2014年12月31日水曜日

安倍政権のメディア戦略 嬉々として会食に応じるメディア 

 しんぶん赤旗によれば、第二次安倍政権が発足してからこの2年間で、安倍首相とマスメディア幹部との会食は50回近くに上るということです。
 
 こうした癒着が、マスメディアに安倍政権の改憲路線や歴史逆行の動き、消費税増税やTPP交渉推進など政権べったりの姿勢を取らせていることは明らかです。
 メディアが政権と癒着してはならないことは当たり前のことで、日本のようにメディアのトップや幹部クラスが公然と首相との会食を繰り返すなどは、諸外国では例を見ないということです。
 
 この件で山本太郎参院議員が、24日、政治家とメディアの癒着が報道の中立公正公平の観点から批判の対象となることは世界の常識であり、安倍首相のこれらの行動は極めて奇異であると言わざるを得ないとして質問主意書を提出しました(別項記事を参照)が、メディアの側も、日本の報道の自由度世界ランキングが今年度59位(アメリカは43位)に下落したことなど全く意に介さずに、嬉々として首相の誘いを応じているというのは情けないことです。
 
 註.しんぶん赤旗には「安倍首相とメディア幹部との会食など」の表で、この2年間の50回近くに上る会食の、日時、相手、場所のリストが表示されていますが、大きすぎてブログの画面にコピーできませんので、元記事にアクセスしてご覧下さい。 
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安倍政権のメディア戦略 幹部とは会食 現場には恫喝 
政権べったりの社を選別 突出する「読売」、フジテレビ
しんぶん赤旗 2014年12月30日
 安倍晋三首相が政権に復帰して2年。マスメディア幹部との会食が目立っています。総選挙では政権党による「報道介入」に批判が起きました。安倍政権のメディア戦略は―。
 
 総選挙投票2日後の16日、「自公圧勝」報道の嵐のなか、首相が全国紙やテレビ局の解説委員・編集委員らと会食したことが話題になりました。
 この会食にとどまらず、この2年間、首相とメディア幹部との会食が重ねられてきました。そのなかで鮮明になっているのが、首相によるメディアの選別です。2年間でみると、突出しているのが、「読売」の渡辺恒雄会長の8回、フジテレビの日枝久会長の7回。それにつづくのが、「産経」の清原武彦会長の4回、日本テレビの大久保好男社長の4回などです。
 
 安倍政権の改憲路線や歴史逆行の動き、消費税増税や環太平洋連携協定(TPP)交渉推進など、政権べったりの姿勢が目立つメディアとの癒着ぶりが顕著です。なかでも、「読売」は渡辺会長のほか、論説主幹とも判明しているだけで7回会食。フジの日枝会長は夏のゴルフ仲間として定着しています。「朝日」、「毎日」、「日経」、共同、時事、「中日」などの経営幹部との会食も欠かしていません。
 こうした状況に、ある全国メディア幹部は「会食する順番、回数など、メディア全体が安倍政権に選別されている状況が一番問題だ。現役記者も、官邸からにらまれないように汲々(きゅうきゅう)としている」と懸念します。
 
 一方で、今回の総選挙公示前にTBSの報道番組に出演した安倍首相が、アベノミクスに対する街の声を紹介した番組中の取材映像に対し「これ、おかしい」「(テレビ局の)みなさん(声を)選んでおられる」と強い口調で非難しました。この2日後に、自民党が在京テレビキー局各社に要請文書を出し、「街頭インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう」求めました。
 これに対し民放労連は「政権政党による報道介入に強く抗議する」との委員長談話を発表するなど、異例の事態に発展しました。
 メディア幹部と会食を重ね、癒着を深める一方で、現場には恫喝(どうかつ)まがいの行動に出る―安倍政権のメディア戦略にきびしい監視が必要となっています。
 
