2014年3月14日金曜日

小松長官も大迷走 4人目

 安倍首相の肝いりで就任した籾井NHK会長、首相の「友達」としてNHK経営委員に選ばれた高橋三千子氏・百田尚樹氏の三氏は、いずれも常識を超えた言動で世間を騒がせていますが、安倍首相の異例の抜擢で、憲法の番人といわれる内閣法制局の長官に就任した外務官僚出身の小松一郎氏も、また国会答弁などで迷走が止まりません。
 
 その一つは『番犬』問題です。
 これは4日の参院予算委で、共産党の小池議員が菅官房長官にイラク特措法やテロ特措法の条文解釈を質問したのに対して小松長官が答弁に立ったことを、小池議員が「憲法の番人なんだから、安倍政権の番犬みたいなことをしないで下さい」と指摘したのが発端です。
 小松氏は腹に据えかねたとして、翌日、こともあろうに社民党党首が同委で質議をした際に、質問内容とは無関係にこの問題で反論したうえ、7日に廊下で出合った共産党の大門議員に顔を近づけて激しい口論をしかけました
 
 ところが「官僚が衆人環視の場で国会議員と口論するのは異例だ」として、国会で問題視されたため、小松氏は12日、参院議員会館大門議員事務所を訪「不適切だった」と謝罪しました。その際大門議員が「法制局長官を辞任し、病気療養に専念すべきだ」と指摘すると、小松氏は「そういうことは言うべきではない」と、再び口論になりました
 こうした一連の言動は、いかにも小松氏の情緒の不安定さを感じさせるものです。
 
 加えて委員会等での肝心な答弁でもいろいろと問題が生じています。
 小松氏は11日の参院予算委で、集団的自衛権行使を盛り込んだ「国家安全保障基本法案」について、「首相は基本法を提出する考えはないと思う」と述べ、「首相の内心を推測して答えるのはいかがなものか」批判されました(首相をはじめ党の執行部は当然基本法の提出を目指しています)。
 
 そして13日は、参院外交防衛委で、政府が「有識者会議の結論が出てから集団的自衛権の行使についての対応を検討する」としてきたのに対し、小松氏は、法制局内部では既に集団的自衛権の行使について議論を始めていることを明らかにしました。
 長官に任命されたときから、世間からそのように見られては来ましたが、そこまでためらいもなく政権との癒着関係を明らかにする神経は、やはり正常ではありません。
 
 また常に答弁が長く、13日の参院外交防衛委でも末松委員長(自民)の制止を無視して延々と答弁を続けたため、委員長から厳重注意を受ける場面もありました。
 
 もともとがそういう人なのか、体調不良がそうさせているのかは分かりませんが、こんな有様では内閣法制局長官に不適任なのは明らかです。
 
 民主党の大畠幹事長は13日「安倍政権として任命責任を考えるべき段階に入った」と述べ、日本維新の会幹部も「病気の問題もある。交代した方がいい」と語るなど、野党からの更迭要求が強まっています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
内閣法制局長官 廊下で口論を陳謝
NHK NEWS WEB 2014年3月11日
小松内閣法制局長官は参議院予算委員会の理事会に出席し、先週、「安倍政権の番犬」などと指摘されたことを巡って、共産党の参議院議員と国会内の廊下で激しい口論となったことを陳謝しました。
小松内閣法制局長官は、今月4日の参議院予算委員会の質疑で、共産党の議員から「安倍政権の番犬」などと指摘され、翌日、ほかの党の議員の質問時間で反論したほか、今月7日に、共産党の別の議員と国会内の廊下で激しい口論となりました。
これについて、小松氏は11日、参議院予算委員会の理事会に出席し、「議場の内外でのみずからの態度を反省している。申し訳なかった」と述べ、「答弁が長い」と指摘されていることも含めて陳謝しました。
これに対し野党側からは、小松氏が体調不良でおよそ1か月入院し、今も治療を続けていることを踏まえ、療養に専念すべきだという指摘も出されましたが、小松氏は「医師からは普通に仕事をする方が治療にもプラスだと言われており、大丈夫だ」と述べました。
小松氏は12日、口論した共産党の参議院議員の事務所を訪れて、直接、陳謝するということです。
  (後 略)
 
 
小松一郎内閣法制局長官、直接謝罪の場で再び口論 「番犬発言」めぐり
ハフィントンポスト 2014年03月12日
小松一郎内閣法制局長官は3月12日、共産党の大門実紀史参院議員と7日に国会内の廊下で口論した問題をめぐり、参院議員会館にある大門氏の事務所を訪問し、「不適切だった」と謝罪した。しかし、その場で再び大門氏と口げんかとなり、大門氏は「受け入れられない。帰ってください」と小松氏の謝罪受け入れを拒んだ。47NEWSなどが報じた。
大門氏によると、会談で同氏が「法制局長官を辞任し、病気療養に専念すべきだ」と指摘したのに対し、小松氏は「そういうことは言うべきではない」と拒否。大門氏は「では謝罪は受け入れられない」と伝えた。
(後 略)
 
