2014年10月17日金曜日

「日米防衛協力のための指針」改定に反対声明 1000人委員会

 「戦争をさせない1000人委員会」は10月8日に発表された「日米防衛ガイドライン」見直しに向けた中間報告について、指針の改定に反対する声明出しました
 
 改定の内容は地球のあらゆる場所で米国とともに、あるいは単独ででも武力行使することを目指すもので、憲法9条完全に空文化するものであるのに、それを国会の承認を要しない単なる政府間合意で、条約の内容を実質的にえることを約束するのは、憲法73条3号を無視するもので認められないとしています
 
 安倍政権はファシズムに向かっているのではなくて、既にそれを実行していると見るべきかも知れません。
 
 沖縄タイムスの社説も併せて紹介します。
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武力で平和はつくれない 「日米防衛協力のための指針」改定に反対する
2014年10月15日
 戦争をさせない
 
日米両政府は10月8日、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)見直しの中間報告を発表しました。このガイドライン改定は、日米両政府の戦争態勢をさらに強化、拡大するものであり、強く反対します。
 
中間報告は、なによりも安倍内閣による憲法違反の閣議決定を前提にしており、日本が集団的自衛権を行使する場合の日米軍事協力を進めるとしています。また、現行ガイドラインの柱である「周辺事態」対処さえ廃棄して、アジア太平洋地域から地球規模までの「切れ目のない実効的な(日米)同盟内の調整」と軍事協力の範囲を無制限に拡大し、日米韓、日米豪などの軍事協力を推進するとしています。
 
これは日米安保条約の枠組みを大きく逸脱しており、国会の承認を要しない単なる政府間合意で、国会の承認を要する条約の内容を実体上変更することを約束することは、憲法73条3号をも無視するもので認められません。
 
さらに中間報告は、情報収集・警戒監視・偵察、施設・区域の使用、後方支援、武器防護、ミサイル防衛、非戦闘員の退避、海洋安保(機雷除去など)、平和維持活動、サイバーセキュリティ、宇宙空間安保(軍事衛星防護)など、あらゆる分野で「協力を拡大する」と明言しています。これらは、安倍内閣が示した「15事例」にも沿ったもので、日米の軍事当局間では早くから検討作業とすり合わせが進められてきたことを物語っています。
 
このような内容のガイドライン改定が行われると、日本は文字通り、地球のあらゆる場所で米国とともに、あるいは単独ででも武力行使しうることになり、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた憲法9条が、完全に空文化されてしまいます。
 
それは、日本が「戦争する国」になり、国際紛争を平和的に解決するのではなく、日本が武力紛争の当事者になり、自衛隊員が海外で殺し殺されることになり、日本に住む私たち自身も戦禍に巻き込まれることを意味しています。
 
過去から現在までのすべての歴史は、武力では平和はつくれないことを証明しています。日米両政府は、軍事的覇権をめざすのではなく、紛争や対立を対話と交渉を通じて平和的に解決するための努力と協力にこそ力を注ぐべきです。
 
私たちは再度、ガイドライン改定に強く反対し、そのための作業をただちにやめるよう求めます。
 
 
社説秘密法運用基準 危機感持ち監視続けよ
沖縄タイムス 2014年10月16日
 国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の運用基準が閣議決定された。 
 国民の知る権利や報道の自由に対する懸念が払拭(ふっしょく)されないまま、12月10日の施行が迫る。  
 運用基準では、特定秘密に指定できる対象を防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の4分野で55項目に細分化する。潜水艦や航空機、武器・弾薬の性能、電波や衛星を活用して収集した情報や画像、外国政府や国際機関から提供された情報などが列挙される。 
 「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限り指定する」との留意事項を明記するものの、盛り込まれた項目には「自衛隊、米軍の運用、これに関する見積もり、計画、研究」など、あいまいな文言が多く、意図的な情報隠しを否定できない。 
 焦点とされた秘密が適切に扱われているかをチェックする機関は、府省庁の事務次官級でつくる「内閣保全監視委員会」を新設するほか、内閣府に審議官級の「独立公文書管理監」、その下に「情報保全監察室」を置くとする。 
 一見、二重三重に歯止めがかかっているように見えるが、いずれも行政内の組織だ。大臣が指定した秘密を、官僚がチェックできるのか、その独立性は疑わしい。 
 結局、「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある情報」を特定秘密とする法律の規定を盾にすれば、政府の裁量で秘密の範囲は際限なく広がる。 
■    ■ 
 今回、運用基準の決定を前に2万3820件もの声がパブリックコメント(意見公募)に寄せられたことを忘れないでおきたい。すでに成立した法律をめぐって、これだけたくさんの声が集まるのは異例である。 
 「時の政権によって恣意(しい)的な運用が可能だ」とする秘密指定への指摘や、「政府から独立した機関であるべきだ」などチェック機関に対する提言もあった。 
 政府はこれら意見を踏まえて運用基準を修正したと強調する。しかし法の骨格部分の問題は残された。 
 結論ありきの手法へ不信感は強まっているが、パブリックコメントにぶつけた危機感を、法施行後も持ち続けることが大切である。 
 秘密法は運用次第で、情報の開示義務、政策の説明責任から役人を解放し「官僚国家」の道を開くことにもつながる。 
 法律がどのように使われていくのか、監視を続けよう。 
■    ■ 
 昨年12月、安倍政権がなりふり構わず、数の力で強行採決を繰り返し成立したのが特定秘密保護法だ。 
 秘密法は第2次安倍内閣の防衛政策の流れの中にあって、米国の国家安全保障会議(NSC)をモデルにした日本版NSCの設置、武器輸出三原則の撤廃、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米ガイドライン改定に向けた取り組みなどと密接にからみあっている。 
 その先にあるのは、米国と一体となった「戦争のできる国」への転換である。