問われる“権力の監視役”
 安倍晋三首相とメディア幹部との会食で目につくのは、政局の節目節目に首相が近しい記者との会食を行っていることです。
 
 総選挙から2日後の16日夜、「読売」、「朝日」、「毎日」、「日経」、NHK、日本テレビ、時事通信の解説委員・編集委員らが、東京・西新橋のすし店で会食したことを本紙がニュースとして報道しました。大きな反響があり、「マスメディアの堕落だ」「あまりにひどい」との反応が寄せられました。
 このメンバーは、首相との定期的な会食を重ねています。秘密保護法強行の直後(13年12月16日)、集団的自衛権の検討表明の日(14年5月15日)にも会食しています。靖国神社参拝や消費税増税強行の直後には、報道各社の政治部長らが首相と懇談・会食をしています。
 こうした会食が社論や解説記事に影響することはないのか。首相の側は政局の節目に自分の考えをメディアに伝えようとしているのは明白です。国のあり方が大きく問われ、世論も多数が反対している問題が重要局面を迎えているときに、メディアの編集幹部が権力中枢と会食することが許されるのか、きびしく姿勢が問われます。
 
 これらの会食は、高級料理店で2時間から3時間も食事をともにするもので、通常の取材とは明らかに一線を画すものです。しかも、会食に出席した解説委員・論説委員などは、自社の社長らと首相の会食にも同席するケースがあり、いわば経営幹部と権力中枢の接近を媒介しているともいえます。
 権力の監視を本来の役割とし、そのためにも緊張関係を保つべきメディアのあり方からの重大な逸脱です。

図表:安倍首相とメディア幹部の会食頻度

山本太郎議員が首相とマスメディアなどとの会食について質問主意書

 参議院議員の山本太郎氏は24日付で、安倍首相とマスメディアや民間会社のトップとの会食についての質問主意書を提出しました。
 
 質問書は、安倍首相この年間で報道関係者らとの会食実に40回以上にも及び、歴代首相の中でも突出した頻度であり、政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ないとし、その事実関係について糾しています。
 
 また、報道関係者以外にも、安倍政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と安倍首相との「会食」が行われているとして、これらの報道関係者さらには利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部らとの「会食」に関して、政府としてはいかなる現状認識を持っているのかについて問うています。
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質問第12  
安倍首相の「会食」に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十六年十二月二十四日
参議院議長山崎正昭殿
山本太郎
 
  安倍首相の「会食」に関する質問主意書
新聞報道によれば、安倍首相は第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった報道各社の社長等の経営幹部や解説委員、論説委員あるいは政治関連担当記者らとの「会食」を頻回に行っていることが明らかにされており、この二年間で安倍首相とこのような報道関係者らとの会食は、実に四十回以上にも及び、歴代首相の中でも突出した頻度であると指摘されている。メディア戦略を重要視しているとされる安倍首相であるが、政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない。
また、報道関係者以外にも、安倍政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と安倍首相との「会食」が行われている事実も報じられており、これら一般常識から逸脱した安倍首相の行いについて、安倍政権は国民に対して真撃かつ誠実な説明をすべきであると考える。
以上を踏まえて、安倍首相が行っているこれらの報道関係者さらには利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部らとの「会食」に関して、政府としてはいかなる現状認識を持っているのか、その見解を明らかにされたく、以下質問する。
 
  特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が成立した平成二十五年十二月六日の十日後に当たる平成二十五年十二月十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の中国料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。
事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その事用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。(事務局註.この茶色字の部分は二~五で共通)
 
  安倍晋三氏が首相に就任して初めて靖国神社を参拝した平成二十五年十二月二十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の日本料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。
事実であるならば、・・・・・・ 国民の納得できる形で明らかにされたい。一に同じ)
 
  消費税増税が施行された平成二十六年4月一日及び翌四月二日、安倍首相は報道関係者らと東京で二日続けて会食を行ったとの報道があるが、これらは事実か。
事実であるならば、・・・・・・ 国民の納得できる形で明らかにされたい。一に同じ)
 
