2014年11月2日日曜日

生活保護の食費引き下げは「違憲」 滋賀県住民が提訴

 安倍政権はこの4月消費税を8%に上げるに当たり、増税分は全額社会保障費に回すと約束しました。その通りであれば来年度の社会保障費の増分は数兆円になる筈でしたが、来年度の概算要求レベルでも9200億円程度の増分に過ぎません。全額回すというのは偽りでした。
 
 それどころか政府は逆に生活保護費の総額を3年計画で700億円も引き下げることを決め、昨年第1年度の減額に着手しました。これから食料品を初めとする諸物価は高騰し、消費税率も10%に上げようと画策している中で、生活保護費を上げるというのなら兎も角逆に下げるというのは全く理解できないことです。
 そして今度は生活保護費のうちから食費や住居費に当たる分を引き下げようとしています。
 
 もともと生活保護費では、食費等は出来るだけ切り詰めなければ生活は出来ません。それがさらに引き下げられれば、憲法の保障する「健康で文化的な最低限度の生活」など到底望めなくなります。
 
 昨年は全国で1万人以上の人たちが生活保護費引き下げに対する不服審査請求を出しましたが、知事と厚生労働大臣によって結局棄却されました。
 それを受けて大津市などの生活保護受給者5人が、生活保護費のうち、食費などにあてる「生活扶助」の基準額引き下げ処分は生存権の侵害に当たり違憲であるとして、居住する二国を相手取り、処分取り消しなどを求める訴訟を大津地裁に起こしました
 この訴訟は佐賀や名古屋、和歌山など各地裁に起こされており、大津は12例目ということです。
 
 政府が「社会保障のため」と称して消費税10%に上げるために、政府宣伝費として1億6000万円も使っているという、しんぶん赤旗の記事も一緒に紹介します。
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生活保護の食費「引き下げは違憲」 滋賀の5人提訴
京都新聞 2014年11月1日
 生活保護費のうち、食費などにあてる「生活扶助」の基準額引き下げ処分は生存権の侵害に当たり違憲、違法だとして、大津市と滋賀県草津市に住む54~80歳の受給者の男性5人が31日、両市と国を相手取り、処分取り消しなどを求める訴訟を大津地裁に起こした。
 訴状では昨年8月に始まった引き下げを実施している両市に処分取り消しを、決定した国には原告1人あたり1万円の慰謝料を払うことなどを求めている。滋賀弁護団によると、同様の訴訟は佐賀や名古屋、和歌山など各地裁に起こされ、大津は12例目という。
 
 大津市内で開かれた記者会見で同市の原告男性(74)は「食費はこれ以上切り詰めようがなく、夏と冬の光熱費がつらい」と訴えた。弁護団事務局長の永芳明弁護士は「生活保護費は最低限の生活を上回る基準ではなく、国の引き下げ決定は納得できない」と話した。
 減額処分をめぐっては、県内の受給者約30人が昨年9月に県知事に審査請求したが12月に棄却され、今年1月の厚生労働大臣への再審査請求も9月に棄却されている。
 
 
消費税10%へ 政府宣伝1億6000万円 
  社会保障切り捨てながら「社会保障のため」TV・新聞70紙
しんぶん赤旗 2014年11月1日
 安倍晋三政権が、来年10月に消費税増税(8%から10%へ)を強行するための宣伝に、1億6000万円もの税金をつぎ込んでいたことが本紙の調べで明らかになりました。
 テレビのコマーシャルには7000万円を投じています。10月25日から31日にかけて、全国39局で高視聴率がとれるような時間帯に放送しました。
 新聞広告には9000万円を投入。10月25日付で「朝日」「毎日」「読売」「日経」など全国70紙に掲載しました。
 いずれも有名子役を前面に押し出し、「消費税率の引き上げ分は社会保障に着実に使われています」(テレビ)、「消費税率の引き上げ分は、すべて、社会保障(子育て・医療・介護・年金)の充実と安定化のために使われています」と語らせているのが特徴です。
 「社会保障のため」と印象付けることで、10%への増税を国民に受け入れさせるのが狙いです。安倍政権が進めている年金の削減、介護保険法の大改悪、入院患者の追い出し、保育基準引き下げなどの社会保障切り捨てには口をつぐんでいます。
 
税金使ってウソ語らせるとんでもないこと
 「消費税をなくす全国の会」の木口力事務局長の話 社会保障の「充実」「安定化」というのは真っ赤なウソです。税金を使って子役にウソの宣伝をさせるのはとんでもない話です。
 消費税増税と物価高はすでに国民生活を困難にし、消費を冷え込ませて経済を落ち込ませています。圧倒的多数の国民は再増税には反対です。10%への増税は絶対に中止すべきです。