2014年6月17日火曜日

米国はイラクで嘘をついてきた 元情報分析官が暴露

 かつてイラクで情報分析を担当していたチェルシー・マニング受刑者が、14日のニューヨーク・タイムズ紙に記事を寄せ、イラクやアフガニスタンで混乱や腐敗が蔓延していたにもかかわらず、米国のマスコミはそれを報道しなかったことを暴露しました
 
 米軍がメディアの報道内容を統制したため、国民は自分たちが費用を負担している戦争の真実を知らされなかったことや、2010年のイラクの選挙でも、治安部隊が反対派を弾圧したのに米軍も加担したこと、また米軍に同行する従軍記者たちも、米軍に不都合なこと報道すると次の取材ができなくなるので、控えているという事実を明らかにしました。
 
 告発者のチェルシー・マニング受刑者は、米軍の機密文書を告発サイトにリークした罪で13年に禁固35年の有罪判決を受けて服役中で、旧名はブラッドリー・マニングでした。
 
 米国がメディアの報道を統制している実態を告発したものです。
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米国はイラクで嘘をついてきた 外交公電暴露の米兵が非難
CNN 2014年6月16日 
(CNN) イラク情勢が悪化する中、米軍の機密文書を告発サイトにリークした罪で有罪判決を受けて服役中の米兵が、沈黙を破って米紙ニューヨーク・タイムズに意見を寄稿した。米国はイラクの現状についてうそをついてきたと非難している。
 
意見を寄せたのは、かつてイラクで情報分析を担当していたチェルシー・マニング受刑者。告発サイトのウィキリークスに大量の機密文書を提供した罪に問われ、2013年に禁錮35年を言い渡されている。当時は男性名のブラッドリー・マニングを名乗っていたが、その後女性として生きたいと宣言し、現在は女性名のチェルシーで通している。
 
寄稿は14日のニューヨーク・タイムズ紙に「戦争の煙霧機」のタイトルで掲載され、イラクやアフガニスタンで混乱や腐敗が蔓延(まんえん)していたにもかかわらず、米国のマスコミはそっぽを向いていたと指摘した。
 
現状については「イラクで内戦が勃発し、米国が再び介入を検討する中で、イラクとアフガニスタンへの長期的介入に関するメディアの報道を、米軍がいかにコントロールしてきたかを改めて緊急に問う必要がある」「報道の自由の制約と政府の過剰な秘密主義のために、米国民は自分たちが資金を出している戦争で何が起きているかを十分に把握できていない」と述べている。
 
具体例として、2010年に行われたイラクの選挙の際は選挙の成功を伝える記事が氾濫(はんらん)したと述べ、「米軍の作戦により、安定した民主的なイラクを創り出すことに成功したと思わせた。しかし現地に駐留していた我々は、もっと複雑な現実を強く認識していた」と振り返る。
 
マニング受刑者は、治安部隊が「マリキ首相のために」反対派を弾圧したという情報を日常的に入手し、「そうした不正選挙に米軍が加担していたことにショックを受けた」という。しかし米国のメディアがそうした実態を伝えることはなかったとしている。
 
さらに、記者を米軍に同行させる慣行にも矛先を向け、「記者たちは取材ができなくなることを恐れ、物議をかもしそうな報道を避ける傾向にある」と警鐘を鳴らした。