  安倍首相の私的語問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が集団的自衛権行使を容認するよう求めた報告書を提出したのを受けて、安倍首相自ら臨時記者会見において集団的自衛権に関する検討を公式に表明した平成二十六年五月十五日、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、・・・・・・ 国民の納得できる形で明らかにされたい。一に同じ)
 
  平成二十六年十二月十四日に行われた衆議院議員総選挙の二日後に当たる十二月十六日にも、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。
事実であるならば、・・・・・・ 国民の納得できる形で明らかにされたい。一に同じ)
 
  新聞報道によると、安倍首相は、原子力規制委員会が九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「九電川内原発」という。)の安全対策がいわゆる「新規制基準」を満たすとする審査書案を公表した平成二十六年七月十六日の翌々日に当たる七月十八日夜、福岡市博多区の料亭で、貫正義九州電力代表取締役会長始め麻生太郎副総理兼財務大臣の弟である麻生泰九州経済連合会会長、石原進九州旅客鉄道株式会社相談役といった九州の財界人と会食し、その席上で出席者から九電川内原発の早期再稼働を要請された際、「川内はなんとかしますよ」と応じた(以下「安倍首相発言」という。)とのことであるが、安倍首相とこの会食出席者のやり取り及び安倍首相発言を記者団に明らかにした石原進氏の発言内容は事実か。事実であるならば、安倍首相発言の真意について政府としての認識を具体的に示されたい。加えて、この石原進氏の発言内容が事実ではないとの認識であれば、政府としてこのような発言を行った石原進氏に対していかなる対応を取るのか示されたい。
 
  国会議員等と利益相反関係にある企業経営者等とが、政治資金パーテイとは異なる個別の会食等を行うことの是非について、一般論としての政府見解を示されたい
 
  前記七に関して、九電川内原発再稼働を進める政権の総理大臣を務めている安倍晋三氏と、その当該原子炉の運転等に係る原子力事業者の経営トップである九州電力株式会社代表取締役会長とは利益相反関係にはないと言えるか、政府の認識を明確に示されたい。
 
  前記六に関して、平成二十六年七月十八日夜に、福岡市博多区の料亭にて行われた会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。
 
  首相と報道関係者、あるいは報道関係者以外であっても政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部が懇談、会食した際に要した費用を内閣官房報償費から支出することは適切であると言えるか、一般論としての政府見解を示されたい。加えて、内閣官房報償費の会食等に関わる使途、明細等については特定秘密保護法における特定秘密に該当するか、政府の認識を明確に示されたい。
 
右質問する。
 

2014年12月30日火曜日

大企業の内部留保 過去最高の285兆円

 
 資本金10億円以上の大企業内部留保が、この1年で13兆円増えて過去最高の285兆円に達しました。
 大企業は、法人税の引き下げや優遇税制などによる恩恵を受けて大儲けをしながら、正社員の定期給与抑制、低賃金の非正規雇用労働者を増やしたことで、内部留保を積み増しました
 
 それに対して労働者の年間平均賃金は、大企業や公務員を中心に賃金が上昇したため昨年より5万6000円(1・4%)上がりましたがそれでも消費者物価指数の上昇率2・4%には及びません。
 労働者の大部分を占める中小企業では賃上げなどは一切行われていません。
 
 安倍政権はさらに2年間で法人税を3.3%も軽減する方針ということですが、大企業の大儲けをいたずらに助長し放置するのではなく、適正な社会への還流を図ることに力を尽くすべきです。
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大企業内部留保 最高の285兆円 月2万円賃上げ可能 
労働総研調べ 実質賃金減 経済に打撃
しんぶん赤旗 2014年12月29日
 資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保が、前年度からのわずか1年で13兆円積み増し、過去最高の285兆円に達しています(全労連・労働運動総合研究所〔労働総研〕調べ)。実質賃金が17カ月連続で減少するもと、2015年春闘で求められる月2万円などの大幅賃上げを実現する条件は十分あることを示しています。
 
