2014年1月31日金曜日

沖縄普天間飛行場の辺野古移設反対はいまや国際的運動に

 沖縄選出の糸数慶子参院議員らが28日、ワシントン近郊でジム・ウェッブ元上院議員と会談した際に、ウェッブ氏は「米軍普天間飛行場辺野古移設案は不要だ」と明言しました。そして移設問題の解決には日米政府に加えて沖縄とグアムの4者の関与が必要とし、「沖縄の人々に公平な解決をもたらすために、私が(米政府や議会との)橋渡しになってもいい」と協力を申し出たということです。 
 
 ウェッブ氏は元海軍長官で海兵隊からも信頼が厚く、2011年に辺野古の代替施設建設と在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直しを盛り込んだ米国防権限法案を立案しました。グアムや沖縄を熟知し、「アジア太平洋政策を最も熟知する人物」と評されている同氏の申し出は「沖縄にとって大きな収穫」糸数議員)です。 
 
 一方、1月7日に出された「『辺野古移設中止を』求める海外識者29人声明には、その後世界各国の著名人74人が新たに呼びかけ人として加わり、全部で103人に達しました。
    ※ 2014年1月9日海外識者29人が辺野古移設中止をの声明
 
 声明は、沖縄県民の70年に及ぶ軍事植民地状態を終わらせるための非暴力のたたかいを高く評価するもので海外版署名簿はバラク・オバマ米大統領に『辺野古移設中止を』訴えるものとなっています。
 
 呼びかけ人の国籍も、米国、カナダ、オーストラリアほかヨーロッパ諸国など多彩で、普天間飛行場の辺野古移設問題はいまや国際的な問題になっています。 
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「辺野古案不要」ウェッブ氏橋渡し役申し出
沖縄タイムス 2014年1月30日
【平安名純代・米国特約記者】糸数慶子参院議員らは28日、ワシントン近郊でジム・ウェッブ元上院議員と米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題をめぐり会談した。ウェッブ氏は、「辺野古案は不要だ」と明言した上で、移設問題の停滞理由は、日米両政府が沖縄とグアムも当事者という認識が欠如しているためと指摘。問題の解決には4者の関与が必要と主張し、「沖縄の人々に公平な解決をもたらすために、私が(米政府や議会との)橋渡しになってもいい」と協力を申し出た。 
 
 ウェッブ氏は、2011年に、名護市辺野古の代替施設建設と在沖米海兵隊のグアム移転計画の見直しを盛り込んだ米国防権限法案を立案し、グアム移転費の凍結により米国防総省に再考を迫るなどけん引的役割を果たした人物。 
 元海軍長官で、グアムや沖縄を熟知していることから、海兵隊からも信頼が厚く、「アジア太平洋政策を最も熟知する人物」(レビン上院軍事委員長)と評されていた。 
 ウェッブ氏は「辺野古は解決策ではない」と強調した上で「移設問題の当事者は、日米両政府と沖縄とグアムの4者だ」と述べ、在沖米海兵隊のグアム移転計画を前進させるには、「日米両政府だけではなく、沖縄とグアムを協議に加えることが重要だ」と指摘。 
 今後も米議会の有力議員らと協力し、沖縄やグアムに公平な解決法の模索に意欲を示し、要請団に声明を手渡した。 
 糸数氏は訪米要請行動で、沖縄の民意を反映しない現行計画の見直しを訴える中、米政府や研究機関で普天間問題を担当する当事者らが沖縄の民意を軽視する主張ばかりを展開していたとし、ウェッブ氏の理解と申し出は「沖縄にとって大きな収穫」と述べた。
 
 
海外識者声明103人に 広がる辺野古新基地反対
琉球新報 2014年1月30日
 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】米国を中心とした海外の有識者や文化人ら29人が7日に発表した米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に反対する声明で、呼び掛け人のジョセフ・ガーソン氏(政治学者)らは28日、同日時点の賛同者が100人を超えたと発表した。識者らは名護市長選で移設反対派の稲嶺進市長が再選したことを挙げ、「沖縄の人々の人権を無視する安倍晋三首相とオバマ米大統領に異議を申し立てる」と、あらためて移設断念と即時返還を求めた。呼び掛け人は計103人に上った。
 
