2014年3月22日土曜日

1000人委員会の出発集会 そしてイラク戦争開始11年

 20日夜、日比谷公園で雨のなか行われた「戦争をさせない1000人委員会」の出発集会には、4000人が参加しました。
 集会では、憲法学者の山内敏弘・一橋大名誉教授作家の大江健三郎さんらが、安倍内閣が目指している集団的自衛権の行使容認の閣議決定の危険性などを訴えました。
 委員会は、解釈見直しの閣議決定の時期を見据え、月中をめどに一千万人分の署名を集めるほか、全国で運動に対する賛同者を募っていくということです。
 
 20日はまたイラク戦争開戦から11年目の日でした。
 毎日新聞がイラクに派遣された一自衛隊員の悲劇を特集しました。
 
 航空自衛隊通信隊に所属していた池田さんは、現地で軍事会社のバスにはねられ顎(あご)などに重傷を負いました。コルセットと睡眠薬だけで痛みに耐え、4日後に地元病院で受診したものの十分な治療を受けられず、そのうえ早期帰国認められなかったため、任期満了の8月下旬まで痛みをこらえながら任務をこなしました
 帰国後公務災害と認定されましたが、10年12月に公務災害の補償が打ち切られたので、その後に障害者認定を受けると、今度は自衛隊内で嫌がらを受けました。
 それで11年10月に依願退職し後遺症を抱えアパートの一室一日の大半を寝て過ごしているということです。
 
 万一、集団的自衛権の行使を容認すれば、その後は自衛隊員はアメリカの「無償の傭兵」になって、海外の戦争で酷使されることになります。
 そうなればこの悲劇が、そしてこれ以上の悲劇が、日常茶飯事となるのは目に見えています。
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4000人「戦争させない」雨中の日比谷 解釈改憲に危機感
東京新聞 2014年3月21日 朝刊
 安倍政権が進める憲法解釈見直しによる集団的自衛権の行使容認に反対し、各界の有識者らで立ち上げた「戦争をさせない1000人委員会」の出発集会が二十日夜、東京・日比谷公園であった。雨で冷え込む中の開催だったが、解釈改憲への流れに危機感を強める参加者の傘で会場は埋め尽くされた。
 
 四千人(主催者発表)が参加した。呼び掛け人の一人、憲法学者の山内敏弘・一橋大名誉教授は「集団的自衛権行使の容認は憲法の立憲主義、平和主義を根底から破壊するもので、断じて許せない。解釈変更は日本が再び侵略国家になることを意味する」と強調。作家の大江健三郎さんは「行使容認はアメリカと一緒に戦争をするということ。閣議決定をさせてはいけない」と訴えた。
 委員会は、安倍首相が表明している解釈見直しの閣議決定の時期を見据え、五月中をめどに一千万人分の署名を集めるほか、全国で運動に対する賛同者を募っていく。
 
 
元自衛隊員:イラク派遣で後遺症 集団的自衛権容認は危険
毎日新聞 2014年03月21日
 イラク戦争開戦から20日で11年。約4500人の米兵が死亡し、10万人以上のイラクの民間人の命を奪った戦禍が始まったこの日をやりきれない思いで迎えた元イラク派遣自衛隊員がいる。派遣中の負傷がもとで国を相手に訴訟を起こし、家族とも別れることになった元隊員は、イラク戦争を「間違った戦争」と言い切り、最近の集団的自衛権容認の動きに危機感を募らせる。
 
 元隊員は、航空自衛隊の通信隊に所属していた池田頼将さん(42)。大阪の高校を中退し、自衛隊に入った。阪神大震災時の食料搬送や中華航空機墜落事故の遺体安置作業を経験、仕事に誇りを持つようになった。イラク派遣辞令も誇らしい気持ちで受け取った。
 
 訴状などによると、池田さんは2006年4月、愛知県の小牧基地からクウェートの米空軍基地に派遣された。その年の7月、米国独立記念日を祝う基地のマラソン大会で走行中、軍事会社のバスに背後からはねられ、顎(あご)などに重傷を負った。
 衛生隊員から与えられたのはコルセットと睡眠薬だけ。4日後に地元病院で受診したものの、アラビア語を話す医師と意思疎通できず十分な治療を受けられなかった。早期帰国を求めたが認められず、任期満了の8月下旬まで、痛みを抱えながらの任務が続いた。
 
 帰国後、外傷性顎(がく)関節症の診断を受け、公務災害と認定された。だが、10年12月に公務災害の補償が打ち切られ、その後に障害者認定を受けたことなどを巡り隊内で嫌がらせなどがあったといい、11年10月に依願退職した。
 
 提訴は12年9月。「早期に帰国させ、適切な治療を受けさせる義務があったのに放置し、障害が残った」と慰謝料など計1億2300万円を求め、名古屋地裁に係争中で、国側も全面的に争う姿勢だ。元派遣隊員による訴訟は1件だけという。
 
 退職後、妻子と別れることになった池田さんは今、後遺症を抱え大阪府内の実家近くのアパートで一人、一日の大半を寝て過ごす暮らしを続ける。自衛隊については「米軍との関係などから、都合の悪いことを隠す体質に失望した」と語る。集団的自衛権行使を認めようとする動きについては「本当の戦争になったら、多くの隊員が地獄を見る。絶対認めるべきではない」。自分の体験を踏まえ「反対」という。【湯谷茂樹】