わないが、先行改正には反対だ」と述べました。
日本維新の会の馬場国会対策副委員長は「憲法は柔軟に改正できるようにすべきで、国会の発議要件を緩和することに賛成だ。96条の改正は、おととしの衆議院選挙などの公約にも入れており、先行改正を進めたい」と述べました。
公明党の北側・憲法調査会長は「96条に一切、触ってはいけないとは思っていないが、先行して改正するのはいかがなものか。まずは、憲法の内容をどう変えるかという議論を踏むほうが国民に分かりやすいのではないか」と述べました。
みんなの党の三谷英弘衆議院議員は「憲法改正の議論が進まなかったのは96条の発議要件が障害になっていた。国民の手に憲法を奪還するという考えの一環として、先行改正を考えるのは重要だ」と述べました。
 
結いの党と生活の党は憲法96条を巡って答弁する機会がありませんでした。
 

国民安保法制懇が発足 +

 28日、憲法解釈変更による行使容認に批判的な内閣法制局長官経験者や憲法学者らが、安保法制を考える懇談会発足させました。
 
 改憲派の憲法学者、小林節・慶応大名誉教授は安倍首相実際に武力行使するかは高度な政治的決断で決めるとの発言に「法的規制がないに等しい。『おれに任せろ』ということか」と批判しました。
 
 内閣法制局長官の大森政輔氏は「安保法制懇」の報告書について、「結論ありきで、牽強付会。理由づけも実にひどい」と酷評しました。
 
 同じく元長官阪田雅裕氏は、「集団的自衛権を巡り全メンバーが一致しているわけではないが、『行使するには憲法改正を経て国民に覚悟を求めなければならない、という点で全員が一致した」と、設立経緯を説明しました。
 
 元外交官の孫崎享氏は、「米軍の傭兵のような状態になる」とし、15の具体例について、「他の対応で可能なものばかり。あえて集団的自衛権の検討を急ぐ緊急性がない」と一蹴しました。
 
 国連職員伊勢崎賢治・東京外国語大教授は、「PKO現場の緊急課題は避難民を殺害や暴行からどう守るか。『日本人を守るため』という議論自体が不謹慎だ」と不快感をあらわにし「低い武装度で、火力に頼らないことによって果たせる役割もある」と力説しました。
 
 +NHKニュースを追加
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集団的自衛権:批判派の憲法学者ら「安保法制懇談会」発足
毎日新聞 2014年05月28日
 集団的自衛権を巡る国会集中審議が始まった28日、憲法解釈変更による行使容認に批判的な内閣法制局長官経験者や憲法学者らが、安保法制を考える懇談会を発足させた。行使容認に前のめりの安倍晋三首相に対し、メンバーで改憲派の憲法学者、小林節・慶応大名誉教授は「憲法をハイジャックするもの」、孫崎享・元外務省国際情報局長は「米軍の傭兵(ようへい)のような状態になる」と批判した。【野島康祐、本多健】
 
 メンバーは両氏のほか、内閣法制局長官を務めた阪田雅裕、大森政輔両氏、第1次安倍政権で官房副長官補を務めた柳沢協二氏ら12人で、一部が参院議員会館で記者会見した。安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に対抗し、会を「国民安保法制懇」と命名。今年夏にも報告書をまとめる。
 
 安倍首相は午前中の集中審議で、戦争に巻き込まれるとの懸念に対し「実際に武力行使するかは高度な政治的決断だ」と釈明した。この発言に対し、小林氏は「法的規制がないに等しい。『おれに任せろ』ということか」と批判した。元長官の大森氏は「首相の判断の誤りを防ぐ人たちが内閣に集まっているとは思えない」と突き放し、首相の諮問機関「安保法制懇」の報告書について、「結論ありきで、まさに牽強(けんきょう)付会。理由づけも実にひどい」と酷評した。
 
 元長官で大森氏の後輩の阪田氏は、「集団的自衛権を巡り、全員の意見が一致しているわけではない。だが、日本のかたちを変える大きな問題であり、行使するには十分な国民的議論が必要で、憲法改正を経て国民に覚悟を求めなければならない、という点で全員が一致した」と、設立経緯を説明した。
 
 会には、緊迫した海外の安全保障の現場で実務経験を積んだ専門家も参加している。
 
 過去にイラク大使館に勤務した孫崎氏は、政府が集団的自衛権の行使容認や法整備が必要とする15の具体例について、「他の対応で可能なものばかり。自分の経験から見ても、あえて集団的自衛権の検討を急ぐ緊急性がない」と一蹴した。
 15の具体例には、国連平和維持活動(PKO)に参加する民間人や他国の兵士を自衛隊が武器で救援する「駆け付け警護」も含まれている。これについて、国連職員として紛争地で武装解除の経験を持つ伊勢崎賢治・東京外国語大教授は、「PKO現場の緊急課題は避難民を殺害や暴行からどう守るか。そんな時代に、『日本人を守るため』という議論自体が不謹慎だ」と不快感をあらわにした。
 その上で、アフガニスタンやイラクとの戦争に苦しんだ米国が、力による制圧から、テロリストが紛れ込む現地の人心掌握を重視した対テロ戦略に切り替えていることを紹介。「低い武装度で、火力に頼らないことによって果たせる役割もある」と力説した。
 

憲法解釈の変更反対 憲法学者らが懇談会
NHK NEWS WEB 2014年5月28日
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する立場の憲法学者らが新たな懇談会を設立し、政府が先に集団的自衛権などを巡る与党協議で示した15の具体的事例について検証するなどして、ことし夏ごろをめどに意見を取りまとめることにしています。
 
「国民安保法制懇」と名付けられたこの懇談会は、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏や、憲法学が専門で慶応大学名誉教授の小林節氏など、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する立場の有識者12人が設立し、メンバーが28日、国会内で記者会見しました。
この中で阪田氏は「集団的自衛権の行使容認は日本の国の在り方を大きく変えるものだ。国民の間に定着していた憲法解釈を一政権が軽々に変更するのを許すことは、立憲主義の否定であり、懇談会の議論を通じて『国民の良識はこういうところにある』と示したい」と述べました。
「国民安保法制懇」は今後、定期的に会合を開き、政府が先に集団的自衛権などを巡る与党協議で示した15の具体的事例について問題点を検証するなどして、ことし夏ごろをめどに懇談会としての意見を取りまとめことにしています。