  識者らはインターネットで声明への賛同署名を募っており、日本語、英語の署名用サイトを立ち上げた。今後、安倍首相とオバマ大統領に提出する方針だ。
  声明には新たに「平和研究」の父とされる政治学者ヨハン・ガルトゥング氏、オランダのジャーナリスト、カレル・V・ウォルフレン氏、ピュリツァー賞受賞の歴史家マーティン・シャーウィン氏、医師で国際的反核運動指導者のヘレン・カルディコット氏ら74人が呼び掛け人に加わった。
  28日付の発表で識者らは名護市長選の結果について「住民の多数派による新基地建設の拒否は、(辺野古沖の埋め立てを承認した)仲井真弘多知事と、米国の移設案に従うよう重圧をかけた安倍首相への不信任に相当する」と位置付けた。
  移設方針を変えない日米両政府に関して「沖縄のあらゆる抵抗をつぶす用意をしているように見える」と批判。「沖縄の人々は過去もそうしてきたように、建設を中止させるための直接行動などの反対運動を続けるだろう」と指摘した上で「私たちは沖縄の人々の平和と尊厳、人権と環境保護のための闘いを支持する」と、国際署名活動の開始を表明した。
  7日の発表では、米アカデミー賞を受賞した映画監督のオリバー・ストーン、マイケル・ムーアの両氏、ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏、言語学者のノーム・チョムスキー氏ら29人が名を連ねていた。
   署名サイトは日本語がhttp://chn.ge/1glVJSw 
   英語がhttp://chn.ge/1ecQPUJ
 
 
プレス・リリースよ)
100人を超える世界の識者、文化人らが、沖縄の地元住民による新基地建設拒否の決定を支持する。
 2014年1月28日
 29人の識者や文化人による1月7日の声明(http://p.tl/SBZo) は、世界中、特に日本のメディアに幅広い注目を受けた。声明は、沖縄に大規模な海兵隊基地を作りたい勢力に対し、仲井真県知事が年末に屈服したことにがく然としていた沖縄の人々を力づけ、元気を取り戻すことに役立ったようだ。沖縄からこのようなメールも届いた。「この声明が私と、このたたかいを続けている沖縄の仲間たちにとってどれほどの大きな意味を持つかわからないのではないでしょうか。声明を出した皆さんもここにいてその目で見てくれるといいのですが。」
 
前回発表時の呼びかけ人として、言語学者ノーム・チョムスキー、アカデミー賞受賞映画監督のオリバー・ストーンとマイケル・ムーア、ノーベル平和賞受賞者マイレッド・マグワイア、歴史学者ジョン・ダワー、元陸軍大佐・外交官のアン・ライト、国連のパレスチナ問題特別報告者リチャード・フォーク等が連名した。
 
今回、声明の呼び掛け人は100人を超えている。新たな呼び掛け人に、平和学の先駆者であるヨハン・ガルトゥング、医師・反核運動家ヘレン・カルディコット、生物学者・科学番組キャスターのデイビッド・スズキ、平和教育家ベティ・レアドン、政治学者カレル・バン・ウォルフェレン、ピュリッツアー賞受賞歴史家マーティン・シャーウィンなどが名を連ねている。他にも、一流の著述家、学者、映画監督、さまざまな平和団体の代表者たち、そして沖縄の軍事植民地状態を終えるために尽くしてきた人々がいる。
 
1月19日は沖縄にとって記念すべき勝利の日であった。名護の市民たちは、一貫して「海にも陸にも」基地を作らせないと反対してきた稲嶺進市長を再選したのだ。選挙前の世論調査では、名護市民のうち新基地計画を支持するのは9%にすぎなかった。住民の多数派による新基地建設の拒否は、仲井真弘多知事と、仲井真氏が米国の移設案に従うように重圧をかけた安倍晋三首相への不信任票に相当するものであった。稲嶺市長の勝利は、ニューヨーク・タイムズ紙が正しく指摘したように、さらなる振興金と公共事業を語ることによって票を買おうと試みた「安倍晋三首相にとって、面目をつぶす大打撃」であった。
 
沖縄の選挙の歴史において、基地受け入れを明言して当選した人はいない。今回の名護の選挙も例外ではなかった。沖縄の市民たちは、基地建設のための大規模な埋め立ての仲井真知事による承認を取り消すための訴訟を起こした。知事をリコールするための方法も模索中である。県議会は仲井真氏に辞職を要求する決議を通した。しかし安倍とオバマ両政権は沖縄のあらゆる抵抗を潰す用意をしているように見える。稲嶺市長再選のたった二日後に、日本政府は基地建設の準備作業のための入札公告を開始した。
 