 大企業は、法人税の引き下げや優遇税制などによる恩恵を受けながら、正社員の定期給与の抑制、低賃金の非正規雇用労働者を増やしたことで、内部留保を積み増しています。
 労働者の賃金は深刻です。民間給与実態統計調査によると、年間平均賃金は昨年より5万6000円(1・4%)上がり、413万6000円となりました。
 しかし、今年4月の消費税増税による物価押し上げは日銀試算で2%。消費税増税分を含む消費者物価指数は11月、前年同月比で2・4%上がっており、賃金は上がっても物価上昇分には届いていません。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査でも、物価上昇を加味して賃金水準を示す実質賃金指数(従業員5人以上の事業所)は前年同月比4・3%減で、17カ月連続でマイナスを記録しています。いずれの指標をとっても、労働者の家計は実質マイナスです。
 7~9月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0・5%減、年率換算で1・9%減となりました。消費税増税と実質賃金のマイナスは、日本経済に深刻な打撃を与えています。
 2015年春闘で、全労連などでつくる国民春闘共闘は内部留保の活用による月額2万円の賃上げ、連合は2%以上の賃上げを掲げてたたかいます。
 
 内部留保 企業の収益から原材料費や人件費などの費用を引いた利益をもとに税金を払い、株主配当など除いて、企業が蓄積したもの。
 
グラフ

景気後退突入は明白 メディアはその現実を隠蔽

 
 民主党政権時代に正当な政治主導型政治改革者として登場した鳩山政権は、官僚が主導しそれにマスメディアが躍らされる形で起された猛烈な鳩山バッシング(=小沢バッシング)の中で倒されました。
 その後に登場した菅政権と野田政権ではひたすら財務省の言うがままの政治(=国民的には無為無策の政治)が行われて、それが結局現在の自民・公明絶対多数の政治状況を生み出したとされています。
 
 特に野田政権は財務省による猛烈な後押しを得て成立したために、一貫して財務省べったりの政治が行われました。財務省は国民からの増税(この場合は消費税増税)がひたすら唯一つの目標であって、経済動向には関心がなく責任も負いません。それは経産省や官邸の仕事という判断なのでしょう。
 
 その国民を倦ませた野田政権の無為無策の中で起きたのが「景気後退」(=大不況)でした。経済評論家である植草一秀はそれを野田政権による財政再建原理主義不況」と呼んでいます。
 そしてそれと同じ完全な景気後退局面」がいま起きているが、マスメディアはそのことを一切報道しないと指摘しています。
 
 日本のマスメディアは、12月の総選挙に際して「アベノミクスで日本経済は改善傾向にある」との虚偽報道展開続け、そのありさまは先の大戦で大本営が、日本軍の連戦連勝を喧伝し続けたのと、まったく同じ図式であったとしています。
 
 28日の植草氏のブログには、景気後退を判断する方法について分かりやすく解説されています。
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景気後退突入の現実を隠蔽する腐敗御用メディア
植草一秀の「知られざる真実」 2014年12月28日
12月26日、11月鉱工業生産統計速報値が発表された。
鉱工業生産指数は 季節調整後前月比 -0.6% の減少を示した。
鉱工業製品在庫率指数は 前月比4.0ポイント上昇の 116.8 を記録した。
11月に発表された予測指数では、12月の生産は季節調整後前月比 +2.3%
の伸びを記録することとされていたから、予測指数に対して、大幅下方修正の統計数値発表となった。
この統計が示していることは、日本経済が、完全に景気後退局面にあることだ。
景気の循環変動を把握するうえで、最も有用な経済指標は、鉱工業製品在庫率指数の推移である。
景気循環の姿は、鉱工業製品在庫率指数の推移にくっきりと表れる。
鉱工業製品在庫率指数は、景気拡大局面で低下し、景気後退局面で上昇する。
 
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鉱工業製品在庫率指数の推移を示すグラフを見ると、経済の循環変動が手に取るように分かる。
 