 
小松長官答弁が波紋 「言い過ぎだ」…自衛権問題“本番”控え与党苦言 
共同通信 2014年3月13日
 政府の法案対応をめぐる先走った国会答弁や共産党議員との口論など、小松一郎内閣法制局長官の言動が波紋を広げている。集団的自衛権行使を容認する憲法解釈見直しをめぐる論議の「本番」(政府筋)を4月以降に控え、与党からは苦言も飛び出している。
 小松氏は11日の参院予算委員会で、集団的自衛権行使の理念を盛り込んだ「国家安全保障基本法案」について「首相は、自民党が野党時代に決定した基本法を提出する考えはないと思う」と言及。自民党の脇雅史参院幹事長がすぐさま「法制局長官に法案提出権があるわけではない」とかみついたのに続き、公明党の石井啓一政調会長は12日の記者会見で「分を超えた答弁だ。首相の内心を推測して答えるのはいかがなものか」といら立ちを隠さなかった。政府筋も「言い過ぎだ」と困惑しきりだ。
 
 共産党の大門実紀史参院議員と国会内の廊下で口論した問題をめぐり、小松氏は12日、国会内にある大門氏の事務所を訪問し「不適切だった」と直接謝罪した。ただ、その場で再び口論となり、大門氏は謝罪受け入れを拒んだ。
 大門氏によると、会談で同氏が「法制局長官を辞任し、病気療養に専念すべきだ」と指摘したのに対し、小松氏は「そういうことは言うべきではない」と拒否。大門氏は「では謝罪は受け入れられない」と伝えた。
 
 安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は4月に報告書を提出し、その後に憲法解釈変更に関する政府、与党の協議や国会での論議が本格化する。
 「病気に打ち勝ち、立派に仕事をしている方がたくさんいる。小松長官も立派に仕事をやり遂げてほしい」。首相は12日の参院予算委で、がん治療による入院から職務復帰した小松氏にエールを送り、治療に専念させるべきだとする社民党の吉田忠智党首の主張を退けた。
 だが野党側は「長官ののりを超えて答弁している」(民主党の榛葉賀津也参院国対委員長)と反発しており、小松氏の姿勢を注視する構えだ。(共同通信)2014/03/13 08:39
 
 
小松長官「言葉が足りず・・・」と陳謝も国会紛糾 
TBS 2014年3月13日    
 小松内閣法制局長官は13日の国会で、長官としての立場を越えて政府の法案提出の方針にまで踏み込んで答弁したことについて、「言葉足らずだった」と陳謝しました。しかし、新たに別の発言も問題となるなど、審議はたびたび中断しました。
 
 13日は、参議院外交防衛委員会に出席した小松内閣法制局長官。11日に「国家安全保障基本法案」について、「総理は国会に提出するお考えではないと思う」と、立場を越えた答弁をしたことについて陳謝しました。
 「私の言葉が足りず、あたかも別のことを言っているように誤解を招いたとしたら、ここでおわび申し上げます」(小松一郎 内閣法制局長官)
 しかし、今度は別の答弁が問題になります。集団的自衛権の行使をめぐり、政府が「有識者会議の結論が出てから対応を検討する」としてきたのに対し、小松氏は、法制局内部では、既に議論を始めていることを認めたのです。
 「私、この言葉あまり好きじゃございませんけれども、部内的に『頭の体操』を行っておくことに矛盾があるとは思っていません」(小松一郎 内閣法制局長官)
 「どうやって何を内閣法制局は頭の体操をしているのかと聞かざるを得なくなりますよ。これは大問題ですよ」(民主党 福山哲郎参院議員)
   (後略)
 
 
小松長官の罷免要求=野党-自民にも不満広がる
時事通信 2014年3月13日
 民主党の大畠章宏幹事長は13日午後の記者会見で、一連の言動が問題となっている小松一郎内閣法制局長官について、「安倍政権として任命責任を考えるべき段階に入った」と述べ、安倍晋三首相の責任に言及した。その上で、「国会を混乱させないような適切な方を任命すべきだ」と罷免を求めた。日本維新の会幹部も記者団に「病気の問題もある。交代した方がいい」と語るなど、野党からの更迭要求が強まっている
 
 これに関して小松氏は記者団に「(辞めるつもりは)全くない」と明言。菅義偉官房長官も記者会見で、「(罷免要求は)全く当たらない。しっかり謙虚に反省しながら対応している」と擁護したが、小松氏への不満は自民党内でも広がっている。同党の選挙公約でもある安全保障基本法案を国会提出しないとした小松氏の発言について、高市早苗政調会長は記者会見で「心外だ。これは私たちの公約だ」と厳しく批判した。
 同日の参院外交防衛委員会の質疑では、小松氏が末松信介委員長(自民)の制止を無視して延々と答弁を続け、末松氏から厳重注意を受ける場面もあった。
 こうした中で小松氏は、自民党本部に高村正彦副総裁を訪ね、「言葉足らずの答弁などがあって、党にも内閣にも迷惑を掛けている」と陳謝。高村氏は「これからは慎重に」と苦言を呈した。 
 ただ、小松氏をめぐる騒動は続きそうだ。小松氏を「安倍政権の番犬」と断じた共産党の小池晃政策委員長は国会内で開かれた野党の会合で、小松氏を「今や番犬でない。(政権の)アキレスけんだ」とやゆした。