沖縄の人々は過去もそうしてきたように、デモ、要請行動、選挙、訴訟、座り込み、学術や芸術活動、そして建設を中止させるための直接行動などの反対運動をし続けるであろう。人々は時には、カヌーをこいで海上のやぐらに体をしばりつけ、政府による調査を阻止することまでした。私たちは沖縄の人々の平和と尊厳、人権と環境保護のためのたたかいを支持する。私たちは国際署名運動を開始し、沖縄の新基地建設に反対し普天間基地の即刻返還を求め、沖縄の人々の民主主義と人権を無視する安倍氏とオバマ氏に異議を申し立てる。
   署名サイトの英語版は http://chn.ge/1ecQPUJ 
   For English version, go to http://chn.ge/1ecQPUJ  
 
 

2014年1月30日木曜日

スノーデン元職員、ノーベル平和賞候補に

 ノルウェーの左派社会党議員が連名で29日、米情報当局による監視活動を暴露したエドワード・スノーデンCIA職員をノーベル平和賞候補に推薦すると発表しました。
 推薦理由は、現代の監視活動の性質や技術力を明らかにしたことにより、平和に貢献したからということです。
 
 ノーベル平和賞候補の今年度の推薦受け付けは2月1日で締め切られ、10月に受賞者が発表されます
 
 以下はインタネット百科-ウィキペディスからの抜粋です。
 
エドワード・ジョセフ・スノーデン(1983年~ )

 アメリカ合衆国の情報工学者。中央情報局(CIA)及び国家安全保障局(NSA)の局員として、アメリカ政府による情報収集活動に関わった。
 
 2013月、スノーデンはハワイのオフィスで病気の治療のために3週間の休暇が必要だと上司に伝えたうえで香港へ渡航し、6月に香港で複数の新聞社の取材やインタビューを受け、アメリカ国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口を告発した
 
 香港滞在中に香港紙の取材に応じ以下のような主張を行った。
アメリカを離れて香港に移動したのは隠れるためではなく、アメリカの犯罪を暴くためである
アメリカ政府は市民の同意を尊重せず密かに情報収集作戦を行っていたが、この曝露によって今後は社会への説明責任と監督が求められることになるだろう。
オバマ大統領は人権上問題のある政策を推進している。
 
 その直後にアメリカ司法省情報漏洩罪など数十の容疑で捜査に乗り出したため、スノーデンはアイスランドへの政治亡命を求めたが、アイスランド政府は亡命を認めるかどうかについては言及を避けたので、ロシアへ渡航して現在そこに滞在中。
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スノーデン元職員、ノーベル平和賞候補に
CNN2014年1月30日
(CNN) ノルウェーの左派社会党議員が連名で29日、米情報当局による監視活動を暴露したエドワード・スノーデン米中央情報局(CIA)元職員をノーベル平和賞候補に推薦すると発表した。
 推薦理由として、スノーデン元職員が「現代の監視活動の性質や技術力を明らかにした」ことにより、平和に貢献したと評価している。
 ただ、「複数の国の安全保障上の利益が短期的に損なわれた可能性があることは否定できず、我々は必ずしも、すべての公開を容認あるいは支持するわけではない」とも指摘。それでも「スノーデン氏の告発を受けた公の論議や政策の変更は、世界秩序の安定と平和に貢献したと確信する」とした。
 今年のノーベル平和賞候補の推薦受け付けは2月1日で締め切られ、10月に受賞者が発表される。ノルウェーのノーベル賞委員会の規定によると、同国の国会議員には候補を推薦する資格がある。
 
スノーデン元職員は昨年6月に1年間の亡命が認められてロシアに滞在中。米国では情報当局の監視活動に関する情報を流出させた罪で、スパイ罪などに問われている。
 
 

NHKが「都知事選中は」と脱原発のコメントを拒否+

 NHKラジオ第一放送で30日朝に放送する番組で、出演予定の東洋大中北教授「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことに対して、NHK側が「東京都知事選の最中は、絶対にやめてほしい」と要求したことが分かりました。
 
 中北教授29日にNHKに提出した予定原稿では、原発の安全確保の対策や保険の費用など原発再稼働コスト世界的上昇し、損害巨額になること、また事前に積み上げるべき廃炉費用が電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘し、「廃炉費用が将来の国民が負担する見えない大きな費用になる」として、「即時脱原発か 穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括しているということです
 
 教授はNHKの要求を「趣旨を変えることはできない」と拒否し、「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約20年間出演してきたNHKの「ビジネス展望」をこの日から降板しました。
 
 コメント予定の内容は極めて理論的なものであって、特定の立場に立ったものでもましてや特定の都知事選候補を応援するというものでもありません。それをNHKのディレクターが「絶対に止めて欲しい」というのは尋常ではありません。
 