2008年の初めから2009年の初めにかけて、日本経済は急落した。
サブプライム金融危機不況が世界経済を襲ったのだ。
米国の投資銀行であるリーマンブラザーズ社が破綻したのが2008年9月15日。
リーマンショックが世界の金融市場を震撼させた。
日本では2008年末に、東京日比谷公園に年越し派遣村が設営された。
サブプライム金融危機大不況で、製造業が生産活動を急激に縮小し、派遣労働者が解雇されて、寒空の下に放り出されたのである。
鉱工業製品在庫率指数のグラフは、この大不況の進行を鮮明に描き出している。
 
2012年4月から2012年11月にかけて、不況が日本経済を覆った。
野田佳彦政権による財政再建原理主義不況である。
「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と絶叫していた野田佳彦氏が、「シロアリを退治しないで消費税をあげる」ことを決めた。
 
野田佳彦氏と菅直人氏は、日本政治を破壊したA級戦犯である。
二人とも、自分の利益のために、魂を財務省に売った人物である。
自分が総理大臣になるために、主権者との約束を踏みにじって消費税増税に突き進んだ。
そして、この愚行が、日本政治刷新の芽を破壊し尽くす主因になったのである。
いずれにせよ、鉱工業製品在庫率指数のグラフは、野田佳彦財政再建原理主義不況の現実を鮮明に示している。
 
そして、2014年の日本経済。
安倍晋三氏による消費税増税実施により、日本経済は再び景気後退局面に突き落とされた
私が『日本経済撃墜』(ビジネス社) http://goo.gl/lgZ9ky で警告した「日本経済撃墜」が現実のものになった。
2014年の日本経済は景気後退局面にあるのだ。これが真実である。
 
しかし、日本の腐敗御用マスメディアは、12月の総選挙に際して、事実無根の大本営報道を展開し続けた。
「アベノミクスで日本経済は改善傾向にある」との虚偽報道が展開され続けたのである。
先の大戦で大本営が、日本軍の連戦連勝を喧伝し続けたのと、まったく同じ図式が展開され続けた。
 
拙著『日本の奈落』(ビジネス社) http://goo.gl/48NaoQ で、2015年の日本経済を読み抜くポイントを指摘した。
アマゾンが、拙著に対する販売妨害行動を続けているのは、恐らく安倍政権の意向を反映したものであると思われる。
紀伊國屋ウェブショップでは販売が行われているので、ぜひご参照賜りたい。
安倍政権がどの部分を国民に読ませたくないのか、本書から探り出していいただきたい。
また、12月22日発行の「金利・為替・株価特報」第219号
 http://www.uekusa-tri.co.jp/report/ に、年明け後の金融市場動向についての分析を提示した。新年に幸運を呼び込むための秘訣も盛り込まれているので、ぜひご参考にしていただきたいと思う。
 

2014年12月29日月曜日

恒久法で自衛隊をいつでも迅速に海外派遣

 政府・自民党は自衛隊の海外派遣をいつでも行えるように、恒久法を制定する方針を固めました
 これまでは自衛隊を海外に派遣する場合、その都度特別措置法を作って、内容や要件を定めていまし。しかし恒久法ができれば、いつでも自衛隊を迅速に派遣することが出来るようになります。
 
 「地球の裏側にまで自衛隊を送るようなことは絶対にありません」、7月1日安倍首相がテレビを通じて国民に約束したことはどうなるのでしょうか。
 単なる安倍氏の『空約束』であったことが証明されることになります。
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自衛隊の海外派遣 恒久法の制定目指す方針
日本テレビ 2014年12月28日
 集団的自衛権などの安全保障法制をめぐり、政府・自民党は自衛隊の海外派遣をいつでも行えるようにする新たな法律の制定を目指す方針を固めた。
 
