2014年4月12日土曜日

竹富町教委 係争処理委には申し立てず 膨大な作業要すと

 沖縄県八重山採択地区協議会が選定した保守色の強い育鵬社の中学公民教科書を拒否して別の教科書を使用している竹富町教育委員会に対し、文部科学省は3月14日、是正要求を出しました。
 それに対して竹富町教育委員会は3月24日、文部科学省から出された是正要求に従わないことを決め、4月7日には竹富町の各中学校東京書籍版の公民教科書を生徒に配布しました。
 「調査員が一番悪いと評価した育鵬社が採択されて、調査員が推薦した東京書籍は駄目になったという事実は許せない」というわけです。
 
 竹富町教委は文科省の是正要求に従わないことを確認するとともにこれまで「国地方係争処理委員会に不服を申し立てるかどうか検討してきましたが、申立期限の1同町の教育長らは記者会見し、「我々は元々、違法なことはしていない。その原点に立ち、申し立てをしないことを決めた」「不服申し立てをすれば、相手は国で、それに対応するのは膨大な作業量が必要になる」と説明しました。
 
 教科書無償措置法改正案には、採択地区の設定単位を市町村に柔軟化することが盛り込まので、今後は沖縄県と連携して、竹富町単位で選べる方式を志向するということです。
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教科書採択:「膨大な作業必要」竹富町教委、申し立てせず
毎日新聞 2014年04月11日
 中学公民の教科書採択を巡り、国の是正要求に対する不服申し立てをしないことを決めた沖縄県竹富町の教育委員会。同町の教育長らは11日、町役場近くの施設で記者会見し、「我々は元々、違法なことはしていない。その原点に立ち、申し立てをしないことを決めた」と説明した。
 
 会見には、町教委の大田綾子委員長、慶田盛(けだもり)安三教育長らが出席した。慶田盛教育長は顔をやや紅潮させながら「是正要求という、我々にとって余計なものがふってわいた。不服申し立てをすれば、相手は国で、それに対応するのは膨大な作業量が必要になる」。その上で、国が違法確認訴訟を起こす可能性に言及。「文科省は教育をどう考えているのか」と首をかしげた。
 大田委員長も「違法なことはしていないのだから、申し立てをする意味があるのか」と決断の理由を述べた。
 教科書無償措置法改正を受け、町教委は今後、単独採択に向けて動き出す。採択地区の設定権限は都道府県教委にあり、慶田盛教育長は「竹富町は独自でいいと県教委に伝える」と言い切り、下村博文文部科学相が難色を示している点については「竹富町より小さいところも単独でやっている」と受け流した。
 
 今回の問題では、全国から町を応援するメッセージが届いているという。大田委員長はその束を見せながら「竹富町だけではなく全国の課題ととらえている」と述べ、今回の問題が教科書採択のあり方に一石を投じたとの認識を示した。【坂口雄亮】
 
 
竹富町:東京書籍を配布 中学公民教科書「法的瑕疵ない」
毎日新聞 2014年04月08日
 【竹富】竹富町の各中学校は7日、始業式を開き、町教育委員会(大田綾子委員長)が採択した東京書籍版の公民教科書を生徒に配布した。町立西表中学校では3年の生徒6人が、公民のほか国語や数学など真新しい教科書を手に笑みをこぼし、早速名前を書き込んだ。町教委に対し、文部科学省は3月に地方自治法に基づく是正要求を出したが、慶田盛安三教育長は「現場ではこれまでも問題は起こっていない」と、各校での指導に期待した。
 
 町教委は同一採択地区の石垣市、与那国町と同じ育鵬社の教科書ではなく、東京書籍の公民教科書を採択した。文科省は3月14日、八重山採択地区協議会が選定した保守色の強い育鵬社の中学公民教科書を拒否して別の教科書を使用している町教委に対し、地方自治法に基づく是正要求を出した。
 2014年度は町内9校、3年生46人が使用することになっており、各教員も東京書籍の公民で指導の準備をしている。
 是正要求について、慶田盛教育長は「2年間(同じ状況で)使ってきた。法的に瑕疵(かし)があるとは思っていない。要求に従っていては、かえって混乱する」と文科省の対応に首をかしげた。
 町教委は是正要求に従わないことを確認した上で、国地方係争処理委員会に不服を申し立てるかどうか検討している。期限前日の10日に最終の会合を開き、方針を決める予定だ。
 一方、慶田盛教育長は教科書無償措置法改正案に採択地区の設定単位を市町村に柔軟化することが盛り込まれたことを踏まえ、「市町村単位が可能なら、その方がいい。県と連携し対応を検討したい」と述べた。(琉球新報)