 民放などでも出演者に対して、まだ告示もされていないうちから「都知事選が終わるまでは原発問題に触れないように」という指示が徹底されているということです。
 これらはすべて時の政権に対するマスディアの追従であり、ジャーナリズムの気概を持たない日本のメディアの情けないところです。
 
 それを国民の受信料で経営されている公共放送であるNHKまでが、というよりも先の特定秘密保護法案の審議過程の報道姿勢から明らかになったように、むしろNHKが率先して権力の意向を忖度して振舞っていることは大変に問題です。 
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NNHK、脱原発論に難色 「都知事選中はやめて」
東京新聞 2014年1月30日
 NHKラジオ第一放送で三十日朝に放送する番組で、中北徹 東洋大教授(62)が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めること」などとコメントする予定だったことにNHK側が難色を示し、中北教授が出演を拒否したことが二十九日、分かった。NHK側は中北教授に「東京都知事選の最中は、原発問題はやめてほしい」と求めたという。
 この番組は平日午前五時から八時までの「ラジオあさいちばん」で、中北教授は「ビジネス展望」のコーナーでコメントする予定だった。
 
 中北教授の予定原稿はNHK側に二十九日午後に提出。原稿では「安全確保の対策や保険の費用など、原発再稼働コストの世界的上昇や損害が巨額になること、事前に積み上げるべき廃炉費用が、電力会社の貸借対照表に計上されていないこと」を指摘。「廃炉費用が将来の国民が負担する、見えない大きな費用になる可能性がある」として、「即時脱原発か 穏やかに原発依存を減らしていくのか」との費用の選択になると総括している。
 
 中北教授によると、NHKの担当ディレクターは「絶対にやめてほしい」と言い、中北教授は「趣旨を変えることはできない」などと拒否したという。
 中北教授は外務省を経て研究者となり、第一次安倍政権で「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長代理を務めた。NHKでは「ビジネス展望」だけでなく、二〇一二年三月二十一日の「視点・論点」(総合テレビ)で「電力料金 引き上げの前に改革を」と論じたこともある。
 中北教授は「特定の立場に立っていない内容だ。NHKの対応が誠実でなく、問題意識が感じられない」として、約二十年間出演してきた「ビジネス展望」をこの日から降板することを明らかにした。
 
◆詳細は答え控える
<NHK広報局の話> 中北さんに番組に出演していただけなかったのは事実です。詳細は番組制作の過程に関わることなのでお答えを控えます。
 
【解説】公平公正 裏切る行為
 中北徹東洋大教授のNHK降板問題で、中北教授はNHK側に「都知事選期間中は原発の話はやめてほしい」と迫られたという。再稼働を進める安倍晋三政権の意向をくんで放送内容を変えようとした可能性は否定できない。
 選挙期間中であっても、報道の自由は保障されている。中北教授は予定原稿で「現状では原発稼働がゼロでもアベノミクスが成果を上げている。原発ゼロでも経済成長が実現できることを実証した」「経済学の観点から、巨大事故が起きた際の損害額のリスクをゼロにできるのは、原発を止めることだ」と指摘した。
 
 NHK側が問題視した中北教授の原稿は、都知事選で特定の候補者を支援する内容でもないし、特定の立場を擁護してもいない。
 NHKの籾井(もみい)勝人新会長は就任会見で「国際放送で日本政府の意向を伝える」としている。原発再稼働を強く打ち出している安倍政権の意向を忖度(そんたく)し、中北教授のコメントは不適切だと判断したとも推測できる。
 原発政策の是非にかかわらず受信料を払って、政府広報ではない公平公正な報道や番組を期待している国民・視聴者の信頼を裏切る行為と言えるのではないか。 (中村信也)
 

NHKコーナー休止 ラジオ 脱原発の教授拒否番組
東京新聞 2014年1月30日
 NHKラジオ第一放送の番組で、中北徹東洋大教授(62)が原発の問題を話そうとしたところ、同局が「東京都知事選中は原発の話はやめてほしい」と難色を示したために番組を降板した問題で、同局は三十日、中北教授が出演予定だったコーナーを休んだ。
 このコーナーは、月~金曜の各日午前五時から放送される番組「ラジオあさいちばん」の中で、六時半台に設けられる「ビジネス展望」。
 三十日は男性アナウンサーがコーナー休止を告げ、コーナーと無関係の聴取者からの便りを読み上げた。休んだ理由は説明しなかった。三十一日以降は通常通り放送するという。
 「ビジネス展望」は、経済評論家の内橋克人氏や日本総合研究所理事長の寺島実郎氏らが交代で出演し、ニュースや話題を約十分で解説。中北教授は約二十年間にわたり出演していたという。
 NHK広報局は「都知事選では原発をめぐる問題が一つの争点になっており、選挙期間中はより公平性を期す必要がある。今回の場合、中北教授が出る翌日などに、別の視点を持つ方に出演してもらうことなども考えられたが、選挙期間中の出演者は既に決まっており、テーマの変更を求めた」としている。
 