 イラクやインド洋での給油活動など、自衛隊を海外に派遣する場合、これまではその都度、特別措置法を作り、内容や要件を定めていた。しかし、自衛隊を迅速に派遣する必要があるとして、派遣の一般的な基準を定めた法律=恒久法の制定を目指す方針を固めたもの。
 ただ、連立与党を組む公明党には、「自衛隊の海外派遣に歯止めがかからなくなる」などの慎重論が根強く、年明けから本格化する与党協議の焦点になる。
 政府・自民党は来月下旬の通常国会前までに、法制整備の「基本的な方針」を公明党と合意したい考え。
 

「放射線を浴びたX年後」が出版されました ビキニ事件追い10年 

 米国核実験で被ばくしたビキニ被ばく事件を10年間にわたり取材し続けてきた南海放送の伊東英朗さんが、「放射線を浴びたX年後」を出版しました
 取材を始めた2004年から3・11までの7年間、使命感と無力感との間で揺れ続けたということですが、福島原発事故が起きると状況は一変して、公開された同名の映画は米国も含め大きな反響を呼びました。
 
 原発事故当時、政府は「ただちに健康に影響は出ない」と繰り返しましたが、伊東さんの記録は、「ただちに」ではないものの50~60代で若くして亡くなった元船員たちがたくさんいることを明らかにしています。
 
 ビキニ事件は日米両政府によって強引な幕引きが図られ、その後当事者たち差別や風評被害を恐れて口を閉ざし因果関係が分からない現象は「ない」ことにしてしまう力学も働くようになりました
 そうした中で地を這うようにして集めた貴重な記録です。
 
 伊東さんは、「ビキニ事件は記憶の消え方が極端。そこを検証することで、今後(福島で)どんなことが起きうるかが見えてくると思います」と語ります。
 
 書籍「放射線を浴びたX年後」は講談社から刊行1600円(税別)です
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ビキニ事件追い10年 「放射線を浴びたX年後」出版 
神奈川新聞 2014年12月28日 
 米国による核実験で日本漁船などが被ばくしたビキニ事件を10年間取材し続けてきた南海放送(松山市)ディレクターの伊東英朗さん(54)が、「放射線を浴びたX年後」を出版した。東京電力福島第1原発事故後に公開した同名の映画は反響を呼び、これまで米国も含め200カ所以上で上映されている。今回は事件をより多くの人に知ってもらおうと、長年蓄積してきた膨大な証言や調査報道の裏側をまとめた。
 取材を始めた2004年から3・11までの7年間、実は使命感と無力感との間で揺れ続けていた。
 
 幼稚園教諭から、41歳で南海放送のディレクターに転じた異色の経歴を持つ。ビキニ事件を象徴する第五福竜丸以外の被災船があると知ったのは、高知県を拠点に高校生らと調査をしてきた山下正寿さんとの出会いがきっかけだった。
 
 休日などを使って自家用車で高知の漁村まで赴き、元マグロ漁船員らを訪ね歩いた。同年5月に「わしも死の海におった」という番組を南海放送の特別枠で放送し、その後に全国放送。以後も年間1本ほどのペースでビキニ事件に関する番組を手掛けた。
 
 だが、反響はほとんどなかったという。伊東さんは当時を「(公共の)電波を使って誰も見向きもしない番組を流し続ける意味が見えなくなっていた」と振り返る。
 
 状況が一変したのは3・11後。「シーベルト」などの専門用語が飛び交い、政府は「ただちに健康に影響は出ない」と繰り返した。伊東さんはビキニ事件の取材を通し、「ただちに」ではないが50~60代で若くして亡くなった元船員たちがいることを知っていた。12年1月に「放射線を浴びたX年後」と名付けた番組を全国放送し、さらに映像を加えた映画を同年9月に公開。第五福竜丸以外の被災船に光を当て、被ばくした漁船員のその後(=X年後)を追い、大きな反響を呼んだ。今年2月、多くのマグロ漁船が被ばくした三浦市でも上映された。
 
 できる限り上映会に足を運ぶ伊東さんは各地で埋もれている被災船員の聞き取りと、米エネルギー省がホームページで公開している膨大な機密文書から低線量被ばくの研究結果などを探す調査への協力を求めている。被ばくから時間が経過した事件だからこそ解明が可能で、福島の未来にも役立つと考えるからだ。
 
