2014年11月24日月曜日

米 ウクライナでの戦争準備が整う

 
 ウクライナの「内戦」は9月に停戦が合意されましたが、停戦していた期間中にアメリカはキエフ政権に大量の兵器を供給して、内戦再開の準備はすっかり整ったと見られます。
 先の内戦では、アメリカ/NATO訓練したネオ・ナチ(新ナチス主義者)軍団が投入され、彼らに主導されたキエフ軍側が勝利する筈だったのですが、そのキエフ軍が壊滅的な敗北を喫したためにキエフ政権は停戦を受け入れました
 
 彼らが敗北したのはキエフ正規軍がネオナチ軍団の正体を知ったために全く士気が上がらなくなったためでした。
 
 ウクライナはヨーロッパの穀倉地帯であり、特に南部と東部の地下には豊富な石油が埋蔵されています。その東部と南部が独立状態にある現状では、アメリカの資本家たちがそれを手中にすることが出来ないわけで、ウクライナがこのままで治まることはあり得ないことでした。
 そしてロシアの隣国ウクライナを押さえることはまた、ロシアを制圧して「唯一の超大国」を目指すアメリカにとっては絶対に欠かせない条件でもあるのでした
 
 櫻井ジャーナルは、バイデン副大統領が4月22日にウクライナを訪問した直ぐ後の5日にオデッサの虐殺」が実行されたことを踏まえて、バイデン氏が最近再びキエフに乗り込みウクライナへのロシアの対応を受け入れがたいなどと発言したことを、戦争再開の予告であると判断しています。
 一体どういう口実の下に再開するのでしょうか。
 
 実際に戦争が勃発すると西側の新聞やTVの報道はアメリカのデマ宣伝を垂れ流すのみになってしまい真実が見えにくくなりますが、真相は櫻井ジャーナルが報じているところにあると思われます。
  私たちはどちらの主張に破綻が見られないかを判断することで真相に近づくしかありません。
 そういう点でインターネットの威力はアメリカの戦略にとって都合の悪いものになっています。
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バイデンがキエフ入りした直後にオデッサで虐殺があったが、今回のキエフ訪問は戦争再開の予告
 櫻井ジャーナル2014年11月23日
 ジョー・バイデン米副大統領がキエフへ乗り込み、11月21日にはロシアのウクライナ情勢への対応を「受け入れがたい」と批判、9月の停戦合意を守るべきだと発言したようだ。バイデンの後、キエフへは武器が空輸されると見られている。つまり戦争を再開するという宣言だ。
 副大統領の尻を叩くためなのか、バイデンの息子はウクライナ最大の天然ガス会社ブリスマの重役になっている。地下に資源が眠る東/南部から住民を排除しなければカネにならない立場だ。
 
 アメリカ/NATOがウクライナ制圧を狙う理由はエネルギー源の支配以外にもある。ズビグネフ・ブレジンスキーの戦略では、ポーランドからウクライナを押さえてロシアを占領することになっている。「唯一の超大国」アメリカの世界支配だ。
 そのため、2004年から05年にかけて実行されたのが「オレンジ革命」。この革命は投機家のジョージ・ソロスが黒幕として暗躍、ボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段を使って巨万の富を築いたボリス・ベレゾフスキーもスポンサーのひとりだった。
 
 ところが、その実態が明らかになると人心は離反し、クーデターが計画される。その中心にいたのがビクトリア・ヌランド国務次官補。ネオコンの大物、ロバート・ケーガンと結婚した女性だ。
 そして今年2月にクーデターを成功させる。その際、最前線で戦っていたのがネオ・ナチのグループ。その背後にはアメリカ/NATOが存在していた。当然、憲法の規定は無視しての出現だ。
 西側に支持されたその政権は爆撃で住宅を破壊、住民を虐殺するために白リン弾やクラスター爆弾を使っている。それがアメリカ/NATOが後ろ盾になっているキエフ政権の実態であり、アメリカに従属している日本では政府やマスコミだけでなく、「リベラル派」や「革新勢力」も虐殺を見て見ぬ振り。
 
 民族浄化のために侵攻してきた部隊を住民が支持するはずはなく、正規軍の兵士も士気があがらない。虐殺の主力はアメリカ/NATOの訓練を受けてきたネオ・ナチだったが、壊滅的な敗北を喫し、キエフ政権は停戦を受け入れた。
 そこで、停戦合意の直後からキエフ側は新たな軍事作戦を準備する時間稼ぎのために停戦したにすぎず、「和平プロセス」を尊重する意思がないと指摘されていた。しかも現場のネオ・ナチ部隊は停戦合意を意思はなく、攻撃を続けている。当然、アメリカ/NATOは態勢の立て直しを図り、武器を供給して次の戦闘へ準備を始める。
 