◆言論封殺おかしい
 戸崎賢二・元NHKディレクターの話 選挙期間中は、特定の候補を推薦しない限り、争点となっている問題の論評を控える必要はない。放送が民主主義の発達に資するべきだという放送法の精神からすれば、この期間中こそ有権者の判断に役立つ意見や情報を豊かに伝える必要がある。原発は意見が対立している問題だが、多角的な視点は編成全体で実現すればよく、出演者の言論の自由を封殺する対応はおかしい。政権側の批判を恐れた疑いも捨てきれないのではないか。
 
 

2014年1月29日水曜日

「慰安婦問題解決」組織が籾井発言に抗議声明

 日本軍慰安婦問題解決全国行動」組織は27日、NHK籾井新会長の就任会見で「慰安婦」問題に関する発言に対して、「安倍首相の責任を問う籾井会長は発言の責任をとって直ちに辞任せよ」とする抗議声明を出しました。
 
 声明は、籾井会長が「戦争地域にはドイツ、フランスなどヨーロッパはどこでもあった」「今のモラルでは悪い。だが、その時の現実としてあった」などと問題発言を繰り返し、「韓国は補償しろと言っているが日韓条約ですべて解決しているなぜ蒸し返すのか」などと述べたことに対して、間違った事実認識をさらに広めるものであり、公共放送の長にあるまじき言動としています
 
 そして「慰安婦」問題、発案、設置、管理に至るまで日本政府と軍が主導した「戦時性奴隷制度」であることは数々の証言、文書等で明らかになっており、こうした国家主導の性奴隷制度は、日本を除けば、ドイツで類似のものがあったとされている以外には確認されていない。今回のことで、2001年のNHK「慰安婦」番組改ざん事件で、当時の安倍晋三内閣官房副長官らが中心になってNHKに圧力をかけ「慰安婦」関連番組を改ざんさせたことを思い出させるとし、昨年11月に安倍首相がNHK経営委員会に自らの歴史認識に近い委員を送り込んだことは、NHKの番組全体に自らの意向を反映させるべくその権限を濫用したもので、それによりこのよう不見識な人物の会長就任を促した安倍首相の責任を厳しく問うとともに、籾井氏の即刻辞任を強く求めるとしています
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抗議声明
 安倍首相の責任を問う!
 籾井勝人NHK新会長は発言の責任をとって直ちに辞任せよ!
 
