2014年9月7日日曜日

気象会社が広島市に8回の警戒電話 県は危険性を事前に把握

 豪雨による土砂災害で64人の犠牲者を出した広島市に対して、気象情報会社「ウェザーニューズ」が、20日未明の災害発生直前まで、市消防局に大雨への警戒を促す電話を回かけていたことが分かりました。
 
 最初の電話は前日の午後51で、その後20日午前1時57分~午前3時4分の間に7回かけたということで、消防局もそれを認めています。
 豪雨が始まってしまった夜間に避難警報を出しにくかった事情はあるにしても、結果的に、市民に対して事前の警報を発しないまま大災害を引き起こした市の責任は免れません。十分に検証して欲しいものです。
 
 それとは別に、広島「県」はおととしから去年にかけて、今回事故を起した広島市安佐南区の八木地区と緑井地区などで土砂災害の可能性があるか調査を行っており、その結果を災害後の今月3日に公表しました。
 県は去年12月の時点で該当する区域を把握していましたが、住民への説明会を開いていないといった理由で公表していませんでした。
 これもせめて市に伝わっていれば対応が変わっていた可能性はあり、公表の遅れの結果責任は問われます。
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気象会社が市に8回の警戒電話 広島土砂災害の直前 
日経新聞 2014年9月6日 
 広島市の土砂災害で、気象情報会社「ウェザーニューズ」が、8月20日未明の災害発生直前まで、市消防局に大雨への警戒を促す電話を8回かけていたことが6日、同社への取材で分かった。大きな被害が出た安佐南、安佐北両区には最高レベルの警戒情報を出したが、市による避難指示・勧告は出なかった。
 
 同社によると、最初の電話は19日午後8時51分。その後、20日午前1時57分に、6回目の電話で「(安佐南区を含む)南西部の積算雨量が100ミリを超えた」と連絡。7回目の午前2時36分には、南西部に最高レベルの警戒が必要と伝えた。8回目の午前3時4分には安佐北区を含む北西部に関しても同様の情報を伝えた。
 
 市消防局は8回の電話を認め「情報を生かし切れていなかったのかは検証する」とした。〔共同〕
 
 
避難場所6か所が土砂災害警戒区域に
NHK NEWS WEB 2014年9月6日
広島市の土砂災害で大きな被害が出た2つの地区で、土砂災害の避難場所のうち6か所が、災害のおそれがある「土砂災害警戒区域」に該当する区域にあったことが分かりました。
広島県が該当区域を公表したのは今回の災害のあとで、広島県は「今後はできるだけ早く情報を伝えていきたい」としています。
 
今回の土砂災害で64人が死亡した広島市安佐南区の八木地区と緑井地区では、広島県がおととしから去年にかけて土砂災害の可能性があるか調査を行っていて、災害後の今月3日に結果を公表しました。
公表を受けて広島市が確認を進めたところ、市の地域防災計画で土砂災害の避難場所に選定された23の施設のうち6か所が、災害のおそれがある「土砂災害警戒区域」に該当する区域にあったことが分かりました。
「土砂災害警戒区域」は、危険な場所を記したハザードマップの作成など、災害に備えた対応が市町村に求められる区域で、広島県は去年12月の時点で該当する区域を把握していましたが、住民への説明会を開いていないといった理由で土砂災害が起きるまで公表していませんでした。
6か所のうち1か所では今も52人が避難生活を送っているということです。
広島県の松永悟土木整備部長は「今後はできるだけ早く情報を伝えていきたい」と話しています。
防災対策に詳しい広島経済大学の松井一洋教授は「防災対策を二重に担当する形になっている広島県と広島市の間で、情報共有に問題があったのではないか。土砂災害警戒区域の指定は住民の理解が得られにくい面もあるため全国的に指定が進んでいないが、行政は災害の危険性に関する情報を速やかに開示し、必要な情報かどうかは住民が判断するという考え方に改めるべきだ」と話しています。