2014年9月12日金曜日

海上保安庁 無抵抗の抗議市民に過激な暴力 辺野古沖


 米軍普天間飛行場の辺野古沖移設に反対する住民の海上抗議活動が活発化する中、海上保安庁が警備活動中に無抵抗の市民たちに暴力を振るっていることが明らかになりました。
 
 8月15日、ゴムボートの上で海上保安官に顔面を強打され出血しながら羽交い締めにされている男性が撮影されました。
 8月22日、男性がカヌーで抗議していた際に、保安官に羽交い締めにされて後頭部を船底に打ち付けられ、頸椎を捻挫(全治10日)しました。
 9月9日、カヌーによる海上行動に出た園山大地さんは2人の海上保安官に取り押さえられ、1人が園山さんの首に腕を絡めもう1人が足を抱えて、その場で水中に数回沈められたので命の危険を感じました。その際頚椎を捻挫(全治2週間)し眼鏡も壊されました。
 
 その他にも、市民が喉部を圧迫されながら怒鳴られたり、女性が腕を背中側にねじ上げられるなどの暴行を受けています。
 
 警察力や軍隊は「国の暴力装置」と呼ばれますが正にそれを地で行く行為です。基地の島 沖縄ではこれまでも基地反対闘争は行われて来ましたが、これほど市民に対してあからさまな暴力を振るったことはなかったのではないでしょうか。
 これは以前に辺野古の調査等が進展していないことに安倍氏が激怒して、官邸で担当の官僚を怒鳴りつけたことと無縁ではなさそうで、安倍政権の性格が反映されたものといえます。
 
 第11管区海上保安本部(秋本茂雄本部長)は取材に対し、想定問答のように「答える立場にない」「警備上の観点から答えられない」との言葉を繰り返すのみで、現場の海上保安官も取材には応じず、ほぼだんまりを決め込んでいるということです。
 
 折りしも国連の人種差別撤廃委員会が29日、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表したばかりです。
 1894年(明治27年)、日清戦争後 琉球国の意思とは全く無関係に、清国が琉球に対する日本の主権を認めたことを口実にして、沖縄として日本国土に併合したという歴史認識は、いまの政府にはないのでしょうか。
 
 琉球新報の一連の記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
海保の暴力表面化 押さえ付け脅し、けが人も
琉球新報 2014年9月11日
【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の辺野古沖移設に反対する住民の海上抗議活動が活発化する中、海上保安庁(佐藤雄二長官)が警備活動中に暴力を振るっていることが明らかになった。9日には、抗議活動をする市民の首を押さえ付けながら怒鳴りつけたり、市民の腕を背中側にねじ上げたりする様子が確認された。一方、辺野古の海上警備が本格化して以降、報道機関の取材に応じない姿勢が目立つようになった。
  海上保安庁は立ち入り制限区域を示す浮具(フロート)内へ入って抗議する住民の抗議活動を「犯罪」(海保幹部)と認識。第11管区海上保安本部は4日、県議会の要請に対し、フロートの内側に市民らが入った場合、「刑事特別法など法令励行の観点から対応する」との考えを示しており、市民排除の動きを緩める気配はない。さらに「個別の事案に関しては回答しない」と明言を避けている。
  10日までに複数の住民が海上保安官によってけがを負わされたとして、医師の診断を受けたが、本庁の担当者はけが人の有無について一貫して「把握していない」と回答している。けが人の1人は那覇地検名護支部に告訴状を提出。地検は9日、告訴状を受理し捜査を始めた。
 
 
[海保暴力]無抵抗の市民に力ずく 水中沈め、恫喝も
琉球新報 2014年9月11日  
 辺野古の海が荒れている。名護市辺野古への新基地建設をめぐり、海上で警備活動に当たる海上保安庁の暴力行為や暴言が横行している。抗議行動する市民らの首をつかむなどして、これまでに少なくとも3人がけがを負った。ネット上や辺野古で抗議行動を続ける市民からは「国家権力の暴走」「海上保安庁による犯罪」などと批判が相次いでいる。市民の怒りは頂点に達している。
 
 【辺野古問題取材班】「綱をまたぐなって、何回言えばわかるんだ!」「いい加減にしろ!」。9日、海上保安官が辺野古沖で抗議する男性の頭と首を押さえ、目と鼻の先で怒鳴りつける様子を撮影した動画がインターネットに投稿された。動画には「やめてください」と哀願する女性の声が聞こえるなど、海保の暴力行為が生々しく記録されている。
  男性はカヌーで海上抗議行動を行った園山大地さん=宜野湾市。海上保安官に取り押さえられた際、顎に捻挫のけがを負った。園山さんは10日、座り込みの現場を訪れ、告訴を検討していることを明らかにし、けがを負った状況について語った。
  9日の昼前にカヌーによる海上行動に出た園山さんは、スパット台船近くの浮具(フロート)の手前で海上保安庁の船にカヌーを止められた。カヌーを諦め、大潮で膝までの深さになっていた海に入り、フロートを越えたところで、海上保安官に取り押さえられた。
  海保は2人掛かりで園山さんを押さえると、1人は首に腕を絡め、もう1人が足を抱え、その場で水中に数回沈めた。命の危険を感じたため「抵抗はしない」と伝えたが、止めてくれなかったという。
  その後、海保のボートに引き上げられると、保安官に首元を強く押さえ付けられ「お前何度目だ」と厳しい言葉を掛けられた。「次、来たらまた排除するからな」「ふざけるな」と大声での恫喝(どうかつ)もあったという。
  解放され、浜に戻ると仲間から顎が腫れていると言われて受診。顎(がく)関節捻挫で全治2週間と診断された。動画は、直前に同じボートに拘束されていた仲間がとっさに撮影してくれていた。園山さんは「もし画像がなかったら、暴力行為を示すことができなかった。現場での常軌を逸した警備をぜひ知ってもらいたいし、多くの県民に辺野古に目を向けてもらいたい」と話した。
  動画が投稿されたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では「これは拷問だ」などと非難する声が相次いだ。
 