 事件当時の記憶の消え方も検証するべきだと考えている。日米両政府によって強引な幕引きが図られた一方で、差別や風評被害を恐れて口を閉ざした当事者たち。因果関係の有無が分からない現象は「ない」ことにしてしまう力学。いつまでも暗い話を抱え込みたくないという人間の心理。それらが相互作用したのでは-。「ビキニ事件は記憶の消え方が極端。そこを検証することで、今後(福島で)どんなことが起きうるかが見えてくると思います」
 
 新年も元旦から高知の室戸を訪ね歩く。原点回帰し、一人でも多く、そして一度話を聞いた人はより深く、証言者への聞き取りを続けようと考えている。
 
 本は講談社から刊行。1600円(税別)。
 

翁長知事と沖縄県民に露骨なイジメ 兵糧攻めも 安倍政権

 翁長沖縄県知事は24~26日の日程で就任後初めて上京し、関係閣僚との面談を求めましたが、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らは会わず、応じたのは最終日の午後に日程が決まった山口俊一沖縄担当相だけでした
 
 氏は基地負担軽減担当であるにもかかわらず対面を拒否しました。
 外務、防衛両省で北米局長事務次官がそれぞれ会っただけで、岸田外相や中谷元防衛相との会談は設定されませんでした
 いわゆる就任挨拶であったにもかかわらず、揃って会う時間すら取らないというのはあまりにも大人げないことです
 
 そのうえ安倍政権来年度予算で沖縄振興予算概算要求の3794億円を1割程度削る方針だということです。これは11月の沖縄県知事選で基地移設反対を掲げる翁長雄志氏を当選させた県民への仕返しです。
 そもそも振興予算は、道路や港湾、空港などインフラ整備のためのもので、基地問題の是非などを理由に官邸の意思ひとつで金額を増減するべきではありません。
 
 政権の意思に反する沖縄県民を突き放し財政締め上げるとは、まるで封建時代のような感覚ですこれが安倍政権の本態なのでしょう。
 
 28日、 琉球新報は「知事との会談拒否 県民との対話 閉ざすのか」、沖縄タイムスは「沖縄振興予算 自治壊す恫喝許さない」とする社説をそれぞれ掲げて政府の態度を批判しました。
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社説 知事との会談拒否 県民との対話 閉ざすのか
琉球新報 2014年12月28日  
 就任あいさつで上京した翁長雄志知事に、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らは会わなかった。露骨な嫌がらせではないのか。
 翁長知事は24~26日の日程で就任後初めて上京し、関係閣僚との面談を求めたが、応じたのは最終日の午後に日程が決まった山口俊一沖縄担当相だけだった。
 外務、防衛両省では同じく26日午後に北米局長、事務次官がそれぞれ会ったが、岸田文雄外相や中谷元・新防衛相との会談は設定されなかった。
 11月の知事選では米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する翁長氏が、移設推進を打ち出した現職の仲井真弘多氏を大差で破った。その約2週間後に、落選した仲井真氏が「知事選のお礼と退任のあいさつ」で上京している。
 その際は安倍首相や菅氏らが面談。首相は仲井真氏を「よく仕事しましたね」とねぎらったという。
 政府は山口氏以外の閣僚が翁長知事と会わなかったことについて、面会要望の伝達遅れや日程の都合などを挙げた。だが特別国会召集中の慌ただしい日程を考慮しても、つい1カ月前の前任者への厚遇との落差は明白だ。翁長氏滞在中の記者会見で菅氏は「年内は会うつもりはない」と突き放した。
 沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる菅氏は年明けの来県を検討しているというが、今回「名刺だけでも渡したい」との要望に応じなかったのは、移設反対の新知事に対する意趣返しにしか見えない。
 政権の政策に賛同する知事は歓迎するが、反対する知事には簡単には会わないというのなら、あまりに大人げない対応だ。
 来年度予算編成を前に、政権内には移設反対の知事就任を理由に沖縄振興予算の減額を求める信じられない意見もあるという。基地と振興のリンクを否定してきた方針を覆す主張であり、見識を疑う。
 翁長知事の上京に際し、地元の自民党議員らは政権とのつなぎ役にはならなかった。「敵(翁長県政)に協力する必要はない」との声があるというから、極めて残念でならない。
 