 1月25日、NHK籾井勝人新会長は就任会見で「慰安婦」問題に関連 「戦争地域にはどこでもあった」「ドイツ、フランスなどヨーロッパはどこでもあった」「慰安婦そのものは今のモラルでは悪い。だが、その時の現実としてあった」など問題発言を繰り返し、辞任論に発展しています。これは昨年5月の橋下徹大阪市長による「慰安婦は必要だった」「どこの国にもあった」という発言と重なります。橋下市長発言は女性に対する人権侵害であり被害者の尊厳を踏みにじる発言として瞬く間に広がり、国内はもとより世界中で非難が起こったことは記憶に新しいところです。続けて「韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか」と述べています。
 こうした発言は間違った事実認識をさらに広めるもので、公共放送の長にあるまじき言動です。
 「慰安婦」問題に関して言えば、発案、設置、管理に至るまで日本政府と軍が主導した「戦時性奴隷制度」であることは数々の証言、文書等で明らかになっており、募集においても軍の要請を受けた民間業者らが関与したことが明らかになっています。このような国家主導の性奴隷制度は、日本を除けば、ドイツで類似のものがあったとされている以外には確認されていません。籾井会長はそうした一つひとつの調査・研究の積み重ねを無視し、公の場で持論を展開し、無知をさらけ出しました。戦時下・武力紛争下で女性に対する性暴力は、現在も世界各地で続いています。しかし、他国の例を責任逃れの文脈で語る籾井会長の発言は、被害の連鎖を断ち切ろうとする日本軍「慰安婦」被害者たちの願いに真っ向から逆行するものです。私たちは、日本政府が被害者たちの要求に応えることこそが、今も続く戦時下における性暴力の再発防止に役立つことだと改めて訴えます。
 今回のことで私たちは2001年のNHK「慰安婦」番組改ざん事件を思い起こさずにはいられません。当時の安倍晋三内閣官房副長官らが中心になってNHKに圧力をかけて「慰安婦」関連番組を改ざんさせました。裁判では最高裁で敗訴したもののBPO(放送倫理・番組向上機構)は意見書を通じて放送前にNHK幹部管理職が政府高官・与党有力政治家に面談し、改編を指示したことをNHKの自主・自律を危うくさせる行為であると指摘しています。
 昨年11月、安倍首相がNHK会長の任命権を持つNHK経営委員会に自らの歴史認識に近い委員を送り込んだことは、「NHKと政権との距離が 問われかねない人事」と問題視されてきました。
 まさに、今回の事態は、心配されたことが現実化したということです。番組編集権を持つ会長人事を経営委員会が持ち、その経営委員会の任命権者が首相であることを利用して、かつてNHKのいち番組に国会議員として改ざん要求を出した安倍首相が、今度はNHKの番組全体に自らの意向を反映させるべく、その権限を濫用したとしか言いようがありません。
 このたびの会見を通して、籾井氏がNHK会長としてふさわしい人事でないことは明確になりました。私たちは、このような不見識な人物の会長就任を促した安倍首相の責任を厳しく問うとともに、籾井氏の即刻辞任を強く求めます。そして何よりも、このようなことが再び繰り返されれば、戦時性奴隷制の被害者たちをさらに傷つけます。戦時下・武力紛争下での女性への性暴力をなくそうという世界の人権の流れに応え、安倍政権が速やかに日本軍「慰安婦」問題の解決をはかることを要求します。
 2014年1月27日            
 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
 共同代表梁澄子渡辺美奈
 
 連絡先:アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)気付
 〒169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18AVACOビル2F
 e-mail:ianfu-kaiketsu@freeml.comfax: 03-3202-4634
 

2014年1月28日火曜日

市民団体 籾井会長の解任を求める要望書を提出

 籾井NHK会長の就任会見における、特定秘密保護法の成立、NHK国際放送のあり方、従軍慰安婦問題などについての発言は、あまりにも認識不足であり品格に欠けたものでした。
 
 27日、28日の新聞各紙の社説のタイトルは、「新会長の公共放送トップとしての見識(自覚・適格性)を疑う(資質に欠ける)」とするもの(高知新聞愛媛新聞京都新聞琉球新報沖縄タイムス西日本新聞など)や「公共放送の信頼が失われた(損なった、揺らいだ)」とするもの(東京新聞北海道新聞神戸新聞毎日新聞など)、そして「あまりに心配な船出(行方が心配)」とするもの(朝日新聞、信濃毎日新聞など)などで占められました。
 
 中・韓紙も、「NHK会長の発言は日本指導者の過ちと同じ流れ(中国人民網)、「NHK会長慰安婦、どこの国にもあった妄言」(韓国中央日報)、「『新・妄言製造機NHK籾井会長」(朝鮮日報)などと厳しく批判しています。
 
 NHKに対しては、25、26日の2日間だけでも全国から抗議の電話などが1000件以上あったということです(毎日新聞)
 
 これが年末にNHK経営委員の新・再任者を安倍人脈の4名にするなどして1月のNHK会長選出に備え、その挙句安倍氏の意中の人が会長に選ばれた結果でした。
 言いようのないほどにお粗末な話です。
 
 こうした事態に対して、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(共同代表、醍醐聡・東大名誉教授)が27日、籾井会長の辞任を求める申し入れ書をNHK経営委員会に提出しました。
 
 申し入れ書では、籾井会長が経営委員会が作成した会長の資格要件「政治的に中立である」「公共放送の使命を十分理解している」に反している点などを挙げ、「会長に不適格であり、視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らか」として、会長の任免権を持つ経営委に籾井氏の解任を求めています
 またこうした会長が選出された仕組みに問題があるとして、会長などの選出機構について広く視聴者から意見を求める機会を近々に設けるよう求めています
 
 視聴者コミュニティ醍醐 氏(東大名誉教授)が27日付のブログで、これらについて詳細を明らかにしています。
 ブログには「籾井NHK会長の解任を求める申し入れ」書も添付されています。
 
