2014年12月28日日曜日

非正規初の2000万人超 労働法制のさらに改悪狙う

 一昨年安倍首相が再登場したとき、「2年もすれば日本の隅々にまで好景気が行き渡るようになる」と述べました。あれから丁度2年が経ちましたが、日本の何処を見てもただ不景気に沈滞しているのみです。
 「労働力調査」によると安倍政権下で非正規雇用労働者数は11月でついに2012万人に達しました。雇用者中の非正規労働者の占める割合は38%で、5人に2人が非正規という比率です。
 
 非正規率はとりわけ女性で高く57.2%で、これが安倍政権が声高に叫ぶ「女性の活用」の実態です。「たとえ給料は安くても主婦も働けば家族全体の収入が増えるじゃないか」というのが安倍氏の主張ですが、これほど労働者を侮辱した話はありません。
 年齢階層別では15~24歳が50・5%で、65歳以上の高齢者層の次に高い比率です。女性や若者がなかなか正社員になれず、非正規の職に就かざるを得ない実態をしています
 
 昨年11月と比べると正規は29万人も減り、非正規が48万人増えました。これが安倍首相が「岩盤規制」をドリルで壊すと叫び意図したものです。
 労働者を使用者側の横暴から守る規制は、社会の発展の中で生み出されてきた人権上必須なものです。それを「官」が握っている頑迷で非生産的な規制と一色端にして取り払おうとするのは根本的な間違いです。人間としての良心があれば出来ない筈のことをなぜやろうとするのでしょうか。
 
 新自由主義経済の旗手であるとされる竹中平蔵氏は、登場以来一貫して規制緩和が経済を発展させる根源であるかのような発言を繰り返していますが、彼の言う規制緩和もひたすら企業経営者にとって都合の良い規制緩和のみでした。企業家はそれによって労働者をより安く、より自由に使えるようになりましたが、労働者側の待遇は悪化の一途をたどりました。
 
 仮に正しい規制改革が行われたとしても、それによって経済が発展するという理論的根拠はないということです。となるとひたすら国民を騙す言辞だったということになります。
 国民を騙すといえば、もはやトリクルダウンを信じる人などいません。アメリカでも欧州でもそんなものは起きませんでした。そんなことが日本で起きる筈がありません。それは「限りなく遠い将来のいつか」は起きるというに等しいマヤカシです。
 いつかは給料が上がるというのも全く同じマヤカシです。インフレ率には絶対に追いつかないベースアップでもそれができる企業はまだマシで、大部分の人たちの生活は一層悲惨になります。
 
 年が明ければ円安による値上げラッシュが待っています。国民を襲う更なる苦難が待っています。
 そんな中で安倍政権は今後さらに労働者派遣法改悪案など狙っていますが、世の中が一層暗くなり景気が更に沈滞するだけのことです。
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非正規 初の2000万人超  安倍政権 労働法制さらに改悪狙う
しんぶん赤旗 2014年12月27日
 非正規雇用の労働者数が11月、初めて2000万人を超えて2012万人となりました。役員を除く雇用者に占める非正規の比率は38%に達しました。26日、総務省が発表した「労働力調査」で分かりました。
 前年同月比では、非正規が48万人増えた一方、正規が29万人減。正社員を減らして非正規雇用に置き換える動きがいっそう進んでいます。安倍晋三政権は雇用を守るルールを「岩盤規制」と呼んでさらに切り崩そうとしています。
 
 非正規雇用の労働者数は、総務省が月ごとの統計を発表するようになった2013年1月以降で最多。四半期ごとに集計していた02年以降でも最多です。
 非正規比率は、今年2月の38・2%に次ぐ2番目の高さです。女性では57・2%と6割近くです。年齢階層別の非正規比率は、15~24歳が50・5%で、65歳以上(74・2%)を除けば最も高くなっています。若者がなかなか正社員になれず、非正規の職に就かざるを得ない実態が表れています。
 
 非正規雇用が増えたのは、歴代自民党政権下で労働者派遣法などが改悪されたためです。第2次安倍政権は、派遣労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられるようにする労働者派遣法改悪案を今年秋の臨時国会に提出しましたが、共産党や労働組合の強い反対で廃案に追い込まれました。安倍政権は今後さらに改悪を狙っています。
 
正規が当たり前 政策転換すぐに  全労連 井上久事務局長の話
 安倍首相は「賃金をあげる」と言います。しかし、低賃金の非正規雇用が増え続けている今回の調査結果からも、その欺まんと破たんは明らかです。労働法制の改悪を繰り返せば、大企業はコストカットのために非正規雇用への置き換えをさらにすすめるでしょう。
 日本経済の再生のためには、賃上げで内需を増やす必要があることは、いまや政府も認めるところです。だったら、正規が当たり前の雇用の安定に政策を転換すべきです。

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