2014年2月22日土曜日

籾井NHK会長に反省は見られない

 籾井NHK会長の言動は国会でも問題として取り上げられて、何回にも渡って参考人として招致されていますが、2月12日の経営委員会では自分の問題発言について、「取り消しているし、どこが悪いのか。素直に読めば理解できるだ」という趣旨の発言をしていたことが18日わかりました。
 これでは当事者として何も反省していないことは明らかで、経営委内部で「反省していない」との声が上がっているということです
 
 直近の国会でも、この12日の経営委員会での会長の問題発言が取り上げられましたが、籾井氏は「まだ(経営委の)議事録は公表されていない」「答えを差し控える」とのらりくらりの答弁に終始したということです。
 自分の発言の真意についての説明と議事録の公表とは無関係の筈なのに、議事録がまだ公表されていない(2月末ごろ公表の予定)ことを理由に答弁を回避するというのは理解しがたいことです。
 事実と異なる議事録の作成を目論んでいるのでしょうか。
 
 そうしたところ今度は、籾井会長が1月25日の就任初日にNHKの理事ら対して「あなた方は前の会長が選んだ。今後の人事は私のやり方でやる」という趣旨の発言をし辞表を提出させていたことが、複数のNHK関係者への取材で確認されました。
 就任の初日に理事の生殺与奪の権限を掌握しようとしたとは、NHK内で恐怖政治的な統制を行おうとでもしているのでしょうか。 
 
 あの低劣な発言からは想像もできない人間性ですが、もしも就任記者会見で見せたようないびつな感覚でNHKを統制するのであれば、一体どういうことになるのでしょうか。
 「安倍首相の周りにはもう少しマシな人間はいないのか」と嘆いたという、与党幹部の言葉が改めて思い出されます。
 
  京都新聞の社説と朝日新聞、共同通信の記事を紹介します。
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(社説)NHK会長質疑  反省と自覚が見えない 
京都新聞 2014年02月22日
 「コメントは差し控えたい」の一点張りで、視聴者の信頼を取り戻せると思っているのだろうか。答弁の場は国会である。横柄で誠実さを欠く態度が、見る側のいらだちを一層募らせる。
 籾井勝人NHK会長の失言や他の経営委員の言動をめぐり、衆院予算委員会が集中審議を開いた。このこと自体、NHKという巨大組織が正常に機能していない証左と言える。報道や番組制作の現場の士気が上がろうはずがない。
 
 発端は、籾井氏が先月の就任会見で「(従軍慰安婦は)どこの国にもあった」などと発言したことだ。今月上旬には、経営委員の百田尚樹氏が東京都知事選の応援演説で、対立候補を「人間のくず」と中傷し、「東京裁判は東京大空襲や原爆をごまかすため」などと持論を展開した。長谷川三千子氏も、新聞社で拳銃自殺した右翼幹部を「神に死をささげた」と礼賛する追悼文を寄せていた。
 3氏は昨年から経営委メンバーに加わった安倍晋三首相の「お気に入り」。それだけに、首相も同様の歴史認識を共有しているのではないのかと、米国を含む海外から厳しい目が向けられた。視聴者からも批判が殺到している。
 一連の問題を受け、経営委員長が「容易ならざる事態。経営委員も自ら律する必要がある」と異例のコメントを出したほどだ。
 
 にもかかわらず、肝心の当事者に反省の色が見えない。籾井氏は「すでに発言は取り消した」と、今更何の問題があるのかと言わんばかりの開き直りよう。百田、長谷川両氏は「個人の活動」で逃げ切る構えだが、偏った歴史認識が中立公正であるべき番組に反映されては視聴者はたまらない。
 予算委での野党の追及に、籾井会長は「まだ(経営委の)議事録は公表されていない」「答えを差し控える」と、のらりくらり。これでは「国会軽視だ」「罷免すべき」との野党の怒りももっともだ。安倍首相の任命責任も重い。
 
 NHKは4月の消費税増税に合わせて受信料を値上げするが、国会による事業計画と予算の承認が必要だ。問題が長期化すれば、経営だけでなく取材現場にも影響が及ぶ恐れがある。
 「信頼されるNHKのために全力を尽くす」と籾井氏は意欲を示した。ならば真摯(しんし)に反省し、公共放送トップとして発言の重みを自覚するとともに、歴史を深く学び直すべきだ。
 放送法は、会長を含むNHK経営委員は「公共の福祉に関し、公正な判断ができ、広い経験と知識を有する者」から選ぶと定める。非常識な言動が今後も続くなら、資格なしと断じざるをえまい。
 
 
籾井NHK会長「発言、どこが悪いのか」 経営委で
朝日新聞 2014年2月19日
 就任会見での従軍慰安婦問題や特定秘密保護法などをめぐる発言が問題になった籾井勝人NHK会長が今月12日の経営委員会で、「取り消しているし、どこが悪いのか。素直に読めば理解できるはずだ」という趣旨の発言をしていたことが18日わかった。経営委内部では「反省していない」との声があがっている。
 
 12日の経営委では作家の百田尚樹氏、埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏の両委員の言動などを審議し、経営委員は「一定の節度を持って行動していく」とする見解をまとめた。
 
 複数の関係者によると、委員会の最後に、ある女性委員が会長発言の影響について「受信料不払いなどのリスクにどう対処するのか」と質問。籾井会長は「営業が頑張る」と答えたのに対し、具体案を尋ねられた後、「(発言の)どこがおかしいのか」「会見の記録全体を見てもらえればわかる」という旨の持論を述べた。別の委員から「そういう物言いはおかしい」と反発する声があがり、浜田健一郎委員長がぶぜんとして「終わります」と委員会を打ち切ったという。
 
 会議終了後、委員からは「浜田委員長が注意した意味がない」と懸念する声が出た。1月28日の経営委で籾井会長は「個人的な見解を発言したのは不適切だった」と反省を表明、委員長が「自身の立場を理解いただきたい」と会長に注意していた。
 
 今回の発言について、NHK上層部の幹部は「就任会見では記者がしつこく聞くので致し方なかったと言いたいのだろうが、自分は悪くないという趣旨に受け止められても仕方ない」と指摘した。
 
 約半月後に公開される経営委の議事録の表現については調整中という。(編集委員・川本裕司)
 
 
NHK会長、理事らの辞表預かる 就任初日に要求、人事権を強調か
共同通信 2014年2月22日
 NHKの籾井勝人会長が1月25日の就任初日に理事らに辞表を預けるよう求め、会長の人事権を強調していたことが21日、複数のNHK関係者への取材で分かった。現在までに任期途中で辞任した理事はおらず、辞表は籾井氏が預かっているとみられる。
 
 関係者によると、1月25日午前、臨時役員会が開催され、籾井会長は就任のあいさつなどとともに「あなた方は前の会長が選んだ。今後の人事は私のやり方でやる」という趣旨の発言をし、辞表を預けるよう出席者に求めた。