 
[海保暴力]威圧的行為が横行 「組織として問題」
琉球新報 2014年9月11日  
 「取りあえず座れ!」。8日正午ごろ、辺野古漁港側の台船を囲む浮具(フロート)を越え、抗議しようとした30代男性は複数の海上保安官に取り押さえられ、海保のゴムボートに乗せられた。「黙っとけ」「何で勝手に入ったんだ」と怒鳴るような強い口調で質問を浴びせてきたという。海保は市民の一時拘束を「安全確保のための任意同行」とするが、男性は「問答無用でたたき込まれた感じだ。とても威圧的だった」と憤る。
  海上では連日「暴力はやめてください」「高圧的な態度をやめろ」などと、市民の訴えが続く。抗議船に乗るカメラマンは保安官が抗議する女性の腕を無理やり背中の方へねじ上げたり、首を押さえ付けたりする様子を撮影している。海保もカメラを回し、一連の警備活動を撮影しているが、海上保安庁の佐藤雄二長官は「安全確保のため現場はよくやっている」と評価した。第11管区海上保安本部も一連の警備活動について「過剰警備には当たらない」との認識を示す。
  カヌーで連日抗議する、ある市民は「海保の対応も(初期と比べて)だいぶ変わってきた。対応がまともになった保安官がいる」とする一方、「告訴状が受理されたにもかかわらず、相変わらず同じように暴力的に海上警備に当たる保安官もいる。これは組織として問題ではないか」と指摘した。
  海保にけがを負わされた別の男性は「中には報道機関が見ていない所で、威圧的になる保安官もいる。県民の目の届かない所ではやりたい放題だ」と憤った。
 
 
[海保暴力]海保職員を告訴 那覇地検が受理
琉球新報 2014年9月11日  
 米軍普天間飛行場移設に向けた名護市辺野古の建設工事に対しカヌーで抗議していた男性(32)が、海上保安官3人を特別公務員暴行陵虐致傷容疑で那覇地検名護支部に刑事告訴していた問題で、那覇地検は9日、告訴を正式に受理した。同地検は今後捜査を進め、起訴するかどうかを決定する。
  男性は8月22日、カヌーで抗議していた際にゴムボートに乗っていた保安官に羽交い締めにされて後頭部を船底に打ち付けられ、全治10日の頸椎(けいつい)捻挫のけがを負ったという。同29日に刑事告訴していた。
  検察や警察が刑事告訴を受理する際には、形式的な要件を満たしているかどうかなどを審理し、犯罪が成立するかは捜査を通じて判断する。受理がそのまま起訴につながるわけではないが、仮に那覇地検が不起訴と決定した場合、男性は検察審査会に不服を申し立てることができ、同審査会の議決によっては強制起訴もあり得る。
 
 
海上保安官に羽交い締めにされ、顔から出血する男性(中央)=8月15日、名護市辺野古沖
 
[海保暴力]「答えられない」繰り返す 海保、取材に消極的
琉球新報 2014年9月11日  
 想定問答、だんまり。予約なしの取材は不可―。名護市辺野古への新基地建設をめぐり、海上警備を続ける海上保安庁。辺野古沖の事案に関する取材を申し込むたびに「個別的事案については答えられない」「担当者不在のため取材に応じられない」と繰り返すなど対応が十分とはいえない姿勢が目立つ。
 カヌーで抗議する市民らが海上保安官に取り押さえられ、けがをしたことについて聞くと、海保は「現場から報告が来ていない」と返答。けがをした男性の告訴に関しては「把握していない」とする。だが、現場ではゴムボート上の海上保安官が常にビデオカメラを回している。
  第11管区海上保安本部(秋本茂雄本部長)は取材に対し、想定問答のように「答える立場にない」「警備上の観点から答えられない」との言葉を繰り返す。現場の海上保安官も取材には応じず、ほぼだんまりを決め込んでいる。
  取材への対応も厳しくなりつつある。第11管区が入る那覇市曙の那覇港湾合同庁舎受付。今まで、報道機関は社名などの記載で入庁を許可された。だが、米軍キャンプ・シュワブ内にフロートやブイが搬入された7月末から、事前の予約がないと入庁できなくなった。11管区の本部長や次長らと毎月催されていた記者懇談会も今は行われていない。これに対し11管区は「業務都合のため」と答えている。