2014年2月23日日曜日

自民内部でも解釈改憲に強い懸念 「急ぎすぎ」「議論を」

 安倍首相が、集団的自衛権の行使について、自らが設置した私的懇談会の提言を待って、集団的自衛権の行使が可能」とする閣議決定を行ってから国会審議にかけるという、憲法解釈の変更手順を国会で説明していることに対して、自民党内からも疑問の声が上がっています。
 
 河野洋平元衆院議長は中日新聞(=東京新聞)のインタビュー(23日掲載)に応じ、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を国会での議論を経ずに閣議決定する方針を示したことに関し「相当不安を感じている」と強い懸念を示しました
 そして「安保法制懇は首相の私的諮問機関だ。メンバーは首相が選んでいて、第三者の同意必要としていない」、「閣議決定にしても、首相が選んだ閣僚による合意に過ぎない」(要旨)と批判しました。
 
 また21日の自民党総務会では、首相が解釈改憲について国会での議論を経ずに政府見解を閣議決定する考えを明らかにしたことに対し、「なぜそんなに急ぐのか」などと疑問や批判が相次いだということです
 
 総務会で、石破幹事長は自民党が野党だった2012年に集団的自衛権の行使を可能にする国家安全保障基本法案をまとめたことなどを挙げ首相発言に理解を求めたのに対して、村上誠一郎元行革担当相は「野党時代に議論して決めたことで、おかしなことはたくさんある。野党だから『行け行けどんどん』で決めたこともあるのではないか」と指摘しました
 野田毅党税調会長は「地に足のついた議論ができるように」、法案を審査する定例の総務会とは別に懇談会を設けることを提案し了承されました
 野田聖子総務会長も記者会見で「与党政策責任者会議を経た上で閣議決定するのが今のプロセス。にわかに出てきたものが閣議決定されることはあり得ない」と述べました。
 
 総務懇談会には石破氏と高市早苗政調会長に加え、政府側に官房副長官の出席を求める方向で調整しているということです。

 こうした道理のある批判が、安倍首相の異様な前のめりの姿勢を正す力になることを期待したいものです。
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解釈改憲に強い懸念 河野洋平氏、首相の手法非難
中日新聞 2014年2月23日
 河野洋平元衆院議長(77)が本紙の単独インタビューに応じ、安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認するための解釈改憲について、国会での議論を経ずに閣議決定する方針を示したことに関し「相当不安を感じている」と強い懸念を示した。
 
 首相は、自らが設置した有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が報告書をまとめた後に政府与党内で協議した上、憲法解釈の変更を閣議決定する手順を国会で説明している。
 これについて河野氏は「安保法制懇は私的諮問機関だ。メンバーは首相が選んでおり、だれの(第三者の)同意も必要としていない。閣議決定するからいいというのも、相当違う。閣僚も首相が選んでいるからだ」と批判した。
 さらに河野氏は「首相は『最高の責任者は私だ』と内閣法制局長官を抑えようとしている。これまで積み重ねてきた議論を、私的諮問機関の結論で簡単に乗り越えるのはいかがなものか」と、法的根拠のない機関が事実上、政策決定を担う手法を非難した。
 首相は今国会で「政府として検討を進め、与党でも調整し、最終的なものを閣議決定していく方向になる」(20日)「改憲でなくても解釈変更で可能だ」(5日)などと、再三にわたり解釈改憲への意欲を示している。こうした首相の発言は、「集団的自衛権は国際法上保有しているが、憲法上行使は許されない」と解釈してきた歴代政権と、この解釈を担ってきた内閣法制局長官の答弁と矛盾する。
 
自民内から首相批判 解釈改憲「急ぎすぎ」「議論を」
東京新聞 2014年2月22日
 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認するための解釈改憲について、国会での議論を経ずに政府見解を閣議決定する考えを国会答弁で示したことに対し、二十一日の自民党総務会で「なぜそんなに急ぐのか」などと疑問や批判が相次いだ。野田聖子総務会長は総務会後の記者会見で、集団的自衛権の行使容認をはじめ、外交・安全保障に関して総務会メンバーが議論する懇談会を近く開くと明らかにした。
 
 首相は二十日の衆院予算委員会で、解釈改憲の進め方に関し「(政府の)案が固まるのは閣議決定。決まったら(国会で)議論していただく」と、与野党による国会での議論は後回しにする考えを示した。
 
 総務会で、石破茂幹事長は自民党が野党だった二〇一二年七月に集団的自衛権の行使を可能にする国家安全保障基本法案をまとめたことなどを挙げ、「集団的自衛権については八年かけて党内議論している」と首相発言に理解を求めた。
 村上誠一郎元行革担当相は「野党時代に議論して決めたことで、おかしなことはたくさんある。野党だから『行け行けどんどん』で決めたこともあるのではないか」と指摘。与野党による議論とともに、自民党内の手続きも慎重に進めるように求めた。
 野田毅党税調会長は「地に足のついた議論ができる場を設けよう」と、法案を審査する定例の総務会とは別に懇談会を設けることを提案し、了承された。
 野田総務会長も記者会見で「与党政策責任者会議を経た上で(法案などを)閣議決定するのが今のプロセス。首相が言ったから、にわかに出てきたものが閣議決定されることはあり得ない」と述べた。
 総務懇談会には石破氏と高市早苗政調会長に加え、政府側に官房副長官の出席を求める方向で調整している。