 以下に紹介します。
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NHK籾井会長の解任を求める要望書を提出:
 醍醐 聰 2014年1月27日
 さる25日、NHK会長の籾井勝人氏は就任記者会見で「従軍慰安婦」はどこでもあったこと、補償せよとなぜ蒸し返すのか」、「領土問題で政府が右ということを左とは言えない」、「特定秘密法は決まったこと、ああだこうだいってもしょうがない、あまりカッカすることはない」などと、公共放送の長としてあるまじき暴言を連発した。
 これについて、私も共同代表の一人になっている「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は緊急に運営委員の間で対応を相談し、今日(1月27日)、NHK会長の任命権者であるNHK経営委員会と籾井会長本人宛に、解任・辞任を求める申し入れを提出した。
 
NHK経営委員会宛「籾井NHK会長の解任を求める申し入れ」
NHK会長・籾井勝人氏宛「会長職の自主的辞任を求める申し入れ」
 
 どちらの申し入れでも、籾井会長の発言を、①NHKが行う国際放送に関する部分、②「従軍慰安婦」問題に関する部分、③安倍首相らの靖国神社参拝に関する部分、④特定秘密保護法に関する部分、に分けて整理し、それぞれについて、(1)「放送法」、(2)「NHK放送ガイドライン」、(3)NHK経営委員会の指名部会が合意した会長資格要件、に照らして、それぞれ検討し、どの観点に照らしても籾井氏はNHKの会長職に不適格な人物であると判断した。それにもとずいて、
 ・NHK経営委員会には籾井氏を会長から解任する、もしくは籾井氏に会長辞職勧告をするよう求めた。
 ・籾井氏に対しては、今回の発言の重大性を自覚し、自ら辞任するよう求めた。
 
NHK会長選考システムの構造的欠陥
 今回の籾井氏の発言は、現在のNHK会長選考システムの構造的欠陥を露呈したものと私は考えている。一言でいえば、その構造的欠陥とは、NHK経営委員会が会長選任機関であるということを拡大解釈して、経営委員個々人が会長候補者を推薦する権限を専有しているかのように誤解されている点にある。そのような誤解が通用しているため、近年、個々の経営委員が自分の知己なり人脈なりに依って会長候補者を推薦し、その中から「よりましな」人物を選ぶという慣例が定着していると見受けられる。その結果、経済界に「太い」人脈を持つ財界出身の経営委員が多くの候補者リストを持ち、強い発言権を持つことになり、就任初の記者会見で「私は公共放送のことはほとんどわかりません」と公言するような財界人が、「大きな組織を統括した手腕」、「日本ユニシスの社長に就任して以降、3,000億円以上の年間総売上を達成するなどの実績を持つ」ことまで推薦の理由に挙げてNHK会長が選ばれる結果になるのである。
 近年、NHKの会長選考が迷走したり、選任された会長が迷走発言や暴言を吐いたり、民間企業に移りたいと称して会長職を辞するなど、NHK会長職の威信を傷つける言動が後を絶たない状況を改革するには、今述べたような会長選考システムの構造的欠陥を根本から改革する必要があると私は考えている。
 
 以下は、NHK経営委員会宛の申し入れ書の全文である。
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2014年1月27日
NHK経営委員会御中
籾井NHK会長の解任を求める申し入れ
                NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                      共同代表 湯山哲守 zz醍醐 聰
 
 貴委員会におかれましては、日頃より、NHKの公共放送として充実をはかるためご尽力されていることと存じます。
 
籾井会長発言の要旨
 1月26日の全国紙各紙朝刊によれば、籾井勝人・NHK会長は25日に開催された会長就任の記者会見で、放送法を順守すると発言する一方で、次の様な発言をしたとのことです。
 
 第1に、NHKが行う国際放送に関し、「領土問題については明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。」
 第2に、「従軍慰安婦」問題について、「戦時中だからいいとか悪いとは言うつもりは毛頭ないが、この問題はどこの国にもあったこと」、「韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜむし返すのか。おかしい。」
 第3に、安倍首相らの靖国神社参拝について、「総理の信念で行かれた。それをいい悪いという立場に私はない。昔の人は戦争に行くときに『死んで靖国に帰る』と送り出した。こう言う人たちが大勢いる」
 第4に、特定秘密保護法の取扱いについて、「一応決まったことをああだこうだ言ってもしょうがないんじゃないか。必要ならやる。あまりかっかすることはない。」
 
当会の評価
 こうした籾井会長の発言は、以下に述べる三重の意味で、同氏がNHK会長職に不適格な人物であることを示したものと考えます。
 
1. 「放送法」に照らして
 「放送法」は第1条3項で、本法の目的を「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と定め、第4条で「放送事業者は、・・・・放送番組の編集に当たつては、政治的に公平であること」を求めています。今回の籾井会長の、現政権の見解を代弁するに等しい一連の発言は、これら放送法の条項に反するものであり、放送法を率先して遵守すべき立場にあるNHK会長としてあるまじき発言です。
 
