2014年4月7日月曜日

限定容認論は即 無限容認論なのか? 自民党の無法

 高村副総裁は理不尽にも砂川事件最高裁判決を例示したうえで、集団的自衛権の行使を容認した場合の自衛隊の活動範囲を、「米国にまで行って守ることは必要最小限とは言えない」とまず除外して、必要最小限にとどめる「限定容認論」を唱えています。
 それに対して石破幹事長は5日、民放TVで「地球の裏側まで行くことは普通は考えられないが、日本に対して非常に重大な影響を与える事態と評価されれば、完全に排除はしない」と明言し、番組後記者団に、「自衛隊の活動範囲は事案の性質で判断すべきで、地理的な概念に制約されるものではない」と強調したいうことです
 
 高村発言が鎧の上に衣をまとった発言であるのに対して、石破発言はその衣を脱ぎ捨てた鎧姿の発言であることは言うまでもありません。しかし「衣の下の鎧」は隠されてこそ意味があるもの、法衣の姿と鎧の姿を同時に晒してしまうというのは一体どういうことなのでしょうか。理解のしようもありません。
 
 高村氏は日に与党公明党の山口代表と会談し、集団的自衛権限定的に行使することに理解を求めましたが、そのときも山口氏は慎重姿勢を崩しませんでした。そこに石破氏のこうした本音且つ野放図な発言が伝わっては、とても与党間の合意などは無理でしょう。
 石破氏の奢り・高ぶりが招いた当然の結果です。
 
 またこの間一部報道では、脇自民党参院幹事長と古賀氏『限定』容認論を受け入れたと報じられました。しかし しんぶん赤旗によればそうではなく、古賀氏は「限定」容認論にも事実上反対する考えを示したということです。
 
 以下に東京新聞としんぶん赤旗の記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自民・石破氏 地球の裏「排除せず」 集団的自衛権 限定論と相反
東京新聞 2014年4月6日
 自民党の石破茂幹事長は五日の民放テレビ番組で、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認した場合の自衛隊の活動範囲に地理的な制限を設けるべきではないとの考えを示した。同党の高村正彦副総裁は活動範囲について日本近海を例示し、行使を必要最小限にとどめる「限定容認論」を唱え、行使容認に慎重な公明党の理解を得ようとしているが、石破氏は活動範囲が際限なく広がっていく可能性を認めた。
 
 石破氏は民放番組で、集団的自衛権を行使する場合の自衛隊の活動について「地球の裏側まで行くことは普通は考えられないが、日本に対して非常に重大な影響を与える事態と評価されれば、完全に排除はしない」と明言。「近くでも行使しないことはある」とも述べた。
 石破氏は番組後、記者団に「活動範囲は事案の性質で判断すべきで、地理的な概念に制約されるものではない」と強調した。
 
 高村氏は、砂川事件の最高裁判決(一九五九年)が日本の自衛に関し「自国の存立を全うするために必要な措置をとり得る」との憲法解釈を示したことを根拠に、限定的なら集団的自衛権の行使は認められると主張している。
 三月三十一日の党会合で、行使が認められる地理的範囲で日本近海を警戒中の米艦船が第三国から攻撃を受ける事例を挙げ「米国がどこかの国に攻められた場合、自衛隊が米国にまで行って守ることは必要最小限とは言えない」と指摘。「具体的に何が必要最小限に当たるのか(を決めるの)が極めて重要だ」と求め、政府の判断で活動範囲を決められると受け取れる石破氏の発言とは相反する。
 
 高村氏は三日に公明党の山口那津男代表と会談。こうした考えを説明し、行使容認に理解を求めたが、山口氏は慎重姿勢を崩さなかった。
 限定容認でも、政府が憲法九条を尊重して行使を禁じてきた解釈が崩れるためで、石破氏の発言で公明党がさらに態度を硬化させる可能性もある。
 
写真

集団的自衛権で公明反発 石破氏の「地球の裏」発言
東京新聞 2014年4月5日
 自民党の石破茂幹事長が5日、集団的自衛権行使を容認した際の自衛隊の活動範囲について「地球の裏も排除しない」と表明したことに対し、行使容認に慎重な公明党は「受け入れられない」(幹部)と反発した。自民党は必要最小限に限定して行使を容認することで理解を得る方針だが、活動範囲があいまいなままでは公明党は一層、態度を硬化させそうだ。
 政府は自衛隊の活動範囲に関し、日本領域と公海上に限定し、他国領域への派遣は認めない方向で検討している。
 公明党幹部は石破氏の発言に関し「限定的容認でも受け入れられないのに、さらに容認できない考え方だ」と批判した。 (共同)
 
 
集団的自衛権“一度穴開けると拡大簡単”古賀氏が懸念
しんぶん赤旗 2014年4月6日
 自民党の古賀誠元幹事長は5日、テレビ東京の番組にビデオ出演し、安倍政権が狙う集団的自衛権行使について語りました。行使容認のための憲法解釈変更について問われ、「あくまでも憲法改正が筋道だ」と自説を主張するとともに、「私が一番懸念しているのは、いったん憲法解釈(変更)で穴を開けると、どんな小さな穴でも広げることは簡単だ。だけど、閉じることは難しい」と述べ、「限定」容認論にも事実上反対する考えを示しました。
 この間一部報道では、「古賀氏も『限定』容認論を受け入れた」などとされていましたが、これを否定するコメントになりました。
 また古賀氏は、「“次はこういうポスト(役職)が回ってくるのではないか”という期待を、みんな政治家は持っている。それによって発言ができなくなっている」と発言。夏の内閣改造をちらつかせ、集団的自衛権行使容認に慎重な党内議論の締め付けをはかる安倍晋三首相に異論を口にできない実態を明らかにしました。