2014年7月2日水曜日

官邸前 閣議決定に1万人が怒号 野党、中・韓も批判

 1日、ついに憲法9条の解釈変更の閣議決定が行われました。
 東京・永田町の首相官邸前には各地から1万人以上の人たちが集まっていましたが、1日夕、解釈変更が閣議決定されるとどよめきが広がり、抗議と怒号が渦巻きました
 
 主な野党の党首たちも、与党だけの密室協議の挙句、単なる閣議決定で集団的自衛権行使容認という憲法解釈の変更を行ったことに対し、厳しく批判するコメントを出しました。
 
 また、中国・韓国も日本の安全保障政策の重大な変更だとして、強い警戒感を示しました
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官邸前 1万人が怒号「声届かず、悔しい」 
スポニチ 2014年7月1日 
 「なぜ私たちの声を聴かないのか。悔しい」「国民をなめるな」。集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更に反対し、市民らが集会を続けてきた東京・永田町の首相官邸前。1日夕、解釈変更が閣議決定されると、各地から集まった1万人以上(主催者発表)にどよめきが広がり、抗議と怒号が渦巻いた。
 
 前日夕に続いて、官邸前には午前中から「戦争反対」などと書いたカードを掲げた人たちが続々と集まった。午後の集会では参加者が歩道を埋め尽くし、身動きできないほどに。打楽器のリズムに合わせてシュプレヒコールを繰り返した。
 閣議決定が伝わったのは午後5時25分ごろ。どよめきはすぐに怒りの声に変わり、一斉に「安倍(晋三首相)はやめろ」と連呼。「秋の臨時国会では絶対に思い通りにさせないぞ」との呼び掛けに大きな拍手が湧き、官邸に向かって「撤回しろ」と声をそろえた。
 「戦争に行くのは自分たちや、もっと下の世代。どうして若い世代の声を聴いてくれないのか」。2日連続で足を運んだ東京都東村山市の大学3年佐倉直人さん(23)は、6月のデモにも参加し反対を訴えてきた。「このまま閣議決定が推し進められるのは悔しいし、むなしい。撤回されるよう、これからも行動していきたい」と話した。
 金沢市の自営業松浦哲郎さん(38)も前夜から参加。「政府は『強引に押し通せば国民はあきらめる』と思っているのでは。なめられている」と怒りをあらわにした。
 川崎市の会社経営杉本薫さん(63)は「憲法に違反することまで国会議員に負託したつもりはない」と声を荒らげた。仕事帰りに駆け付けた横浜市の男性会社員(52)は「ここで反対を表明しないと、好き勝手にされてしまう」と話した。
 
 抗議行動を呼び掛けたのは、首都圏の市民団体などでつくる「解釈で憲法9条を壊すな! 実行委員会」と、憲法学者や作家らによる「戦争をさせない1000人委員会」。安倍首相が解釈変更の方向性を示した5月中旬以降、たびたび国会周辺に集まり、反対を訴えてきた。 
 
民主・海江田代表 密室協議は容認できず
2014年7月1日
民主党の海江田代表は、記者会見で、「国会で十分に議論しないまま、与党の密室での協議だけで安全保障政策を大幅に変更することは容認できない。安倍政権は、集団的自衛権の行使容認ありきで議論してきたが、東アジアなどの平和を醸成する努力は、全く行ってこなかったと言っても過言ではない。強行的な閣議決定だが戦いはむしろこれからだ」と述べました。
 
生活・小沢代表 日本の将来危うくする 
2014年7月1日
生活の党の小沢代表は、記者会見で、「単なる閣議決定で集団的自衛権の行使を容認するのは、もはや法治国家ではなく、安倍総理大臣がどのようなことばで正当化しようとしても、日本の将来を危うくするものであり、絶対に許されない。無謀な政権に代わる受け皿となる勢力を次の衆議院選挙までにしっかりと作り上げなければならない」と述べました。
 
共産・志位委員長 憲法破壊の暴挙だ
2014年7月1日
共産党の志位委員長は、記者会見で、「閣議決定は、海外での武力行使は許されないという従来の政府見解を180度転換するものだ。多くの国民の批判に耳を傾けず、国会でまともな審議も行わず、一片の閣議決定でこれまでの見解を覆すのは、立憲主義を根底から否定する、憲法破壊のクーデターとも呼ぶべき暴挙だ。この歴史的暴挙に強く抗議し、閣議決定の撤回を求める」と述べました。
 
社民・吉田党首 立憲主義否定する暴挙 
2014年7月1日
社民党の吉田党首は、記者会見で、「歴代の政権が積み上げてきた憲法解釈の変更を、一内閣の判断で閣議決定することは、立憲主義を根本から否定する暴挙であり、強く抗議し、撤回を求めたい。本来ならば国民に信を問うべき重要な問題であるにもかかわらず、国会での審議を求める野党の声をも無視した安倍政権の態度は国会軽視であり、極めて問題だ」と述べました。
 
中国外務省「地域の平和損なわぬよう」
NHK NEWS WEB 2014年7月1日
日本の集団的自衛権の行使容認について、中国外務省の洪磊報道官は1日の記者会見で、「このところ日本政府は歴史問題でしきりにもめ事を起こし、軍事・安全保障面ではかつてない政策をとるなど重大な変化がみられる。日本が戦後、長期にわたって堅持してきた平和発展の道を変えようとしているのではないかという疑いを禁じえない」と述べました。
そのうえで、「われわれは日本側が中国の脅威をでっちあげることで、国内政治の議題を前に進めようとすることに反対する。日本に対してはアジアの隣国の懸念を尊重し、関係する問題を慎重に扱うとともに、中国の主権と安全、地域の平和と安定を損なわないよう求める」と述べました。
 
韓国政府 行使には事前合意必要
NHK NEWS WEB 2014年7月1日
日本政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことを受けて、韓国外務省は1日夜、報道官が声明を発表し、「安全保障政策の重大な変更だと見て注視していく」と述べて、強い警戒感を示しました。
 
さらに「日本の集団的自衛権の行使は、朝鮮半島の安全保障とわれわれの国益に影響を及ぼす場合は、韓国の要請または同意がないかぎり容認できない」と述べ、日本が集団的自衛権を行使する際、韓国に影響がある場合には韓国政府の事前の合意が必要だという立場を改めて示しました。
また、「日本政府は過去の歴史に起因する疑問と憂慮を払拭(ふっしょく)させて、周辺国から信頼を得られるよう、歴史修正主義を捨てて正しい行動を見せなければならない」として、歴史認識に関連づけて日本政府を批判しました。
その一方で、「60年余り維持してきた平和憲法の精神を堅持しながら、日米同盟の枠組みの中で地域の平和と安定を害しない方向で、透明に推進すべきだ」と述べ、日本の集団的自衛権の行使容認に明確には反対せず、日本の決定を歓迎するアメリカへの配慮もにじませました。