2. 「NHK放送ガイドライン」に照らして
 2011年に定められた「NHK放送ガイドライン」は冒頭で「報道機関として不偏不党の立場を守る」とし、「放送とは直接関係のない業務にあたっても、この基本的立場は揺るがない」と定めています。NHKの全役職員の先頭に立って、この不偏不党の立場を堅持すべき会長が、こともあろうに会長就任の記者会見という職務遂行の場で時の政権の立場に寄り添うような発言をすることは、「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反する暴言を吐いたものというほかありません。
 さらに、領土問題、靖国神社参拝問題の報道に関する籾井会長の発言は、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という言葉に代表されるように、政府の見解を追認し、代弁するものです。しかし、「NHK放送ガイドライン」は国際報道の基本姿勢として、「各国の利害が対立する問題については、一方に偏ることなく、関係国の主張や国情、背景などを公平かつ客観的に伝える」と定めています。この点で、籾井会長の発言はアジア諸国に対する日本の侵略責任を認めた村山談話を無視する一方で、国内でも異論が多い現政権の歴史認識を代弁するものであり、上記の「NHK放送ガイドライン」に背くものです。また、「従軍慰安婦」問題についての発言は、河野談話によって日本政府の公式見解となり歴代内閣が踏襲してきた立場を真っ向から否定するものです。
加えて、籾井会長の発言は、昨今、日韓・日中両国はもとより、アメリカや欧州諸国からも厳しく警告・批判されている日本政府の偏狭な歴史認識を代弁するものですが、それは「NHK放送ガイドライン」が定めた「国際平和や、各国国民との相互理解、友好・親善の促進に貢献する」という規定にも逆行するものです。
 次に、特定秘密保護法について、籾井氏は、通ったものをどうこういってもしょうがないと発言しましたが、同法案が成立した後に行われた世論調査でも、法案の国会審議が「十分でない」という回答が76%、法案自体に「反対」が51%を占め、「賛成」の24%の2倍以上となっています(「朝日新聞」2013年12月7日調査)。また、同法の修正・廃止を求める意見が合せて82.3%に達しています(「共同通信」2013年12月8・9日調査)。現に、複数の政党は今国会に同法の廃案法案を提出する準備をしています。
 このような世論および政治の状況に照らせば、今回の籾井会長の発言は、「政治上の諸問題の扱いは、あくまでも公平・公正、自主・自律を貫き、・・・・視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝える」と定めた「NHK放送ガイドライン」に真っ向から反しています。
 
3. 指名部会が合意した次期会長の資格要件に照らして
 経営員会内に設置された指名部会の第8回部会(2013年11月26日開催)会議録によれば、次期会長の資格要件として6点が合意されたと記され、その第1に「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している」こと、第3に「政治的に中立である」ことが挙げられています。籾井会長の会長就任会見での一連の発言はこれら両項に背反することは明らかであり、経営委員会が合意した資格要件に照らしても籾井氏はNHK会長に不適格な人物と言わなければなりません。
 
当会の申し入れ
1.  以上3つのどの観点から検討しても、籾井氏がNHK会長の職に不適格な人物であること、NHKに対する視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らかです。よって、当会は、会長任命機関としての貴委員会に対し、すみやかに籾井氏をNHK会長職から解任するか、籾井氏に辞職を勧告されるよう申し入れます。
2. 会長就任早々、言論・報道機関の責任者としての自覚のなさをさらけ出す発言をするような人物を選任した貴委員会の責任は極めて重大です。なぜ、そのような選任になったのかを徹底的に検証し、審議の模様をそのまま議事録として公開するよう求めます。
3. ここ数年、NHK会長選考が混迷したり、選任された会長が問題発言をしたりすることによってNHK会長の威信が著しく低下しています。こうした事態を改めるには、現在のNHK会長選考のシステムを、視聴者に開かれた、より透明なものにするよう抜本的に改革する必要があると考えます。その第一歩として、当会はNHK会長選考のあるべき仕組みについて、広く視聴者から意見を求める機会(パブリックコメントや公聴会の開催)を近々に設けるよう求めます。
 
 以上3点の申し入れに関する貴委員会の対応なりご見解を、2月10日までに別紙掲載宛てに書面でご回答くださるようお願いします。
                                 以上