2014年6月8日日曜日

大阪市の生活保護行政は違法の極み

 弁護士・学者などでつくる大阪市生活保護行政問題全国調査団が、5月28、29の両日、大阪市の実態調査を行いました。
 そこから驚くべき実態が明らかになりました。
 
 「生活保護の申請を5回断られ、その際『ソープランドへ行け』と言われた」(30代女性)
 
 「3人の子どもを育てるため、週4回、介護の仕事をしているが『仕事先を変えて収入を増やせ』と言われた」(50代女性)
 
 昨年、仕事中に過呼吸で倒れ職場を退職した30代の男性が、家賃も払えず生活保護を申請したのに、「仕事をしろ」の一点張りで申請を却下し、さらに殆ど無一文のこの男性に5日間で6件の求職活動を行わせ、それでも「稼働能力不活用」を理由に申請を却下
 
 などで、まさに人間の心を持っていないかのような冷酷な仕打ちです。
 
 大阪市は、生活保護を申請した市民に仕事を探すよう指示し、その活動を報告させ、努力が不十分と役所がみなせば却下するという「ガイドライン」を作り、橋下市政になってから運用をめています。しかしこのような生活保護開始前の指導!?は、生活保護法27条に違反するものなので、調査団は早急に廃止するように大阪市に求めたということです。
 
 生活保護は憲法第25条により、国に義務付けられているものであり、国民にはそれを受ける権利があります。大阪市は一体何を勘違いしているのでしょうか。
 
25 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
    2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
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大阪市の生活保護行政 違法だらけ風俗で働け患者に求職強要
しんぶん赤旗 2014年6月7日 
 弁護士・学者などでつくる大阪市生活保護行政問題全国調査団(井上英夫団長・金沢大学名誉教授)は、5月28、29の両日、生活保護行政の適正化と「大阪市方式」の全国への波及を阻止するために実態調査を行いました。そこから浮き彫りになった実態を追いました。 (大阪府・生島貞治、岩井亜紀、前田美咲)
 
全国調査団が実態告発
 「(生活保護の)申請を5回断られ、その際対応した職員から『ソープランドへ行け』と言われて信じられない気持ちになった」(30代女性)
 
 「がん治療を終えて、3人の子どもを育てるため、週4回、介護の仕事をしながら生活保護を受けているが、『仕事先を変えて収入を増やせ』と言われた」(50代女性)
 
 大阪市の生活保護行政についての全国調査団の電話相談には、窓口で受けた高圧的な対応に悲痛な訴えが相次ぎました。
 
 浪速区では、こんな事例も起きました。
 
 昨年、仕事中に過呼吸で倒れ、病状が回復せず職場を退職した30代の男性が、家賃も払えず一時は所持金11円という状態になりました。生活保護を申請したのに、浪速区役所は「仕事をしろ」の一点張りで申請を却下しました。
 
 同区役所はこの男性に「熱心に求職活動を行い、継続的かつ自立を目指した仕事に就くこと」などと記した「助言指導書」を交付。男性は手持ち金がなく体調不良の中、ハローワーク等で求職活動を5日で6件、面接も1社受けましたが、「少ない」と言われ、「稼働(働く)能力不活用」を理由に却下されました。申請に対する決定は14日以内にしないといけないのに、却下されたのは申請から27日後のことでした。
 
「ガイドライン」市に廃止求める
 生活保護法では生活保護開始前の「指導」は認められていません。しかし、大阪市は「保護申請時における就労にかかる助言指導のガイドライン」を3年前、独自につくり、「助言指導」と称して求職活動を事実上強要し、稼働年齢層(15~64歳)を違法に生活保護から排除しています。
 
 大阪市の「ガイドライン」は、生活保護を申請した市民に仕事を探すよう指示し、その活動を報告させ、努力が不十分と役所がみなせば却下できるようにした点で、生活保護法に違反しています。この「ガイドライン」の運用は、橋下市政になって強まっています。
 調査団は、調査の結果を踏まえて、生活保護法27条に違反する「助言指導のガイドライン」の速やかな廃止を大阪市に求めました。
 
 生活保護開始前の指導 生活保護法27条で定める「指導指示」の対象者は、保護開始後の被保護者です。保護開始前の申請者に対して行えるのは27条2項の「助言」だけです。それも、申請者から求めがあったときに申請者からの相談に応じて行えるものです。