 安倍政権の今回の対応は、選挙で何度も示された移設反対の民意を無視し、作業を強行している姿勢とも重なる。県民に選ばれた知事との会談拒否は、県民との対話を閉ざすことにもほかならない。
 首相や菅氏は県民の負託を受けた知事と正面から向き合い、その主張を真摯に聞くべきだ。
 
 
社説 [沖縄振興予算]自治壊す恫喝許さな
沖縄タイムス 2014年12月28日
 辺野古への新基地建設に反対する翁長雄志知事の誕生で、政府は来年度の沖縄振興予算を減額する方針だという。仲井真弘多前知事時代から進む、本島を縦貫する鉄軌道構想にも「待った」をかける。 
 「国の言うことを聞かなければ予算の蛇口を閉めるぞ」と言いたいのだろうか。あまりに露骨な嫌がらせだ。目の前にニンジンをぶら下げて翻意を促すかのようなやり方も下品である。  
 復帰後、沖縄の振興開発は、沖縄振興開発特別措置法に基づく「沖縄振興開発計画」によって進められてきた。 
 沖縄戦による甚大な被害と27年の米軍統治という苦難の歴史をたどった県民への「特段の措置」が出発点である。本土から遠く離れ、多数の離島で構成される事情にも配慮し、各分野で生じた格差の是正、自立的発展に向けた基礎条件の整備が目標だった。 
 初代沖縄開発庁長官となった山中貞則氏は、たびたび県民への「償いの心」を口にし、1次振計には「国の責務」が明記された。 
 沖縄振興開発計画は、現在の沖縄21世紀ビジョン基本計画へとつながっていく。改正沖縄振興特別措置法にのっとった計画である。 
 振興予算を辺野古移設推進の道具として国が恣意(しい)的に使い、基地賛成の知事には増額し、反対の知事には減額するのであれば、地方自治はずたずたに破壊される。沖振法だけでなく、地方自治法の趣旨にも反する行為だ。 
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 沖縄は基地を負担する代わりに国からたくさんお金をもらっている、と考えている人が本土には多い。 
 沖振法は離島振興法や山村振興法と同じ地域振興法の一つである。県民1人当たりの財政移転は全国7番目で、飛び抜けて高いわけではなく、基地関連の収入が県経済に占める割合も約5%と低い。 
 「沖縄を甘やかすな」との暴論が本土側から伝わるようになったのは、普天間問題が浮上して以降だ。 
 国土面積の0・6%の沖縄に米軍基地の74%が集中している事実を知ってのことだろうか。安保の負担で、沖縄に「おんぶに抱っこ」と甘え続けているのはどっちなのか。 
 辺野古への新基地建設の見返りにカネをばらまくというのが自民党の「補償型政治」だが、今年の名護市長選に始まり、知事選、衆院選と県民はその手法に「ノー」を突きつけてきた。 
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 菅義偉官房長官は来年度の沖縄振興予算について「これまでの使い方をチェックし、ほかの予算と同様に査定していく」と述べている。 
 一見、公平な物言いに聞こえるが、翁長知事に対する嫌がらせであることは明らかだ。そもそも沖縄振興予算は沖縄担当相の所管であり、官房長官の発言は政治的恫喝(どうかつ)以外の何物でもない。 
 
 政権の冷ややかな態度に同調する自民党の国会議員や県連の対応も気になる。「敵に協力しない」と知事を批判するのではなく、21世紀ビジョン実現に向けた予算確保のために県をバックアップするのが政権党の役割である。