2014年3月4日火曜日

世界から危険視されている安倍政権

 菅官房長官は3日午後の記者会見で、韓国の朴槿恵大統領の発言を意識して、石原信雄元官房副長官が「韓国に配慮する形で、摺り合わせが行われたと推測すると証言した以上、どのような形で摺り合わせが行われたのかを含め、検証する必要がある」と語りました
 
 この再検証問題は日本が発信したものですが、菅氏はこの問題の落ち着く先をどう想定しているのでしょうか。維新の有志議員たちも3日、河野氏や当時の外務省幹部の国会への招致を求めていくことなどを申し合わせたということで、多分両者は似たり寄ったりの考え方なのでしょう。
 世界が日本の安倍政権の言動について警戒しているという状況のなかで、そうした空気からは大いに逸脱した感覚です。
 
 アメリカや欧州は安倍政権に対して極めて厳しい見方をしています。
 
 これまで数回にわたって安倍氏の「国家主義」が危険だと訴えているニューヨーク・タイムズ2日にも、安倍首相の姿勢を「ナショナリズム(国家主義)」と指摘し、日米関係の「ますます深刻な脅威になっている」と社説批判しました
 
 2月12日付紙面で歴史認識をめぐる安倍政権の姿勢を批判する社説を掲載したばかりワシントン・ポスト、2月17日付でも、安倍首相の靖国神社参拝に伴い「オバマ政権にとって最も深刻な安全保障上の危機」をアジアで日本が引き起こす可能性があるとする論説記事を載せまし
 
 英仏紙なども同様で、英紙フィナンシャル・タイムズは、2月10日付で「安倍氏のナショナリズムが厄介な方向に向き始めた」とする社説を載せ、仏紙ルモンド2月7日付で「日中の緊張関係について、挑発に挑発で答える危険な状況にある」とする記事を載せました。
 
 かつては中国の膨張主義が緊張を生んでいると主張して、国際的な一応の理解を得ていた首相でしたが、いまや彼自身が危機の発震源であると看做されています。
 
 2月27日付の東京新聞の記事「国際秩序への挑戦 危惧 米議会調査局報告書」によれば、安倍政権の歴史認識をめぐる言動はもはや危険水域」に達しており、首相に近い作家の百田尚樹氏が東京裁判を批判した際には、米政府はそれを「非常識」と非難し、首相周辺の歴史修正主義的な発言や対米批判を「首相の本音」と受け取るようになっているということです
 
 対米従属が顕著で、首相着任早々に、民主党政権時代に対米関係が「悪化」したのを立て直すと高言した筈の安倍氏でしたが、いまやその米政権からも散々な評価を浴びていることを自覚しているのでしょうか。 
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河野談話の検証必要と菅官房長官=海江田民主代表は反対
時事通信 2014年3月3日
 菅義偉官房長官は3日午後の記者会見で、韓国の朴槿恵大統領が、従軍慰安婦制度に関する1993年の河野洋平官房長官談話を検証する日本政府をけん制したことについて、「機密保持の中で検証することはやはり必要だろう」と述べた。一方で「政府の基本的立場は河野談話を継承するということだ」と改めて強調した。
 菅長官は、談話に関して事務方の責任者だった石原信雄元官房副長官が先の衆院予算委員会で「韓国に配慮する形で、摺り合わせが行われたと推測する」と証言したことに触れ、「どのような形で摺り合わせが行われたのかを含め、検証する必要がある」と語った。
 これに対し、民主党の海江田万里代表は3日の記者会見で、「未来志向の日韓関係は今こそ必要ではないか。大きな歴史的事実を違えてはならない」と述べ、反対する考えを示した。 
 
 
維新有志議員 河野元官房長官の国会招致求める
NHK NEWS WEB 2014年3月3日
日本維新の会の有志議員らが東京都内で集会を開き、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡る河野官房長官談話は裏付け調査をせずに作成されたとして、経緯をただすため、河野氏らの国会への招致を求めていくことなどを申し合わせました。
いわゆる従軍慰安婦の問題を巡って政府の謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話について、作成に関わった石原元官房副長官は国会で「日本政府あるいは日本軍が強制的に募集したことを裏付ける資料はなかった」と述べ、菅官房長官は少人数のチームを設けて作成過程を検証する考えを示しています。
こうしたなか、日本維新の会の有志議員らが3日夜、東京都内で集会を開き、維新の会の中山成彬元国土交通大臣は「裏付け調査が行われていなかったことが判明した以上、黙っているわけにはいかない」と述べました。
そして集会では、作成の経緯をただすため、河野氏や当時の外務省幹部の国会への招致を求めていくことなどを申し合わせました。
集会には、櫻田文部科学副大臣も参加し、「私はうそをついたり、人をだましたり、事実をねつ造することが大嫌いな人間だ。みなさんと心も考え方も同じだ。応援しています。頑張ってください」と述べました。
 
 
NYタイムズ、安倍首相を再び批判「日米関係に深刻な脅威」 
共同通信 2014年3月3日
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は2日、安倍晋三首相の姿勢を「ナショナリズム(国家主義)」と指摘し、日米関係の「ますます深刻な脅威になっている」と批判する社説を掲載した。同紙の社説はこれまで数回にわたり、安倍氏の「国家主義」が危険だと訴えている。
 
 2日の社説は歴史問題に対する安倍首相の姿勢が日本周辺の「地域に対する危険な挑発」になっているとした。米国は日米安保条約に基づき日本を守ろうとしている一方、日中の紛争に引き込まれることは望んでおらず、安倍氏が米国の利益を忘れているとした。
 安倍首相が第2次大戦の「歴史をごまかそうとしている」と批判。さらに「彼(安倍首相)と他の国家主義者たちはいまだに南京大虐殺は全く起きなかったと主張している」との見解を示した。従軍慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話の検証問題にも触れ、慰安婦への「謝罪を撤回する可能性」を指摘した。(ニューヨーク=共同)