 ウクライナにとってバイデンは死に神。前回、バイデンがキエフに乗り込んだのは4月22日だが、それから間もなくしてオデッサの虐殺があった。
 バイデンがキエフ入りする2日前にはニューヨーク・タイムズ紙が東/南部におけるロシア軍の活動を示す証拠写真なるものを掲載した。シリアで偽情報を平然と流していたあのBBCにまで批判されるような怪しげな代物。イラクを先制攻撃する前、同紙のジュディス・ミラー記者は侵略を正当化するために偽情報を流していたが、同じことをしたわけである。
 その写真は解像度が悪く見にくいのだが、鮮明な写真も存在していた。新聞社の人間なのか写真を新聞社に提供した人物なのかは不明だが、何者かが解像度を下げ、それを掲載したわけだ。その人物はロシアを「悪魔化」するため、意図的に行ったことは間違いないだろう。実は、今回もロシア軍がウクライナで活動しているとキエフ政権は主張、それを西側メディアは垂れ流している。
 
 ウクライナの東/南部での民族浄化はドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事が黒幕だと言われている。ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ「オリガルヒ」で、生活の拠点はスイスのジュネーブ。「私兵」を組織、オデッサでの虐殺も彼が主導的な役割を果たしたとされている。
 このオリガルヒの周辺にはネオ・ナチの人脈が存在、その背後にはアメリカ/NATOが控えている。その影響をペトロ・ポロシェンコ大統領も受け、住民虐殺を公然と主張するようになった。11月13日に大統領はオデッサTVで東/南部に住み、ネオ・ナチのクーデターを拒否している人びとについて次のように演説している:
 「我々には仕事があるが、奴らにはない。我々には年金があるが、奴らにはない。我々は子どもや人民や定年退職者の面倒をみるが、奴らは面倒をみない。我々の子どもは学校や幼稚園へ通うが、奴らの子どもは地下室に隠れるだけだ。奴らには何もできないからだ。こうやって我々はこの戦争に勝つのだ。」
 
 4月22日にバイデン副大統領がウクライナを訪問したときにはキエフでオデッサでの虐殺計画に関する会議が開かれている。議長はアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が務め、ネオ・ナチを統括しているアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長代行、アルセン・アバコフ内相、バレンティン・ナリバイチェンコSBU長官、そしてコロモイスキー知事もオブザーバーとして同席していた。なお、SBUはウクライナの治安機関だ。
 オデッサの虐殺は5月2日に実行されたが、その数日前に数十着の防弾チョッキをパルビーはオデッサのネオ・ナチへ運び、その装具を受け取ったミコラ・ボルコフは虐殺の当日、労働組合会館へ向かって銃を発射している。彼が状況を何者かに報告する様子が映像に記録されている。
 
 虐殺の幕は午前8時に「サッカー・ファン」を乗せた列車が到着して開いた。フーリガンやネオ・ナチを誘導し、住民を虐殺する状況を作り上げる上で重要な役割を果たした集団は赤いテープを腕に巻いていたのだが、その集団は「NATOの秘密部隊」ではないかと疑われているUNA-UNSOだという。こうした暴力集団が警官隊の後ろから投石や銃撃を繰り返している映像もある。
 キエフが手配した暴力集団は女性や子どもを労働組合会館へ誘導し、そこで住民を虐殺している。多くの人が地下室で惨殺され、総数は120名から130名だと住民は証言している。メディアは犠牲者数を50名弱と伝えていたが、これは上の階へ逃げようとした人びと。この人たちもネオ・ナチは惨殺、放火した。一部の住民は焼き殺されている。
 
 この出来事をロシア政府は徹底的に調査するように求めたが、キエフ政権は勿論、西側の「民主主義国」も拒否している。マレーシア航空17便の撃墜に関する調査を曖昧にしているのと同じ態度だ。この件も例によって日本を含む西側では、政府やマスコミだけでなく「リベラル派」や「革新勢力」も見て見ぬ振りだ。
 アメリカ/NATOに話し合いで解決する意思がないことはヌランド次官補の発言が示している。話し合いで解決しよという「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」というわけだ。