安倍政権の物価高政策、消費税増税、生活保護費切り下げの政策は、生活保護受給者にトリプルパンチを与えています。
生活保護費は昨年8月と今年4月の2度にわたって切り下げられ、来年4月には3度目の切り下げが実施されます。
消費税3%が導入されたとき(1989年)と消費税率が3%から5%に引上げられたとき(1997年)には、生活保護基準が引き上げられました。それは所得税が免除されている低所得層にも定率の税金納付を課す消費税の「逆進性」を考えれば極めて当然の処置でした。
しかるに安倍政権は、一方で物価を2%上昇させることを公言しながら消費税を8%に上げさらに10%に上げることを目指すなかで、上述の通りなんと生活保護費は3年連続で削減するというこれまでの歴史に見ることの出来ない苛政(酷い政治)を行いました。まさに血も涙もない政治というべきです。
経済活動は本質的に弱肉強食の世界であり、それを少しでも緩和するというのが本来政治に求められているものです。安倍氏には少しでもそうしたことへの思いがあるのでしょうか。
経済的弱者が、絶大な力を欲しいままに行使する大企業や巨大資本集団と、それを保護しその権益を支える国の政策のひずみによって必然的に生み出されたものである以上、国にはその人たちに最低限度の文化的生活を保障する義務があります。
決して国が恵みを施すというようなものではありません。
田中龍作ジャーナルが、「生活保護問題対策全国会議」が行った生活保護受給者へのアンケートの結果を紹介しています。
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安倍政権 生活保護利用者にトリプルパンチ
田中龍作ジャーナル 2014年11月27日
「弱者をムチ打つ」-安倍政権の本質が改めて浮き彫りになる調査結果が出た。
今年4月の消費税増税後、生活保護利用者の72%が「生活が苦しくなった」、35%が「特に食費を切り詰めている」などとするアンケート結果がこのほどまとまった。
アンケートは法律家などで作る「生活保護問題対策全国会議」が、北海道から沖縄まで全国各地の生活保護利用者を対象に面談で実施した。21歳から94歳までの1,285人から回答があった。
生活保護費は昨年8月、今年4月と2度にわたって切り下げられている。来年4月には3度目の切り下げが実施される予定だ。最終的には平均で6・5%、最大で10%切り下げられる。
アベノミクスによる物価高と消費税増税が、生活保護利用者に追い討ちをかけている。
アンケート結果は次の通り―
●4月の消費税増税で暮らしは変わりましたか?
回答: とても苦しくなった ・・・27%
やや苦しくなった ・・・45%
●ここ1年くらいで物価はどう変化したと感じますか?
回答: とても上がった ・・・47%
やや上がった . ・・・39%
●昨年7月(切り下げ前)までと今年9月(切り下げ後)の生活保護費を比べるといくらの減額になりましたか?
回答: 1円~1,000円 ・・・47%
1,001円~5,000円. ・・・41%
5,001円~10,000円. ・・・6%
●特に節約している費目は?
回答: 食費 .. ・・・35%
被服・履物費.. ・・・17%
水道光熱費.. ・・・15%
娯楽費.. ・・・12%
交通費・通信費 ・・・8%
交際費 .・・・8%
●生活保護費減額の暮らしへの影響は、予想していたのと比べていかがでしたか?
回答:思っていたより苦しくなった. ・・・60%
.思ったほど苦しくはなかった・・・19%
昨年初頭、厚労省は生活保護費切り下げを決めた際、切り下げの理由のひとつに物価下落をあげていた。
ところがアベノミクスと消費税増税で物価は上昇した。トップエリートの官僚が読めていないはずはない。「物価下落」を理由としたのは口から出まかせか。
「増税分は福祉に回す」と言っていたはずだが、こと生活保護に関しては回されていない。それどころか削減している。詐欺ではないか。
消費税3%が導入された時(1989年実施)、生活保護基準は引き上げられた。5%(1997年)の時も同様だった。今回、引き下げられるのは弱者へのダマシだ。
生活保護利用者の暮らしはもともと苦しい。それにアベノミクスによる物価高と消費税増税が加わる。トリプルパンチだ
生活保護費切り下げをめぐっては、「生存権を定めた憲法25条に違反する」として全国各地で違憲訴訟が起こされている。
憲法破壊が好きな首相のもとで弱者の生活はガタガタだ。